CDP-333ESJ

SONY CDプレイヤー 1993年製造
当時60000円 → 4500円で購入(本体のみ)

主な特長

アドバンストハイデンシティリニアコンバータシステム
(アドバンストパルスD/Aコンバータ)
ダイレクトデジタルシンク/ファインドライブ
ハイプレシジョンデジタルサーボ/2トランス電源
FBシャーシ/センターメカマウント
ラインアウト連動ボリューム付ヘッドホン端子
光ディジタル出力端子
タイムエディット/ピークサーチ/プログラム等編集機能

ワウ・フラッター

測定限界(0.001% W.Peak)以下

周波数特性

2〜20,000Hz ±0.3dB

SN比

115dB以上(EIAJ)

ダイナミックレンジ

100dB以上(EIAJ)

ひずみ率

全高調波ひずみ率0.0018%(EIAJ)

消費電力

21W

最大外形寸法・質量

430×125×375mm・12.0kg

素直が一番!

 前述のカセットデッキ TC-K222ESL と LDコンパチプレイヤー CLD-R5 の組み合わせでCDを聴いていた私は、その予想以上の音質に満足してCD専用機を買うつもりは殆どありませんでした。6畳の下宿に430mm規格のデッキは場所を取り過ぎるという事もありましたが。
 そんな2002年4月のある日、友人を家まで送る途中でハードオフ◯◯店に寄りました。掘り出し物はないものかと見てみたジャンクコーナーで……

再生しました・4500円」

 それはソニーの高級CDプレイヤー「CDP-333ESJ」でした。 見るからに高級そうな外観なのに、他のぼろぼろで壊れていそうなビデオデッキの棚の中にひっそりと置かれていました。持ってみるとずっしりと重い……。その近くには同じくソニーの廉価CDプレイヤー「CDP-XE500」(1996年発売・22000円)が「トレイ開かず・500円」として置いてありましたが重さも風格も全然違います。そういった比較対象もあり、なおさらCDP-333ESJを救いたいという気持ちは募るのでした。その日は手持ち金がなかったため、次に来店してもまだあったら“御縁があった”という事で買おうと思い、店を後にしました。

 数日後に店を訪れると……やっぱりありました。 救ってと言わんばかりに待っていた(主観的表現)。 しかしCDP-XE500はその棚にありませんでした。先客は何故そっちを買ったんだろう? と不思議でならなかったのですが、やはり縁だったのでしょうか。おかげで無事救出出来ました♪ 重たいプレイヤーを車に積み込み意気揚々と帰宅したのでした。そしてすぐに手持ちのCDで実力を拝見いたしました。

 これが“CDの音”だったのか!

 1970年代の音楽が好きな手前、よく聴いている南沙織のCD(SRCL4414〜5/1997年)をかけたのですが、彼女の声は滑らかで美しく、伴奏は生々しくくっきりしていました。今まで聴こえなかった音も再現されていました。あまりの音の細やかさで耳が痛くなってしまうので、ボリュームを下げてしまう程に。そのうえ、安価なプレイヤー(CDラジカセやミニコンポ等)では低域が強調されていたり高域がぼやけていたりしがちだったのに、このプレイヤーでは低域から高域までバランスよく素直に再生されていました。今までCDをバカにしていた私でも、この音の良さは認めずにはいられませんでした。1992年のモデルという事でちょうどCDの歴史の中間点に当たる機種なのですが、10年物の古さを感じさせず現行の中堅機種とも充分勝負出来る実力を持っていると思います。

 しかしやっぱり罠はあった!?

