12畳ぐらいの会場の中は入口から反時計周りに「スピカQD」、ライトボックスに載ったサブプレート(小さい文字盤)、レンズなど「PAVO-KY」の部品、メインプレート(大きい文字盤)、サブプレート、文字盤を使った工芸品とモリサワ用の文字盤、壁には印字物が各種と、とても多くの物が展示されている。モリサワの文字盤なんて初めて見た! サブプレートをそのままの配列で印字したものも芸術作品と言っていいほど美しい。
「100%写植展」には様々な方が訪れていた。意外だと思ったのは、若い人(学生さん?)が多かったということ。写植という言葉も聞いたことがないという人が殆どの筈なのに……いや、写植を知らないから訪れたのかも知れない。写植を経験された方や出版関係の方も多かった。有名な会社やデザイナーが取引先という方も。この展覧会が貴重なものであることを改めて感じた。
訪れた方達の中に、「もじもじカフェ」を主催されている方もいらして感動。なんと8月に写植についてのイベントを催されるのだそう! 嬉し過ぎる。「万障繰り合わせて必ず行きます!」と早速意志表明(?)。この4年ぐらいは写植について殆ど触れることができなかったので、急に道が開けたような気がした。
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左:手動写植機スピカQD(クリックで拡大)
幅約1m、質量約60kgの小型な卓上型写植機です
機能は簡素ですが小型軽量であるため、主婦の内職(本文の印字)によく使われたといわれています
右:ライトボックスに載ったサブプレート(クリックで拡大)
写植の文字盤は、ネガ状になった文字のフィルムをガラスで挟み込んだものなので文字の部分だけ光を通します
左:手動写植機PAVO-KYの部品
写植は書体を光学的に印字するため、多くのレンズが写植機に組み込まれています
PAVO系の機種は電子制御を可能にしたため、基盤や配線類も多く使われています
手前の円柱状のものは「主レンズ」で、印字する文字の大きさを変えるための重要部品です
写植が急速に衰退し多くの写植機が廃棄処分されましたが、部品が残っているのは稀です
右:サブプレート各種(クリックで拡大)
写植の文字盤には「メインプレート」(大)と「サブプレート」(小)があります
サブプレートにはメインプレート(後述)を補完する役割があり、主に収録されているのは仮名文字、使用頻度の少ない漢字、記号、英数字ほか外国文字、地紋や飾り罫 などがあります
大きさは7.3cm×13cm。最大269種類の記号や文字を収録できます
メインプレート各種
メインプレートには使用頻度の高い漢字や仮名、英数字、記号が収録されています
大きさは縦22.4cm×横38.4cmで、最大2862種類の文字や記号を収録できます
額に入った「変体がなKH-A」の印字(クリックで拡大)
写真は「変体がな」を文字盤に収録されている並び方で印字したものです
文字盤の四隅には写研のロゴや書体コード(KH-A)、著作権表示があることが判ります
印字されただけのものが美術品のように思えてくる、不思議な趣が感じられます
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