連続ドキュメンタリー
さようなら写植。

第1回 5月12日・『喪失』

 懇意にして頂いている写植屋さんが、社屋取り壊しのため会社を引っ越し、その関係でとうとう写植業から退くことになったことを電話で聞いた。写植ファンの自分自身にも、「亮月製作所」のメインである“写植部”(そういう部署があるのだ)にも、それはとてもショックだった。我が最愛の写植(と、写植機)との別れの時が目前となってしまった。この会社が写植を仕事としてやってきたことと、世の中が必要としなくなったことからも納得せざるを得ないが、大好きな人を失うようで残念で仕方がない。しかし、これを機に会社が身軽になるのであれば、これからの発展を祈るばかりである。そして最後の写植作品(絵と印刷物)を作って、精一杯写植に感謝の意を表したいと思った。


在りし日の手動写植機「PAVO-KY」(1989年11月製)。
撮影当時、2003年用の年賀状を印字中だった。最初で最後の全面写植年賀状。
当たり前のように写植機が使えた、幸せの風景。2002年12月、筆者撮影。

→第2回 5月17日・『さよならの前に』


→『さようなら写植。』目次
→写植レポート
→メインページ