KM23
●2022年暑中見舞/オリジナル

2022年暑中見舞

 とても久し振りに暑中見舞を制作しました。イラスト作品としては実に8年振りの新作でした。
 特にテーマは設けず、涼やかで清楚な印象を表現したつもりです。これまで見てきたものの中から「いいな」と思ったものを採用し、調和するように組み合わせました。
 日傘の女性と朝顔の組み合わせは2004年の暑中見舞(→RY110)以来。同じものを同じ人間が表現しても、18年でこんなに変わるんだと思いました。根幹にあるものはあまり変わっていないのかもしれませんが、経験してきたものや美しいと思っているもの、そしてそれらに対する観察力や表現力など、蓄積されたものが絵に現れていると思います。

 2015年用の年賀状(KM22・未公開)を最後にイラスト作品を描かなくなり、暑中見舞に至っては更に早く2009年のKM 1で廃止してしまいました。たまたま今年は年賀状を出すことができなかったため、イラストの暑中見舞でご挨拶することにしたのです。
 普段は家事や育児などで制作に時間が割けないため、1日休暇を取って短期決戦で取り組むことにしました。使える時間は午前と午後に3時間ずつのみ。描きたいという強い気持ちと、8年振りに描けるだろうかという不安がせめぎ合いました。

2022年暑中見舞・顔部分
顔の拡大

 練習やラフもなしに一発勝負で臨みました。描きたいものが明確になっているからか、手を動かしていると自然と形が現れてくるような感じでした。技術的に稚拙なのは勿論承知しているので、制限時間の中でも描けるぎりぎりのものを何とか描き上げたつもりです。作画に3時間。かつてなら何日もかけて描いていた線画がこんなに速く完成したことに自分でも驚きました。
 近くの店で線画のコピーを取り、色鉛筆で彩色しました。以前の主力だったコピックは実家へ置いてきてしまったので、10歳の時に買ってもらった100色の色鉛筆をごく久し振りに使いました。出来上がったカラーイラストは、コピックと同じような透明感のある味わいで彩度は控えめでした。どのような画材を使っても描き手の持ち味は出るものだなと思いました。
 戦場のような毎日を送る中でほんのひと時でしたが、自分を取り戻したような気持ちになりました。


作画・彩色:2022.7.1
画材:上質紙・Dr. GRIP シャープペンシル・三菱Uni色鉛筆
書体:遊びメモ書き+α


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