採字マスク【さいじますく】


●文字種に応じて余分な光を遮断

 写真植字で印字するには、光源ランプの光を文字盤に導き、感材へ届かせる必要があります。光源ランプの光は集光レンズを通して光束(幅を持った平行な光)となります。この光束が文字盤に届く訳ですが、そのままでは印字したい文字の周りの文字にも光が届いてしまい、同時に印字してしまいます。
 このようにならないようにするため、光束のうち印字したい文字の範囲の光だけを通すような孔が文字盤の手前(光源側)に設けられています。これが「採字マスク」です。

採字マスク図
採字マスク周辺の光の経路
採字マスク周辺の光の経路
(図:『写研』63号 p.22/1985年4月20日発行、写真:PAVO-KY 解体部品 株式会社文字道様所蔵)
PAVO-Kより新しいPAVO型の場合、光源ランプから発せられた光は何枚かの集光レンズ(コンデンサーレンズ)によって平行光束となり、進む向きをミラーで90度変えて文字盤に届くが、ランプと文字盤との間に採字マスクがあり、そこで光束が絞られていることが分かる。

 採字マスクには次のようなものがあります。
・全角用(既定)
・大字母(上下左右約全角分、印字範囲を拡大)
・左右張出し(Wなど全角を超える字幅のもの)
・上下張出し
・ヨコ組ルビ
・タテ組ルビ

採字マスク選択レバー
PAVO-JVの採字マスク選択レバー

 通常は全角分の孔が開いたマスクを使用するように設定されていますが、上記のうち一つをレバーなどで選択しておき、「採字マスク移動用足踏スイッチ」(ペダル)を踏むことでそのマスクに切り替えることができます。

採字マスクの原理
採字マスクの原理(『SPICA-AP取扱説明書』p.6/1978年より)
通常は光が全角分の孔を通るようになっていて(上図の破線)、ルビなどを印字する際にペダルを踏むことで採字マスクが動く(実線)。親文字の部分は印字せず、ルビだけを印字することができる。

 ルビの場合は親文字の部分を印字してはならないので、全角に当たる箇所は光が遮断され、親文字の右側または上側に孔が開けられています。
 全角よりも大きな張出し文字(欧文のW、イタリック、合字など)の場合は、その部分も光が当たるような孔が開けられています。

採字マスクによる光の変化
採字マスクによる光の変化
左は通常(全角用)の採字マスクを透過した状態、右は大字母を選択し、足踏スイッチを踏んだ状態。
写真では見にくいが、大字母の採字マスクは全角よりも大きな孔を光源からの光(青白くなっている部分)が通っていることが分かる。

●採字マスクの搭載状況

搭載(レバー選択式) 下記以外のPAVO型:5種類(本体に組込済)
搭載(差替式)

・PAVO-8、-J、-K:7種類
PAVO-8、-J、-Kの採字マスク
『PAVO取扱説明書』p.33/1976年より

・SPICA-Q、-QD、-A、-AP、-AH:2種類
SPICAの採字マスク
『SPICA-AP取扱説明書』p.6/1978年より

未搭載(不明含む) SPICA-S、-L(非搭載)、SK型以前の機種(不明)

→写真植字機機能総覧
→写植とは

→メインページ