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1961年にNHKの依頼で開発されたSK-16TVは、外国映画をテレビ放映する時に16ミリフィルムへ文字を焼き込むテレビ字幕用の写植機でした。
さらに翌1962年、テロップカードを簡単に作れる写植機をとNHKが写研に依頼、1964年に完成したのが「スピカテロップ」です。
テレビのテロップカード専用機ということで、印刷用の写植機と異なる点が多くありました。
テロップカードを即座に作成できるようにする為、暗室での現像作業が要らない「拡散転写法」(ポラロイドと同じ方式)を採用し、黒地に白い文字を2〜3分で得ることができます。
文字盤の配列は「一寸ノ巾」ではなく、誰でも採字できるように五十音配列とし、放送用語集と主要な固有名詞に使われている漢字を収録しました。採字をしやすいように通常の写植機とは反対の表字で配列してあります。
送り操作を簡略化するため、文字の大きさと送りの最小単位は0.5mmを「1QT」(=1H)とし、主レンズは10〜25QT(20〜50Q)のうち6本を選択して搭載していました(うち1本は交換可)。変形レンズは3番まで。横組の任意歯送りは25Hまで、この機種特有の送り機構として、1駒(100mm)送りが可能でした。そしてこの時代の写植機には珍しく90°の像回転プリズムを備えていたので、ロールマガジンとの組み合わせで長尺の横組ロールテロップを印字することができました。
スピカテロップは、まず同年に開催された東京オリンピックの字幕用に活躍し、その後全国のNHKや民放へと納入されていきました。1984年発表のテロップ送出機「テロメイヤT」までの長い間、写研の文字をテレビに届け続けました。
●その他の機能、仕様
| 寸法 |
幅675×奥行586×高さ445mm |
| 質量 |
60kg |
| 所要床面積 |
幅1000mm×奥行900mm |
| 機械内容 |
主レンズ |
6本(10〜25QT)※本機は1QT=0.5mm |
| 変形レンズ |
3種(No.1、No.2、No.3) |
| 文字枠収容文字盤 |
メインプレート1枚、サブプレート3枚 |
| 収容感材寸法 |
(シートロール) |
| ファインダー |
なし |
| 点示筒 |
有 |
| 電源、光源 |
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| 環境条件 |
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| 価格 |
120万円(1974.1.1現在) |
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