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2002年の春。それは今までよりも少し明るかった。 友人達と何度となく下宿で開いた飲み会や鍋大会。大抵、考え方などについて突っ込まれ、叱られてばかりいたけれど。でもこんな自分の所に人が集まってくれて、意見を言ってくれるのがとてもありがたくて嬉しかった。アルバイト先の人とも仲良くなって、たくさん話した。……そのように、生きる希望を見い出し、感謝の気持ちでいっぱいだったのがこの時期である(今も感謝の気持ちなしでは生きていけません)。 このころに描かれた作品は、絵葉書大。気持ちを絵に表して贈っていたのだ。筆者の気持ちが穏やかになり始めた、その時期に描かれた作品とそのエピソードをご覧頂きたい。 1枚目(RY79)は、バイト先の後輩に贈ったもの。引退すると聞いてすぐ描き、文章を添えて。女の子だったので(?)随分可愛がっただけにとても残念だったが、人懐っこくていつも明るく話などをしてくれた彼女には感謝しきれないほどだったのだ。花束は買えなかったけれど、抱えきれないくらいの大きな花束を絵に描いて、ありがとうのきもちにした。今はもうその後輩には会えなくなってしまったが、忘れられない大切な人だ。 2枚目(RY80)は白泉社の漫画が好きな友人に贈ったもの。筑波さくら先生の『目隠しの国』がとても好きで、熱心に勧めてしまった。ところが勧めるまでもなく、その友人も好きだったのだが。絵としての出来は、顔はいまいち(2000年的)だと思うが、このコピックの塗りは今でも気に入っている。リボンや花びらに妙に凝った。赤+橙+桃色の色遣いが気持ちいい(と思っています)。 3枚目(RY81)は卒業する友人へ。複製を持っている人もいると思う(友人の部屋に飾られているのを見たときは、とても嬉しかったです♪)。好きなキャラクターである『フルーツバスケット』の“透”に、やはり花を持ってもらった。祝う気持ちの表現と、潤いのある絵になると思ったからだ。そして思いがけなく可愛く描けて喜んだものだ。鉛筆の主線にコピックという組み合わせは初めてだったと思うが、主線をペンでなぞるよりも味が出て好きだ。青系統+緑+茶色は好きな組み合わせ。 ちなみに、添えられた詩は 「イロイロあったけど 出会えたコトが とてもとても 大切なコト そう思えるコトが とても大切なコト ありがとう。」 (武藤啓『ネバギバ!』より“スキの呪文”) と。当時からずっと大切にしている詩だ。ここを読んでくださっているあなたに出会えたことにも、心から「ありがとう。」 最後の作品(RY82)は、やはりバイト先の後輩へ。当時大学4年で就職活動も卒業研究もしていて忙しいはずだったのだが、あまりにも居心地がよかったため(あと、生活費を捻出するため)続投することにしたのだ。デフォルメのこのような絵を贈ってしまったのだが、理解ある後輩でよかった……(もしくは、我慢していたのでしょうか?)。この後にも何点か絵を贈っている。やはりはがきサイズで、その大きさが自分にとっていちばん描きやすくなってしまった。 この時期の作品達を見てみると、やや控えめな色遣いがかえって心地よい(と思います。私の好みもありますが)。写植に頼らず書き文字にしたのも、自分の気持ちを直接伝えたいという思いの表れだったのだろう。そして今でもそうだ。年賀状などもそうだが、大切な人には折に触れて絵を贈っている。 絵葉書大の小さなイラストには、そのときの気持ちがぎゅっと詰まっている。 |
RY79 RY80 RY81 RY82 |
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