正体採字(光源上部方式)
【せいたいさいじ(こうげんじょうぶほうしき)】


●裏文字ではなく読める文字で採字可能

 写真植字機は、文字の形を感材へ焼き付けるため、文字から見て手前(光源側)から奥(感材側)へ光を届ける必要があります。多くの写真植字機では、伝統的に本体下部に光源を置き、送り機構や感材を上部に設置する方式が採られてきました。しかしこの場合、光の流れが下から上となり、光源と感材との間に挿入することになる文字盤は、オペレータから見て裏文字の状態となってしまいます。
 裏文字での採字は、慣れれば高速で行うことができるとはいえ、熟練するためには多くの時間が必要です。

 そのため、オフィス向け(SK-T1)や写植を業としない者向け(スピカテロップ)などの一部の機種では、文字盤が裏文字ではなく読める向きで採字できるものがありました。

SK型の光学系断面図
SK型の光学系断面図写真植字機研究所『写真植字ハンドブック SK3-RY 調整・保守篇』p.17/1962年より
上図では、SKT-2型(他の文献には見当たらない)が光源上部方式を採用している。本体上部にある光源から文字盤に光が導かれ、文字盤の下にあるプリズムを経由して感材に結像する。

 写研の機種だけでなく、他社にも正体採字を採用した機種がありました。リョービ印刷機販売株式会社が1970年に発表した第一号機「レオン1型」は間接採字方式(文字盤そのものを見て採字するのではなく、見出し板を見ながら採字する)により正体採字を行えるようにしました。

●正体印字(光源上部方式)の搭載状況

搭載 SK-T1、SK-4、SK-4E、スピカテロップ
非搭載 上記以外

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