●過去だより676〜700
2012.1.7(土) 23:40 700 あけました
謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
本年もよろしくお願いいたします。
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三が日に制作した年賀状を一昨昨日から昨日にかけて投函し、ようやく人心地がついた管理人です。例年なら三が日は初詣に行く以外は大抵ぐーたら過ごしてしまうので、何もしない時間を有効活用して絵に集中できたのは良かったかも知れません。でもやっぱり12月中に早く仕上げて冬休みはゆっくりできる方がいいなぁ。
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【イラスト制作部】1997年以前と2000年の未公開だったイラストを掲載しました。
殆ど自己満足ですが、1993年に初めて描いたイラストや歴代年賀状・暑中見舞い等主要な作品を中心に載せました。特に年賀状は自分にとって前年を象徴するものを題材にしているのでその変遷がよく判ると思います。
古い作品は恥ずかしいものばかりですが、全くイラストを描けなかった人間がどのように悪戦苦闘しながら楽しんできたかを感じていただけたら幸いです。今年の私の年賀状をお持ちの方はそれと見比べるのも面白いかも。
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『けいおん!』のテレビ版を観たい、観たいと言って早や半月。今日になってやっと録画を観ることができた。
第1作の1〜3話の率直な感想。入部して追試にめげず唯がギターを買うに至るまででまだ序盤といった感じだったので本作が何を言いたいのかはまだよく分からない。ムギちゃんの権力(?)で唯が欲しいギターを5分の1まで値切るとか無茶な展開もあるけど、それにも増して入部の時の躊躇い(ほわわんの唯が泣く!)や試験勉強をサボってしまうような体たらくをありありと描いているのが人間臭くていい。クスリと笑えるような小ネタも私には合ったようだ。絵が気に入ってサウンドトラックも秀逸なのは予習済み。
劇場版に同行してくれた友人が語っていたようなケチョンケチョンにする作品じゃないかも知れないな。続きを観てみよう。
2011.12.31(土) 15:52 699 年末輻輳
【亮月写植室】「財団法人日本地図調製業協会」という地図関係の業界団体から写真提供の依頼を受け、この度機関誌『地図ジャーナル』No.170(2012新春号)に管理人が撮影した写真を掲載していただきました!
地図業界も印刷技術が関わる以上DTPのような技術革新は免れず、様々な器具装置を伴う手描き+写植版下の時代からコンピュータによる制作へと急速に変化したとのことで、それを象徴するような写真を使いたいということでした。
以前撮影した手動写植機「PAVO-KY」の主レンズと文字盤の写真を使っていただきました。表紙に採用いただき驚きました。写真の右下には「写真提供:『亮月製作所』桂光亮月」のクレジットも。
こんな事は初めてだったのでとても嬉しかったです。お話をくださった担当のT様、本当にありがとうございました!
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【日録】冬期休暇に入り心身休まるかと思いきや、28〜30日の3日連続で夕方から翌深夜にかけて用事があり、年内完成予定だった年賀状の制作を始め色々なものが滞ってパンク寸前です。睡眠不足で眠い・だるいですけどやらなかん。
・年賀状は進捗率40%、元旦に間に合いません。三が日も無理かも……すみません。
・メールは順次返信していますが、万一連絡すべきものが届いていない・内容が変等ありましたらお知らせください。
そういう状況でありながらアレですが……冬休みの友(原稿づくりの気晴らしとBGM)に……『けいおん!』関係の書籍やCDを出先で買い込んでしまいました。
『けいおん部カラフルメモリーズ!!』『けいおん!名場面線画集 SIDE A』『同B』、アニメ版1・2期のサウンドトラックとOP、ED。ハマっているというよりも興味に任せて入力量が多すぎてゲシュタルト崩壊気味。画と曲が良いのは充分分かりましたが肝腎な話の内容は如何に。あぁ、早く原稿を終えて本編の録画を観たい……。
もう1回劇場版を観に行ってもいい等とも思い始め……誰か観に行きません?(おらん)
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【日録】(ちょっと重い話かも。苦手な方は今日の記事の末尾へ)
何かと波瀾の一年でした。
昨年から引き続いた亮月写植室の建築から手動写植機導入、設立。写植室の見学会と講演。写研の「フォント開放の試み」発表。春先から半年間に亘る日常が奪われた状態とそこからの解放。激しく翻弄されながらも何とか歩いてくることができました。
この3〜4年間原因不明の自信喪失状態にあり、以前書いたようにやる気が出ない・出来ない自分と戦っています(鬱ではありません)。嘆いていても仕方がないので、意志に反するマイナスの傾向を徹底的に燻り出し、それへの根本的な対策をするようにしています。
自信は全くないのにやりたい事ははっきりしている、という状況に置かれた時、信ずるものが無ければどんなに苦しくて面倒臭くて怖くても最善だと思う方法をただ選択すれば良い。それはとても気が楽なことで、根拠のない下手な自信は捨ててしまった方が行動に至る迄の過程を無駄に踏むことがなく、自分がする事に対して思い悩む必要がないので負担が少ないと思うのです。行動に対して本当に必要なのは、自信にすがる傲慢さではなく個々の選択に対し責任を持って引き受ける真摯さだと思う。
収穫の為には種を蒔く。それをただやれば良い。芽が出なくて当たり前。結実すれば有難い。その為に日々日常を大切にし、地味に着実に積み重ねる。見えざる何かに追い詰められた感がある中で分かったのは、実に単純な事でした。底に在れば落ちようがない、自信がない故の強さだと思いたい。これからも戦います。
先述のように今年は大きな変化がある一年でした。ぼんやりとしたものは何か手の中にあるような気はしていて、「まだ何も始まっていない」から「始まったかも」ぐらいにはなれたと思います。
積極的に関わってくださり、長い間ベコベコだった私を奮い立たせてくれた方々に感謝します。ありがとうございました。来年もどうぞよろしくお願いいたします!
さて……原稿に戻りましょうか。
(BGM:『けいおん!』『けいおん!!』オリジナルサウンドトラック/2009、2010)←アニメ版のサントラも秀逸でした! なんか悔しい。
2011.12.24(土) 18:22 698 同じベクトル
【日録】昨日は所属の写真サークルの年末イベント「望燃会」に参加した。
名古屋に到着してから時間に余裕があったので大須で店巡り。19日の投函で「秀逸」と書いた『けいおん!』劇場版のサウンドトラックと……気付いたらテレビ版の京都アニメーション公式画集『けいおん部カラフルメモリーズ!』を買っていた。“絵の資料”であれば買ってよいことにしているのだ(←そういう問題ではない)。
そうして臨んだ望燃会。
まずは夕食に向けてうどんを打つということでカラオケ店へ。粉と塩水を持参し、歌う勢いを使って生地を足でこねてしまおうという算段らしい。なるべくこねやすい曲調の歌を選ぶ面々であった。しかし歌に合わせて生地を足蹴にする姿はどう考えてもシュールだった。
そのようにおかしな場面設定ながら、メンバーの歌のレベルはとても高かった。Rさんと古めの歌やみんなのうた系列でハモりが決まったのはとても気持ち良かった! 原曲のキーで歌った『なごり雪』を褒めてもらえた。自分がこの声で良かったとちょっと思った。Tさんが綺麗なコーラスを入れてくれた♪
一番印象に残ったのはKちゃんの歌った熊木杏里『最後の羅針盤』。自分を信じて進むことを歌っている。そしてその核心であるサビのメロディーとコード進行がこの上ない泣き所なのだ。メジャー調のベースラインがクリシェで1音ずつ下がるよくある展開を裏切るようなせつない音を次の4小節の頭で入れてくる。この歌の入ったアルバムを持っている(→2008.3.9の投函を参照)ので知っていたが、やっぱりズルイ! 実は私の「聴くと必ず泣く」一曲だったのだ。うるうるの顔は見られていない筈(笑)。
カラオケで充分にこね上げた生地を持って主催のRさん邸へ。ここで宴が始まる。
初対面の人達と炬燵の天板でうどんを切る。会場の準備をする。食卓には美味しそうな料理が並んでいった。個性派揃いなのにこういう所ではベクトルが同じ方向を向いていることが判る。だからか居心地はすこぶる良い。
6畳の会場に集まったのは最終的に18人! 正座から身動きが取れず膝が痛くなるほど人がひしめき合っている。そこに流れる和気藹々、まったりとした時間。食事が落ち着いてくると楽器の音が聞こえ始め、合奏が始まった。これを一番の楽しみにしていたが、結果Nさんのレベルの高い演奏を例のバスメロディオンでサポートすることになり、酸欠寸前まで弾き(吹き)倒すことになった。低い音を高速で弾こうとすると大変な事になる! でもそこがいい!
