●過去だより1251〜1275
2023.9.18(月) 1275 家族との日々をもう一度
【日録】修理に出していた2台のフィルムカメラが返ってきました。
まずは「ミノルタハイマチックF」です。
1972年に発売されたカメラです。電子式プログラムシャッターを搭載し露出は自動、ピント合わせは手動という、当時の典型的なフィルムコンパクトカメラです。
この個体は2014年12月に父から譲り受けたものです(→2014.12.12の記事参照)。当時父にこのカメラのことを尋ねたところ、ハードオフのジャンクコーナーにて一部(ASA感度ダイヤル)欠品なのを承知で100円で購入し、天面のアクセサリーシューをもぎ取って他は捨てるつもりだった(アクセサリーシューだけが目的だった)とのことでした。それは私にとってどうにも耐えられないことでした。外装が綺麗でまだカメラとして使えそうなものを捨てるなんてとんでもないと。
一方父はこのカメラの時代とともに生きた人で、父にとってはとうに過ぎた昔のカメラに価値はないと思っていたのでしょう。また高度経済成長生まれのものは当時の人達に躊躇なく捨てられてきて、父はその時代を経験しています。つまりは価値観の違いであり、考え方の根本にあるものが全く異なっているのです。
それでもどうしても捨てられるのは耐えられないからカメラとして使うので欲しいと父に頼み込み、そのまま譲り受けたのです。……とはいえ私も譲り受けた当時は費用が思ったよりかかることを理由に修理に出さず、押入れの奥にしまい込んでしまったのですが……。
最近になり我が子をフィルムで撮りたいと思うようになったので、そのような二重に可哀想なカメラのことを思い出し、実家の旧自室から救出して修理に出しました。
修理店からは「動作が非常に不安定で、オート露出制御がうまくいかず、常に3段以下のアンダー傾向にあります。納期は2ヶ月です。」と診断いただきました。外観は非常に綺麗ですが、内部は満身創痍だったようです。
2ヶ月の修理期間を経て手元にカメラが返ってきました。
綺麗に磨かれて新品のようになり、動作も快調です。あの時父に分解されて捨てられそうなのを見咎めて譲り受けた当時の私は間違っていなかったし、年月は経ったものの今回修理に出してよかった、と心から思いました。
カメラとしての機能を取り戻した記念に、本革のストラップを付けてあげました。1970年代初期のカメラの中でも端正なデザインで、現代のもので着飾ってもよく似合うと思います。
フィルムコンパクトカメラを見ると、真っ先に「家族」という言葉が思い浮かびます。おそらくは50年前も家族の風景を写真に残していたであろうこのカメラ。きっと楽しかった日々のことを覚えていることでしょう。こうして生き長らえさせることができたので、これからは私がその日々を再びこのカメラに沁み込ませていきたいです。
修理してくださった「東京フィルムカメラ工房」様、本当にありがとうございました! (→私のカメラの修理を記事にしてくださいました。)
2023.9.8(金) 1274 新鮮な驚き
【亮月写植室】モリサワのMD型用の文字盤を譲っていただきました。
MD型用はその小型な本体に合わせ、文字盤が縦3枚×横4枚に並べられています。MC型用よりも個体数は少ないように思います。
こちらはMC型用のWサイズ文字盤です。Wサイズというのは、本来縦4枚×横3枚に並べられている文字盤について、縦2枚分を1枚のガラス板にしたものです。桟だった部分にも文字が収録されているため収録文字数はWサイズではない文字盤よりも多くなっています。
今回頂いたメイン文字盤は、ABB1、MB31、BBB1、BDB1、CB1、行書1、E1でした。相手方は印章店様だったため必要最小限のラインナップでしたが、貴重なMD型用の文字盤を頂いて嬉しいです。
サブ文字盤で目を惹いたのは……
ルビ文字盤(写真はL1)でした。一見地味な存在ですが、
細明朝体AC1のようでいて異なる独特な字形でした。初期のモリサワ書体らしいやや稚拙な明朝体の字形がそのまま遺されているとは……! 積極的に使いたくなるものではありませんが、写植史の1ページに必要な存在だと思います。
モリサワの写植書体は、写研のそれと比べて公に知られていない領域が多く、文字盤に出会う度に新鮮な驚きがあります。これからもモリサワの写植書体も積極的に保存と活用を進めていきたいです。お手元に使わなくなった文字盤をお持ちの方、是非ご連絡ください!
2023.8.27(日) 1273 憧れのあの方!
【亮月写植室】モリサワ用の文字盤を譲っていただきました。
主にディスプレイ書体を頂き、モリサワの手動写植機用書体の全体像が徐々に見えてきた気がしました。
他にも頂いた中で気になった文字盤は……
K4は地図記号ということになっているのですが、四角や丸に囲まれた漢字や学参ものの記号、略字や異体字、特殊な字形など雑多に収録されていました。
「缶」や「第」の略字、「近鉄」などは画線の抑揚が強く、現行の書体という感じがしません。もしかしたら太ゴシック体B1や中ゴシック体BB1だったりして……。いつかはこの字以外だけでなく全体を文字盤で拝みたいものです。
そして大本命は……
太明朝体A1のかなつめ文字盤!!
