亮月だより

2023.5.13(土) 1260 恰好いい五十音表

【日録】子供がひらがな・カタカナ・一部の漢字を読むようになったので、仮名には法則性があることを理解してもらうために、五十音の表を壁に貼ることにしました。
 折角なら様になるものを貼っておきたいと思ったので、これまで目にしてきた五十音表の中で一番恰好いいものを選びました。

 2013年5月に東京で開催された写植展に貼ってあった『かな(カタカナ)の成り立ち』という五十音表です。(→写植レポート*moji moji Party No.4 写植讃歌 ~mojiから伝わる音色~

 これはプロスタディオの手動写植オペレータ・駒井靖夫さんが手動写植機PAVO-KYを使って一発印字したもので一切切り貼りはなく、その美しさや品格、細やかさに感動したものです。
 子供は早速興味津々で、仮名の並び順を感じたり、音読して面白がったりしていました。秀英明朝SHMの仮名の美しさが解るのは、まだまだ先かな……。

 そんな我が子はまた漢字のようなものを作って喜んでいました。漢字を教えた訳ではないのですが、どこかで見たものを再現しているようです。


2023.5.4(木祝) 1259 わたしがいたところ

【日録】家族皆んなで私の実家に行き、母も交えてゆっくり過ごしました。


Nikon Z fc・NIKKOR Z 26mm f/2.8(以下同じ)

 近所に散歩に出掛けると、かつて私が暮らしていた頃の記憶が蘇ってきました。行こうと思えばすぐに来られる場所ですが、随分遠くなってしまったようにも思いました。桜並木が知らない間に太くなっていたり、母校の小学校が自由に入れなくなっていたり、新しい家が建っていたりと、私が知らないうちに変わっている場所もありました。それでも我が子や母と一緒にこの街を歩いていると、私が子供だった時のことを思い出しました。いつも家事と育児に追われ、仕事に集中し、写植の活動も何とか続けていると、何かと余裕がなく時間はあっという間に過ぎていきますが、あの頃のゆっくりとした時間の流れが私の中にも戻ってきました。

 散歩を終えて、自分の部屋があった2階へ上がる。……うちってこんなに古くなってしまっていたのか……。両親しか住まなくなった実家は若さが失われ、随分草臥れてしまったように見えて少し哀しくなりました。仕方がないことではありますが、いつまでも変わらずここにあってほしいという気持ちとは裏腹に、時の流れの残酷さを感じました。

 私の部屋は……
 出て行ったあの日のままで時間が止まっていました。
 沢山の書籍や何百枚のCD、数百本のカセットテープ、アニメのグッズ、重過ぎて止む無く置き去りにした「菅沼タイプライター」などなど。極限まで行動を絞り、時間を限界まで節約して必要なことしかしていない今の自分から見れば、未熟ながらも自分の世界観を持ち、豊かな時間を過ごしていたんだなぁとしみじみ思いました。

 学習机に置き去りになっていた「コピックスケッチ」は、何年も使用していなかったにも関わらずインクが乾燥することもなく、今でも十分描けることが判ってとても嬉しかったです。

 20年近く前に渋谷パルコで開催された「印刷解体展」で購入した金属活字も机の引き出しに残されていました。えるたん(千反田える/『氷菓』)が岐阜県代表のイラストになった『角★コミ』の絵葉書もその隣にありました。大好きだったなぁ。今見ても本当に可愛い。

 引越した時に行方不明になってしまった、大切なあの方の御本も見付かりました。それもサイン入りとなしの2冊ずつありました。さすがにこれは置き去りにするのはとても忍びなく、手元に置いておくべく持ち帰りました。ここを読んでおられないとは思いますが、本当にごめんなさい。

 今回実家でゆっくり過ごしたことで、かつての自分がどんなだったかがよく分かり、慌ただしさの中に多くの部分を置いてきたままにしてしまっていたことに気が付きました。そしてこうして過去の自分に再会し、大切にしていたものが自分の所に還ってきたことを嬉しく思いました。
 実家を出てから何度も転換期があり、別人のようになってしまった部分もありますが、根幹にあるものや大切だと考えていることは揺らいでいなかった。それを確かめることができたのが大きな収穫でした。