夜が更けてくると次第に人が減ってゆく。お喋りと楽器の音が飛び交う賑やかさは祭りの後の余韻へと。私は気持ち良く飲んだ為泊まらせてもらうことになり、残ったメンバーの議論の席に加わった。早寝に切り換えてしばらく経っているので日が変わった辺りから記憶が断続している。打ち明け話もしたが、聞いた話は殆ど頭に入れられなかった。申し訳ない。翌5時まで。
次の日起きたのは10時。Rさんと朝から真剣に語らう。色々と話題は尽きなかったが、「好きなタイプは合コンに行かない人」というのが一致して可笑しかった。堅く握手。どうか幸多き日々になりますよう。2日間ありがとう。
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(BGM:映画『けいおん!』オリジナルサウンドトラック/2011.12.21)←映画館でBGMが気になって仕方がなかったように、アルバムを聴き込んでみたら好みなものが沢山詰まった一枚でした。『けいおん!』と切り離しても独立した音楽として何度でも聴けます。
2011.12.21(水) 21:11 697 こんなサイト辞めてやる!?
【日録】世知辛さや自分の無力さに打ちひしがれ、自暴自棄になって「こんなサイト辞めてやる」と思ったことが何度もあります。
そういう時に限って良い知らせや問い合わせが入ってきてサイト運営の燃料を大いに得る、というのの繰り返しが常になっています。
普段サイトや活動に関するメールを頂くのは(具体的な頻度を言えない程)多くはないのですが、ここ1ヶ月はやり取りが激しく、逆に活動が滞っています(でも、ありがたいことです)。
年賀状のイラストを描かなければならないのですが、上のような経緯でなかなか着手できずにいます。
ただ、絵そのものについては時間がある時はなるべく落描きするようにしているからか、恐ろしいほど描けなくなった夏から見れば少しずつまともになってきた気がします。
『けいおん!』の唯は初めて描きました。15分でこんな感じですが、ちゃんと描けているのか、唯に見えるのかようわからん……。もっと研究してみなければ。じゃなかった、年賀状の題材の練習もしなければと思いつつ、元旦に間に合うにはぶっつけで本番を描き始めないともうタイムリミットという板挟みを抱えて年末進行に突入しそうです。
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2011.12.19(月) 22:34 696 初けいおん!
【日録】17日(土)、友人と『けいおん!』の劇場版を観に行きました。
『けいおん!』の存在は最初の放映前から知っていましたが、テレビアニメは観たことがなく(録画はしたが意志を持って観なかった)、オープニングテーマと「みおちゃんと呼ばれているキャラがいる」ことぐらいしか知りませんでした。
今回「映画化するぐらいなら観てもいいかも」と思い直し、キャラの顔と名前だけ覚え、敢えて作品の前知識を入れないで初けいおんに臨んでみました。
……なんか、テレビの2時間スペシャルのような印象。大きな展開に心揺さぶられるようなこともなく、割と淡々と5人が卒業旅行に行って帰ってきたような感じでした。
といっても退屈ではなく、絵柄は可愛くて緻密だし、日常的なやり取りや仕草もとても細かい。ということは『けいおん!』は軽音部の女の子達のほのぼのとした日々をただ楽しめばよい、ということ? だとすれば淡々としているのも納得できる(演出が過ぎるとリアルさは失われる)し、そういう現実的な生活を軸とした作品は好きです。高校の部活動(演劇部)が女子9割だったのであの頃の記憶が懐かしく思い出されました。
本作はサウンドトラックが秀逸で、生演奏+古めのシンセサイザーによるポップな曲調がすばらしい。CDが出たら必ず買うと思います!
テーマソングの『Unmei♪wa♪Endless!』は弥が上にも気分が盛り上がる高速フレーズだし、オープニングの『いちばんいっぱい』は『雨に唄えば』のような3連譜で跳ねる爽やかで前向きな一曲。バンド+オーケストラの伴奏には英国風味(特に間奏はビートルズっぽい)も感じられ、好みの曲調の真ん中が来た。
私が気に入ったものはその途端に終わるという高確率で発動するジンクスがありますが、それはそれとして、アニメの第1作から観てみようと思います。
急性バンドやりたい病に罹った模様。今度の休みの写真サークルの合奏が楽しみだ……! バスメロディオンで狂ったようにベースラインを弾いてみたい。鍵盤苦手なのにね(笑)。
(BGM:放課後ティータイム『Unmei♪wa♪Endless!』『いちばんいっぱい』/2011.12.7)
2011.12.11(日) 19:44 695 いいものを見る
【日録】この土日、泊まりがけで写植関係の用事で関東へ行ってきました。
土曜日の午後からの主目的の件が終わってから、事前に関東へ行くことを知らせていた写植関係の繋がりの方と杯を交わしました。とても貴重な物を拝見し、興味深いお話を聞かせていただき、ありがとうございました。
土曜日の深夜には皆既月蝕があり、じっくり観る機会に恵まれました。五反田にある個人経営の宿に泊まったら女将さんが「ねぇねぇ、今日月蝕なのよ!」と屋上に上げてくださり、天文好きの息子さんも一緒に遮る物がない夜空を観察することになりました。Hホテルさんありがとうございました!
取材用に持って行ったレンズ(17〜50mm F2.8)なので撮れた写真はピクセル等倍でもこんな風ですが、この日は朝から快晴で、いつもより見える星の数が多いという夜空に浮かぶ赤茶けた満月を拝むことができました。
今日新幹線で帰途に就いたのですが、昨日から引き続き快晴で、車窓から素晴らしい富士山が観られました。
雲一つなく澄んだ空気の中に鎮座する最高の富士山!
個人的には、新横浜〜小田原間にある三角屋根しかない住宅地も異様で見所だと思っています。
何だかいいものを沢山見た今回の旅でした。
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【音楽制作部】しんがっきと言えば新しい楽器のことである。また買ってしまいました。
鈴木楽器製作所の鍵盤ハーモニカ「バスメロディオン B-24C」です。
小さい頃から低音が好きで、家のテレビの低音設定は最大にしていました。そのため家族も全員低音好きで、テレビ選びの最大のポイントは「低音がきちんと出ること」でした。妹とはよくベースパートの鼻歌を歌って遊んだものです。今でも低音がよく出るヘッドフォン(MDR-Z900)を使っています。
そんな管理人が欲しかったのは「低音専用の鍵盤楽器」でした。ギターやベースは弾けないが、鍵盤なら直感的に弾けそうというのと、小学校の音楽室にあった「バスマスター」という低音オルガンがとても印象に残っていたのです。
ただ、今自分が置かれている環境では、電源不要・簡単に持ち運べる・予算が趣味の範囲である、というのが必須条件なので、それに相応しい鍵盤楽器を探してみました。
バスマスターは楽器としては一番の選択だけど、上の条件には当てはまりません。……電源不要の鍵盤楽器と言えば、最近所属の写真サークルで鍵盤ハーモニカを弾くのが流行っている(?)のを思い出し、それの低音用がないかと探してみたら……あったのです!