A1様のことはずっと捜していました。私の憧れの書体。仮名だけとはいえ、私の許へやって来てくださったことにとても感激しました。学生時代、広告の名作集の書籍でその存在を知って深い味わいに感銘を受け、2005年のDTP用フォント化の際は発売日直後に購入しましたが、かなり改変・加工されてしまい残念な思いを背負ったまま今日まで生きてきました。オリジナルのA1様を自分で活用できる日が訪れたことは本当に感慨深いです。
仮名:太明朝体A1、「!」:K4
ツメ具合はA1が活躍していた1970年代風(かなりきついツメ)にしました
2023.8.26(土) 1272 フィルム色の思い出・2
【日録】「オリンパスペンS3.5」で撮影したフィルムを現像に出しました。
このカメラは、10年以上前に某所の机の引き出しに入ったままになっていたのを譲り受けたものでした(→2012年12月17日の記事参照)。その時中に入ったままになっていたフィルムは新しくとも1983年のもの。私が発見し譲り受けてからも10年ほどしまい込まれていました。
そんな可哀想なカメラのことを最近思い出し、「このカメラで撮ってみたい」と思い、実家の旧自室を捜索して押し入れの奥から救出しました。
8月の頭にフィルムを入れ、1ヶ月かけて写真を撮りました。主に我が子の成長記録ですが、露出計も距離計も内蔵していないこのカメラでは勘と経験で絞りとシャッタースピードを設定し、目測で距離を合わせるしかありません。幸いNikon NewFM2でのマニュアル撮影には慣れているので、天候や室内外などの撮影の際のおおよその絞りとシャッタースピードの組み合わせは把握しているつもりです。
しかし本当に撮れているのか不安なまま撮影を続けました。
このカメラはハーフサイズなので、36枚撮りフィルムで75枚程度撮れました。そのためフィルムなのに残り枚数をあまり気にせず気軽に撮影できるという不思議な感覚でした。
そうして現像に出したフィルムは……
意外なほどによく写っていました。被写体の大半が人物なのでここには掲載できませんが、ピントを外した齣は殆どなく、露出も大きく外したものはありませんでした。現代のカメラで撮ったような鮮明なものも多くありました。
とはいえ適正露出でなかったものはカラーバランスがおかしくなったり全体にぼんやりしたりして、まるで昭和40年代に撮影したような写りになっていました。昔の写真のレトロ感の正体はこれだったのか……。
さすがに今から見れば技術的に見劣りし、撮りたいようにに撮るには頼りないのですが、60年近く前に製造され、40年放置されたカメラが故障もなく動作し、問題なく写真が撮れることに驚きました。カメラに心があるとすれば、何を思ったでしょうか。
2023.8.11(土) 1271 再会の地へ
【日録】友人Rさんが主催する毎年恒例の美術展を見に行ってきた。
電車に乗って出掛けた名古屋の街は、普段私が見聞きしたり感じたりしている世界よりもずっと広く、「世の中って今こんな風なんだ」と思った。賑やかさが懐かしくもあり、自分の一部を取り戻すような感覚にもなった。
会場は友人宅のカフェスペース。かつては頻繁に遊びに行っていたのに、また1年振りになってしまった。そっと入口のドアを開けると、多くの人が集まっていた。
Nikon Z fc・NIKKOR Z 26mm f/2.8(以下同じ)
私がここへ出展しなくなった数年でサークルの構成メンバーが大きく変わったようで、初めてお会いする方が多く、時の流れを感じた。かつて自分の居場所だった所はそのままでありながらも確実に進化し、変化していた。部屋の片隅で恐縮しつつ作品を鑑賞させていただいた。
しばらくすると長年の音楽仲間(?)・Nさんが来てほっとした。沢山話す訳ではないけれど、Nさんがそばに居て楽器を奏でているだけで安心する。Rさんも交えてごく久し振りのセッションとなった。何も言わなくてもどのパートを演るのか何となく分かってしまう。私は楽器の演奏はできない(公称)けど、勘と力技で合わせてしまうのはいいのか悪いのか。
お客さんが居なくなり、Rさん、Nさん、私の三人だけになるタイミングがあった。
堰を切ったように近況を語り合った。私がこの数年どうしても埋められなかった心の隙間が豊かな時間によって満たされた瞬間でもあった。Uちゃんも部屋に出てきてくれた。それもとても嬉しかった。
オリンパス派のRさん達に見てほしいものがあった。「オリンパスペンS3.5」だ。50年以上前のカメラが殆ど無傷で現存し、何事もなく写真が撮れること。まるで時が止まっているかのようだった。その佇まいは古臭いというよりは可愛らしく、私達よりも若い世代のUちゃんにも響いたようだ。カメラマンをしていたという初対面のHさんにこのカメラで記念写真を撮っていただいた。Hさんはニコン使いということもあって、熱く語り合った。
気が付くと19時を廻っていた。文字通り時を忘れてここに居たのだ。普段ならとっくに帰宅している時刻。家族を持つ立場でこの楽しさを味わってよかったものか。友人達に別れを告げ帰途に就く。心地よい充実感とともに電車に揺られ、自宅に着いた。どうやら家人はこうなるだろうことを想定し、他の家族と夕食を済ませていたようだ。私が心置きなく楽しんでこられるよう気配りしてくれたのが、かたじけなくも有難かった。家人もかつてあそこにいた人だ。私の気持ちを分かってくれていたのだ。
2023.8.6(日) 1270 新旧交代
【日録】家人が17年間乗ってきた車を買い換えることになり、今日納車の日を迎えました。
これまでの車は特に不調もなかったのですが、ある実用上の課題(特定の機構が備わっていない)を抱えており、それを満たす車の購入を検討していたのです。条件に合う車種はあったのですが、デザインが耐えられないほど醜悪で絶対に乗りたくなかったので(車好きの人なら特定できてしまうか)、フルモデルチェンジを待って発注しました。新型車は欧州車のような落ち着いた普遍的な意匠で、家人曰く可愛いとのこと。
無駄な装飾のない外観は私も好みでした。
発注に当たっては家人から必要な機能や機構をよく聞き取り、カタログを隅々まで熟読して仕様を決めました。
