●本文専用機から万能機へ
本文専用機から出発したSPICA型でしたが、先代機SPICA-QD(1969年)が本文にも端物にも汎用的に使われているという写研の調査結果を踏まえて開発されたのが、オールマイティの名を持つSPICA-Aです。
SPICA-QDの機能を全て搭載した他、PAVO等の万能型と同等の機能を持たせるために大幅な改良が加えられました。
主レンズは7〜62Qの20本を装塡済みで従来機のようなレンズ交換は不要となり、大きな見出しも印字できるようになりました。
文字枠はメインプレートを2枚装着可能になり、異書体の混植が楽になりました。このとき、露光量はプリセットスイッチによってプレートごとに自動調整されるようになったので、書体差による印字品質のムラがなくなりました。
機械式のSPICA型では最高級機と言える贅沢な仕様ですが、小型かつ安価な本機で万能機と同じことができるため、「石油ショック後の大不況時においてユーザーの心理をうまくとらえて、たちまちベストセラー機になっている」(写研『文字に生きる』より)とのことです。
●その他の機能、仕様
寸法 |
幅1050×奥行600×高さ500mm |
質量 |
95kg |
所要床面積 |
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機械内容 |
主レンズ |
20本(7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、18、20、24、28、32、38、44、50、56、62Q)すべてターレットに収容 |
変形レンズ |
3種(No.1、No.2、No.3)×8形状 合計24形状 |
文字枠収容文字盤 |
メインプレート2枚、サブプレート3枚 |
収容感材寸法 |
254×305mm(印字範囲は最大250×285mm) |
ファインダー |
なし |
点示板 |
白色フィルムによる点示筒 |
電源、光源 |
ストロボフラッシュ |
環境条件 |
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価格 |
110万円(1974.1.1現在) |
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