どうやら国産の鍵盤ハーモニカではこの機種が唯一のようで、すぐに注文をかけました。サウンドハウスにて11800円也。多分一番安い店だと思います。
東京から帰ってきたら届いていたので早速弾いてみました。手持ちの電源不要楽器(ソプラノ・アルト・テナーリコーダー、B-24C)で多重録音。童謡『ぶんぶんぶん』から冒頭2小節を。
→20111211.mp3 (4楽器、6秒、152KB)
→20111211_b24c.mp3 (B-24Cのみ、6秒、152KB)
練習は5分もしていないので演奏の腕は考えないことにしておいて、B-24Cは普通の鍵盤ハーモニカと比べると音の立ち上がりが遅く、強く吹き込まないとはっきり鳴ってくれません。和音を弾くには肺活量が要求されるので、どちらかと言えば単音で演奏するのが主になりそうです。
音域はF〜e1ということで、弦楽器のベースより1オクターブ上の音が鳴ります。音色は太く、多重録音で他の楽器と合わせた感じではこれで充分力強く支えてくれるような印象でした。
リコーダーなら考えなくても音と運指が1対1で一致する感覚がありますが、鍵盤楽器は弦楽器の次に苦手としているのでまだ頭の中にあるベースラインをすぐ追いかけられる状態ではありません。楽しみながら習得していきたいと思います。
2011.12.9(金) 18:34 694 【速報】「写植の時代」展、開催!
【写真植字】大阪DTPの勉強部屋さんが「写植の時代」展を開催されるとのことです!
告知チラシの画像*によると、2012年2月17日(金)から21日(火)まで(19日は閉館)の14〜21時、大阪市北区のメビック扇町にて。解説講座や座談会もある模様です。
座談会は平日か……。今から仕事の休みを取っておいて行くしかなさそうです!
* 情報源は workstationm さんの「ついっぷるフォト」
2011.12.3(土) 13:15 693 あと1ヶ月
【日録】今年もあと1ヶ月を切りました。いつになく波瀾の1年でしたが、まだまだその波は収まりそうにないようです。いい方の波が、来るかも。
年賀状はようやくイラストの案を出したところで、描いたことがないものに対してどこまで再現できるかというのが毎年の悩みどころです。作者にとって前年を象徴するものを年賀状の題材にしているので、予想通りのものが届いたり「イラスト制作部」に載ったりすると思います……。
今年は一度全く絵が描けなくなっているのでそこから再起する訳ですが、簡単なレベルからのリハビリが必要なようで模写に取り組んでいます。こんな恰好や表情の時はこう描く、というのを体で覚えるところから。ピンチです。
描き始めた中学生の頃は人間の絵が描けず、図画工作や美術は良い成績を取ったことがなかったのでそこから見れば進歩していることになりますが、下を見て安心するのは後退への第一歩なのです。
せめて人並みに描けるようになるまでは上手い人から吸収しつつ描きたい世界を創っていきたいと思います。十数年描いててこんなのは情けないですが、怠けて更に描けなくなるのはもっと情けないので、とにかくやるっきゃない!
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果てしなく続く名曲発掘の旅。
・シモンズ ヒット・コレクション(1971〜1974年作品)
『明治チェルシーの唄』で有名な女性フォークデュオ。この歌は高校生の時に買った『懐かしのCMソング大全』に収録されていて、シモンズの名前も知っていたが特に意識することはなかった。しかし最近ラジオで『ひとつぶの涙』を聴きとても感動しアルバムを購入した。
透明感があり少し甘みのあるハーモニーがすばらしい。「モーレツからビューティフルへ」の香りがするフォークと歌謡曲が融合した情景豊かな編曲。ラヴソングばかりなのに清々しくてしつこくない歌詞もいい。
聴いていると景色が広がる、こういうような歌と歌い手が好きだ。収録曲全てを愛せる一枚。こういう素直であたたかみのある歌が今の世の中にこそ流れていてほしいんだけどなぁ。
・やまがたすみこ ゴールデン☆ベスト(1973〜1978年作品)
シモンズより若干後に登場したフォークシンガー。高音を得意とするまっすぐな歌声と童謡のような曲の世界が持ち味だったようだが途中でニューミュージック方面に転向、歌声も低めに抑制されたものに。年齢のこともありそうなったのだろうけど、私は初期のしみじみほのぼの路線を押し通して欲しかったと思う。ニューミュージックをやまがたすみこが声の持ち味を抑えて歌う意義を私には見出せなかった。
やまがた歌曲は『南の虹のルーシー』(1982年)のオープニング『虹になりたい』が涙の出るほど好き。このアルバムには収録されていない。
・フランス・ギャル ベスト(1964〜1968年作品)
自作曲『空想旅行の夜』はフレンチポップ風、と書いたくせに聴き込んだことはなく持っているイメージだけで作ってしまった。その反省を込めて一番よく知られた彼女の作品から聴くことにした。
『夢みるシャンソン人形』は勿論、その洗練された感じは今後見習いたいものばかりだった。だみ声っぽい歌声が寧ろ可愛らしさを増大。アイドルポップスの溌溂さはどこの国でも変わらず心地の良いものだ。
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『日常』のアニメの再放送がNHK教育テレビ(今は「Eテレ」って呼ぶんですか、そうですか)で来年1月7日から放映されると知り、7月のアナログ停波によってテレビ愛知が観られなくなった管理人には大ニュースでした! 26回を12回に編集して放映するようですが、それでもとても嬉しいです。
しかしNHK教育で放映ってドユコト? 確かに夕方放映してても安心して観られる作風ではあるけど、いかんせん内容がシュール過ぎる。
東海地方での再放送はないだろうと思ってブルーレイ1巻が2980円で投げ売りされていたのを買ってしまったばかりですが、まあ……NHKで放映されない話もあるだろうし、2980円なら多分全巻買っちゃうんだろうなぁ。
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※視力は両眼1.5だが遠視のため近い所を見るときは眼鏡をかける
(BGM:シモンズ ヒット・コレクション)
2011.11.21(月) 21:55 692 分かち合う場所
【日録】トップ写真の通り、少し前(12日)に奈良へ行ってきました。
訪れたのは小学校の修学旅行以来。その頃の記憶は殆ど失われているので新鮮な気持ちでした(昼食の場所だけは覚えていた・笑)。東大寺や春日大社といった“お約束”の場所も、今の自分の視点から見てみると歴史の奥深さや建造物の造形など、より豊かな感覚を伴って楽しめました。
今回の写真はその中から春日大社で見付けた寛永年代の吊り燈籠です。朱と深緑との対比、400年前の人と同じものを見、思いを共有することができる場所。またじっくり巡ってみたいです。
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【日録】19日(土)。所属の写真サークルの合奏練習の日。
26日に本番を控え、楽団メンバーの4人に加えRさんのウクレレユニットの相方Uちゃんも参加した。
課題曲は『きかんしゃトーマス』の挿入歌である、ゴードン&トーマス児童合唱団『じこはおこるさ』(→YouTube)。これをライヴカフェで演奏することにしたものだから、その曲目とは裏腹に議論が白熱し、真剣に弾き込んだ。各パートがどこでどんな音を出すか、どのようにハモるかまで細かく決めた。「なんなんだこれは!」と感嘆し、文字通り熱くなって薄着になる面々。この曲が相当気に入ったのか、昂揚しながらぐいぐいと牽引するKちゃんに圧倒される。そんな熱い熱い半日だった。
しかし当日、私は用事があって本番に出ることができない。この熱さを分かち合えないのがあまりにも残念でならない。どうか笑いを取って成功を収めてきて欲しい!
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【音楽制作部】新曲の歌詞が完成し、メロディーも8割方出来上がりました。
今回は詞と曲が同時に浮かんだサビから詞の世界を発展させてメロディーを付けるような感じです。いつもは完成状態の伴奏付きで思い浮かぶのですが、今回は思い付いたのが作ったこともないジャンルというか楽器編成なので、漠としたイメージしかなくてうまく音に出来ません。音楽の引き出しを増やさなければ……!