まず、普段は短距離の移動が主なので、ハイブリッド車にする意義はあまりない(車の寿命までの燃費の差で自動車の価格差を賄えない)。従ってガソリン車にしました。
最近の車はネットへ接続する(そしてネットに繋がないとナビゲーションの地図が見られない)ようになっているようですが、月額がかかると聞いてネットに繋ぐことはやめることにし、地図データを内蔵したナビにしました。車の状況把握や操作をスマートフォンでする必要はない(そもそもスマートフォンを持っていない)し、ナビの維持のためだけに月払いをしたくありません。
そうすると必然的に最低グレードになるということで、幾つか諦めなければならない機能があったのですが(外観も若干変わるがシンプルになる方向なのでむしろ良い)、「エアコンはオートではなく昔ながらのマニュアルになるが差し支えないか?」など一つずつ検討し、これまでの車や機能の使い方から考えて、最低グレードのものに必要なオプションを足して発注することにしました。最低グレードと言っても色々付き過ぎ(自分で操作や判断できるのでクルーズコントロールやオートハイビーム、安全機能はいらない)なのですが……。
そうしてやってきた納車の日。
今日まで家人を楽しませ、毎日の移動の手段として家人を守り、最後の最後まで大きな故障もなく無事に走ってきたことに深く感謝しました。本当に長い間お疲れ様でした。沢山の思い出が詰まった家人の愛車は車載車に載せられて静かに引き取られていきました。きっとこれからはどこか遠い所で活躍することでしょう。そうであってほしい。
新車はとても快適でした。
エンジンは低回転域を維持したまま加速し、滑るように走ります。うるさいと感じることがない。その為か長距離運転でも疲れることがなく、運転により集中できるようになりました。一方でハンドルが軽過ぎたり乗り心地がふわふわして道路の凹凸の感覚が分かりにくかったりなど“魔法の絨毯”を操縦するような感触で、マニュアル車に乗っている身には車との一体感がなくて物足りないし運転が楽しい訳でもありません。とはいえ主で運転するのは家人なので、本人が満足していればそれで良いと思います。
細かな所で言えば、アイドリングストップ機能がないのは良かった。発進で出遅れて危険な思いをしたりバッテリーの寿命が短くなったり(燃料を節約できたとしても結局資源を無駄遣いしている)と何も良いことはなかったので、標準で機能が削除されていてほっとしました。カタログのどこを読んでも一言も書いてなかったので。しかしオートライトだけは法律により装備されてしまっているのでそこだけは残念。暗い所が短い区間でもいちいち点くし、夜間エンジンをつけて駐車している時も点きっぱなしになってしまうので、そこだけは何とかならないものか……。
思う所は色々ありましたが、全体としては良い車だと思いました。
これからも安全運転で、我が子の成長のほぼ全てを見届けられるまで乗っていきたいです。
2023.7.29(土) 1269 フィルム色の思い出
【日録】フィルムで撮影した写真が現像から上がってきました。
使用したフィルムは「MARIX FILM」という国内の新興フィルムメーカー製のもので、コダックの映画用カラーネガフィルムを基にしているという変わり種でした。 富士フイルムやコダックの写真用カラーネガフィルムなら何となくどのように撮れるかが想像できますが、今回は全く分かりません。36枚撮りをNikon NewFM2に詰めて1ヶ月かけて撮影しました。
殆どの被写体が人物(家族)なのであまり作例は挙げられませんが、「フィルムの写真だなぁ〜」という仕上がりでした。もう少し言語化すると、緑は青っぽく、赤は朱色っぽく、肌は黄色っぽく写り、光源の色温度に敏感。露出オーバーでは全体がピンク色っぽく写る。強い光源が映り込むと、その周りが赤く滲む。一癖も二癖もありますが、その不安定さが人間らしく、思い出を映画のフィルムにひと齣ずつ封じ込めたような印象です。私には好印象で、また使ってみたいと思いました。
デジタルカメラで撮ってすぐに画面で観ることが当たり前になっていましたが、こうしてたまにフィルムで撮ると、ずっと残したいものが形としてここにあることの安心感がありつつも、撮影した瞬間と今との時間的な距離を感じ、少し切なくなります。
それもまたフィルムの良さだと思います。これからも大切な人達との時間を、フィルムとデジタルで撮っていきたいです。
2023.7.25(火) 1268 マグネットボードの修理
【日録】我が子のために親戚から譲り受けたマグネットボードを修理しました。
アガツマの「AP天才脳らくがき教室」(旧)です。私達の世代はタカラの「せんせい」でした。「らくがき教室」は技術が進み、細かな絵や文字も書けるようになっていました。
前所有者は取り扱いが荒かったようで非常に激しい損傷を受け沢山遊んだようで、盤面には無数の消えない黒い傷が入っていました。
このまま我が子に遊ばせるのは忍びないので、自力で修理することにしました。
アガツマの公式サイトの「部品販売受付フォーム」から連絡し、マイクロカプセルシートを取り寄せました。1000円+送料500円でした。ついでにタブレット用の画面保護フィルムを100円ショップで購入し、盤面の強化を期待しました。
汚い画で申し訳ないのですが、本体裏面のねじを全て外して分解し、マイクロカプセルシートを交換しました。購入したシートに分解と取り付け方法の説明書が入っており、その通りに実施するだけでした。
交換後の盤面と、これまで使っていたマイクロカプセルシート。新品はこんなに白さと光沢があったのかと驚きました。元々艶消しでコントラストがあまりないものなのかと思っていました。
書き味や黒さも全然違います。
これで我が子も消えない線を気にすることなく思う存分絵や文字を書けます。我が子は早速気に入り、絵を描いては消しを繰り返しています。修理できるものなので、損傷して綺麗に書けなくなってきたらまた部品を調達して自分で直そうと思います。
2023.7.14(金) 1267 続々・身に余る光栄
【亮月写植室】2023.7.14に放映されたテレビ朝日系ドラマ『警部補ダイマジン』第2話に、私が和文タイプライターで印字した脅迫文を使っていただきました!
