pa133
●2009年賀状『幸せのリンゴ』・“非写植年賀”/賢狼ホロ/『狼と香辛料』より
ホロとリンゴ

 一度は描いてみたかった、小説『狼と香辛料』の“賢狼ホロ”。
 豊穣の神ということで、テーマを「豊作祈願」としてご登場頂きました。
 ホロの好物はリンゴ。「幸せのリンゴ、いっぱいありんす!」として、2009年に籠から溢れるほどの幸せが収穫できるよう願いました。

*めいきんぐ

 ホロもリンゴも描いたことがなく、繰り返し練習をして作画に臨みました。
 ホロについては描いても描いてもそれらしくならなくて、元旦が迫っていたので見切り発車ですが……。(そのため首から上については納得していない)
 おまけに技術向上のために「三角構図」と「動きのある絵」を採り入れることにしてしまったので、ラフを描くだけでも非常に時間がかかりました。描き直しのため紙が波を打ってぼろぼろです。

ホロのラフ
余談ですが、「20081228 この日、東芝が白熱電球製造を
2010年中止のCM始める」とあります

 動きのある絵は描いたことがなかったので、この程度で勘弁してやってください……。さらなる修行が必要です。
 これを例によって写真用ライトボックスで原稿用紙にトレース、コピックで彩色して仕上げました。原稿用紙に直接描いていた時に比べて作業時間が半分ぐらいになりました。毎回言いますが、もっと早く気付けばよかった。
 ホロが持つ籠に入っているリンゴは晩生品種であるご存知「ふじ」。リンゴ園に行って取材したり写真を撮ったりして、特徴を忠実に彩色しました。

 写植屋さんなどへの発注はどうしても間に合わず、亮月製作所初の“非写植年賀”となりました。デジタルフォントの持ってなさを痛感しました。如何に写植で賄っていたかがよく分かりました。
 書体には、買ったばかりの「KRくろふね」(欣喜堂)を採用。やや古風で洗練されていない感じが逆に人間くさくて可愛らしいと思います。あとは有名どころしか使いませんでした、というか、よっぽど気に入らない限りフォントを買わないのでこのぐらいしか持っていません(泣)。

 今年も各地から様々な感想が寄せられました。自分のために記録しておきます。
「個性的な年賀状ありがとうございました。」
「リンゴはふじだね! すぐわかった。」
「ホロは○○さんに似ないように(顔を丸っこく)描いたんデショ?」(謎)
「下の大きいリンゴと四角い枠の所はない方がバランスがいいと思う。」
「繊細なタッチや色あいが好きです。」

 ……ありがとうございます。リハビリ中に甘んじずもっと精進します。
 なお、これが近視の視界で描く最後の作品になりました。0.1ミリ単位での作画と修整はもうできないでしょう。

ラフ:2008.12.28〜29
下描き・彩色:2008.12.30〜31
画材:漫画原稿用紙・HB鉛筆・0.3mmシャープペンシル・
コピックスケッチ・落描き帳・写真用ライトボックス
書体:ナウMU・DFP隷書体・中ゴシックBBB+KRくろふね・A1明朝
合成〜印刷:iBook/600・GT-8700F・PX-G920


→イラスト制作部・2008年

→メインページ