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(BGM:坂本真綾『おかえりなさい』『Buddy』、eufonius『アレセイア』、やくしまるえつことメトロオーケストラ『ノルニル・少年よ我に帰れ』/いずれも2011)
2011.11.17(木) 22:20 691 ボロボロになっても
【文字関係】15日(火)、名古屋の平和紙業で催された「たくましき日本の庶民と書体展」(FONT1000主催)に行ってきました。
前半は味岡伸太郎氏、七種泰史氏、祖父江慎氏によるトークショウ、後半はオープニングパーティーでした(祖父江氏はパーティーの途中から登場)。
実は参加申し込みをしなければならないのに気付いたのが前日で、既に予約終了となっていたところへねじ込ませていただくことになってしまいました。それに加え当日私は最悪と言っていいほど精神状態がすぐれず、ご心配とご迷惑をお掛けすることになってしまいました。色々とすみませんでした。
そんな状態だったので印象に残っているのは味岡氏が小塚明朝についてケチョンケチョンにしていたこと、祖父江氏の「モリサワの書体コードの『A』は明朝、『B』はゴシック、では『C』は何でしょう?」というクイズに答えて*「モリサワ+コズフィッシュ 伝統的文字サイズ表」を頂いたこと、この歳で写植をやっていることは相当変わっているらしいことぐらいです。記録を取っていたので興味深い話題は沢山思い出せると思いますが、自戒も込めてレポートは保留にしておきます。
*「書体のはなし」→「写植書体年表〈モリサワ編〉」→「モリサワ書体コード簡易解読表」を参照。この時ばかりは写植ファンで良かったと思った。
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【日録】16日(水)。夜に仕事が入り、その相手先でボロボロに言われる。その帰り道に夜空を見上げたら太く強い光が斜めに流れた。2本も3本も。しし座流星群だと後で気付いた。願い事を掛けることは頭になかったが、流れ星を見て「あぁ」と溜め息が漏れれば、それでいいと思った。
17日(木)。夕方に地元の団体の片付けで呼び出される。半年に亘り日常の大半を奪われ、辛くて憎しみすら抱いたあの集まりだった。が、作業をしながら与太話をしていると何だかほっとした。この街に生まれ育ち日々を過ごし、その一員として当たり前に受け容れられていることは実は有難いことだと気付いた。
ぎりぎりでも持ち堪えられるのは、こういう日常があるからだと思った。
(BGM:『日常の合唱曲』/2011.10.5)
【余談】『日常大百科』買いました。アニメ版は殊評判が良くないようですが、半年間日常を奪われた私にとっては作中に垣間見える普通の生活の匂いやキャラが奥底に抱いている気持ちがとても愛おしいのです。そういう時期に出会ってしまったから惹かれたのかも知れない。関係ないですがこの本で「丸アンチック」と混植されている漢字書体は一般的な相手である「新丸ゴ」ではなく「ソフトゴシック」(1994年電算用フォントとして発売、2009年PC用フォントとして発売)。モリサワのDTP用丸ゴシック体は漢字がモダンスタイルしかないので、そこから選ぶとしたら、角ゴシック体寄りで若干懐を絞ったデザインであるソフトゴシック+丸アンチックの混植はより自然に見えるように思います。更に関係ないですが、本書60ページの水筒を持ったなのがとてもカワイイと思う!
2011.10.29(土) 18:31 690 神戸から手動写植の火が消える。
【亮月写植室】「手動写植機ゆずります」を締め切りました。
予想はしていたものの、応募者はゼロでした。
「印刷博物館が既に4台の手動写植機を倉庫に保管している」という未確認情報を頂く等、気に掛けてくださっている方もいました。ありがとうございました。
応募がなかったのは手動写植機に興味がある人が誰もいないという事ではなく(そうであって欲しい)、個人が事業以外で写植機を持ち、維持することには多くの困難が伴うからだと思います。
幅1800×奥行1300mmを必要とし、330kgの巨体を支え搬入できる家屋であることが最低条件です。それだけの条件に適う建物を持っているか借りるかしないと手動写植機を置いておくことすらできません。恐らくこれが最大の障壁だと思います。私はどうしても手動機が欲しかったので建てましたが……。そして輸送費も相応にかかります。
現像のための暗室も水道込みで附属しないと不便(部屋でなくても暗幕で完全に遮光できればOK)です。現像用品や印画紙も勿論必要です。
そうして手動写植機で印字する態勢を外面上調えたとしても、今度は維持のための物品や知識が必要になってきます。例えば現像液や印画紙に新品を使っても黒々とした正常な「写植」が印字できない場合、何が原因かを探って解決しなければなりません。原因は単純に現像液の温度や時間や調合の問題か、光源が寿命なのか、主レンズ・JQレンズ・コンデンサーレンズ・ミラーに積もった埃なのか、あるいは他が原因なのか……。写植機についてある程度分かっていても、取扱説明書や資材カタログ、保守部品がないとお手上げです。私も中古の手動機を購入してから正常に印字できるまでに5ヶ月かかりました。
このように個人で手動写植機を持つことは現実的でない面が多く、応募なしは真っ当な結果だったと言うことができます。一線を越えると私のような変態に、いや、後戻りできなくなります。
所有者様によるとこの写植機は11月にも解体・廃棄されるとのことです。写植について強い想いをお持ちの方ですが、取材で充分にお話されたようで未練はなくなったとのことでした。
こうして神戸から手動写植の火が消える。
好きなものが衰え死んでゆく様をこの眼で仔細に見続けなければならない、それが写植ファンの宿命です。書体が生き残ったとしても、写真植字というシステムにはもう未来がない。我ながら大変なものを好きになってしまったと思います。
未来があるものを胸躍らせながら採り上げてみたかった、そう思うこともありますが、やはり私には写植しかない。去りゆく者に光を当て、当時を知る人達と共にしみじみと、かつ鮮明にその記憶を遺す作業というものもまた、独特の愉しみと充実感があるものだと私は感じています。
2011.10.27(木) 22:07 689『本と文字と!』に寄稿しました。
【文字関係】「遠近法ノート」さんの同人誌『本と文字と!』に寄稿させていただきました。昨日見本誌が届き、寝しなに少しずつじっくり読んでいます。
「出版・印刷・文字とデザインの関係者が紹介する出版・印刷・文字とデザイン関係の本」(ブックレビュー)が主。私は極めてアヤシイ立ち位置ですが、『印刷に恋して』という本のレビューをしています。
参加メンバーも記事の内容も思いがけず本格派で20ページという数字以上に充実。漫画や書体擬人化イラストもあります。
企画主の西岡さんが本職のデザイナーだけあって同人誌とは思えないような素敵なデザインをされています。書体選びや文字の使い方にも品があって私は好きです。
決してお堅い本ではなく、参加者それぞれが得意とするもしくは興味を持っている分野を楽しみながら書いています。文字に興味がある人ならば誰にでもお薦めできるので、読んでみたい人は11月3日の文学フリマへ行くべし!