昨年12月下旬に制作会社様から「ドラマの撮影で和文タイプライターで打った文字を使用したい」とのご連絡を頂きました。ネットの辺境にいる私に和文タイプライターの印字依頼が来るということは、他に現役で打っている人はもういないんだろうな。
原稿を送っていただき印字し数ヶ月。7月から放映されると聞き、その日に臨みました。
本当に使われている!!
固唾を吞んでスタッフロールを追うと……
うちのロゴだ!! すごい!! テレビに出ている!! 嘘みたい!!
使っていただけるとは(半分)思っていなかったので、とても感激しました。
制作会社の方から、ドラマのセット内に配置した私の印字のスチール(still)写真を頂きました。
セットの中に置かれた脅迫文(以上、制作会社様提供)
和文タイプライター(パンライター)を入手した時、「グリコ・森永事件」の脅迫文の一部を再現したことがあったのですが(→2015.1.18の記事参照)、本当にこの事件を模した脅迫文を再現する仕事が来ようとは……。
字間や数字の活字の使い分け、文字のずれなど、可能な限りオリジナル(?)の脅迫文の雰囲気を再現すべく努めました。よく知られたあの脅迫文の印字のぼやけたような雰囲気と異なりますが、和文タイプライターの印影は本来とても鮮明なのですよ。オリジナルの脅迫文はコピー(カーボンコピー、電子コピー)を繰り返してあのようになったのではないかと思います。
私が好きでやってきたことが世の中の役に立つ。これほど嬉しいことはありません。
ここの所そのようなことを確認する出来事が立て続けに起こりましたが、誰にも見てもらえなかろうと、細々と着実に活動を続けてきてよかった。自分のやってきたことは間違っていなかったのではないだろうかと、その兆しが見えてきたような気がしました。
2023.7.11(火) 1266 続・身に余る光栄
【亮月写植室】2023.7.11付読売新聞朝刊の「くらし・家庭」面に『名作書体 デジタルで復活』と題して、2024年に石井書体がDTP用デジタルフォントとして改刻されることについての記事が掲載されました。
先日弊サイトで公開した『写植レポート*写研が動いた日2022 石井書体の改刻プロジェクト』を読売新聞の記者さんが見付けてくださり、「写植のファンとしてのご意見をお聞かせください」として電話とメールのやり取りで取材をいただきました。新聞に載るということは、半永久的に残るということでもあるので、このような私がそれに相応しいかどうかを思い、取材に応じるか少し悩みましたが、私が写植を好きになったきっかけから写研書体への思い、今回の改刻プロジェクトに対して思うことなど、1時間近くも話し込んでしまいました。
数行ではありますが、私のコメントも記事に掲載されています。新聞に載ることは初めてで、とても光栄です。零細かつ無名の活動なのに、どうやって見付けてくださったのか……。私の活動を認めてくださったような気がして、とても嬉しいです。
私は読売新聞を取っていないので、会社の社長が見る新聞をお借りして掲載を確かめました。思わず「私、新聞に載ったんですよ!」と社長に報告してしまいました。
「仕事以外でも頑張っているね。これからも続けて欲しい。」と労ってくださいました。
2023.7.1(土) 1266 フィルムで撮る意味
【日録】数年振りにフィルムを購入しました。
購入したのは、富士フイルム SUPERIA X-TRA 400、コダックUltra Max 400、MARIX 400Dです。前者2本は最寄りの(と言っても遠い)カメラのキタムラ、後者はネット通販で入手しました。知らないうちにフィルムの金額が大幅に上がっていて驚きました。1本2000円以上もするなんて……。
選んだカメラは、Nikon NewFM2。かつては相棒としてよく撮影に連れ出していたのに、ここ数年はフィルム装塡や現像の手間などから敬遠してしまい、手軽なデジタルばかりで撮っていました。
フィルムケースから取り出した時のあの匂いが好きです。カメラにフィルムを装塡する時の期待感が好きです。機械と人間が一体となって写真を作っている感覚が好きです。現像とプリントが仕上がってくるのを待つ時間も、思い掛けない写真が出来上がったのを鑑賞する時間も……。
では何故敢えて今フィルムで撮影するのか。
それは、二度とない瞬間を形のあるもので残しておきたいと思ったからです。
具体的には、我が子の幼い姿や家人の若い(?)姿をフィルムに残しておきたかった。
デジタルでもそれは可能ではありますが、時代がどんなに変わろうとも、原本としてフィルムが残り続けることは、あと数十年を生き続ける者として掛け替えがない存在になっていくと思うのです。災害に遭わない限り、絶対に消えない。
フィルムを懐古趣味だと一笑に付す嫌いが世の中にあるかもしれません。でも私は懐古などでは決してなく、確実な記録の手段としてフィルムを活用したい。それが私にとってのフィルムで撮る意味なのです。
