2000年は結果として、自分の愚かさを嫌というほど思い知った年になった。年が明けてもそれは変わらず、周りに迷惑ばかりかけていたのであった(と、日記を読み返して思ったのです。当時の自分は、今の自分だったら絶対付き合いたくないような奴でした……)。そして毎日自己否定の気持ちに苦しみ続けていた。それでも何とかしようと思い始めたのが2001年も半分を過ぎた頃のことだった。(なお、第11週分の文章はかなり控えめかつ婉曲に書いたつもりですι)
この時期のイラストは、キャラクターの笑顔や色遣いなどに見られるように、とにかく明るい。今ならやらんだろう、というぐらい派手な気がする。その裏には精神的にまいっている自分がいたので、なおさらポジティブなものに憧れたのだろうか。
1枚目の作品は、前回展示したもの(pa61B)のカラー版(pa61)。キャラクターそのものの色遣いのためもあるかも知れないが、原色がたくさん使ってあり賑やかだ。また、「イケるイケる!」等とキャラクターの前向きな口癖も添えられている。例によって服のしわや髪の毛を彩色するのがとても楽しかった。今でこそもっと落ち着いた色を好んでいるが、当時の明るい色遣いもこれはこれで自分なりにまとまっていると思う。なお、このカラーイラストは自分のためだけに描いたものであって、発表を前提としたものではなかった(が、随分前からサイトで飾っていましたね……ι)。
6月に入り、サークルやサイトで「パンダキング」を名乗らなくなった。過去の自分のイメージがつきすぎて、自分でも使いにくい名前になっていたからだ。そこで、サークルに入って以来殆ど使うことのなかったペンネーム「桂光亮月」を復活させることにしたのだ。
そのまま「けいこう・りょうげつ」とよんでも差し支えはなかったのだが、折角なので(?)「桂光」を苗字らしく、呼びやすくしようと思った。……しかしすぐ思い付いたのは、訓読みで「かつらひかり」。しかしこれだと苗字らしくないし、長いし、第一別のものをイメージしてしまうじゃないか(多分、あなたがイメージした通りのものです・笑)。
……これではまずい、と思って考えたのは、「ひかり」はイメージの似た「ひ」でもいいか、ということで「かつらひ」。「かつらひ・りょうげつ」だ! そう思ったが、歴史的仮名遣いの“あ行+ひ”は“あ行+い”と読むのを思い出し(深くはつっこまないでくださいι)、現在の「かつらい・りょうげつ」という読みが生まれたのであった。「けいこう」よりは苗字らしくて呼びやすくなったと思ったが、今度は誰も読めなくなってしまったのだ。それはそれで、誰とも同じでない自分だけの苗字が出来たということで、独自なものが好きな筆者は嬉しいのだが。(ちなみに「桂光さん」と呼ばれたことは、数回もありません。しかもネット上の文字だけでした……。)
2枚目の作品は2001年用の暑中見舞から再展示。左の二人の絵(RY66)がはがきの裏に使われたのは第9週でも解説させて頂いた。右のデフォルメキャラ(RY68)は宛名面に印刷された。当時の亮月製作所(のサイト)でも、トップイラストとしてかなり長い間置きっぱなしになっていたはずだ。デフォルメの絵は元々そういう絵が好きだったので描きやすかったが、二人の絵はとても苦労した。こんな甘々な内容かつ二人が重なっている構図では描いたことがなかったので、何度も描くのをやめたくなったが、今できる限りの絵を描こうと心に誓っていたので何とか完成させたのであった。画力はともかく、挑戦することに意義があった作品だ(今だと、「楽しんで描けるのがいちばん」だと思ってしまうんですけどね)。
次は、友人に贈った誕生日カードである(RY69)。当時、テレビでも放映していた『フルーツバスケット』(高屋奈月作/白泉社)をたまたま観ていて大いに感動し、たちまち原作も気に入ってしまったため、この“フルバ”の絵ばかり描いていた時期があった。この漫画がきっかけで生き方や考え方が少しずつ明るく変わり始めた。読んで涙を流したのは数知れず。今の自分をつくっている大元であり、心の作品にしている。
このイラストは、桂光亮月作品としてはかなり異端かも知れない。今見ると恥ずかしいが、デフォルメのドウブツを添えたり、バックのチェックを描いたり、写植で円組みをしたりと手間をかけていろいろそれっぽくしたつもりだった。それにしても、派手だ……。実は、“透”(真ん中の女の子)にプレゼントかハートを持たせるように合成するのを忘れたまま贈ってしまったι 文字を隠すといまいちどういう絵か分からなくなるのは、そのためである(という事にしておいてください)。
最後の2点は、2002年用の年賀状の裏に貼って投函されたもの(RY76、77)。年賀状特集でも解説した通り“シークレットはがき”を使ったため、中身の絵とは別に、裏面に絵が必要だったのだ。それで急遽、大晦日の晩に『紅白歌合戦』を見ながら2枚の絵を描いたのだ。そして原画を複製したものを一枚一枚シークレットはがきの裏に貼って投函した。送る人が多くないからできたことなのかも知れない。
両作品とも、やはり白泉社の漫画から。前者は『おまけの小林クン』(森生まさみ作)のキャラクターで、『小林クン』を知っている友人のために描き下ろした(勿論、私も好きですが)。後者は『っポイ!』(やまざき貴子作)の主人公。『っポイ!』も、何度も何度も読み返すぐらい大好きな、心の作品である。「友達」や「進路」などについて深く考えさせられた。“フルバ”と並んで、今の自分を作る礎になった作品で、とても感謝している。描いた絵は、こんなものだが……ι
それまで少女漫画は敬遠していた筆者だが、『フルーツバスケット』をきっかけにこういう漫画を多く買って読んだ(下宿を訪れた友人が、本棚の構成を見て驚いていました)。心情を描くのが巧みで、絵柄も綺麗なのが自分に合っていたのかも知れない。なんでもっと早くに読まなかったんだと後悔した作品も多い。最近の作品には違和感を感じ始めているが……(だからか、最近買う漫画は白泉社以外のものが多いです。読む暇がありませんけど)。
どん底から少しずつ這い上がっていたあの頃。漫画だけでなく、友人の叱咤激励があったおかげだというのは言うまでもない。まだまだ暗くてネガティブな気持ちがいっぱいだったけれど。今回は、なりたい自分とのギャップに苦しんでいた、そんな自分が描いた作品を展示させて頂いた(もう少しで明るい内容になりますから……御容赦くださいませ)。
★次回は“月頭特集”をお送りします。月頭じゃないですがι
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pa61
アーチェ+ファラ
2001.5.8
製図ペン・コピック・上質紙
ナールD・Impact・
Futura LightItalic
RY66・RY68
チェスタ−+アーチェ
2001.8.1・7.31
さじペン・製図ペン・コピック・
漫画原稿用紙
RY69
誕生日おめでとう!
フルーツバスケット
2001.8.25
さじペン・コピック・
漫画原稿用紙
PowerMacintosh5500/225
Adobe Photoshop5.0J
スーボ・ナカフリーB・Stymie
RY76
めくると罠だよ。
小林大和+小林千尋
2001.12.31
三菱Signo・筆ペン・コピック・
はがき原稿用紙
RY77
めくってv
天野平
2001.12.31〜2002.1.1
三菱Signo・コピック・
はがき原稿用紙
PowerMacintosh8100/240G3
スキャナ:シャープ JX-330M
出力:PM-2200C
スーボ・ゴナDB・ゴカールDB・
石井中ゴシック体
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