石井式写真植字機(A型) 1936年2月〜1953年

●写真植字機の成長期。
 様々な改良を加えられSK型の基となった標準的な写真植字機。

石井式写真

スタンダード35変形レンズ4JQレンズ1〜3ルビ±99H送りQ数連動ベタ送り欧文自動送りインチ送り1/32em単位送り字づら検出1H送りレバー送り1・2キー1/16em送りキー1/4歯送りキー割付計算座標記憶欧文ベースライン自動調整くり返し印字折り返し印字水平組円組・斜組像回転スポット罫線線長補正斜線・円・楕円点示板ダイヤルインジケータLED表示なし印字キーキー入力

●レンズを新設計、文字盤も拡充

 写真植字機は目覚ましい進歩を遂げましたが、売り上げは芳しくなく、実用機発売(1929年)からの7年間で11台しか出荷されませんでした。
 しかし出荷数が少なかったのは写植機の改良にとっては都合がよく、実用されているところからのフィードバックを施しながら出荷することができました。

 こうして1936年2月、写真植字機研究所へ印字の依頼をし写真植字に感銘を受けた加藤製版へ1号機が販売された本機は、文字枠を1書体分32枚とルビ文字盤3枚の合計35枚収容としました。
 本数増加の要望が多かった主レンズは新しく設計をし直し、10枚から18枚に増やしました。

●単位「Q」の誕生

 本機は1938年、需要が増えつつあった横組みを細かくできるようにと、従来縦組みのみ1/4mmだった最小送り単位を横組みも1/4mmとしました。文字の大きさはこれまでレンズ番号(1〜10)で呼んでいましたが、最小単位である1/4mm(Quarter)の頭文字を取って「Q」と呼ぶことにしました。「級」は文字の使用頻度別の番号として既に使われていたので、文字の大きさの単位としてはQが本来の表記法です。なお、送りの最小単位である「歯」はQと同じく1/4mmです。

 本機は印刷会社から軍にまで幅広く納入され、戦後も電源部を改造して1953年まで出荷されました。

●その他の機能、仕様

寸法  
質量  
所要床面積  
機械内容 主レンズ 18本(7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、18、20、24、28、32、38、44、50Q)
変形レンズ 3種(No.1〜3)
文字枠収容文字盤 スタンダード文字盤 35枚
収容感材寸法  
ファインダー

 

点示板
電源、光源  
環境条件  
価格 4500円(1936.2.19、加藤製版との売買契約書)
6万円(1947、石井・森沢間の契約書)

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