2023.5.3(水祝) 1258 期待の植え込み

【園芸部】大型連休の恒例行事、さつまいも畑作りをしました。


富士フイルム X20(以下同じ)

 手慣れたもので、畝立て、マルチング、植え付けまで1時間足らずで出来てしまいました。何度もやると要領や理屈が解って作業が洗練され、無駄がなく理に適った方法が身に付くものなのだと我ながら思いました。

 もう一つ気になっていたのは、外壁側に作った花壇の成長し過ぎたアイビーです。これはこれで気に入ってはいたのですが、昨年は蔓が外壁を伝い根を張ってしまい、除去と壁の塗り直しにとても苦労しました。もう懲り懲りなので、思い切って全て取り除き、代わりに紫陽花を植えることにしました。

 紫陽花は左から「ブルースカイ」と「ダンスパーティー」です。後者はかつて友人から苗を貰い、今では大きく成長して庭先を彩ってくれています。今回植えた個体も環境を気に入ってくれれば大きく成長し、良い景観を作ってくれることを期待しています。


2023.4.22(土) 1257 白い花祭り・つづき

【園芸部】庭の白い花が更に増えていることに気付きました。


富士フイルム X20(以下同じ)

 昨年テラスの支柱の根元に植えた木香薔薇(モッコウバラ)がたった1年で大きく成長し、数え切れないほど沢山の真っ白な花を咲かせていました。辺りには木香薔薇特有の爽やかな甘い香りが漂います。これだけでもこの花を植えて良かったと思わせる魅力があります。

 花の直径は3cm程度と小振りですが、よく見るときちんと薔薇の形をしています。

 家の中では、数年前に親戚から貰った石斛(セッコク)がひそやかに薄紫の花を咲かせていました。元々野生の品種で毎年の開花を約束してくれるものではないので、2輪同時に咲かせてくれたのには驚きました。この控えめな振る舞いが好きです。


2023.4.16(日) 1256 白い花祭り

【園芸部】庭を見ると、いつの間にかあちこちに白い花が咲いていたことに気付きました。


富士フイルム X20(以下同じ)

 大手毬(オオデマリ)は紫陽花のように房状の花を枝一杯に咲かせていました。

 昨年植えた時は咲かなかったので心配していましたが、大きく育って沢山の花を咲かせてくれてとても嬉しいです。

 移植してからあまり元気がなかったイベリスも、暖かくなってから急に勢いを増し、体一杯に真っ白な花を纏っていました。

 2月に植えてもらった椿の仲間「エリナカスケード 」も控えめながらうっすらと桃色に化粧した白い花をひそやかに沢山咲かせていました。

 植物達が私の庭の環境を気に入って沢山の花を咲かせ、春の訪れを喜んでいるのを見ると、私もとても嬉しくなります。せわしない日々ですが、居間から庭を眺めるほんの一瞬が心を癒してくれます。


2023.4.9(日) 1255 大人も楽しめる子供の歌

【日録】果てしなく続く名曲発掘の旅。

 もはや音楽「だけ」を聴くような時間の余裕はなく、それでも常に新しい音楽に飢えていて、困難な中で探索を続けています。

 毎日のように我が子と見ている子供番組から発掘してしまいました。

 1曲目は、横山だいすけ・三谷たくみ『世界中パレード』(2012年/『おかあさんといっしょ』より)。
 この曲は幸福でワールドワイドな歌詞もさることながら、作編曲もそれに相応しい作りで、1990年代の渋谷系が席巻したあの頃の多幸感溢れる大人な音楽を彷彿とさせます。これは親世代が子供と一緒に聴いて心を摑まれるのを計算して作っているのでは……?
 残念ながらネット上ではきちんと聴くことができません。あれこれ検索してみてその雰囲気を是非味わってみてください。ポップス好きには堪らない筈です。

