文字多様化機能【もじたようかきのう】


●袋文字、シャドー文字の「素」を印字可能

 1970年代中〜後半には、写植による文字表現が多彩になり、詰め組みだけでなく、斜体のライン揃え、袋文字、シャドー文字、ぼかし文字など様々な技法が試みられました。
 中でも袋文字やシャドー文字は、目立つこともあってよく使用された技法で、写真的な手筈を何度も踏んで作られていました。また、予めそのような装飾が施された書体も開発されました(ナールO、スーボO、スーボOS、スーボ・ペアライン、YEM-OS、YEG-L-OL、YEG-L-OSなど)。

 こういった装飾を施すには手間がかかり、既成書体は限られるということで、写研は写植機単体で装飾文字の「素」を作成する機能を搭載しました。
 この「文字多様化機能」は、太め文字とシャドー文字(正確にはずらし文字か)を作成可能です。その原理を示す文献は見付かっていませんが、おそらく太め文字は印字の際にレンズなどによって文字を円形にずらしながら、シャドー文字は文字を斜めにずらしながら何度もシャッターを切る(またはスポット罫線のようにシャッターを開けたままずらす)ものと思われます。こうしてできた素と通常の文字を写真的な手法で合成することで、袋文字やシャドー文字が得られるというものでした。

文字多様化機能
文字多様化機能の解説(写研『写真植字No.30』表3/1980年より)

●文字多様化機能の搭載状況

搭載 PAVO-K(オプション)、-K2、-K3、-KL、-KU
非搭載

上記以外


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