今までなぜこうしてこなかったのかと思いますが、心の余裕がないとフィルムは撮れません。その立ち位置に戻ってきたのだと実感することもまた、フィルムで撮る意味だと思います。
詰めたフィルムにどのような思い出が残るのか、真新しいフィルムを前に、今から楽しみが膨らみます。
2023.6.21(水) 1265 身に余る光栄
【亮月写植室】書体に関する本が立て続けに発売されたことを風の便りで知り、私の手元にもやって来ました。
(写真左上から時計回りに)『書体のよこがお』、正木香子『タイポグラフィ・ブギー・バック』、高田裕美『奇跡のフォント』、阿部卓也『杉浦康平と写植の時代』です。いずれもとても濃厚で、どんどん読み進めていきました。『タイポグラフィ〜』は書体に興味が全くない家人も興味深く読んでいました。『杉浦〜』は情報量が莫大で、つまみ食い状態です。
これらの本を読んでいて、とても嬉しいことがありました。
『書体のよこがお』の参考文献に、私のサイトの記事が掲載されていたのです!(よく見ると「ことり文字ふぉんと」の「ことりのことり。」さんも一緒に掲載されていて、それも嬉しい。)
更には『杉浦康平と写植の時代』にも私のサイトについて言及がありました。
「その量および質は、現在の日本で、写植研究においてまず参照するべき基礎的データベースと呼びうる規模を有している。」……身に余る光栄です。
私はただ写植が大好きで、それでも詳しく知ることができなくて、自分で調べたり取材したりしたことを纏めてきただけなのですが、このネットの辺境の更に外れにある私のサイトを見付けてくださったことも嬉しいですし、更には専門家の方にとって私の活動が有意義であることを書籍という形のあるもので示していただいたのは初めてでした。
無名かつ匿名で細々と活動してきたので、たいへん恐れ多いです。
専門家の方達がここを見ているかもしれないというだけで身が引き締まります。
これからも誰かのためになるよう、それに耐えうる活動を続けていきたいです。
2023.6.19(月) 1264 酷い構造と戦う
【日録】浴室でずっと気になっていることがありました。
自宅のユニットバスはハウステック社の「フェリテ」というシリーズです(敢えて名指し)。 新築時にこのユニットバスしか選べないようになっていました。
汚い写真で申し訳ないのですが、ユニットバスの浴槽の縁(水色)とエプロン部分(白)に継ぎ目があり、何故かそこが数ミリ角で凹んでいるのです。しかもエプロン部分がやや受け口気味で、浴槽からこぼれた水が受け口からこの凹みの中へ入り、いつまでも乾燥しない状態が続き、やがてカビてしまいます。しかも凹みが狭いものだから清掃が困難で、なかなか除去できずに困っています。その上エプロン部は外せない仕様になっているため内側の清掃はできないとのこと。何故このような構造になっているのか……。設計者は風呂掃除をしたことがないのではないか。設計者を心から呪います。
あまりにも腹が立つので、自分で対策してしまうことにしました。
コーキング剤、マスキングテープ、ヘラを用意しました。
件の隙間にあるカビはカビキラーを何度も噴射してスポンジを押し込み、何とか除去しました。
よく乾燥させ、凹部の両端にマスキングテープを施し、コーキング剤がはみ出さないよう養生します。
そこへコーキング剤を充填し、ヘラで均します。
コーキング剤が乾燥してからマスキングテープを剝がすと……
凹部が綺麗に埋まりました! 写真では凹凸がありますが、肉眼ではそれほど気になりません。
これで水が入ってカビるのを心配しなくてよくなりました。
見た目や施工のことを優先して維持のことが考えられていないものは工業製品として失格だと思います。売ってしまえば終わりだなんて、酷く前時代的だなぁと思います。そういったものは買わないようにしているのですが、これだけはどうしようもなく、こんなことになってしまいました。これからも十分に気を付けて物選びをしていきたいです。
2023.6.13(火) 1263 梅雨時の励み
【園芸部】庭の一番よく見える場所に植えてあるヤマボウシ(ホンコンエンシス)と紫陽花(アナベル)が満開を迎えました。
富士フイルム X20(以下同じ)
ヤマボウシはお馴染みの白い総苞片を枝一杯に広げてくれました。これを観るために植えたと言ってもよいほどです。
アナベルは植えて以来あまり元気がなく成長も遅かったのですが、今年は一気に成長して大きな花を沢山咲かせてくれました。
梅雨時で天気があまりすっきりしませんが、ふと庭を見る度に白い花が励ましてくれるようで、日々の小さな癒しになっています。
先日植えた紫陽花「ダンスパーティー」も無事咲きました。蕾がまだ沢山あるので、これからが楽しみです。
2023.6.4(日) 1262 お姉さんパワー
【日録】愛知県の犬山モンキーパークへ行ってきました。
我が子にとっては初めての遊園地です。目的は……
あつこお姉さん!!
