変形レンズ【へんけいレンズ】
PAVO-KYの変形レンズ(PAVO-KY 解体部品 株式会社文字道様所蔵)
写真では分かりにくいが、レンズの面がかまぼこ型になっている。
●文字の像を変形させるかまぼこ型のレンズ
写植機には文字の形を変える機能があります。縦長にする「長体」、横長にする「平体」、菱形または平行四辺形状に歪ませる「斜体」の3種類です。
この変形はかまぼこ型のレンズによって光学的に行われており、中期の写植機までは長体もしくは平体が1、2、3番(変形率10、20、30%)の3段階、後期の写植機では4番(変形率40%)までの4段階が可能です。斜体も同様です。
斜体に長体・平体を組み合わせた「長斜体」「平斜体」も可能です。
最後の手動機「PAVO-KY」では斜体が5°おきに印字可能です。
PAVO-KUではオプションとして5、6番(変形率50、60%)超変形レンズ、PAVO-KYでは5番変形レンズが存在しています。
この変形レンズは昭和8〜11年頃、石井茂吉氏のもとに旧海軍の写植オペレータから「計算尺用カーソルで文字が変形して見える」とアイディアが寄せられ実現したものでした。
変形レンズによって斜体がかかった様子
レンズ面の弧の軸(かまぼこでいう長さ)方向の文字の長さはそのままに、軸と垂直(かまぼこでいう幅)方向が縮小される。軸を水平・垂直以外の方向にする(角度を付ける)と、写真のように文字が斜めに変形する。
SPICA型より以前の写植機では変形レンズは光学系の途中に手で挿入する方式でしたが、PAVO型では内蔵されるようになりました。
●変形レンズの搭載状況
変形1〜4番 |
PAVO-9、-10、-JL、-JV、-U、-KU、-K2、-KL、-KV、-KVB、-KY、-BL(-KYのみ斜体は5°おき) |
変形1〜3番(不明含む) |
上記以外 |
未搭載 |
(初代)実用機以前、タイトル専用機 |
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