亮月写植室

写植室日報 2015年

2015.12.15(火)

【亮月写植室】書体設計士の今田欣一さんから封書が届きました。

今田欣一の書体設計 冊子

 開けてみると、2014年に催された「moji moji Party No.7 今田欣一の書体設計 活版・写植・DTP」で今田さんが講演された内容をまとめた冊子が入っていました。
 私が執筆した写植レポートを基に、今田さんがエピソードを大幅に加筆、貴重な写真や図版も追加した“完全版”とも言えるような充実ぶりでした。

今田欣一の書体設計 中身

 今田さんが書体の道を志すに至った経緯から写研での書体制作、そして現在に至るまでを今田さんご自身が語られた様子が収録されています。写研時代の貴重な写真や書体が生まれた現場のお話も必見です!

今田欣一の書体設計 奥付一部

 奥付には私の名前と亮月写植室のクレジットが……!
 学生時代、写植や書体のことが知りたくて知りたくて、なけなしのお金で今田さんの『タイプフェイス・デザイン事始』を購入した頃のことを思うと、とても感慨深いです。微力ではありますが、好きでやってきたことがお役に立てて嬉しいです。今田さん、本当にありがとうございます!

 今田さんの twitter によると、「文字道さんの『moji moji Party No.11』(2016年3月28日〜4月2日、表参道画廊)にて販売予定(1部500円)です。」とのことです。
 この冊子は今のところ今田さんが直接頒布中のようです。いち早く入手されたい方は、今田さんに連絡していただけたらと思います。


2015.11.19(木)

 写研謹製「タックナイフ」を譲っていただきました!

写研タックナイフ・パッケージ

 タックナイフは、ホルダー(軸)の先に折り取り式の刃を挟み込んだような写植用のデザインナイフです。写植の切り抜きや、文字を修正するために感光した印画紙の乳剤部分(表面)を剥離する時に使用しました。

タックナイフ・箱の中身

 なんと未使用品でした!
 軸、替刃、キャップ、刃折具(替刃折り器)が入っています。
 取扱説明書に書かれた写研の電話番号は東京の市内局番が3桁。ゴナLやDBが使われているので、1983年から1990年迄に製造されたと考えられます。機関誌『写研』の古い号にはタックナイフが頻繁に掲載されていたので古い資材だと思っていましたが、割と新しい時代になっても新しく作られていたようです。

タックナイフ・写研ロゴ

 軸には金色に輝く写研のロゴが……!

タックナイフ・刃折具

 透明な刃折具。分度器のような形の直線部分に刃を挟んで折り取ります。

 手動写植機と版下によって印刷原稿の制作が行われていた時代の道具です。役目を果たすことができなかったのは哀れですが、写植文字をどのように切り取り、あるいは修正を行っていたのかを身を以て語ってくれる、貴重な品物です。
 お譲りくださった山口様、ありがとうございました!


moji moji Party のお知らせ(終了しました)

2015.9.15 掲載

moji moji Party No.10 写植のおもてなし
写植と和紙の世界観

moji moji Party No.10 会期 2015年1017日(土)〜25日(日)※19日(月)休み
 会場 ギャラリー華音留
     〒113-0031 東京都文京区根津二丁目22番4号 1階
 時間 11時~20時(15時よりティータイム 18時よりナイトタイム)
 主催 株式会社文字道(→moji moji Party 公式サイト


2015.10.15(木)

 2015.7.3付けの記事で、フロップデザインさんの「フォントの歌コンテスト」に応募した作品が賞を頂いた、と書きましたが、受賞した作品がアルバム化され、今日ネットでの発売が開始されました!

 →フォントの歌 コンピレーション音楽アルバム

 10月25日(日曜日)に開催される「文字フリマ」にCDアルバムの仮パッケージ版が販売されるとのことです。
 私の作品は『いねむりアナログ・ナール』といいます。
 ナールの一番細いウェイトはDTP用のデジタルフォントはおろか、写研のデジタル組版システム(電算写植)用のフォントにもなっておらず、手動写植機用の文字盤にその姿を遺すのみです。そんなナールを女の子として擬人化し、今どんな気持ちだろうかと想像しながら作った歌です。
 アルバムに収録された歌はどの作品にもフォントへの愛情が詰まっています。ぜひ聴いてみてください!


2015.10.4(日)

 ウクライナでキリル文字について研究している方からメールを頂きました。
 旧ソビエト連邦の出版社・プラウダは写研の手動写植機「SK-4E」を使っていましたが、この機種で使えるキリル文字の書体見本を持っていませんか、という内容でした。
 1970年発行『文字盤見本帖』に書体コード「USR-A」〜「USR-H」の8書体が掲載されていたので情報提供したところ、これらの書体は20世紀初頭の古いキリル文字の見本帳から採られたのではないか、とのこと……!
 これだけの事でしたが、これまでの活動で海外の方と交流したのは2013年の台湾の柯 志杰さん以来で、国や言語が違っても気持ちが通じているのが分かり、とても嬉しかったです。


2015.9.28(月)

 マイナビ刊『+DESIGNING』Vol.40 に、私が撮影した写真を使っていただけました!
 株式会社文字道の伊藤義博さんの活動をまとめた『写真植字の魅力』という記事中、「moji moji Party」に関するほぼ全ての写真です。
 自分のカメラやコンピュータの画面で何十回も見た写真が雑誌に載っているのは何とも照れくさくもあり、嬉しくもあります。微力ではありますが、伊藤さんのお役に立てて光栄です。

