光源調整ダイヤル【こうげんちょうせいだいやる】


●印字する文字の濃度を調整

光源調整ダイヤル
PAVO-JVの光源調整ダイヤル

 写真植字機は、光源ランプの光を文字盤に当て、文字盤を透過した(文字の形の)光が感材に届くことによって印字しています。
 光源の強さを固定した場合、印字される文字の濃度(太さ)は、文字種や書体によって変化します。具体的には、画数が少ない文字や細い書体ではより薄く(細めに)、画数が多い文字や太い書体ではより濃く(太めに)印字されます。
 これは、写真植字が光学的な過程を経ていることに起因するものです。文字が太いなどで透過する光が多ければ露光が多くなり、その分文字が濃くなります。また、光が文字盤を透過する際に回折やハレーションが生じ、画数が多い文字や太い文字の場合は余分な光が感材に当たりやすくなることになります。
 他の観点では、感度の低い感材では薄めに、感度の高い感材では濃いめに印字されることになります。現像液等の温度や、使用する写植機の個体差、レンズの曇りによっても文字の濃度が変化します。

 このように、適切な濃度で印字できない場合があるため、「光源電圧調整ダイヤル」によって光源ランプの光量を調整できるようになっています。
 ダイヤルの数値(写研では「ノッチ」と言い、PAVO型では10ノッチのダイヤルと1ノッチのダイヤルの2つがある)を操作することで光源ランプの明るさを調整することができます。

●「デステップ」文字盤で文字の濃度を統一

 通常、印字される文字の濃度は一定でなければなりません。そこで、「デステップ」(モリサワでは「P.C.P.」)と呼ばれる10段階の階調を持った文字盤が用意されており(デステップ文字盤は1966年発売)、所定の方法でこの文字盤を印字することで、適切な濃度で印字できるノッチ数を決定することができるようになっています。

デステップ文字盤
写研の「デステップ文字盤」

 デステップ文字盤は10段階の濃度を持っており、数字が大きくなるにつれて印字が薄くなっていきます。印画紙を現像する際、あらかじめこれらの数字を印字してみて、それを指標として光源の明るさや現像の時間を調整します(写研では5がぎりぎり見える程度が標準の濃度)。光源や現像が過剰なら大きい数字まで印字され、不足なら小さい数字しか印字されないため、目視で適正な濃度かどうかを確認することができます。

デステップ文字盤による印字
デステップ文字盤を使用した試し印字(画像クリックで拡大)
ノッチ数を5ずつ変化させながら同じ文字盤の同じ文字を印字した結果です。ノッチが大きくなるほど光量が多くなるため、文字が太く潰れていきます。
数字がデステップ文字盤を印字したものです。この図では、65ノッチが適正光量です。


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