テレビでしか観ることができなかった、しかもあまり観ることができなくなってしまったあつこお姉さん(小野あつこさん)が近くまでやって来て、しかも入場料だけで会うことができるなら、行くしかないでしょう! この目で観たい、空間を分かち合いたい!(←何故か親が熱くなっている。)
『おかあさんといっしょ』は我が子も録画して何度も見るほど好きなので、この報せを知ってから家族皆んなで楽しみにしていました。
会場は開演40分前に到着した時点でほぼ満席、おおよそ500人以上、1000人近くは入っている感じでした。物凄い人口密度です。私にとっても久し振りの野外コンサート。開演待ちのこの高揚感はたまりません。
11時、あつこお姉さん登場! 会場からは子供達の大きな歓声と拍手。そして私も感激。番組の歌や童謡などをお話を交えながら歌うお姉さん。子供達への気遣いや一体感。圧倒的な歌唱力の全力パフォーマンスで、あつこお姉さんの人柄と魅力を全身で感じる公演でした。我が子はドライなのか反応は薄かったのですが、一緒に歌を歌うなど楽しんでくれたようです。
遊園地自体、子供の頃連れて行ってもらって以来何十年振りかに訪れました。いつの間にか逆の立場になっていて、私が子供の頃親はこんな気持ちでこんなに大変でこんなに楽しかったのだなあとしみじみ思いました。
普段の私はあまり元気がないと言われているのですが、今日は「いつもの○○(私)と全然違う。」
と家人に言われました。早起きして町内行事の河川清掃を行い、それから車を運転してモンキーパークに出掛け、コンサートを楽しみ、遊園地で子供と半日遊び、帰りも運転し、帰宅したら町内の寄り合いに出席するという過酷なスケジュールでしたが、全く疲れることなく積極的に過ごすことができました。
「あつこお姉さんのことが好きなんでしょ!? こんなに元気なのはおかしい。」
家人に問い質され、何も言うことができませんでした。最近になって過去のCDを買い揃えたりしておかしいと思っていたらしい。番組現役時代から放映を密かに楽しみにしていたのがとうとうバレた。でも悪いものではない、むしろ良いものなので、隠さず生きていこうと思います。『おかあさんといっしょ あつこお姉さん 卒業記念写真集 笑顔と元気をありがとう』も当時買えませんでしたが、ようやく胸を張って(?)買うことができました。
2023.5.28(日) 1261 五色の薔薇
【園芸部】庭の薔薇が満開を迎えました。
Nikon Z fc・NIKKOR Z 26mm f/2.8(以下同じ)
赤、朱、桃、白、黄の順に植えてあります。元々は色の並びを考えずに購入した個体を無計画に植えていったのですが、生き残ったものがたまたまこのように並びました。アブラムシの防除(粒状の農薬を散布)と黒星病の対処以外は全く手を掛けていませんが、毎年少しずつ成長し、今年は高さが1.5m程になりました。一株当たり何十輪も咲かせてくれるのがとても嬉しいです。
2023.5.13(土) 1260 恰好いい五十音表
【日録】子供がひらがな・カタカナ・一部の漢字を読むようになったので、仮名には法則性があることを理解してもらうために、五十音の表を壁に貼ることにしました。
折角なら様になるものを貼っておきたいと思ったので、これまで目にしてきた五十音表の中で一番恰好いいものを選びました。
2013年5月に東京で開催された写植展に貼ってあった『かな(カタカナ)の成り立ち』という五十音表です。(→写植レポート*moji moji Party No.4 写植讃歌 ~mojiから伝わる音色~)
これはプロスタディオの手動写植オペレータ・駒井靖夫さんが手動写植機PAVO-KYを使って一発印字したもので一切切り貼りはなく、その美しさや品格、細やかさに感動したものです。
子供は早速興味津々で、仮名の並び順を感じたり、音読して面白がったりしていました。秀英明朝SHMの仮名の美しさが解るのは、まだまだ先かな……。
そんな我が子はまた漢字のようなものを作って喜んでいました。漢字を教えた訳ではないのですが、どこかで見たものを再現しているようです。
2023.5.4(木祝) 1259 わたしがいたところ
【日録】家族皆んなで私の実家に行き、母も交えてゆっくり過ごしました。
Nikon Z fc・NIKKOR Z 26mm f/2.8(以下同じ)
近所に散歩に出掛けると、かつて私が暮らしていた頃の記憶が蘇ってきました。行こうと思えばすぐに来られる場所ですが、随分遠くなってしまったようにも思いました。桜並木が知らない間に太くなっていたり、母校の小学校が自由に入れなくなっていたり、新しい家が建っていたりと、私が知らないうちに変わっている場所もありました。それでも我が子や母と一緒にこの街を歩いていると、私が子供だった時のことを思い出しました。いつも家事と育児に追われ、仕事に集中し、写植の活動も何とか続けていると、何かと余裕がなく時間はあっという間に過ぎていきますが、あの頃のゆっくりとした時間の流れが私の中にも戻ってきました。
散歩を終えて、自分の部屋があった2階へ上がる。……うちってこんなに古くなってしまっていたのか……。両親しか住まなくなった実家は若さが失われ、随分草臥れてしまったように見えて少し哀しくなりました。仕方がないことではありますが、いつまでも変わらずここにあってほしいという気持ちとは裏腹に、時の流れの残酷さを感じました。
私の部屋は……
出て行ったあの日のままで時間が止まっていました。
沢山の書籍や何百枚のCD、数百本のカセットテープ、アニメのグッズ、重過ぎて止む無く置き去りにした「菅沼タイプライター」などなど。極限まで行動を絞り、時間を限界まで節約して必要なことしかしていない今の自分から見れば、未熟ながらも自分の世界観を持ち、豊かな時間を過ごしていたんだなぁとしみじみ思いました。
学習机に置き去りになっていた「コピックスケッチ」は、何年も使用していなかったにも関わらずインクが乾燥することもなく、今でも十分描けることが判ってとても嬉しかったです。
20年近く前に渋谷パルコで開催された「印刷解体展」で購入した金属活字も机の引き出しに残されていました。えるたん(千反田える/『氷菓』)が岐阜県代表のイラストになった『角★コミ』の絵葉書もその隣にありました。大好きだったなぁ。今見ても本当に可愛い。
引越した時に行方不明になってしまった、大切なあの方の御本も見付かりました。それもサイン入りとなしの2冊ずつありました。さすがにこれは置き去りにするのはとても忍びなく、手元に置いておくべく持ち帰りました。ここを読んでおられないとは思いますが、本当にごめんなさい。
今回実家でゆっくり過ごしたことで、かつての自分がどんなだったかがよく分かり、慌ただしさの中に多くの部分を置いてきたままにしてしまっていたことに気が付きました。そしてこうして過去の自分に再会し、大切にしていたものが自分の所に還ってきたことを嬉しく思いました。