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【日録】最近、長い友人知人に思いがけず再会したり関わったりする機会が多くなった。
かつての自分を知っている人だから、その時の自分に接するように今の自分に接してくる。今の自分がうまくいっていないとしたらそうではない自分を思い出すことができる。この懐かしい感覚。俗に言う「元気を貰っている」のではなく、本来あった位置に戻ろうと自分の中から元気を出すことができるようになる、それだけの事(いや、大切だけど)なのだ。
ここ数年で霧が晴れてゆくように色々な物事が解り始め、それと共に自分の至らなさにも気付いた。根拠のない自信と無鉄砲な行動力、無尽蔵と思えたやる気は、消えた。冷静になれたといえるが、内面の活力は失われた(外に見える行動量とは無関係で、やる気がなくてもやりたいからやらざるを得ないよう自らを仕向けることもままある)。
そういう時に、いい意味での「失われる前の自分」を知っている人と関わるのは錆び付いた心のエンジンを回すことができる最善の潤滑油になる。当時の状態の自分にうまく対応していた相手だから。
今前向きに関わってくれている人達もきっと、年を重ねるにつれて自分の中で力強く心を動かす原動力になっていくのだろうと思う。感謝を忘れずに生きていきたい。
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2011.10.25(火) 19:54 688 これからに期待
【文字関係】22日(土)、放送大学愛知学習センターの学生サークル「文字とコンピュータ」の第1回学習会を聴講してきました。
主宰の的場仁利さん(文字の旅人/休止中)は大熊肇氏の著書『文字の組み方』に刺激を受けたとのこと。社内で本づくりに関する講師をされていた中で、次第に情報媒体やその知識について知りたいと考えこのサークルを立ち上げられたとのことでした。
今回のテーマは「インターネットと集合知」ということで、前半は「これからのWebとの付き合い方」として画家でWebデザイナーの神澤有希恵氏、後半は「情報の海の泳ぎ方〜これからの『読み・書き』」として編集者でライターの杉山元康氏が講演されました。
講演に対する率直な感想として……
Twitter は全世界に繋がったネット上の井戸端会議のようなもの、と神澤さんは言われた。文字関係以外の友人は全くやっていない一方で文字関係の知人は当たり前のように利用している。境界に立っている私はやっぱりやらなあかんのかなぁ。
知識がWebに散在する現在、それは記憶するものからネット上に置いて読み書きするものになってきたが、人と対面して話をする場合はやはり記憶した知識がものをいうと思う。また、記憶されたものが多ければその分新たな発想を生む可能性が高くなる。知識をWebに参照し正確な情報として活用するにはやはり人間による制御や分別、議論が不可欠だ。私は過去に間違った情報をばら撒いたことがあるので尚更慎重にならざるを得ない。正確性が保証できないので口を出さない、というのが最近の姿勢だが、果たして好き勝手言っていた時とどちらがいいのだろうか。昔は無鉄砲だったなぁ。
サークルのメンバーは文字関係の業界にいないと思われる老若男女十数名ということで、全体像の概論を解り易い言葉で解説され、楽しくかつ興味深く聴講することができました。神澤さんの熱意と杉山さんの引き出しの多さに圧倒されました。
聴講者の中には私のように学外の方も多く見られ、文字好きのちょっとした集まりのようでもありました。今後も講師陣として文字界隈で著名な方が出られる予定とのこと。次回以降も聴講してみようと思います。
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【音楽制作部】4月から制作が中断していた曲が完成しました。
『心の望遠鏡(仮題)』改め『空想旅行の夜』です。
4月の段階で8割方完成していたのでイントロと細部を煮詰めました。作曲した当初に脳内で思い浮かんだ編曲からするともうちょっと洗練されたフレンチポップ風歌謡曲になる筈だったのですが、今の私にはこれが限界です。
「亮月が作ったと判る」と言われたことがあるので(自分らしさが出ることは良いことだけど)作風に偏りがあるのだと受け止め、もっと引き出しを増やしたいです。一方で「突き抜けそうで突き抜けないのがもどかしいような、この感じがいい」という感想を頂いたこともあります(笑)。
この曲の完成間際から、新しい曲になりそうな歌詞がぽつぽつと思い浮かび始めているのでうまく形に出来るといいなあ。また1年ぐらいかけてゆっくり作ろうと思います。
2011.10.16(日) 23:59 687 お茶の時間
【日録】随分涼しくなってきたので、以前ある店で見付けて使ってみたいと思っていたものを購入しました。
ロンネフェルト社のスリーピングポットです。
昨年の冬に出掛けた先でこのポットを使っていて(2010.12.19の投函参照)、初めて見たユーモラスな姿形や便利さが気に入り、1年弱購入のタイミングを伺っていたのでした。
早速お茶の時間にしました。
内部には穴が開いた仕切りがあり、手前に茶葉を入れてお湯を注ぎます。この仕切りが茶漉しの役割をするという仕組みです。
お湯を入れると仕切りの両側に行き渡り、次第に色がついていきます。注ぎ方が良くなかったようで茶葉が越流してしまいました……。
ポットを寝せた状態で所定の時間待ちます。これが「スリーピングポット」という名前の由来です。ずんぐりむっくりな形が可愛らしい。
中身がちょうど良い濃さになったら湯切りのためにポットを斜めに立てます。まるで踊っているようだ。
蓋はこんな感じ。ライオンの顔のような複雑な形をしていて、目と下顎にあたる突起がポット本体に引っ掛かって固定するようになっています。普段見えない所なのにこんな面白い造形が施されているなんて。
本日のお茶は「フォートナムアンドメイソン」のダージリン。
お茶を頂くまでの“手続き”も楽しく、今日だけで3回も頂いてしまいました♪
2011.10.15(土) 5:20 686 どうか忘れないで
【文字関係】活版デザイナーの澤辺由記子さん(temp press)が新たに「この世の活版」というサイトを立ち上げ、活版印刷に関する見聞を残されるとのことです。
澤辺さんは活版印刷のアーカイブに携わられており、写植を残したいと考える亮月製作所でも度々取り上げさせていただいています。
このサイトに『どうか忘れないで』(2007年)という歌が掲載されています。
シューマンの『トロイメライ』に活版への哀悼の気持ちを込めて澤辺さん自身が歌った作品です。夢の跡となりつつある活版を忘れないでほしいという思いが作風から滲み出ています。
私も以前『写植のキャンバス』という歌を作りましたが、敢えて写植全盛期のような希望に溢れる歌詞にしています。「今は決してそうではない」という現実との対比によって、終わりゆく写植の哀れさを一層濃く描けるのではないかと思ったのです。
活版も写植もどうか忘れないでほしい。そう思った次第です。
2011.10.2(日) 19:42 685 手動写植機ゆずります
【亮月写植室】一昨日から昨日にかけて、神戸にある元写植屋さんの取材に行ってきました。
並々ならぬ写植への想いをお持ちで、会社が阪神大震災によって被災してビルが潰れた中で救出され生き残った手動写植機 PAVO-KY と非常に多くの文字盤が今でも大切に残されていました。
関西での経験者の方の取材は今回が初めて。ユーモアたっぷりにお話しくださりとても楽しかったです。この二日間のことは追って詳しくレポートしたいと思っています。
PAVO-KY については譲渡先を探しているとのことでしたので、特設ページを作りました。→手動写植機ゆずります
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膨大な文字盤の中からずっと欲しかった書体をお土産に頂きました。その中から幾つか珍しいものを。
「ファニー」メインプレート(部分)
佐藤豊さんのサイト*で紹介されていた「ファニー」(1972年)です。
このサインペンで書いたような書体は写研から正式に発売されながらもいつの間にか手動機用の書体見本帳から姿を消し、印字されたものは見掛けるのに名前が分からないという状態でした。10年程前に佐藤さんの文章でこの書体を知った私は文字盤として現物を見たことはこれまでなく、長年どうしても手に入れたい書体でした。実際どうかは別として、私の感覚では「めっちゃくちゃ貴重!」です。
*タイプラボ→考えたこと考えていること→ランダムノート 中『消えた書体?』(1988年3月)を参照。
この文字盤は1986年7月製。書体見本帳に掲載されなくなってからも販売は継続されていたようです。
「ファニー」の3級漢字のサブプレート。こちらは1991年5月製でした。
他にもこんな文字盤が……。
楽譜組み用文字盤MU-V-1〜3です。1997年6月製。ディスプレイ付き機種専用とのことです。ある程度の音楽の知識が要求されます。
文字盤としては珍しい、冊子状の取扱説明書がついていますが……、
なんと罫紙に手書きしたもののコピーでした。相当需要が少なかったのでしょう。
最後の一枚は特段稀少でないように見える文字盤ですが、マニアックな部分で非常に珍しいものでした。
タイポス1212です。ビニール袋に入ったままで、購入したまま使わずじまいだったそうです。
外観は普通のかな文字盤です。しかし、
文字盤に記された数字は「0206」です。2002年6月ってこと!? そんなに最近まで写研が文字盤を作っていたという話は聞いたことがありませんが、それを否定する資料も手許にはありません。外観は昨日買ったと言われれば信じてしまいそうなほど経年劣化がなく、若さを感じます。
他の文字盤と見比べて状況証拠を探ります。
写真はサブプレートの角付近を撮影したものです。手前が先程の楽譜組み用文字盤(1997年製)、奥が問題のタイポス1212の文字盤です。
長方形の中に「15」という刻印があります。これは1990年代前半辺りまでに製造されたサブプレートには刻まれておらず(先述の「ファニー」にも無し)、この刻印があることはかなり最近になってから製造された証であると言えます。つまり、今回見付かった「0206」はやはり2002年6月を意味すると推測できます。
写研から直接回答を頂くことは、7月の「写研が動いた日」で取材した時の質問が未回答であるように期待できません。真相を知るにはまだ時間がかかりそうですが、写研が21世紀になっても文字盤を作っていた可能性が高いというのはなかなかぐっと来るエピソードだと思いません? 私だけ?
