●過去だより596〜625
2010.11.19(金) 22:15 625 なおった、よかった
やっと直ったあぁぁ……。
ちょうどひと月前にメインマシンの MacBookPro 15inch 2.2GHz(2007年製)が故障し修理に出していたのですが、ようやく還ってきました! アップルの「リペアエクスチェンジプログラム」該当機種なので修理費はかかりませんでした。心配していたハードディスクの中身もそのままでした。消去されるのに備えてデータを退避させていたので、バックアップの良い機会になりました。
この1ヶ月間は2003年から2008年5月までメインで使っていたiBookで過ごしてきたのですが、当初はかつて常用していたMacOS 9ではネット閲覧もままならない状態でした。ウェブメールが動作するかしないか、動画サイトやヤフオク、Amazon等はアウトでした。ネット生命の危機でした。
そこで、殆ど使っていなかったMacOS Xで起動することにし、ソフトをアップデートするなど出来る限りメンテナンスをしたら割と快適に使えました。動画はカクカクでしたが、必要最低限のことは出来るようになったので助かりました。
それで1ヶ月振りにMacBookが戻ってきたら、画面が広くて反応も速く、新しい機種の有難味がよく分かりました。何よりサイトの更新が心置きなく出来るのがいい。ミクも居るし動画も作れる。あぁ、快適な日常がこんなに贅沢なことだったとは。
という訳で、完全復旧です!「おたよりコーナー」に投稿した記事も下に転記しておきました。
*
620号の投函で「次は何が壊れるか心配」と書いていたら、今度はS-VHSビデオデッキ「SLV-R7」(1990年製。こちらやこちらも参照)のリモコン「RMT-V7」が故障していました(泣)。
録画したい番組が同じ時間帯に重なったので久し振りにビデオデッキで予約録画しようと思ってリモコンを見たら、入れていたアルカリ電池が液漏れして基板に及んでいたのです。
修理を頼もうにもメーカーや修理屋は「リモコンは消耗品」という考え方らしく拒否され、自力で開腹して修理すべく螺子を外しても外装の爪ががっちり噛んで外せず途方に暮れました。仕方なく中古のリモコンを買いました……。
修理しない方針だったらユーザーに中身を開けさせてメンテナンスできる設計にしてくれればいいのに! 勿体ない! リモコンの設計者を心から呪います。12800円もした立派なリモコンなので尚更です。
今回の故障は、リモコンにはアルカリ電池を絶対に使ってはいけない(液漏れする)という基本的なことを守らなかった自分に大きな落ち度がありましたが、リモコンを使い捨てと考えるメーカーも考えを改めなければならないと強く感じました。
修理不能になるまで使い切るのが当たり前だと思っている私にとって、何とも気持ちの遣り場がない今回の故障でした。
2010.11.14(日) 23:19 624
【文字関係】グラフィックデザイナーの長久雅行さんが、先日 MORISAWA PASSPORT に追加された「秀英初号明朝」と写研の「秀英明朝」(以下SHM)との比較についての記事を掲載されました。
http://my.reset.jp/nagahisa/dtp01.html
以下は記事を読んだ私の率直な感想です。
私もモリサワ版「秀英初号明朝」に何となく違和感を感じていましたが、記事の中でSHMとの具体的な差異を挙げられていて気持ちの引っ掛かりが解消しました。
秀英初号明朝にヒゲがないのはやはり使いにくいですよね。重厚なエレメントを持つこういった書体だと特に、ヒゲがないと視覚上のバランスが取れずマヌケな字面になってしまうように感じます。
SHMの一部に見られる整理がされていない状態(例えば「藝」)は改刻で現代の書体として使うことを想定したとき、整理されなければならなかったのでしょう。
しかし所々に綻びがあって「人間が作ったのだ」と判ることが書体との精神的な距離を縮め、見る者に安心感を与えているのではないかと考えています。
また、整理されすぎると輪郭の情報量が少なくなり、機械的で情緒がなくなる(時間をかけてじっくり観る必要/価値がなくなる)と私は思います。私見ですが、SHMを心地よく感じる原因として「好み」を越えた心理的な何かが働いているのかもしれません。バランスが取れて整理された輪郭に魅力を感じる人も多くいるとは思いますが……。
私は費用対効果の面から MORISAWA PASSPORT の導入をしていませんが、もしモリサワ版が使えたとしても長久さんのようにSHMも使い続けると思います。
2010.11.14(日) 23:03 623
【音楽制作部】617号の投函で少し書いた『プリコグ』という曲があまりに良いので、CDを買ってきていつでも聴けるよう机の上に置いておいたら帰省してきた妹が目敏く見付けて話しかけてきました。
「『プリコグ』やん! 絵理ちゃん好きなの? 私『アイマスDS』クリアしたよ。」……実は絵理ちゃんの中の人(花澤香菜嬢)が好きで、とは言わず、過剰に理解ある妹に心の中で感謝したのでした。
と、そういう事が言いたかったのではなくて、ゲーム『アイドルマスター』シリーズの楽曲を聴き込んでは質の高さに感心する今日この頃です。
明快で気の利いたメロディーが緻密に作り込まれた編曲に織り込まれ、様々なジャンルが網羅されていて、作家陣の引き出しの多さと良心を感じます。