実家を出てから何度も転換期があり、別人のようになってしまった部分もありますが、根幹にあるものや大切だと考えていることは揺らいでいなかった。それを確かめることができたのが大きな収穫でした。
2023.5.3(水祝) 1258 期待の植え込み
【園芸部】大型連休の恒例行事、さつまいも畑作りをしました。
富士フイルム X20(以下同じ)
手慣れたもので、畝立て、マルチング、植え付けまで1時間足らずで出来てしまいました。何度もやると要領や理屈が解って作業が洗練され、無駄がなく理に適った方法が身に付くものなのだと我ながら思いました。
もう一つ気になっていたのは、外壁側に作った花壇の成長し過ぎたアイビーです。これはこれで気に入ってはいたのですが、昨年は蔓が外壁を伝い根を張ってしまい、除去と壁の塗り直しにとても苦労しました。もう懲り懲りなので、思い切って全て取り除き、代わりに紫陽花を植えることにしました。
紫陽花は左から「ブルースカイ」と「ダンスパーティー」です。後者はかつて友人から苗を貰い、今では大きく成長して庭先を彩ってくれている品種です。今回植えた個体も環境を気に入ってくれれば大きく成長し、良い景観を作ってくれることを期待しています。
2023.4.22(土) 1257 白い花祭り・つづき
【園芸部】庭の白い花が更に増えていることに気付きました。
富士フイルム X20(以下同じ)
昨年テラスの支柱の根元に植えた木香薔薇(モッコウバラ)がたった1年で大きく成長し、数え切れないほど沢山の真っ白な花を咲かせていました。辺りには木香薔薇特有の爽やかな甘い香りが漂います。これだけでもこの花を植えて良かったと思わせる魅力があります。
花の直径は3cm程度と小振りですが、よく見るときちんと薔薇の形をしています。
家の中では、数年前に親戚から貰った石斛(セッコク)がひそやかに薄紫の花を咲かせていました。元々野生の品種で毎年の開花を約束してくれるものではないので、2輪同時に咲かせてくれたのには驚きました。この控えめな振る舞いが好きです。
2023.4.16(日) 1256 白い花祭り
【園芸部】庭を見ると、いつの間にかあちこちに白い花が咲いていたことに気付きました。
富士フイルム X20(以下同じ)
大手毬(オオデマリ)は紫陽花のように房状の花を枝一杯に咲かせていました。
昨年植えた時は咲かなかったので心配していましたが、大きく育って沢山の花を咲かせてくれてとても嬉しいです。
移植してからあまり元気がなかったイベリスも、暖かくなってから急に勢いを増し、体一杯に真っ白な花を纏っていました。
2月に植えてもらった椿の仲間「エリナカスケード 」も控えめながらうっすらと桃色に化粧した白い花をひそやかに沢山咲かせていました。
植物達が私の庭の環境を気に入って沢山の花を咲かせ、春の訪れを喜んでいるのを見ると、私もとても嬉しくなります。せわしない日々ですが、居間から庭を眺めるほんの一瞬が心を癒してくれます。
2023.4.9(日) 1255 大人も楽しめる子供の歌
【日録】果てしなく続く名曲発掘の旅。
もはや音楽「だけ」を聴くような時間の余裕はなく、それでも常に新しい音楽に飢えていて、困難な中で探索を続けています。
毎日のように我が子と見ている子供番組から発掘してしまいました。
1曲目は、横山だいすけ・三谷たくみ『世界中パレード』(2012年/『おかあさんといっしょ』より)。
この曲は幸福でワールドワイドな歌詞もさることながら、作編曲もそれに相応しい作りで、1990年代の渋谷系が席巻したあの頃の多幸感溢れる大人な音楽を彷彿とさせます。これは親世代が子供と一緒に聴いて心を摑まれるのを計算して作っているのでは……?
残念ながらネット上ではきちんと聴くことができません。あれこれ検索してみてその雰囲気を是非味わってみてください。ポップス好きには堪らない筈です。
2曲目は、鈴木翼・新沢としひこ『ハートでタッチ』(2021年/番組不詳)(→YouTube ※冒頭に広告あり)。
初めて聴いた時はあつこお姉さん(小野あつこさん)が歌っていたのですが、ストリングスのフレーズやピアノの分散和音、キャッチーで濃いめな感じから、「ササキトモコさんが『アイドルマスター』に提供した曲なんじゃないか」と思ってしまったほどそれらしくて、たまたま録画したこの歌を何度も聴いてしまうほどでした。この歌も高揚感が素晴らしいです。アイマスでカヴァーしたら盛り上がるだろうなぁ。
子供向けの音楽だから子供騙しということは決してなく、完成度の高い作品が多くあり、何十年と沢山の音楽を聴いてきた大人だからこそ分かる魅力もあります。そのような良質な音楽を我が子と一緒に楽しむことができるのはとても幸福なことだと思います。
2023.4.1(土) 1254 新しいレンズで観た桜
【日録】桜の時期が平年よりも一週間ほど早いので、桜見物に行ってきました。
Nikon Z fc・NIKKOR Z 26mm f/2.8・絞りf/2.8開放(以下同じ)
岐阜県東濃地方在住の人ならお馴染みの、多治見修道院です。桜の名所は数多くありますが、人が少ない所で過ごしたいので、ほぼ毎年ここに来ています。
ここを撮影した写真は2006年4月9日に撮影した画像(サイトのトップ画像)が残されています。「亮月だより」に残されているのは、2014年4月6日付のものがあります。そこからまた撮影に使うカメラが変わり、撮れる画も変わりました。この十数年で、私が置かれている状況も大きく変わりました。
時間がなく駆け足での鑑賞と撮影でしたが、もうすぐ散ってしまうだろう桜達の晴れの姿を目に焼き付けることができました。
今回ここを訪れて写真を撮った動機のもう一つは、最近購入した新しいレンズを試したかったからです。
2023年3月3日に発売されたばかりの「NIKKOR Z 26mm f/2.8」です。
Zマウントのレンズを単独で買うのは初めてでした。Zマウントのカメラは「Z fc」を持っています。キットレンズの「NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR」は小型で持ち運びやすく良く写るのですが、F値が大きく暗いのであまりぼけず、スマートフォンで撮影した写真のように平坦になってしまいます。かといってぼけを出そうとすると手持ちのFマウントの明るいレンズを装着することになり、 「FTZ」を介さなければならなくなり、どうしても大掛かりになってしまいます。
そんな中、風の便りでパンケーキ型の明るい単焦点レンズが発売されたと聞きました。画角は26mm。35mmフルサイズ判用のレンズで、APS-CサイズのZ fcでは39mm相当となり私にとってちょうど良く、薄くて大掛かりにならないので購入に至りました。
ニコンではAPS-Cカメラ用に24mmの単焦点レンズの開発を進めているようですが、凝り性の私のこと、将来的には35mmフルサイズ判のZマウントのカメラを購入すると思われるので、将来を見越してという意味もあります。
Z fcに装着してみました。レンズがボディの厚みぐらいしかない!
