亮月写植室

写植機の音

 写植機、とりわけ手動写植機は、操作の時に独特な音を発します。

 モーター、歯車、ばね、ブザーなどの機械や部品を組み合わせて作られていますので、ガシャン、ガシャンという印字の音だけでなく、色々な音を聞くことができます。
 録音データの著作権は亮月製作所にあります。無断で複製・転載・直リンクなどをすることはご遠慮ください。


●PAVO-KYの動作音

 写植の取材と印字の時に録音したものが残っていました。
 写植屋さんにお邪魔しての録音でしたので、ラジオの音声など写植機以外の音も収録されています。ご了承ください。

→shashoku.mp3 1分09秒、1.6MB

 録音日:2002年11月7日
 録音機:SONY 録再MDウォークマン MZ-R900 SPステレオ録音
 マイク:SONY ECM-ZS90
 写植機:写研 PAVO-KY

●解説

 まず、定常的なファンの回転音とともに、印字する時の「カシャン」というシャッター音が聞こえます。
 そしてすぐ、文字を探すために文字枠を移動する「ガーッ」という音。(0:01〜0:03)
 そのあと、印字する文字を決定したので、“印字キー”を半押しにし、文字枠を固定。「ガン」という音がそれです。(0:04)
 するとディスプレイに文字が現れます。小刻みな「タタタ」という音は、詰め印字のために“1/4H送りキー”を繰り返し押し、ディスプレイに表示された印字する文字の位置を微調整しているところです。これが大変心地よいのです(笑)。(0:05〜0:12)
 そして印字キーを奥まで押すと、シャッターが切れて「カシャン」という音がし、文字が印画紙に感光されます。(0:13)

 この繰り返しなのですが、0:36〜0:39に「ウイーン、ウィ、ウィ」という高いモーター音が聞こえます。これは印画紙の印字位置を移動する音(フリーラン)です。
 1:00では、「ピョッピョピョッ」というキー入力の音が聞こえます。この時は文字の印字位置を数値入力で決定しました。入力の直後、短い移動音が聞こえます。
 この音声データには未収録ですが、起動音とエラー音は「ピコピコ」です。電子音の印象はなく、笛のような柔らかい音です。


●SPICA-QDの動作音

 2011年3月に入手した卓上型手動写植機「SPICA-QD」の動作音を録音してみました。新築した亮月製作所別棟にて。
 本機は機械式の古い機種ですのでいつまで動作可能なのかは分かりません。今後の記録資料のため手持ちの最高の機材・録音方式で収録し、一切の圧縮をせず掲載しました。
 ダイナミックレンジ(音量の大小)も加工していませんので、突然大きな動作音が聞こえます。音量に気を付けて再生してください。

→spicaqd_20110321.wav 1分17秒、13.0MB

 録音日:2011年3月21日
 録音機:SONY 録再Hi-MDウォークマン MZ-RH1 リニアPCMステレオ録音
 マイク:SONY ECM-MS957
 写植機:写真植字機研究所 SPICA-QD

●解説

 0:01で電源スイッチを入れます。すると電源の「ブーン」という定常的な唸りが聞こえてきます。0:03の「シーッ」という小さな音はHi-MD録音機のシーク音です。筆者の鼻息ではありません(笑)。
 0:08からは横組の印字動作に入ります。「カチャ、パシッ、ドン」という音で一文字分です。それぞれの音は文字枠固定、点示、字送りに当たります。一連の音の間にある「ガーッ」という音は、文字枠を移動して文字を探す動作です。
 0:31で「ブッブー」というブザー音が聞こえますが、これは横行末ブザーです。室内に鳴り響くほど大きな音で、何度聞いても驚いてしまいます。
 その後すぐ「ギリギリギリギリ」というスタートライン(行頭)復帰の動作に入ります。
 0:38で主レバーの隣にある縦・横切換えレバーを引き、組方向を縦組に切り換えます。「カチャ、パシッ、トン」が縦組の印字動作です。金属同士がぶつかるような硬質の音です。
 0:58で「チーン」という縦行末ベルが鳴ります。これは心地良くて大人しい音です。
 1:07からの「ギーッガッチャッ」という音は縦組のスタートライン復帰動作です。数回に分けてレバーを押し上げる必要があるので、おそらくはぜんまい式だと思われます。
 1:15で「カチ」という電源を切る音が聞こえます。


●PAVO-JVの動作音

 2011年3月に入手した手動写植機「PAVO-JV」の動作音を録音してみました。亮月製作所別棟にて。
 生に限りなく近い音を記録するためダイナミックレンジ(音量の大小)を加工していませんので、突然大きな動作音が聞こえます。音量に気を付けて再生してください。
「動作音全般」は約30MBあります。聴取開始まで時間がかかると思いますのでご注意ください。

動作音全般 →pavojv_20110420.wav 2分52秒、30.3MB
スポット罫線 →pavojv_spot.wav 18秒、3.1MB
連続印字 →pavojv_renzoku.wav 15秒、2.6MB
マガジン脱着 →pavojv_magazine.wav 12秒、2.2MB
引き出し開閉 →pavojv_hikidashi.wav 19秒、3.3MB

 録音日:2011年4月20日
 録音機:SONY 録再Hi-MDウォークマン MZ-RH1 リニアPCMステレオ録音
 マイク:SONY ECM-MS957
 写植機:写研 PAVO-JV

●解説

 電子制御された手動写植機の音です。電動のため動作音は力強く、パルスモーターやブザーによる電気的な音色が特徴です。

動作音全般 電源投入〜機械原点移動動作で始まり、主レンズ/変形レンズ選択、採字〜枠固定〜印字操作、送り、キー入力音「ピョッピョッ」、エラー音「ピコピコ」、ブザー「ビー」といった様々な動作音を収録しています。一通り操作後、電源を切って終了。

スポット罫線 行頭復帰→(けい線スイッチ入)自動で20Q選択→枠固定→スポット走査→解除 という流れです。

連続印字 行頭復帰→(連続印字スイッチ入)→枠固定→連続印字→終了ブザー→解除 という流れです。高速シャッター音が聴きどころです。

ここからは少々マニアックな領域です。

マガジン脱着 マガジンを本体から外し、再び装着する、それだけです。

引き出し開閉 左袖のメインプレート入れを開閉、その後右袖のサブプレート入れを開閉、サブプレートを触ってカチャカチャ鳴らしています。あの音が忘れられない元オペレータさん向けです(笑)。


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