手動写植オペレータに聞く 書体と組版の魅力とこれから
 タイトル写植印字:駒井靖夫
 取材・文・写真:桂光亮月


 2008年3月29日、写植の印字と取材を兼ねて「プロスタディオ」を訪れた。

 振り返れば、2007年は写植への注目が始まった一年だったように思う。
 一方でDTPが普及し主流となって約10年。書体環境がようやく充実してきたように感じている。「游ゴシック体」(字游工房)「漢字タイポス」(タイプバンク)等、写植書体が持つやわらかさ・やさしさを引き継いだ書体が出始めた。
 だからこそ、写植時代に培われてきた書体観や組版のノウハウが必要ではないかと考えている。
 私達はほんの10年ほど前まで、そういったものを見、楽しんだり、心を動かされたり、あるいは商品を買ったりしてきた。プロが作り上げた書体と組版に溢れていた。
 DTPが成熟するにつれ、今後は質の高い書体に合った組版が写植同様に要求される(組みが下手だと恥ずかしい)だろうと思う。
 そこで、美しい書体と組版を長年扱ってこられた写植オペレータ・駒井靖夫さんに、そのノウハウや取り組み方・味わい方・楽しみ方を伺った。

駒井靖夫さん
(こまい・やすお)

株式会社プロスタディオ代表
手動写植機オペレータ

1941年生まれ。
1961年、仕事で写植と関わるようになる。
1972年、「株式会社プロスタディオ」として独立、杉浦康平氏、鈴木一誌氏、戸田ツトム氏など著名なデザイナーの仕事に携わる。
現在も2台の手動写植機「PAVO-KY」とともに、本の装幀や目次をはじめ、各種写植用書体の印字を行っている。

→つづく


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