外観もZ fcによく似合います。
これからこの組み合わせで気軽に連れ出して、本格的なカメラらしい立体感のある写真を沢山撮りたいです。
2023.3.31(金) 1253 別れの日に
【日録】3月最後の日となりました。この日は慌ただしくも、これまでの日々を惜しむような空気に包まれ、職場のあちこちで花束や拍手に囲まれる人の姿を見ます。
私にも、別れを惜しむ方がいます。
仕事で新人だった頃、何も分からない私を指導してくださり、仕事の面で礎を作ってくださり、4年前に再び同じ職場になり、私が一番辛かった時期に手を差し伸べて救ってくださった方。誰も私の変調に気付かなかったら、きっと今の私はいなかったと思います。
この日を迎えるに当たり、どうしても気持ちを伝えたくて、夜中に手紙を認(したた)めました。人と話をするのは苦手なこともあり、直接言葉で伝えるには思いが多過ぎて、短い時間では伝えたいことを伝えきれないのではないかと思ったからです。
数日前に餞別とともに手紙をお渡しし、そして迎えた今日、最後の日。
「じんとしました。ありがとう。これからも君らしく、自分のペースで無理をしないで頑張ってね。」と労いの言葉を掛けてくださいました。「○○さんのように辛い思いをしている人を救えるような人になりたいです。長い間ありがとうございました。」
……言えた。伝えることができた。そして確かに伝わった。私がずっと思っていた感謝の気持ちが。感慨無量でした。
恩返しができたかは分かりません。それでも、○○さんから頂いたものを引き継ぎ、辛い思いをしている人に寄り添い、前を向いて進んでいくよう道筋を作れるような人になりたい。この別れの日に、そう強く思いました。
*
(※ここからはやや重く冗長な自分語りです。興味のある方だけどうぞ)
また、この一年(度)を振り返る時期がやって来ました。
過去の職場で辛い思いをし、焼け野原になってしまった私の心は、3年かけてかなり復興してきたように感じています。夕方の街に灯りが点っていくように、焦土の上に花が少しずつ増えていくように、かつての私を取り戻しつつあるように思います。
この一年間はその思いを強く感じることができました。
そしてやっと心に余裕が出来てきたように思います。家族や職場の人達と和やかに接することができる。「自分って本当はこういう人間だったのか」と、自己肯定感を高めることができました。
そして顕著だったのは、人と会いたいと思えるようになったことです。写植の取材もそうですし、何年も会っていなかった友人に連絡を取って久し振りに再会することができました。人と会うことはとてもエネルギーが必要です。それができるようになり、自ら会いたいと思えるようになりました。友人と再会した時、かつての自分がそのままその友人に保存されていたような感じがして、「自分を取り戻した」と実感しました。
かつての自分と違うのは、置かれている場所から感じ取れる状況の解像度が以前より大幅に高まっていて、状況を見渡して的確に判断できるようになったということです。かつては状況をうまく把握できず、頭の中が混沌としていて、自信がなく、他人任せで逃げ腰だった。それが心の調子を悪くしたことで、焼け野原から復興していく過程で考え方をゼロから再構築することになり、入出力が最適化されたのではないかと思います。仕事も私事も、把握できる情報量や自分が作り出した成果物の出来栄えがかつてと全然違う。これは厳しくも優しかったあの人やあの人のお蔭でもあるのかもしれません。
また、何年来の悲願だった懸案も解決され、これもまたとても画期的な出来事でした。
心の中でいつまでも尾を引いて残るようなことが解消され、見える世界が明るくなりました。心も軽くなって、出来ることが増えたように思います。
このように、この一年(度)は、焼け野原の復興から次のステップに移り始めるのを予感させるようなことが沢山ありました。本当に長かった。ここまで何とか持ち堪えてよかった。そのように感慨深く振り返ることができます。支えてくれた家族や友人、職場の人達、亮月に対して関わってくださった方々のお蔭だと思っています。繰り返しになりますが、新しい一年(度)も、誠意を持って、私の本当の気持ちを大切に、前向きな姿勢と言動で取り組んでいきたいです。
2023.3.9(土) 1252 春の彩り
【園芸部】庭の水仙が満開を迎えました。
富士フイルム X20(以下同じ)
更によく見てみると……
ここのところ暖かい日が続いたからか、昨年は3月末に咲き始めていたムスカリが一株だけ咲いていました。
いつも冬ではなく春先に咲く椿も、鮮やかな紅を差してくれました。
黄、紫、紅と庭が鮮やかになってきて、本格的な春の訪れを教えてくれました。わくわくするような、それでいて少し寂しい気配が近付いてきているような、この時期独特な心境でいます。
2023.3.1(金) 1251 新しい季節を教えてくれた
【園芸部】庭の花壇に新しい色が見えるのに気付きました。
富士フイルム X20(以下同じ)
花壇の左下辺りに……
黄色い水仙の花が小さな頭を出していました。
今日から3月。いつもより寒かった冬がようやく終わり、これから少しずつ暖かくなっていくことを教えてくれました。 |