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今回は、「旧桂光亮月」で一番特徴的な“デジタル彩色”(コンピュータを使って色を塗ることを、私はこう呼んでいます)の作品をご覧頂きたいと思います。 1996年2月10日、自分にとって初めてのパーソナルコンピュータとなった“Mac”を買いました。といっても、父がデザインの仕事で使いたかったらしく、「パソコンはええらしいぞぉ〜」と無理矢理説得され、お年玉を巻き上げられた、というのが近いです。パソコンといえば中学の時に授業で使った「PC-98」シリーズしか知らなかったため、自分がしたい事には使えないだろうと思っていたので、本心ではパソコンは欲しくありませんでした。 最初の作品(旧亮月0D)は、Macで初めて描いた絵です。何年も使っていなかったフロッピーディスクから見つかったもので、自分が持っているデータでは一番古いものです。Macに付属していた「キッドピクス」(いわゆる“お絵描きソフト”)を使ってマウスで描きました。「パソコンといえばアニメ塗り」という偏見(?)があったので、アニメのような画風になっています。ドットの見える描画が、かえってデジタルらしい味わいになっているような気がします。3時間ぐらいかけて描き、(当時としては)いい見栄えに満足していました。 次(旧亮月8D)は父が仕事で使っていた「Adobe Photoshop 3.0J」を使って描いたものです。データは遺っていませんでしたが、プリンタで印刷したものがとってありました。全体にざらざら・つぶつぶしていますが、当時のプリンタではこれが限界だったのです。マウスで色を塗ったのではなく、ひたすら「グラデーションツール」だけを使って色を着けていきました。今思うとかえって面倒くさそうですが、「デジタルなら楽ができるだろう」という偏見もあったため、敢えて使ったんだと思います。多分……。これ以降のデジタル彩色は全てPhotoshopで行われています。 3枚目(旧亮月12D)は一時期描いていた小説の表紙のためのイラストで、未完成です。小説の内容についてはあまりにも恥ずかしいので書きませんが、ある少年がこのイラストの少女と出会い……という話です。男の絵は殆ど描けなかったので、表紙の絵に使うのを断念してしまいました。そして結局、小説そのものも書いている途中でやめてしまいました。やめて正解ですι 4枚目(旧亮月14D)は1997年の暑中見舞いのために描いたものです。手抜きのない(デジタルだからといって楽をしない)デジタル彩色の作品は後にも先にもこれだけでした。ブラシツールと「Kai's
Power Tool」を多用して、画面に白いところがなくなるまで塗り尽くしました。あ〜、こんな風に白い所がない絵を久し振りに描いてみたい! 最後(旧亮月28D)は旧桂光亮月でも最後期の作品。控えめな色遣いや文字が折り込まれていることに、次の時代を感じさせるイラストです(そうか?)。『マリーのアトリエ』というゲーム作品がとても気に入り、自分の好みをがらりと変えてしまったのです。色遣いもそうですし、書体選びやレイアウトを考えるようになったのもこのころからです。マリーのアトリエにはいろいろエピソードがあるのですが、旧亮月より後の出来事ですので、それはまた次回、あの作品とともに解説させて頂くことにします。 実の所、デジタル彩色作品はこれ以降全く描いていません。思うように描けなかったこと、色に深みが出なかったこと、質感がまるでなかったこと、長時間画面を見続けるのは辛いこと、そしてMacを起動しないと色が塗れない(しかも、父の仕事場にあった!)ので面倒くさかったことなどが原因なのですが、何よりも道具を使いこなせるだけの表現力がなかったことに気付かずに飽きてしまったからだと思います。結果として、導入は早かった(周りにデジタル彩色をしている人はいなかった)ものの、飽きるのも早かったです。 |
旧亮月0D 旧亮月8D 旧亮月12D 旧亮月14D 旧亮月28D |
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