●その6
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●帰り道の余韻
この建物の一番“濃い”場所を堪能し終え、外に向かいます。
もう一度2階の廊下に行くと……
内窓が開いていて、誰かが置いていった「せんせい」がありました。
「さいごのなつ
ぜったいこうしえんしゅつじょうだよ
がんばってね
おうえんいくからね みお」
澪ちゃん……(泣)。
いや、桜高校は女子校なのでこういうシチュエイションはないし澪の筆跡はまるっこいものの筈ですが、ちゃんとペンが澪の利き腕である左にあるし、余韻を残した粋ないたずらでした。そろそろ帰らなければいけない筆者の心が潤いました。
この「せんせい」を見た辺りから、やっと辿り着いたこの場所を離れなければならない寂寥感が増してきて、元々『けいおん!』に感じていたふたつの感情にどうしようもなく揺さぶられました。
そのとき再び声を掛けられました。
私と同じように『けいおん!』が好きで来たものの友人達は興味がないのでここに置いて行かれ、単独行動になってしまったという。私って声を掛けられやすい何かが出ているのかしらと思いながらご一緒させていただくことに。筆者にとって本作やこの建物の良さを共有できる人はごく限られているのでとても嬉しかったです。
●共有できるということ
二人とも一人では何となく入りにくかった「酬徳記念館」へ。現在は豊郷町の観光案内所と土日限定の「けいおん!カフェ」が入居しています。
入口に置かれている「けいおん!カフェ」の看板。イカちゃんに侵略されてる!?
夏限定と思われるカキ氷の看板には唯と憂の掛け合いも。折角なら紫を橙色に変えて*5色をHTTの「ムギ味」とかにしちゃえばいいのに(笑)。私はきっとメロンかブルーハワイだな(なんのこっちゃ)。
*2012.10.11 筆者の補筆
ムギちゃんのイメージカラーは原作では紫、アニメではピンクということで、パープルアルゼンチン味を外す理由はないようです。イメージカラーについて大きく勘違いしており失礼しました。
土足厳禁なので玄関でスリッパに履き替えて中に入ります。
あれこれ話に夢中だったので仔細に観察しておらず、撮影枚数はぐっと減りますが許してやってください。
建物の奥から入口側を撮影。高い柱や段になった梁の装飾、木製の腰壁、唐草のような洒落た2階の手摺、八角柱の吊り下げ燈具など、シンプルな中にモダンさを感じさせます。建築当初図書館だったというこの建物、作中でも図書館として登場していて見事な再現度でした。
写真中央の掛時計がある辺りが入口、右が観光案内所兼売店です。
では、奥側はというと……
デーン!(筆者が倒れる音)
けいおん!のフィギュアを始め、書籍や関連グッズ、楽器、等身大パネル、来訪者が残した黒板型のメッセージカードなどが陳列されていて大変なことになっていました。「現地に等身大パネルがあれば一緒に記念撮影しよう」などとアホな事を考えていましたが、色々な意味で無理でした(笑)。
同行人さんと共にしばし見入っていました。見付けた面白いものについて即座にコメントし合えるって素晴らしい! こういうことがしたかったの!
気を取り直して、入口近くの造作を観察してみます。熱感知機の配線でさえ良いアクセントになっています。中央には11時59分を指したまま動かない時計が掛かっています。おそらくこの学校が出来た時からずっとこの場所を見守ってきたことでしょう。
掛時計を拡大。深い青緑の鉄のケースに現在の感覚ではない文字盤の書体。精工舎の作品でした。
折角なので「けいおん!カフェ」で飲み物を頂くことに。
観光案内所のカウンターで食券を買い、建物奥の窓口で品物を出してもらいます。
観光案内所のカウンター附近には様々な関連商品がありましたが、これには恐れ入りました。あずにゃんもお気に入り!? の「トンちゃんパン」だそうです。メロンパンを一回り大きくしたような感じです。土日3個限定で更に大きい「ゴールデントンちゃんパン」が売られているとか。
元々例の階段の手摺の亀を模したものだったようですが、トンちゃんということになっていました。食べちゃっていいの? ケースにひしめくトンちゃんの姿は哀れでもあり、滑稽でもあります。
けいおん!カフェで飲み物を受け取り、席で休憩。同じものを好き同士がその最たる場所で繋がった縁の面白さを分かち合いました。他の人達もほぼ全てが複数人の団体でした。皆好きなものを共有したいのは同じなのです。
写真は机に置いてあった「ヨーロッパ」仕様のウェットティッシュ。私の代わりに愛用の「KONICA C35」に写ってもらいました。
その7へつづく→
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