2011.9.22(木) 23:59 684 トラウマの克服(失敗)
【日録】何日か前の「デイリーポータルZ」に、『姫路モノレールで45年前にトリップする』という記事が掲載された。
昔の交通機関(旧道や鉄道の跡等)にも興味があり、姫路モノレールのことは数年前から知っていた。1966年開催の「姫路大博覧会」の交通機関として開業し、博覧会閉会後は乗客減による財政難から1974年に休止、1979年に廃止といった運命を辿っている。
姫路モノレールを知った当時は「建物の中にある駅跡が密閉され、車輛がプラットホームごと三十数年間放置されている」という状況で、1960年代の“未来の乗り物”が当時の状態のまま厚く埃をかぶっている写真を目にしたとき、見てはいけないものを見てしまったような気持ちになった。頭を洗っている時に目を瞑れなくなる程恐ろしかった。乗り物関係では最大級のトラウマになっていた。
今年になってその車輛とプラットホームの一般公開が始まったということを先の記事で知り、意を決して(大袈裟じゃないです)読んでみた。
車輛はピカピカに磨き上げられて開通当初の輝きを取り戻していた。車内も修復され、ちゃんと螢光燈が点いている。中に入って座席に座ることが出来る。軌道こそ切断されてしまったが、ホームも当時の広告看板や備品を活用し、新品同様に清掃されている。傍らには車輛の部品等様々な資料が展示されている。
こんなことがあるものだと感慨深いものがあった。覚えている人がいたからもう一度人の目に触れることが出来た。決して忘れ去られてはいなかった。
姫路モノレールは世界で唯一車輛が現存するロッキード式モノレールとのこと。今に至るには様々な波乱があったがよくぞ残してくれたと思う。せめてこれからは末永く愛される存在であってほしい。
……とここで終われば清々しい感想文になったのだが、そうはいかなかった。
不肖管理人、物にも情念を感じ過ぎる嫌いがあって、長年放置されたものや打ち捨てられたものを見ると勝手にその気持ちを汲み取ってしまうのだ。小さい頃から自動車の廃車置場とかそういう建物とかが本当にダメで、今でも手をかざして見ないようにすることがある。
栄光を経験したものが二度と明けないかも知れない暗闇の中で埃という時間の残滓を堆積してその日を待ち続ける気持ちはどのようなものなのか。三十数年間の絶望的なそれが充満した空間へ足を運ぶことは、今の私には出来ない。現代の空気を取り戻しているとしてもまだ残り香が強過ぎる(と勝手に思っている訳だ)。
トラウマの完全克服とはならなかったが、少なくともこうして語れるような存在にはなった。それだけでも私にとっては救いだ。
下記サイトが詳しいので参照してみてください。放置状態の駅や車輛の画像もあります。充分注意されたし(←私が)。
→麗しの姫路モノレール
2011.9.18(日) 23:59 683 音を重ねて
【日録】18日、所属の写真サークルの恒例行事“楽器ピクニック”で名古屋市内の庄内緑地公園へ。
二日酔いで体調はあまり良いとは言えず、しかも真夏のような暑さという過酷な状況。午前よりも午後、夕方に向けてゆっくりと調子を取り戻していった。
写真サークルなのに今日のメイン活動は楽器演奏というのは十分にツッコミが入る所だが、その日初対面でも音を重ねて相手との距離を縮められるのがいい。技量がなくても楽しさは伝わるものだ。
広い公園とはいえそれなりの大きな音が出ている。通りがかった親子連れが足を止めて聴き入ったり、近くの人達が誕生日のお祝いとして「『ハッピーバースデイ』を演奏してほしい」と頼んできたりと、なかなか面白い展開になった。
今日の一番は『サザエさん』。間奏の早弾きがスリリングで気分がどんどん盛り上がる。使う楽器はウクレレとリコーダーなのだけど。
日が暮れるにつれ少しずつメンバーが帰ってゆく。とともになかなか会えなかったNさん登場。夜は主催者Rさん宅で打ち合わせという名の合奏。3人で演奏する曲がほぼ決まった。
しかし私だけ今鳴っているコードが何か分からない。コード“感”が脳内に景色として見えるような感じ。普段打ち込みの耳コピで再現しているのはコードではなく、出ている一音一音とそれから想起されるコード感だったりする……。こんな風で大丈夫かしら?
2011.9.17(土) 23:08 682 我が道をゆけ
【亮月写植室】「写植レポート」に『写研が動いた日』として、第15回電子出版EXPOで出展していた写研の様子を掲載しました。
当日はかなり気分が昂揚していて冷静に取材するどころではありませんでしたが、いち写植ファンが見た現在の写研をレポートしています。ご笑納ください。
当日は書体デザイナーの中村征宏さんと写研の杏橋達磨さんには本当にお世話になりました。心から御礼申し上げます。
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【日録】果てしなく続く名曲発掘の旅。
一生に一度ぐらいは、自分の生涯に好きだった曲を全て振り返ることがあってもいい。
そう思い立ち、サイトの片隅で記録し続けている「好きな音楽作品履歴」を大幅に増補した。亮月製作所が旧URL(infoseek)に移転した2003年からは記録が残っていたので、それ以前のものを日記やカセットテープの曲目リストから復元した。
2002年以前といっても20年分以上あるので、今回は好きな曲のうちでも今聴いても間違いなく感動できるものだけを載せた。「懐かしい」だけのものは除外している。
こうしておよそ30年の履歴を見てみると、好きな作品の傾向はそれほど変わっていないように思う。歌謡曲は小さい頃から歌番組や父の持っているテープで親しんでいたし、谷山浩子『まっくら森の歌』→桑田貴子『風の羽』→笠原弘子『空へ…』→白鳥由里→坂本真綾(菅野よう子)という流れも納得できる。岡崎律子作品にも作者を知らない間に出会っていた。ぶんけかな『おっぱいがいっぱい』→小林幸子『風ぐるま』→イルカ『なごり雪』→沢田聖子『風になりたい』→『Love with You〜愛のプレゼント』→『フローネの夢』→『マルス2015年』→トライアングルセッション’99『めざめ』というように、哀愁漂う歌が小さい頃から大好きだった。太田貴子『デリケートに好きして』→鈴木真仁『おはよう』→横山智佐『あしたの勇気』→MAHO堂『おジャ魔女カーニバル!!』→やまとなでしこ『Spring Spring Spring』というアイドルポップ路線もずっと好きだった。
いわゆるシンガーソングライターよりも職業作家の作品の方が好きなようだ。流行りの歌は全くと言ってもいい程聴かない(共感できない)代わりに、曲が生まれた年代で差別することはない。30年前の曲でも出会った時点で新曲だ。
このような大きな軸を形成しながら好きな曲と出会っている。ぶれながら動いているので思いがけない曲が好きになることも多々ある。「もう新しい名曲に出会うことはないかも知れない」と思うこともあるが、間違いなくどこかで生まれていて、いつか私の耳にも届く。その度に幸せな気分になる。それがずっと続いている。
あともう10年ぐらい履歴が取れると面白いかも知れない。一人の人間が生まれてから居なくなるまでにどのくらいの量のどのような曲を好きになるのか。その傾向や変遷を客観的に見ることが出来るのはきっと面白い(興味深い)と思う。気楽に気長に続けたい。
こういう人間なので何の参考にもならないかも知れないけど、好きな曲が私と多く重なるようなら充分聴く価値がある曲ばかりだと思っている。
最近はゲーム『アイドルマスター』の曲を聴き漁っている。
『空』や『GO MY WAY!!』『“HELLO!!”』なんかは聴く度に泣きそうになる。
『GO MY WAY!!』のサビの手前に
♪(1番)「未来は誰にも見えないモノ/だから誰もが夢を見てる/どんな地図にも載ってないけど/どんな時代(とき)でも叶えてきたよ/さあ行こう!!」
♪(2番)「幸せと不幸せなんて/気持ち次第で変わってくから/どんな場所でも見付けられる/どんなことでも始めてみよう/さあ今!!」
というフレーズがあり、メロディーも優しく励ますような感じに盛り上がっていくので必ず涙ぐんでしまう。心が相当疲れきっているか歌があまりにも良過ぎるかのどちらかだろう。でも、本当にいいんですよ!! 今更だとしても!