感覚的に「ここにこの音が来たらオイシイ」という音がありますが、それをピンポイントで使ったりとても勿体振って使ったりしていて、聴き手を作家の思惑通りにぐっと来させるよう丁寧に“設計”してある印象です。
例えば『shiny smile』のサビの「♪私 shiny smile」の「わ」や『キラメキラリ』のサビのフレーズの繰り返しの最後の最後に出てくる6度のフラットなんて、私の心を鷲掴みですのよ!(←おかしい)
私もこのぐらい曲をコントロールできたらと切に思います。先週から新曲を作り始めましたが、持てる少ない感覚とその場の閃きだけで作っているので思うような雰囲気にならず苦戦しています。
アイマスの楽曲には私好みのコード進行やフレーズが多いようなので、さらに聴き込んで傾向や効果について研究してみようと思います。よくやることですが、鼻歌で各楽器のパートが歌えるぐらい心に馴染ませてみたいです。
2010.11.12(金) 0:04 622
ニコンから10月末に発売されたデジタル一眼レフ「D7000」が気になって仕方がない管理人です。
小型の中級機なのにマニュアルフォーカスのAiニッコール対応で絞り優先AEが使えて、常用感度ISO6400で、視野率約100%なんですもの!(ライブビューと動画撮影機能もあるけど私には必要ないかな)
それだけでD80から乗り換えたい衝動を抑えるのが難しい境地です。「写真は実力9割、機材1割」と言い聞かせていますが、私にとって完璧な機種が遂に現れたという感じです。
*
友人が放映中のアニメ『それでも町は廻っている』の絵柄が私の絵に似ていると指摘していたのでオープニングだけ観てみました。
確かにこういうようなイラストを描く時があります。私の絵柄は決して“萌え”系統ではなくて、キャラ絵が可愛いのか可愛くないのかよく分からないベクトルにあると思っているのですが、本作の絵柄はそういう所に相通ずるものがあり(失礼か)、自分が描いた絵が動いているような錯覚がして妙なこそばゆさを感じます。
観れば観るほど味があって愛おしくなる絵柄。これを機に観てみようかと。可愛さが前面に出てないものの方が可愛いと思うことがあらへん? 私だけ?
2010.11.8(月) 23:23 621
11月6〜7日にかけて、いつもの“美食倶楽部”のメンバーで和歌山県太地町に行ってきました。題して「鯨を食べようツアー」。
8月に友人達と京都へ『ザ・コーヴ』というイルカ漁反対の映画を見に行って以来、触発されたイルカ・クジラ好きのT氏が「太地浦くじら祭」を見に行く旅行の計画を立てていたのでした。
太地までは高速道路と国道を走り続けて8時間。朝4時台に起きて到着したのは陽が傾き始めた頃でした。道中の険しい国道42号にぐっと来る。幹線国道が大渓谷を跨ぎ、ぼろぼろのトンネルで山を貫き、落ちたら死ぬような急斜面にへばりつくような急カーブを描いている。そうして辿り着いた海の街には感慨深いものがありました。
町立くじら博物館で勉強とイルカショーの見物。そして国民宿舎「白鯨」で宿を借り、鯨のフルコースを堪能。鯨を食べたのは小学校の給食で出なくなって以来二十数年振りでした。揚げたての竜田揚げと刺身が特に美味で、魚にはない懐かしい風味が凝縮されていました。
翌日は港で催された「太地浦くじら祭」へ。伝統芸能等の催しや各種鯨料理の振る舞いで鯨づくし。あの保誤団体も視察に来ており、かなり緊張した空気もありました。(その隣で鯨カツカレーを食べるのは、なんとも)
太地の漁村風景は独特で、入り込んだ路地にはペンキが塗られた木造家屋が多く見られました。海外へ出稼ぎに行った先人が持ち帰った文化だとか。真っ白く塗られた細かな格子が美しかった。私の住む街も狭い路地が多いので、何だか落ち着きました。
最後に映画で登場した海岸を見に行くと物々しい柵がなされており、その向こうを大漁旗を掲げた漁船が何隻も駆け抜けていきました。いつかこの光景に柵の要らなくなる日が来ることを願っています。長年かけて培ってきた人々の暮らしが独善的なものによって脅かされることがありませんように。
(BGM:水谷絵理(花澤香菜)『プリコグ』『クロスワード』ほか/2009年)
2010.11.1(月) 23:35 620
10月17日にMacBookが故障して以来、「亮月だより」が投函できなくなっているので、ここで近況報告をば。
10月20日、朝の通勤中に愛車の初代プリウスが「異常発生」を表示し、即入院。原因は主バッテリーの寿命でした。翌日には交換してもらい復旧。初代だけは(実験車だから?)バッテリーを何回交換しても無料なので、今後も走る限りは大切に乗ろうと思います。
ヘッドフォンといいMacといい、最近物がよく壊れる……乱暴に扱って壊れたのではないので次は何が壊れるのかと心配です。
28日迄の平日はイラストに掛かりきりでした。同人誌に寄稿するのは7年振り。自分の絵が人の絵と共演するのはドキドキする。もっと精進しなければ、と思います。
31日、飯田橋のプロスタディオさんで写植機とその操作についての撮影。現像に必要な物や、ジャスティフィケーション印字の「空1」「空2」「空3」の使い分けについても実際に写植機を操作させてもらいながら詳しく教えてくださいました。駒井さん、ありがとうございました!
