●その2
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●思い切って記念撮影
もう一度来てしまった……。
眼前に広がる美しき白亜の殿堂、駐車場に集まる派手なステッカーで装飾した自動車(婉曲表現)、“同業者”らしき人達の姿……。
映画の公開から既に1年半が経ち、前回の訪問(2012年8月)よりも訪れる人は少なくなっていましたが、この場所に来させるだけの魅力は未だ薄れていませんでした。
前回は単独行動で勝手が分からず建築を見に行ったようなもの(?)でしたが、今回は同じ意志を持つ同行人さんがいる。そして簡単に来られる場所ではない。それを見越して、管理人としては初の試みを思い切って実行してしまいました。××も取材も真剣にやってこそです。
すみません! やってみたかったんです!
『けいおん!』のねんどろいどって、こうする為のものでしょ?
相応しい風景の中に置いてみたくなるのが人情というものです。
……さて、気を取り直し、前回見学できなかった講堂に入ることにしました。
左右対称の配置や縦長の窓、天端近くに刻まれた装飾等、控えめな意匠に好感が持てます。
講堂の定礎は「昭和十二年二月」「紀元二千五百九十七年」。皇紀が刻まれているのが昭和初期らしく、この学校を「東洋一」と謳った当時の誇らしげな雰囲気を推し量ることができます。
それでは、中へ入ってみることにいたしましょう。
児童が座る木製の長椅子の奥には臙脂色の緞帳の下に立派な演台、そして掲げられた日の丸。凛として、それでいて親しみを感じさせる絶妙な装飾具合です。こういう所で入学式や卒業式をやりたかった……。
ステージの開口を取り囲む壁面の4段になった奥行や緞帳の細かなドレープが描く曲線が美しい。視線が自然と演台の人に向かいます。
演台に立つと、座席の全員の顔が見えるような勾配が床に付けられていることがよく分かります。ここに立った先生方はさぞ気持ち良くお話ができたことでしょう。
縦長の採光窓のリズム。その位置に合わせて後補されたと思われる焦茶色の空調設備も出入り口の扉と高さが合わせられ、良いアクセントになっています。
長椅子は当然のことながら無垢の木製。ほぞ組でがっちりしており、背板にはプログラム等を立てかけておける横板が渡されています。よく見ると横板を支える控え板や肘掛けは装飾的な曲線を描いており、パイプ椅子では絶対に出せない情感があります。番組2期の卒業式を思い出します。
天井の照明には、何となく見覚えのある格子が。桜が丘高校の建具や階段の穴の装飾の元ネタって、これなのでは……?
2階席にも上がってみました。
校舎と赤茶色で塗装されたスチール製のサッシ窓を背景に記念撮影。レンズの絞りを開き過ぎましたかな。
入口の採光窓には唐草模様の装飾が。現在ここまで造作に拘れる公立小学校はおそらくないでしょう。
作中では何かと思い出深い渡り廊下。桜が咲く時季に再訪したいです。
校内に店を構える「近江湖東屋」さんのお弁当の看板。「むぎちゃんのうなべん!!」「トンちゃんの亀おにぎり」「ソースヒレカツにゃん弁当」等、遊び心たっぷりな品揃えでした。
次回、ようやく校舎内を見学します……。
その3へつづく→
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