 2曲目は、鈴木翼・新沢としひこ『ハートでタッチ』(2021年/番組不詳)(→YouTube ※冒頭に広告あり)。
 初めて聴いた時はあつこお姉さん(小野あつこさん)が歌っていたのですが、ストリングスのフレーズやピアノの分散和音、キャッチーで濃いめな感じから、「ササキトモコさんが『アイドルマスター』に提供した曲なんじゃないか」と思ってしまったほどそれらしくて、たまたま録画したこの歌を何度も聴いてしまうほどでした。この歌も高揚感が素晴らしいです。アイマスでカヴァーしたら盛り上がるだろうなぁ。

 子供向けの音楽だから子供騙しということは決してなく、完成度の高い作品が多くあり、何十年と沢山の音楽を聴いてきた大人だからこそ分かる魅力もあります。そのような良質な音楽を我が子と一緒に楽しむことができるのはとても幸福なことだと思います。


2023.4.1(土) 1254 新しいレンズで観た桜

【日録】桜の時期が平年よりも一週間ほど早いので、桜見物に行ってきました。


Nikon Z fc・NIKKOR Z 26mm f/2.8・絞りf/2.8開放(以下同じ)

 岐阜県東濃地方在住の人ならお馴染みの、多治見修道院です。桜の名所は数多くありますが、人が少ない所で過ごしたいので、ほぼ毎年ここに来ています。

 ここを撮影した写真は2006年4月9日に撮影した画像(サイトのトップ画像)が残されています。「亮月だより」に残されているのは、2014年4月6日付のものがあります。そこからまた撮影に使うカメラが変わり、撮れる画も変わりました。この十数年で、私が置かれている状況も大きく変わりました。

 時間がなく駆け足での鑑賞と撮影でしたが、もうすぐ散ってしまうだろう桜達の晴れの姿を目に焼き付けることができました。

 今回ここを訪れて写真を撮った動機のもう一つは、最近購入した新しいレンズを試したかったからです。

 2023年3月3日に発売されたばかりの「NIKKOR Z 26mm f/2.8」です。
 Zマウントのレンズを単独で買うのは初めてでした。Zマウントのカメラは「Z fc」を持っています。キットレンズの「NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR」は小型で持ち運びやすく良く写るのですが、F値が大きく暗いのであまりぼけず、スマートフォンで撮影した写真のように平坦になってしまいます。かといってぼけを出そうとすると手持ちのFマウントの明るいレンズを装着することになり、 「FTZ」を介さなければならなくなり、どうしても大掛かりになってしまいます。
 そんな中、風の便りでパンケーキ型の明るい単焦点レンズが発売されたと聞きました。画角は26mm。35mmフルサイズ判用のレンズで、APS-CサイズのZ fcでは39mm相当となり私にとってちょうど良く、薄くて大掛かりにならないので購入に至りました。
 ニコンではAPS-Cカメラ用に24mmの単焦点レンズの開発を進めているようですが、凝り性の私のこと、将来的には35mmフルサイズ判のZマウントのカメラを購入すると思われるので、将来を見越してという意味もあります。

 Z fcに装着してみました。レンズがボディの厚みぐらいしかない!