 しばらく聞き惚れていると、突然音飛びして曲がそれ以上進まなくなってしまいました。ディスクに傷はないのでプレイヤーの問題か……。別のCDに変えてもやはり同じでした。この症状が起こらず無事再生を終えるのが殆どでしたが、全く音飛びの予想がつかないのがまさに罠っぽい。
 あとは不具合ではないのですが、外観が脂まみれで汚い! スイッチ類の周りは白っぽく…うえぇ。トレイも拭くと真っ黒でした。これについてはよく掃除をして解決しましたが、FL管ディスプレイは内側から曇っていました。どちらも煙草のやにか……? こればっかりはどうしようもない(泣)。そのFL管は酷使されたようでやや暗く、しかも“ミュージックカレンダー”(曲数を表示する欄)は何故か18曲目までが暗いのです。何じゃこりゃ? 前の所有者は一体どういう使い方をしていたのでしょう。喫煙者で手が脂まみれで同じCDしか聴かなかったか、飲食店等で使われていたか…どちらにしても精密機器には最悪の環境です。折角のいいプレイヤーなのに勿体ないと思います。音飛びもそういった過酷な環境が引き起こしたものじゃないでしょうか。いずれにしろ、物を大切に扱わない人に物を使う資格はないと思います。大袈裟ではなくて。
 そうやってひねくれて卑屈になってしまった(?)このプレイヤーを綺麗に磨き、いろいろなCDをかけて楽しんでいるうちに、先述の音飛びの症状は全く出なくなりました。不思議なものです。

 しかし素直すぎて……

 そんな素直な(と思う)このプレイヤーがゆえに苦手なCDもあります。かつてよく買っていたアニメ・ゲーム系の多くのものとCD-Rです。こればかりはプレイヤーの性能が良くても「音が良くなった!」と思えませんでした。おそらくは録音(もしくはマスタリング)の状態が良くないからだと思いますが、事実確認は出来ないので何とも言えません。例えれば、解像度が低く階調の少ない画像を写真画質のプリンターで印刷しても元の画像の画質は超えられない、と言ったところでしょうか。
 そんな“素直すぎる”再生能力も気に入ってしまいました。TC-K222ESLと世代的に近く、デザイン的に好みな上統一感があるので多分おそらく買い換えはしないでしょう。でも上位機種(CDP-555ESJ、CDP-777ESJ)が5000円・完動だったら浮気するかも……(笑)。いやしないしない。

 追記

 2002年11月、市販のCD型クリーナーを再生したところ、かえって読み出しエラーが頻発するようになってしまいました。具体的には、1曲目の0:00から0:01を行ったり来たり。2曲目から再生してやるとこの症状は治まるのですが、何とも気持ち悪いので分解掃除を決行しました。
 沢山のネジを外し、キャビネットを開けてびっくり。重さの割にスカスカでした。しかし、AUDIOとDIGITALを分けたツイントランス電源で、パーツも良い物が使ってあるようでしたので、さすがES機だと思いました。中央にあるピックアップのレンズをアルコールを染み込ませた綿棒で掃除。すると、綿棒が驚くほど茶色に染まりました。やっぱり煙草だったか……。曇っていたレンズは輝きを取り戻しました。
 早速キャビネットを元に戻して再生してみましたが、音飛びがほぼ解消しました。その上、音が緻密になり、高域がよく出るようになった気がします。曇ったレンズでは時間的・信号的にうまく拾えず、音飛びだとか音質に影響していた(エラーが多いと補正しなければならないから)のでしょうか。新品の時、こういう音だったのか……、と感心してしまいました。

 追記2

 2003年。それでもCDによっては音飛びが激しく、鑑賞に堪えないものもあります。1トラック目で頻発。修理に出すか、新しいものを買うか思案中です。

 そして、引退

 2004年12月23日。筆者がじっとしていないと音飛びしてしまうほど症状は悪化していました。再生しても往ったり来たりを繰り返して、一向に曲が進まないのです。音楽を楽しむためにそれ以上の気遣いを強いられるのは本末転倒ですので、修理か買い換えを真剣に検討しました。修理してずっと使っていくつもりでしたが、購入時から元々調子が悪かったため、中古屋で見つけたCDP-XA30ES(1997年製)を購入し、333ESJには引退してもらうことになりました。中古屋に売却予定です。
 333ESJを購入して2年半。演奏者が音にどれだけ気を遣ってCDに収録しているかや、音楽をじっくり楽しむ良さを教えてくれて、毎日のように素晴らしい曲たちを聴かせてくれました。本当にお疲れ様でした。さらば良き友よ、どうもありがとう。

2004.12.24



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