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 今回は、私のオリジナルキャラクターについて展示させていただきます。同じキャラクターを描いているのに、時期によってかなり雰囲気が違うところをお楽しみ頂けたらと思います。ご案内は桂光亮月です。


 亮月製作所がまだなかった1997年。ちょっとした小説を書いていました。主人公が出会う女の子が、このオリジナルキャラクターでした。名前は“ナール”といいます(安直だ〜。同名の書体「ナール」から。このころから好きな書体だったので)。小説を冊子にしたときに表紙を飾るはずだったのがこのキャラで、第6週でも展示したこの絵(旧亮月12D)です。このときの設定は、金色の長髪で目は青く、研究のために異国から来たことになっていました。本を抱えているのはこのためなのです。当時の自分なりに真剣に考えて描いたはずですが、結局小説は途中で断念してしまい、長い間記憶の彼方へと追いやられることになってしまったのです……。

 その2年後、1999年。大学のサークルで“自己紹介誌”(なのだろうか)の表紙を任され、とても困ってしまいました。オリジナルのイラストは全くと言ってもいいほど描いたことがなかったのです。……そこで思い出したのがこの“ナール”でした。
 まともに描くとどうしても可愛くなくなる(表現力が足りない)ので敢えてデフォルメし、写植の文字盤に座らせて完成したのがこの絵(RY8)です。自分らしいと言えば自分らしいですが、デフォルメ具合が半端で文字盤の縮尺もおかしく、シチュエーションも妙で、なんともいえない雰囲気を醸し出しています(と思う)。筆者でもコメントに窮しますι

 この作品を発表したすぐ後の1999年5月26日、このサイト「亮月製作所」を設立しました。亮月製作所のイメージはなんとなく“ナール”です。個人的には「ナールさん」と呼ぶのがいちばんしっくりきます(以降「ナールさん」と表記してあります)。ちなみにロゴ等の制定書体も創立の時からずっとナールDなのです。

 その後、オリジナル漫画にもナールさんに登場してもらいました。題名も『ナール』。このときの設定は長い黒(もしくは茶)髪になっていました(ただし、色は塗らない)。設定集には「性格良好。のほほんな雰囲気。頭は結構いい」(原文まま)と書いてありました。服装も初期は独特な(?)ものでしたが、話が進むにつれて普通の服を着るようになりました。分身とまではいきませんが、思い入れが強くなったのもこの時期です。
 3枚目の絵(pa19)はその第2回の最後のコマから。その頃周りで点描が流行っていた気がするので、真似て描いてみたのだと思います。点描は点描ですが、やっぱりパンキンテイストですね〜。絵を純粋に楽しく描けていたこともあって、この雰囲気の絵柄がいちばん安定していました。ちなみに書体は写植の「石井太明朝体OKL」です。書体よりも組まれたことばが気になるかも知れませんが。
 6回まで描き上げましたが、毎回毎回が挑戦の連続でした。話を考え、それを絵として具体的に表現する。人の仕種や表情を表すのに気を遣う。それを何十コマと繰り返すのは、楽しくもあり苦痛でもありました。それでも読んでくれた人が感想を言ってくれるのがたまらなく嬉しくて、また描いてしまうのでした。

 この漫画は第4回で一旦終わるのですが、そこで描いたナールさんがこれ(pa無番)です。一応クライマックスだったので、真剣な表情(のつもりで描いた)で意味深な台詞を話しています。私にしては珍しい(?)。このころは、目を小さめに描いて落ち着いた感じに描くのが好きでしたが、第11週でも触れたように、自分が自分で決めた絵柄でなくなる直前のものです。そしてその後、(しつこいですが)“2000年の私”が現れるのでした……。それと同時にナールさんも影をひそめます。

 そこから1年9ヶ月。漫画『ナール』も復活しました。第5回で描かれたナールさん(RY無番)は、雰囲気がぐっと変わっていました(と思う)。なんだか明るいです。絵や漫画の描き方が少しずつ分かってきた時期で、描くのが楽しくて仕方がない頃でした。内容も絵もしっかりしてきて、漫画としてもようやく読めるものになりました。そして2001年末、『ナール』はハッピーエンドで完結しました。気持ちや嗜好(指向)はまだまだ2000年の影響が色濃かったのですが、絵だけは先行して変わり始めていたようです、今見てみると。

 最後に、今の自分が描くナールさんはどんな子なんだろうと思い、久しぶりに描いていた(RY105)のですが、どうしても納得のいく絵にならなかったので、今回の展示に間に合いませんでした。申し訳ありません〜。いつか展示させて頂きます。


 ナールさんは私が描くオリジナルキャラクターの中でいちばん大切な存在です。7年前にふとしたきっかけで現れ、私が変化していくのとともに絵柄が変わり、表情が変わり。そしてこれからの私を見守り続け、彼女自身に映し出していくのでしょうか。
 今回もご精読ありがとうございました☆


旧亮月12D
『えくすとら・わーく』表紙
オリジナル
1997.5.1(未完成)
Macintosh Performa630
Adobe Photoshop 3.0J
生データ

RY8
自己紹介誌上巻表紙
1999.5.9
水性ボールペン・漫画原稿用紙

pa19
『ナール』第2回
1999.11.15
水性ボールペン・漫画原稿用紙
石井太明朝体OKL

pa(無番)
『ナール』第4回
2000.4.12
製図ペン・漫画原稿用紙

RY(無番)
『ナール』第5回
2001.11.13
さじペン・漫画原稿用紙
ナールD/E


(間に合いませんでしたι)

RY105
また会えたね。(仮題)
2004.5.
画材未定

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