音楽は何か作業のついでに聴くのでいつも詞はあまり頭に入ってこないが、多くのアイマスの歌は詞を聴かせる力を持っている。歌いたくなる。曲も以前書いたように抜群の良さを持つ作品が多いので演奏もいいかも知れない。その筆頭に『GO MY WAY!!』があるということだ。合奏しながら歌ったら泣くな、間違いなく。
2011.9.3(土) 8:58 681 おいしい夏休み
【音楽制作部+イラスト制作部+亮月写植室】某動画投稿サイトに新作をアップしました。
『独占!女の60分』という20年近く前に終了したテレビ番組のテーマ曲の再現です。小学生の時に毎週聴いていたその曲が余りにも強烈に印象に残っていて、いまだに我が家で語り種になるぐらいで、どうしてももう一度きちんと聴きたかったのです。音盤化されていないなら自分で作るしかないということで。
8月10日の投函で「イラストが全く描けなくなっていった」と嘆いていましたが、少しのリハビリで何とか回復しました。それとも何枚も描いてきた初音ミクだから楽に描けるのだろうか。
『女の60分』のテーマ曲は1975年に渡辺宙明氏が作曲した典型的なディスコサウンドで、私の好みのど真ん中。それにちょっとえっちなコーラスが乗っかってくるのが必ず笑えてしまい、自分の中のトップテンに入れてもいいような曲です(笑)。
今まで外注(?)に頼っていた写植も亮月写植室で印字できました。印画紙やアウトラインデータを受け取るのに1〜2日かかっていたのが1時間で済むのはありがたい(でもバラ打ち以外は写植屋さんに頼もう!)。
動画としては初めて複数枚の絵を使いましたが、前半の頻繁に切り替わる絵に対して後半が静止画1枚で単調になってしまい、そういうコメントも頂きました。これからは演出みたいなものにも気を遣わないかんのかなぁ。
動画投稿サイトは音楽や絵を公開する場としてはかなりシビアなので、品質向上のためにも今後も精進したいと思います。
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【日録】「つくつくぼーし つくつくぼーし なつがおわりまーす」
ツクツクボウシは夏の終わりに鳴くことを、『よつばと!』で、しかもこの夏に初読で! 知った色々と情けない管理人です。
昔からメジャーなものに対して意地でも相手にしない性分でした。おそらくそれが損失になっているのだろうと仮定して、この8月からは気になるもの・気にしていたものから手に取るようにしています。
やはりその通りで、じわじわと本作に惹き込まれていったのでした。お気に入りキャラは恵那。かつて居たことがある二つ隣の街だ……。「那」の字に新旧の文字盤(電算フォント)が使われていて面白い。 そこが気に入ったんじゃないけど。
気付けば9月。8月は本当に怒濤が如く過ぎていきました。
8日に解放され、すぐに「大阪DTPの勉強部屋」さんの写植室見学会+勉強会の準備で2週間弱かかりっきり。20〜21日にその本番を無事終了し、22日は所属の写真サークルの展示会最終日。その翌日からは「遠近法ノート」さんの同人誌企画の原稿づくり。28日からは並行して前述の『独占!女の60分』の音楽・イラスト・動画づくりも進めました。
自分の処理スペックギリギリの日々でした(これで? とか言わないの!)。でも毎日が“たっぷりミルクがかかった氷いちご”のように濃厚で、それまでのぬるい水を飲まされ続けるような半年間と思うと鮮やかで前向きで充実していました。休みではないけど夏休みのような気分でした。
これから気が抜けてだらしない生活に戻ってしまっては意味がないので、また新しいことを見付けてやっていきたいです。
(BGM:『独占!女の60分』テーマ曲/渡辺宙明作曲/1975)
2011.8.28(日) 7:28 680 夏が終わる
【亮月写植室】新たに備品を据え付けたので「写植室日報」に掲載しました。あ、写植関係じゃないです。→亮月写植室
「大阪DTPの勉強部屋サマースクール」に参加された何人かの方がレポートを書いてくださいました!(ありがとうございます!)
参加者の tonybin さんが写植室で印字する風景を動画に撮ってくださっていたので紹介します。動作する写真植字機の動画はJAGRAの「写真植字の時代」(→YouTube)に次いで2例目ではないでしょうか。
→YouTube「亮月写植室にて(2011.8.20)」
→YouTube「亮月写植室にて(2011.8.20)その2」
参加された方は現役でDTPに関わられている方が殆どで、亮月製作所がそれに耐えうるかしらと思っていましたが、レポートを拝見すると楽しんでいただけたようで、引き受けて良かったです。
見学会は短い時間に限られていたので、興味のある方はまた見に来てやってください。
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【日録】22日(月)。夏休みを取った。サマースクールの興奮冷めやらぬまま朝から居たのは名古屋市営地下鉄本陣駅の構内。所属の写真サークルの写真展の最終日の店番をすることになっていたのだ。最終日にして初めて参加した。
平日なので客足は鈍い。眠気覚ましにイラストを描きながらの店番となった。時折来る知り合いにほっとする。
夕方には主催のRさんも到着。やがて何人か集まり、撤収。1時間足らずで何もない会場に戻った。夏が終わったと思った。
前日の写真を見せてもらうと、打ち上げにサークルメンバーが多く集まったようだ。精魂尽き果てて参加できなかったのが残念。その場でしか会えない人もいる。また来年、会いましょう。
お盆を過ぎると朝晩が冷え込むようになり、夜は虫の音が聞こえるようになった。夜の時間が長くなってきた。夏の宿題(「遠近法ノート」さんの同人誌企画への寄稿)も殆ど出来上がった。
夏の終わりは秋の始まり。一番好きな季節に多くの収穫ができるよう精進したい。
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【日録】夜型から朝型へ切り換えてもうすぐで2ヶ月が経つ。
8月上旬まで3時半起床の超朝型を強いられてきたが、この生活リズムが定着してしまった。3時半起きはあまり意味がないので5時起き、22時半就寝だけど。
中学生辺りからずっと翌零時半頃まで何となく夜更かしし、朝起きるのが辛いというだらしない生活をしてきたが、今回の件をきっかけに切り換えてみた。
15年夜型だったので今でも起床時は体が抵抗するような感じだが、すっぱり起きて少しずつ活動を始める。ぼんやりしていた頭はやがてすっきりしてくる。
平日だと朝の時間は限られているのでやるべきことを効率的に(強制的に)進められ、夜型だった時よりもかなり捗っている気がする。日中は調子が出る程ではないが、以前よりは何でも気持ちよくできる。休日は午前の時間がとても長く感じられ、8時起きでだらだらとテレビを見ていた時と思うと有効時間は3倍ぐらいになった(今はテレビはCMと天気予報、録画したアニメしか見ない)。早目に出掛けることが全く苦じゃなくなった。
とにかく「何もない日常の時間」が実は貴重なのだと痛切に分かったので、無駄な時間はできるだけ省き、まずやらなければならない事を済ませてからやりたい事をやる。そうすれば時間がなくて慌てる事はあまりなくなるし、気持ちに余裕ができて穏やかな心で過ごせる。それは人として当たり前の事だと思うが、気付く事もできないぐらいだらしなかったという事だ。
朝型の生活は自分を厳しく律することが必要だ。まだ2時間も寝られるのに起きる訳だから、起きなければならない状況に追い込まなければならない。つまりこの2時間にやる事が必要になる。そうして成果が得られると達成感がある。2時間寝ることに対抗できるのはそれがあるからだと思う。
だらしない自分が現れないうちに先手を打ってしまおうという考えだ。自分自身を制御しているような気分。そうすれば自動的に朝型できちんとした生活が保たれる。後ろ盾には「貴重な日常が失われるのは嫌じゃ!」という身に沁みて分かった強力な思いがある。
朝型に切り換えたからと言って劇的に何かが良くなる訳ではないと思うが、前向きな気分と手応えを感じている。ずっと朝型でいいかも知れない。
2011.8.21(日) 21:59 679 サマースクール、終了しました!
【亮月写植室】「大阪DTPの勉強部屋」さん主催のサマースクール(勉強会+亮月写植室見学)が無事終わりました。
岐阜の山奥までお越しくださったのは大阪、奈良、京都、東京、愛知から10名、様々な世代の男性女性の方でした。遠くから、そして近くからもありがとうございました!
