亮月写植室

「写植の時代」展
2012.2.17(金)〜21(火)大阪DTPの勉強部屋主催
於:メビック扇町


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●大阪にご縁あり

 2011年は元写研・現フォントワークスの書体デザイナーである藤田重信氏の講演、 そして亮月写植室への見学ツアーなど、それまで交流のなかった「大阪DTPの勉強部屋」さんとの強いご縁に恵まれた一年だった。

 2011年も暮れようとしていた12月上旬、写植をテーマとした展示会「写植の時代」展を2012年2月に開催するとの情報を頂いた。なんとモリサワの手動写植機「MC-6」が稼働する状態で展示され、印字体験もできるらしい! 亮月写植室で自家印字しているとはいえ、機械式の万能機は使ったことがないし見たこともない。なんて素晴らしい展示会なのだろう!
 年が明けた頃、主催のえむさんから「亮月さんもパンフレットの原稿を書きませんか」とのお誘いが。会場の取材さえできればそれだけでも充分だと思ってそのような事は全く考えていなかったが、昨年やっと手動機を備えられた筆者にとっては勉強させていただく良い機会だったので引き受けさせていただいた。
 未知のことをテーマにしてしまったため、連日手持ちの文献を何度も参照しながらようやく書き上げたが、この文章を写植に興味がある方々に読んでいただけると思うと何だかワクワクした。

●写植だけで彩られた会場

 会期は2月17日(金)・18日(土)・20日(月)・21日(火)。筆者は土日の都合がどうしてもつかず、何とか21日午後から1日半の休暇を頂いた(会社のS課長ありがとうございました!)。つまり最終日である21日に会場へ伺った。
 梅田から程近く交通至便な場所にある「メビック扇町」に会場はある。そこの大きな会議室のような一室である。

「写植の時代」展入口手前

 入口近くまで来ると展示会のポスターが貼ってあり、部屋の中から賑やかな声と機械の音が聞こえてくる。

会場入口

 人が手動写植機に群がっている! なんて光景!(筆者、心の中で泣く)
 おそるおそる会場に入った。

 えむさんや「なんでやねんDTP」の大石さんにご挨拶。嬉しくなるほど歓迎してくださった。やっぱり大阪はええわ!
 そして平日にも関わらず文字界隈でよくお見掛けする方が何人も……きっと私と同じような境遇だったのでしょう(笑)。「しろもじメモランダム」の mashabow さんは連泊して会場を訪れているのだとか! 羨ましい……。

会場全景
会場全景(入口右側・受付裏から撮影)

 会場の中央に MC-6 が鎮座し、部屋の壁に沿って写植の歴史や文献のパネル、文字盤、モリサワの手動写植機の原寸大(!)パネル、貴重な資料を満載した長机等が取り囲んでいる。モリサワの電算写植機の一寸ノ巾式フルキーボードやサブプレートの陳列販売コーナーもある。手動写植機があるということは、勿論暗室も仮設のものがある。現像液の香りがする展示会場って素敵☆
 写植のみをテーマにした展示会でこれだけ規模の大きなものは見たことがない。今回はモリサワの手厚いご協力があったとのことだが、それにしてもこれだけの資料を集め、展示し、伝えられるだけの熱意と労力には言葉にならないほど感動した。
 そして本展最大の強みは“生きている”写植機があることだけでなく、写植の時代を経験された方が主催されていることにある。写植は機械と人とが協同して初めて機能するもの。写植の全盛期に関わられ、現在もその延長線上で活躍される方が語られる言葉には説得力がある。そしてお人柄もあって非常に分かりやすいのだ。

展示パネルと貴重な資料
読み応えのある解説パネルと貴重な資料の数々

写植関連の資料
写植オペレータが如何に儲かったかが分かる歴代『写真植字参考価格の基礎資料』、お馴染み「PAVO-KY」の取扱説明書等、そしてめっちゃ貴重な「SPICA-A」の取扱説明書!

壁際の展示
モリサワ「MC-101」カタログのパネル。写研機のカタログよりも写真やレイアウトが洗練されているように感じる。“機械のモリサワ”の矜持か。

壁際の展示
「MC-6」取扱説明書のパネルと「ROBO-15XYII」の実物大パネル! ROBO と一緒に記念撮影したい!(私だけか)

モリサワ文字盤
モリサワのメインプレート
メインプレートは写研のようにガラス1枚ではなく、複数枚の小さな文字盤が窓の桟のようなものに嵌め込まれて一体となっている。上は初期型、下は一部2枚分が1枚になった後期型。

モリサワサブプレート
モリサワのサブプレート
最大収録文字数は縦13×横21、四隅は収録せずの269文字で写研と変わらないが、ガラスを囲む枠が角張っている。

モリサワ電算写植機のキーボード
モリサワ電算写植機(機種不明)の一寸ノ巾式フルキーボード
かな漢字変換ではなく、右側に並んだキーに複数文字が割り当てられていて、左側にあるテンキーのようなものでそのうちの1文字を選んで採字する。

サブプレートの陳列
美しく陳列されたサブプレート販売コーナー
欧文、記号、つめ組み用文字盤等。筆者も写植室で実用するため沢山購入させていただいた。

 モリサワが全面協力しているだけあって資料は同社に関するものがメイン。モリサワ側から見た写植がどのようなものであったかを知る絶好の機会だった。筆者もサイト再建の際にモリサワの文献を紐解き歴史の概要を追ったが、やはり写植は形あるものを見て触らないと充分理解できないものなのだ。

→つづく


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