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 今回は、十年展で展示してきたものよりもずっと前に描かれた絵たちを展示させて頂きます。『メイプルタウン物語』と、オリジナル漫画『パンタ・うさの物語』。どちらも擬人化された動物のおはなしです。メイプルタウンは今でも一番好きな作品で、パンタうさは18年間描き続けてきた相方のような存在です。この2作について展示し、思いを書くのは初めてですので、私の絵の礎に何があったかが分かるかも知れません。今回はとてもとても個人的な内容ですが、よろしかったらお付き合いくださいませ。

 まずは、『メイプルタウン物語』から。1986年に放映された当時、私は幼稚園〜小学校1年生でした。よっぽど好きだったのか、広告の裏に描かれた絵がたくさん遺っていました。その中から、2点を。

 久し振りに観てみて思ったのは、表情が豊かだということです。喜怒哀楽がきちんと描き分けられていて、はっとさせられました。仕種もさまざま。当時、番組を観ながら描いていたということもあるとは思いますが、図画工作の授業で人間の絵にとても苦労していたことを思うと意外でした。定規で引いたようながちがちの人間を描いていたのですから……ι

 1枚目は誕生日ケーキを持っているところで、2枚目は誰かに「好き」と言われて赤くなったところだと思います。特に2枚目は“メイプルイラスト”では一番好きです。こういう表情は、今となってはなかなかうまく描けないものです。……余談ですが、描かれた広告は近所のスーパーの1986年6月1日のタイムセールのものでした(笑)。

『メイプルタウン』の影響を大いに受けて描いたのが、『パンタ・うさの物語』です。主人公は、パンダの“パンタ”とうさぎの“うさ”。この二人や友達、家族の日々を描いています。

 3枚目はその第1巻、第1話です。何十回と読まれ、人にも貸し出されて、古文書のような状態になっています。とっても素朴な話ですが、名前を呼んでたちまち友達になってしまったところが我ながら好きです。吹き出しには、写研の笑顔マーク「記号BA-90」も見えますね。

 4枚目は第5巻の最終回から。パンタとうさは親密になっていき、最後には結婚しました。「付き合う」という概念も分からなかったのに、想像だけで描いてしまったようです。ちなみに展示したコマはライスシャワーのシーンで、パンタとうさの母親(額には皺もある)は10kgの米袋を持参して祝っています(^^

 5枚目は結婚後の話を描いた『新・パンタ・うさの物語』第3巻から、パンタとうさの子供、“うさこ”が成長して恋人(海うさぎの“ジョルジ”)ができたという話。恋愛はこういうものだろうとおぼろげながら小3の私は思っていたようです(海まで夕日を見に行ったことはありません)。……このうさこも9巻あたりで結婚してしまいました。

 6枚目は第11巻の表紙で、キャンプの話でした。パンタの後ろにいる小さいパンダはパンタとうさの子供で、“パンパン”と“パンパ”。うさぎからパンダが産まれているわけですが、深くは考えないでくださいね。漫画ですので。もちろん(?)出産の話も描きました。小学生にして妙に所帯じみた漫画を描いていたわけですが、おそらくは実体験がそうさせたのでしょう(自分でもよく分からん)。あと作中では、温泉・キャンプ・ドライブの話が頻繁に出てきました。……絵柄は大分こなれてきた感じがします。

 7枚目は第13巻の表紙です。このときは年越しがテーマで、年末年始の様子を描きました。今までの表紙(→11巻の表紙)と思うと、デザインを意識しているのか、かなり本らしくなったような気がします。当時はMacを持っていなかったので、全て手描きです。レタリングからして、その後の私を予見させますね。キャラクターが全員後ろ向きなのがちょっと残念。……13巻は人間の絵を描き始めた辺りですが、その中から一コマ抜粋してみます(1997年)

 感想は読んでくださっている方にお任せします☆ ひとつだけ言えるのは、「好きじゃなかったら18年も続かない」ということです。こんな絵ですが、好きなんです、パンタうさが。

 最後は最新刊の14巻の表紙です(RY101)。13巻を踏襲していますが、それからの10年を感じさせます。絵柄はすっかり安定していますが、コピックでの彩色だったり、文字打ちが写植+Macだったりと随分様変わりしました。それでも内容はいつも通り(夏の話と、内緒の話)です。

 上は14巻・第21話(1999年)からですが、毛長パンダ(?)の“パンク”(『ドラえもん』の劇場版に出てたような……)がかき氷を食べるシーン。この大食らいでマイペースなパンクは、パンタうさで一番気に入っているキャラです。あ、絶対にこんなこと真似しちゃダメですよ。……吹き出しの写植は「ナールD」です。

 駆け足で『メイプルタウン』からの18年を振り返ったわけですが、人間の絵を描いてきた“十年”とはまた違う空気が並行して流れているように思いました。亮月イラストはある程度考えないと描けないのですが、パンタうさは何も考えなくても描けるのです。おそらくは、一番自分らしい作品が『パンタ・うさの物語』なのでしょう。

『パンタ・うさの物語』シリーズは一応無料で頒布していますので、ご希望の方がいらっしゃいましたら(いるのだろうか)ご連絡くださいね。

 今回もご精読ありがとうございました☆ 次回の十年展は、いよいよ2004年分に突入します。


パティ=ホープラビット
1986.4.29
ボールペン・広告の裏

パティ=ホープラビット
1986.6.1
鉛筆・広告の裏

パンタ・うさの物語
第1巻
1987.5頃
鉛筆

パンタ・うさの物語
第5巻
1987頃
鉛筆・赤サインペン

新・パンタ・うさの物語
第3巻
1988頃
24色色鉛筆(トンボ)

新・パンタ・うさの物語
第11巻
1990頃
72色色鉛筆(三菱Uni)

新・パンタ・うさの物語
第13巻
1994.3.31
72色色鉛筆(三菱Uni)

RY101
新・パンタ・うさの物語
第14巻
2004.1.2
サクラマイネーム・コピック
石井特太ゴシック体・
ゴナM/E・ナールE

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