1日目午後の亮月写植室見学では3班に分かれてご参加いただき、写植の説明や写植機・資料の見学と閲覧、そして一人ずつ写植機を実際に操作して印字も体験していただきました。オペレータ経験者である「なんでやねんDTP」の大石さんによる詳しい解説と操作の補助があり、皆さんに写植を楽しんでいただけたと思います。
それぞれの見学時間が大幅に超過してしまい、「セラトピア土岐」へ移動してからの勉強会の時間が少なくなってしまいました(すみません)。その中で私が『写真植字がある日常。』と題して1時間強お話しさせていただきました。話し手なのに××そうになるなど綱渡り状態でした。
勉強会終了後は懇親会に参加させていただき、文字に関わるそれぞれの立場からのとても濃密なお話を伺うことができました。話題は尽きず、私よりもずっと熱意のある方達ばかりでした!
2日目は1日目に続き勉強会ということで、参加された方が一人ずつ発表をされました。DTPといっても様々な業種がある訳で、なかなか知ることができない仕事の内容や改善への取り組み、本音を聞くことができ、非常に興味深かったです。また、「しろもじメモランダム」のmashabowさんによる即席フォントづくりでは、参加者全員の書いた文字から仮名フォントを作るという面白い試みがされ、原字を書いてから30分程でフォントが出来上がり文字が打てた時は感嘆の声が上がりました。
昼食は地元の「ちゝや」という独特のタレがかかったカツ丼が名物のお店へ行ったのですが、前日「コメダ珈琲店」でカツサンドを食べられた方もいたのですね。私はというと食事中からものすごい眠気に襲われていて碌にお話もできずじまい、どちらもすみませんでした(>_<)
亮月写植室を設立して初めての見学だったり、6年振り2度目の講演をさせていただいたりということで、普段催しに出向く側の者が来ていただく側で臨むという非常に新鮮で刺激的な体験でした。
準備に1週間半しか時間が取れず、見学も講演も手探り状態で至らぬ点が多々あったと思います。遠くにも関わらず岐阜で勉強会を開こうと企画された主催のえむさん、写植に関して全面的に助けてくださった大石さん、不慣れな私を寛大に許してくださり、あたたかな言葉をかけてくださった参加者の皆さん、本当にありがとうございました。
写植室の見学は随時受け付けていますし、今後もこういった活動をしていきたいと思いますので、またよろしくお願いいたします。
2011.8.14(日) 7:39 678 後輩に呼ばれる
【亮月写植室】「写植室日報」を更新しました。手動写植機PAVO-JVの整備について。→亮月写植室
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【日録】11日(金曜日)。
会社の別の課にいる後輩に呼ばれる。「○○さんってフォント詳しいんですよね? ちょっと困ってるんで見に来てもらえませんか?」……フォントには詳しくはないよ〜と(写植しかわからんよと心の中で)言いつつ、どこかでその情報が拡散していることを恐れた。
その課に行くと、用件は「以前の掲示物に使ってある書体を特定して、一部を書き換えて使い回したい」ということだった。会社のパソコンに入っている書体ではないことは分かっているようだった。
昔取った杵柄でメーカーと書体名を特定すると課内がどよめいた。文字界隈の抜きん出た人ばかりを見てきたのでどよめかれる感覚が分からなくなっていたが、何かを特定することができるのはやはり難しいことなのだろうか。
それはそうと、このサイトが職場の人に見られている可能性が高いということだ。見られて困るような後ろめたいことはしていないつもりだが、好きなことを割と率直に書いているので恥ずかしいことは恥ずかしい。寧ろ見られていることをリミッターにして、誰に見せても恥ずかしくないような活動をしていければいいと思った。
12日(金曜日)。
半年の疲れを癒すため夏休みを取らせてもらった。
夕方から友人と会うため、買い物も兼ねて午後から出掛けた。
駅で電車を待っていたら、「○先輩!」と声が。しばらく会っていなかった後輩だった。平日に出会うのはなかなか奇遇だ。近況や写真の話等、次の駅まで色々と話した。
ちょっと気に掛けたものがすぐに現れることはよく経験するが、この半年間は「何か上手くいってないな」と感じていた。心に余裕があればこそ前向きなものが入って来やすいのだろう。一方で、余裕がなくても入ってくるものは自分にとってかなり重要なことに違いないとも思う。写植機も、写研の件も、写植室見学+講演の話もこの半年間に入ってきた。
知っている人と思いがけず出会うだけの事は、瑣末なことのようだけど実は瑞々しくて豊かな日常の一つなのだなあと、久し振りに何もない状態に身を置かれてみてしみじみと思った。電車の窓から見える景色が鮮やかで、細かな所まで見え、全部ありがたいものだと思った。見えなくなっていたのだ。
早朝にネットのニュースを見たら、坂本真綾さんが鈴村健一さんとご結婚との報せが。おめでとうございます! 来るかなと思っていたらとうとうその日が。末永くお幸せに。
(BGM:『ヒャダインのじょーじょーゆーじょー』/2011.8.3、『独占!女の60分』テーマ曲/渡辺宙明作曲/1975)
2011.8.10(水) 6:46 677 まだ始まっていない
【日録】朝型が定着した管理人です。
件の地元の行事が7日に終わり、穏やかな日常を取り戻し始めました。
今年に入ってから週1回程度→3月から週3回→4月から週4回深夜零時頃まで→7月から週4回+α早朝に実施、と半年以上に亘って取り組んできた訳ですが、行事が終わったという感慨も程々に、様々な思いが行き来します。
仕事以外でこれほど時間と労力を割いて取り組んだことはなく、限界を超えるような過酷な状況に自分が置かれたらどうなるかということがよく分かりました。
これまでここで色々と文句を言いながらやってきましたが、思っているよりも自分の心と体は頑丈に出来ていてなかなか壊れるものではないということ。体の故障や発狂(?)で途中棄権するようなこともなく、何とか最後まで見届けることができました。
一方で自分の弱さや情けなさも痛切に思い知りました。どのようなことが自分にとって苦手で克服しなければならないのか。自己嫌悪の日々でした。やる気や自信、生きる希望を失って何をやっても身が入らない状態でした。今に始まったことではありませんが、この半年間は顕著に現れました。日を追うごとに絵が全く描けなくなっていったのは悲しかったな。
そのような中、後退だけはしたくないと思い意地でも活動はできる限り通常に近い状態でやってきました。写植機導入に始まり、大阪DTPの勉強部屋への参加や写研ブースへの半日日帰り取材など一定の成果があり、無理を押してでも実行してよかったです。
6月に設立した亮月写植室としては準備が終わっただけで何も始まっていません。写植ファンサイトを12年運営してきたことなんてもはやどうでもいい。写植について未だ詳しくは知らず、書体や組版,デザインに関しては特に語れるものを持っていない所からの出発です。せっかく何もないのだから、様々なものを受け容れ、これまでなるべく受け流していた新しいものや同時代的なものへももっと目を向けたいです(亮月製作所を始めた頃はそういう風だった筈なのになあ)。
8月はこの半年間の余波があり忙しくすると思いますが、取り敢えず「還ってきました」ということでご報告まで。
2011.7.31(日) 20:40 676 限界迫る
【亮月写植室】文字盤を大量に譲って頂いたので、「写植室日報」と「保有書体文字盤」を更新しました。→亮月写植室
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【日録】地元の行事の本番を1週間後に控え、正念場を迎えています。
疲れとストレスが相当溜まっていたのか先週は感染症に罹ってしまい、顎の下が腫れて風邪のような症状が出るなどいよいよ限界が迫っている感がありました。幸いにも抗生物質の点滴と投与で3日経って良くなりました。
非日常が日常となった今。
3時半起床の気だるさも、体を拭くシートの桃のような香りも、意識が半分眠っている中全力疾走するのも、夜明けの全てを見届けるのも、何を食べても美味しい朝食も、日中の働かない頭も、自分の時間を効率よく過ごせるよう工夫するのも、小学生より早く寝るのも、『日常』にはまってしまったのも、全てこの時期を思い出すものとして強烈に記憶に残っていくでしょう。
残り1週間、無事乗り切りたいです。 |