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       今回は、「鉛筆画特集」として、各時代に遺された鉛筆のみで描かれた絵について展示しています。 
       作品として遺されたものは少ないですが、日常の落描き(もしくは、練習用)として描いたものからも鉛筆独特の雰囲気を味わうことができます。そのため今回の展示イラストのうち、大半は“落描き帳”(無地のノート)からの抜粋であることをご了承くださいませ。当時としてはちゃんと描けたと思われるものだけを展示していますが、実際の落描き帳は失敗だらけでしたι ただ、すぐに画材が用意できて描きやすいということもあって、そのときの自分が直接現れているのが面白い(興味深い)と思います。自分で書くのもなんですが。 
       今回は多めに展示してありますので、ごゆっくりお楽しみください。 
       
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       はじめは初期の作品から(旧亮月5)。主線ははっきりとペン入れしていた時代には珍しい。今思うと、なんでこれに作品番号を振ったんだと思いますが、うまく描けたつもりでした。というか、かなり曖昧な描画なのでうまく描けた“ように見える”だけなのですが。 
 
 
       2枚目は“マリー”(旧亮月24)。亮月製作所創立直前の、絵柄が変わる前の作品。特筆すべき点はないのですが、下に小さく描かれている“ブラヰ”(ブライ=ドラゴンクエストIVのキャラ)がなんとも。なぜかエプロンを身に着けて、花を持って、頭を光らせています。落描きは、こんなのばっかりしていました。 
 
 
       3枚目は“エリー”。この頃は落描き帳を持ち歩いていて、暇があると絵ばかり描いていました(その割に上達しなかったけど)。そのため帳面がぼろぼろになってしまいましたので、綺麗な状態で展示できなかったことをご了承ください。 
       自己流にアレンジされたエリーは、今見てもそれほど恥ずかしくありません。ただこの落描き帳、このように色んな要素がひしめき合うように描(書)かれていたので、当時の自分の境遇や本音を窺うことができるのが恥ずかしいです。この絵の近くには、遠心力の計算式や試験管(一応理系でした)、「CGは描けん!」という嘆きが書かれていました。 
 
 
       4枚目はオリジナルです。このころは今まで描けなかったものに挑戦しようという意気込みが(サークル内で)高まっていたため、俯瞰(上から見下ろすような構図)の絵を描いてみました、が、あまり俯瞰にはなっていません。描いたときは「あかん〜」と思ったのですが、改めて見てみると、何だかもの言いたげな女学生ですね(?)。 
 
 
       5枚目は『テイルズオブファンタジア』の“アーチェ”。サークルに提出する作品用のラフだったのですが、完成した作品(pa61B)よりも意図した通り(というか、上手いような気がする!?)なのがクヤシイ。上でも描いたように、線が曖昧だからなのも原因だとは思いますが、主線を決めない分、自分の一番描きたい線が頭の中で見えているのだと思います(主線が思い通りの線でないのは、意図をはっきり具体化できる実力がないからなのかなあ……わからん)。でもそういう小難しいことを考えなくてもいいのが鉛筆画の良さなのかも知れません。 
 
 
       6枚目は『猫の恩返し』から“吉岡ハル”。第16週で書いたように、自分の描きたい絵柄は何だろうとあれこれ模索していたときのものです。顔立ちをかなり変えたつもりでした。と言いつつも、変わったのは目だけのような気もしますが……。でも目は顔の中でもかなり重要な要素だと思います。絵全体の印象が左右されるぐらい。 
 
 
       最後はオリジナル作品です(RY106)。この絵をどこかで見たことがある人もいるかと思います(出所はすぐわかりますが)。絵自体に意味がある訳ではないのですが、かなり真面目に描きました。目が大きかったり、鼻が低かったりと写実的でないところもありますが、イラストですので大目に見てやってください。元々落描きのつもりだったのですが、実は描くのに結構な時間がかかっていて、番号付きの作品に昇格。他の絵に比べれば写実的ではありますが、モデルがいる訳ではありません。 
       
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       こうして年ごとに並べてみると、タッチにはそれほど変化がありませんが、顔の要である目の描き方はころころ変わっていることがわかります(多分、これで安定すると思いますが)。鉛筆画は描きやすいと冒頭で書きましたが、やはり当時の自分の心境や好みがそのまま現れているのだと思います。今回の展示イラストは、ほぼ全てが発表を前提としなかったものなのですが、意味を込めて描く絵のように考えて描かない分、ありのままの自分を見ているような気がして照れくさいというか、懐かしい思いです。 
       こういった、何かのはずみで手からぽろっと生み出されたような絵も大切ではないだろうかと私は思います。……そこには意識しない自分が隠れているのかも!? 
 
 
       次週は2003年の春から夏にかけての作品を展示させて頂く予定です。ご精読ありがとうございました☆
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      旧亮月5 
      チェリー 
      1997.1.26 
      HB鉛筆・藁半紙 
       
      旧亮月24 
      マルローネ+ブラヰ 
      1998.3.31 
      HB鉛筆・メモ用紙 
       
      エルフィール 
      1999.9.30 
      シャープペンシル・無地ノート 
       
      オリジナル 
      2000.6.14 
      シャープペンシル・無地ノート 
       
      アーチェ 
      2001.5.1 
      シャープペンシル・無地ノート 
       
      吉岡ハル 
      2002.9.15 
      シャープペンシル・無地ノート 
       
      RY106 
      オリジナル 
      2004.5.10 
      F鉛筆・無地ノート
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