 外観もZ fcによく似合います。
 これからこの組み合わせで気軽に連れ出して、本格的なカメラらしい立体感のある写真を沢山撮りたいです。


2023.3.31(金) 1253 別れの日に

【日録】3月最後の日となりました。この日は慌ただしくも、これまでの日々を惜しむような空気に包まれ、職場のあちこちで花束や拍手に囲まれる人の姿を見ます。

 私にも、別れを惜しむ方がいます。
 仕事で新人だった頃、何も分からない私を指導してくださり、仕事の面で礎を作ってくださり、4年前に再び同じ職場になり、私が一番辛かった時期に手を差し伸べて救ってくださった方。誰も私の変調に気付かなかったら、きっと今の私はいなかったと思います。
 この日を迎えるに当たり、どうしても気持ちを伝えたくて、夜中に手紙を認(したた)めました。人と話をするのは苦手なこともあり、直接言葉で伝えるには思いが多過ぎて、短い時間では伝えたいことを伝えきれないのではないかと思ったからです。
 数日前に餞別とともに手紙をお渡しし、そして迎えた今日、最後の日。
「じんとしました。ありがとう。これからも君らしく、自分のペースで無理をしないで頑張ってね。」と労いの言葉を掛けてくださいました。「○○さんのように辛い思いをしている人を救えるような人になりたいです。長い間ありがとうございました。」
  ……言えた。伝えることができた。そして確かに伝わった。私がずっと思っていた感謝の気持ちが。感慨無量でした。
 恩返しができたかは分かりません。それでも、○○さんから頂いたものを引き継ぎ、辛い思いをしている人に寄り添い、前を向いて進んでいくよう道筋を作れるような人になりたい。この別れの日に、そう強く思いました。

(※ここからはやや重く冗長な自分語りです。興味のある方だけどうぞ)
 また、この一年(度)を振り返る時期がやって来ました。
 過去の職場で辛い思いをし、焼け野原になってしまった私の心は、3年かけてかなり復興してきたように感じています。夕方の街に灯りが点っていくように、焦土の上に花が少しずつ増えていくように、かつての私を取り戻しつつあるように思います。 この一年間はその思いを強く感じることができました。
 そしてやっと心に余裕が出来てきたように思います。家族や職場の人達と和やかに接することができる。「自分って本当はこういう人間だったのか」と、自己肯定感を高めることができました。
 そして顕著だったのは、人と会いたいと思えるようになったことです。写植の取材もそうですし、何年も会っていなかった友人に連絡を取って久し振りに再会することができました。人と会うことはとてもエネルギーが必要です。それができるようになり、自ら会いたいと思えるようになりました。友人と再会した時、かつての自分がそのままその友人に保存されていたような感じがして、「自分を取り戻した」と実感しました。
 かつての自分と違うのは、置かれている場所から感じ取れる状況の解像度が以前より大幅に高まっていて、状況を見渡して的確に判断できるようになったということです。かつては状況をうまく把握できず、頭の中が混沌としていて、自信がなく、他人任せで逃げ腰だった。それが心の調子を悪くしたことで、焼け野原から復興していく過程で考え方をゼロから再構築することになり、入出力が最適化されたのではないかと思います。仕事も私事も、把握できる情報量や自分が作り出した成果物の出来栄えがかつてと全然違う。これは厳しくも優しかったあの人やあの人のお蔭でもあるのかもしれません。
 また、何年来の悲願だった懸案も解決され、これもまたとても画期的な出来事でした。 心の中でいつまでも尾を引いて残るようなことが解消され、見える世界が明るくなりました。心も軽くなって、出来ることが増えたように思います。
 このように、この一年(度)は、焼け野原の復興から次のステップに移り始めるのを予感させるようなことが沢山ありました。本当に長かった。ここまで何とか持ち堪えてよかった。そのように感慨深く振り返ることができます。支えてくれた家族や友人、職場の人達、亮月に対して関わってくださった方々のお蔭だと思っています。繰り返しになりますが、新しい一年(度)も、誠意を持って、私の本当の気持ちを大切に、前向きな姿勢と言動で取り組んでいきたいです。


2023.3.9(土) 1252 春の彩り

【園芸部】庭の水仙が満開を迎えました。


富士フイルム X20(以下同じ)

 更によく見てみると……

 ここのところ暖かい日が続いたからか、昨年は3月末に咲き始めていたムスカリが一株だけ咲いていました。

 いつも冬ではなく春先に咲く椿も、鮮やかな紅を差してくれました。
 黄、紫、紅と庭が鮮やかになってきて、本格的な春の訪れを教えてくれました。わくわくするような、それでいて少し寂しい気配が近付いてきているような、この時期独特な心境でいます。


2023.3.1(金) 1251 新しい季節を教えてくれた

【園芸部】庭の花壇に新しい色が見えるのに気付きました。


富士フイルム X20(以下同じ)

 花壇の左下辺りに……

 黄色い水仙の花が小さな頭を出していました。

 今日から3月。いつもより寒かった冬がようやく終わり、これから少しずつ暖かくなっていくことを教えてくれました。




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