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 前回は絵柄の恥ずかしさに耐えながらお送りしたが、今回は絵についてのエピソードが恥ずかしい。記憶が心ををくすぐるような感じだ。結局“チャチャダンス”の時代に描いたイラストは恥ずかしさから逃れられなかったのだ。物事の初期独特の、甘ったるさのようなもののためだろうか。当時、筆者は15〜16歳。感じるもの全てが新鮮で、それを素直に表したからかも知れない。
 (今では絵を描こうと思うと、何かしらテーマというか、意味やメッセージを持たせようと思ってしまい、なかなか“素直”に描けなくなってしまいました。でもあのころ素直に描けたのは、絵を描くことを純粋に楽しめていたからなのだろうと思います。今も絵を描いていて楽しいですが、たまには意味なんて考えずに描いてみようかな……。絵を描くのがもっと楽しくなるかも。)

 このころ、『スレイヤーズ』という作品をいたく気に入り、今以上に作品や人に影響を受けやすかった筆者はすっかりスレイヤーズ漬けになってしまった。そしてそれはすぐにイラストとして現れた。
 1枚目のイラスト(ch24)は、スレイヤーズの主人公“リナ”を描いたものである。前回の絵とは打って変わって黒目が小さく縦長になるなど、この作品の影響を受け始めている(まだ、このころはましなのですが……)

 2枚目(ch26・27)は所属していた演劇部の芝居の役のイメージイラストである。芝居は特撮のパロディーだったのだが、こんな*※◎☆(これ以上はとても書けませんっ!)。“イカ男”は実際にスルメを装着しており、舞台に近い席の観客から「くさい!」という声が聞こえてきたことをはっきりと覚えている。芝居が終わった後のイカ男の衣装が楽屋をスルメ臭で覆う事件が起きたため、その衣装はしばらく出入り禁止になったのであった。
 そんな余談はさておいて、この絵は珍しく全身に挑戦したものである。イカ男は15分程で描けたが、イカ女は少なくとも数時間はかかった。水着姿で手をかざしながら高笑いする姿は何度描き直してもうまくいかず、悔しい思いをした。絵の欄外に、「今の自分には、これ以上のものは無理だ」というようなことが記されていた。(だからといって、今の私に「同じ題材で描け」と言われても困りますが……あまりにもイロモノなので。)しかしなぜこの絵に、ありったけの(なきに等しい)画力を注ぎ込んだのかはよく分からない。この絵にまつわるエピソードばかりは思い出せるのに。

 3枚目(ch33)は1枚目と同じキャラクター。大分それらしくなった気がする。本当は「カメラ目線」にしたかったのだが、どうしてもできなかったので「何かに気付いた時」の絵になってしまった。“リナ”は少し変わった髪型をしているのだが、それを描いているうちに、髪の毛の曲線を描くことが喜びになっていた。そしてそれは今でも変わらない。

 4枚目(ch34)は「チャチャダンス」時代最後のイラスト。集大成と言うには大袈裟すぎるが、このイラストは「今の自分に描ける一番可愛い女の子を描いてみよう」という無謀かつ恥ずかしい試みで描かれたものだったと思う。どうしたらいい表情になるかとか、どうしたら色鉛筆で立体感が出せるかとか、3ヶ月かけて悩みに悩んだ。服装は知り合いのものをこそっと拝借した(すみません。でも時効ですよね)。若さ故の過ち(?)として、許してやっていただきたい。
 この作品は、引越しで亮月製作所内(自室のこと)を整理していたところ、机の引き出しの奥の奥からくしゃくしゃに丸まって発掘された。おそらくは当時恥ずかしくなってしまい込んだものだろう(得意のパターン……)。今でも恥ずかしいには恥ずかしいが、絵として見れば味がある(ような気がする)ので敢えて展示した。少なくとも、“あの”時期よりはいい……(その話は、またいつか、2ヶ月くらい後にすることになるはずです)

「チャチャダンス」後期は、そのころの空気を閉じ込めたような、記憶がにおいたつような雰囲気を放っている(私には)。下手くそで恥ずかしい内容のものばかりだが、絵を見れば沢山のことがはっきりと思い出せる、そんな絵を描いていてよかったと今では思っている。
 


ch24
リナ・インバース
1995.9.29
シャープペンシル・ノート


ch26・27
イカ男・イカ女
1995.12.11
シャープペンシル・
色鉛筆・ノート

ch33
リナ・インバース
1996.3.8
シャープペンシル・
色鉛筆・ノート


ch34
オリジナル
1996.1.29〜1996.5.4
シャープペンシル・
色鉛筆・藁半紙

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