電動送り【でんどうおくり】


●ボタン一つで正確に送る

 写真植字機は大正時代に発明され、光源ランプ以外は電源を必要としない機械仕掛けでした。そこから徐々に電動化(電気仕掛け)、そして電子制御化の道を辿りました。写真植字機の発展はメカトロニクスの発展とともにあったのです。

・1959年 SK-T1……送りを電動化、自動復改・連続印字を可能に
・1969年 PAVO-J……主レンズ変形レンズの選択を電動化
・1973年 PAVO-K……初の電子制御機。割付計算スポット罫線などを可能に
・1977年 PAVO-JP……初のマイコン制御機
・1979年 PAVO-JV……初のディスプレイ搭載機(5型)
・1983年 PAVO-KV……点字板を廃し、ディスプレイ(15型)表示のみに

 こういった技術的な面で画期的だったのは、ボタンやスイッチ一つで写植機を動かすことができる「電動化」でした。機械式の機種では、オペレータがある程度力を入れてレバーなどを操作する必要がありましたが、電動化によって操作による疲労が大幅に軽減され、生産効率が高まったのです。
 1959年に発表された「SK-T1」は、従来ぜんまいやばね、磁石の力で行っていた文字枠固定・シャッター・送り等の動作を、写真植字機で初めて押しボタンスイッチの操作で電気的に行いました。また、字詰め可変の自動復帰/改行ができるようになり、地紋等の連続印字機能も備えていました。従来の機種ではダイヤルを回したりレバーを押したりしてそれらの動作を行ってきましたが、SK-T1ではボタン一つで簡単に動作させることができるようになりました。
 これらの動作は電子回路やコンピュータを伴わないもので、人力の代わりに電気で機械を動かすにすぎない「電動」式でしたが、それまでの写植機の常識を覆すものでした。
 その後1970年代には電子制御化が急速に進み、機械式や電動式では考えられなかったような複雑な組版を写植機だけで実現できるようになりました。

●電動送りの搭載状況

搭載(電子制御)

下記以外のPAVO型、SPICA-AP、-APU、-AH

搭載 SK-T1、SK-16TV
非搭載
PAVO-8、-J、SPICA-S、-L、-Q、-QD、-A、上記以外のSK型

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