 記事の本文中、伊藤さんの精力的な活動の源として「写植を時代の遺物のように扱い、資料として残そうというような姿勢ではなく、いまこそデザインやアートに写植を活用してもらいたいという信念があります。」と書かれています。
 何とも胸に突き刺さる一文です。
 写植が遺物だと思ったことはありませんが、私の活動は、写植に関して散逸させず後世に正しく「残す」ことを旨としているからです。 これは元々写植について深く知ろうと思っても知る機会がなく、全て自分で調べざるを得なかったところから始まって今に至っているのですが、やはり写植を「使う」ことが写植の存在や魅力を世に知らしめる一番の方法だと思うのです。
 活版印刷が表現の手段としてある程度定着した現在でも、写植は忘れ去られ、あるいは知られないままです。その苦しみの中から見えてきたのが、伊藤さんの活動なのです。


2015.9.13(日)

 サイトの記事のため、久し振りに写植室で印字をしました。
 8月に「石井細明朝体横組用かな」の記事を書いた際、見本を印字しようとしたのですが、現像液がすっかり弱っていて薄茶色にしか印字できずアウトラインサービスを頼んで無駄な出費をしてしまったので、今回は現像液を新しく作ってから印字に挑みました。
 指定を見ながら慎重に写植機を操作し、一文字も間違えないよう確かめながら採字し、祈る思いで現像。……そして印画紙に滑らかで真っ黒な文字が指定通りに誤植もなく浮かび上がる。現像するまで文字が見えないのは写植の短所ではありますが、裏返せば醍醐味です。印字の内容がどのようなものであれ、行程の一つでも手を抜いたら完成させることはできません。真剣勝負なのです。


2015.7.3(金)

 フロップデザインさんが「フォントの歌コンテスト」を開催していましたが、私もこの2ヶ月、応募のための曲作りに没頭していました。
 写研の書体「ナール」を題材ににした曲を、書きかけのままお蔵入りにしていたのですが、どうしても完成させたくて毎晩試行錯誤し、何とか応募できたのが先月後半のことでした。

 その曲が……賞に選ばれていました!!
 →春のフォント祭受賞者結果発表(スクロール下3分の1辺り)
 →受賞作ダイジェスト版(1分38秒〜2分01秒辺り)

 参加できればいいと思っていたので、なおさら嬉しかったです。

 それはそうとして、応募作は300作近くだったというのですから、フォントに対して愛情を持っていて、それを形にしたいという気持ちを持っている人が多くいるということが分かり、感激しました。


moji moji Party のお知らせ(終了しました)

2015.2.2 掲載

moji moji Party No.9
typeKIDS Exhibition Spring 2015
漢字書体の変遷とその復刻展

moji moji Party No.8 「言之葉展 」写植、光と影の創作

 会期 2015年39日(月)〜314日(土)
 会場 表参道画廊+MUSÉE F
     〒150-0001 東京都渋谷区神宮前4-17-3
     アーク・アトリウム B-03
 時間 正午~午後7時(最終日午後5時)
 構成 typeKIDS group
 主催 株式会社文字道(→moji moji Party 公式サイト

 表参道画廊ほかで開催され、好評を博した「moji moji Party」が帰ってきます。
「明朝体は誰でも知っていますが、宋朝体や元朝体を知る人は少ないようです。明朝体にしても、中国でどのように誕生し、どのように変遷してきたのかはあまり知られていません。写本の時代、刊本の時代、金属活字の時代——それぞれの時代に数えきれないほどの書物が誕生し、そこにはたくさんの文字と書体が残されています。この展覧会では、typeKIDS group メンバーによってその原資料を欣喜堂の復刻書体とともにポスターとして構成します。」とのことです。
 活字書体設計師・今田欣一さん主宰の「typeKIDS」による書体展。ぜひお出掛けください。


2015.2.2(月)

 一通の封筒が届きました。
 長崎のデザイン事務所「ホップ」が刊行している、長崎と関わりのあるものをテーマにした総合芸術誌『FLAG』です。今回 Vol.2 が発行されたとのことです。

FLAG Vol.2 表紙

 表紙には「特集 写真植字機発明90周年」の文字が……!

FLAG 写真植字機発明90周年

 アートディレクターの寄藤文平さん株式会社文字道代表で「写植家」の伊藤義博さんが2013年12月に対談した時の様子が採録されています。

FLAG Vol.2 SPICA-AHの写真

 亮月写植室から貸出中の手動写植機「SPICA-AH」も登場していました! 「moji moji Party No.5 写植讃歌 Part 2」の写真が8ページに亘り掲載されています。
 成り行きで私もすこーしだけ対談に登場しています。たいへん恐れ多いですが、嬉しいです。
 アートディレクターと写植オペレータという、エディトリアルデザインの両輪を担う立場から見た写植の90周年が肩肘張らない言葉で語られています。ぜひお手に取ってみてください。

『FLAG』の体裁は20センチ四方サイズで62ページ。価格は600円(税別)です。
 九州での取扱店舗は Facebook の FLAG 公式ページをご参照ください。
 東京での取扱店舗は伊藤さんが「これから販売活動します。 」とのことです(以下伊藤さんより、2015.1.28時点での取扱店舗。実際に取り扱っているか亮月は確認しておりません)。
・文字道 http://www.mojido.com/ 電話:09049630599 メール:infoアットマークmojido.com
・代官山蔦屋書店 http://tsite.jp/daikanyama/
・パルコブックセンター渋谷店 http://shibuya.parco.jp/page2/645/


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