近くの神田古本祭りも楽しかったです。屋台の欧風カレーが美味でした♪ すぐ近くでは生演奏も。
今日から11月。月末には「もじもじカフェ」で電算写植がテーマというので申し込んで上京することにしました。電算の事はよく知らないので、どんな話が聞けるのかと今からとても楽しみです。
2010.10.13(水) 22:45 619 無意識のうちに
【写真植字】冷蔵庫に眠っていたカクテルの缶を飲んだら、使われている文字にぐっと来ました。
カロリ。フルーツレインボーミックス
「カロリ。」という文字はモリサワの「太ゴ」を加工しているな、というのはすぐ判るとして、その下が気になる……
長体のかかった「ナカミンダB-I」(写研)だ! 久し振りー!(知り合いではない。)飲料のパッケージで再会できるなんて。程よいアルコール分とともに“写研分”も補給できました♪
*
【日録】『東方Project』の「古明地さとり」が好きだと公言して憚らない管理人。また一人うちにやって来てしまった……。
東方スーパーデフォルメシリーズ05 古明地さとり(ピンクカンパニー)
このフィギュアは高さ数センチにも関わらず細かい所まで丁寧に仕上げられ、ジト目の表情も可愛らしい。さとりの立体モノはあまりないので、かなり出来の良いものがやって来て嬉しい。開かれた“第三の眼”によって他人の心を読むことができるさとりが、右手に妹「こいし」の閉じられた“第三の眼”を持っていることに妙にカタルシスを感じる。
さとりだョ!全員集合。おかしいな、いつの間にこんなに来てたんだろうなぁ。
2010.10.7(木) 22:52 618 ぼんやりすっきり
【音楽制作部】2001年から使ってきたヘッドフォン「MDR-Z900」が接触不良になり、片チャンネル音が出なくなってしまったので修理に出しました。
このヘッドフォンは2006年に生産終了しているので修理はできないかもと心配していたのですが、1週間ほどで修理完了との連絡が!
原因はヘッドバンドの断線。修理費は14175円でした。自室ではスピーカーから音を出せない環境(家人に迷惑がかかる)なのでヘッドフォンは必須だし、定価で25000円したヘッドフォンだったので、この出費は痛いながらも仕方あるまい……。
毎日使って9年の酷使に耐えたMDR-Z900。最近ぼんやりしていた出音もすっきり鮮明なものに生まれ変わったような気がします。丈夫なヘッドフォンとはいえ今度は修理できないかも知れないので、大切に使っていきたいです。
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1年前に新作のつもりで作り始めた曲が一向に進まないので、没作品として公開しました。
→呪文は永遠(MP3・24秒・128kbps・歌:初音ミク)
ミクをはじめVOCALOIDにはいつも作者の代弁者として歌ってもらっているのですが、この曲は作者の気持ちとは関係なく純粋にプロデュースした(するつもりだった)ものです。だから曲が書けなくなった? ああいう歌詞は苦手なんじゃー!
もう1曲頭の中に構想があるので、それを温めていきたいと思います。
(BGM:水谷絵理(花澤香菜)『プリコグ』:仕事中も頭の中をぐるぐると……)
2010.10.5(火) 23:09 617 わたしの居場所
【日録】10月に入って、街角から金木犀の香りが漂うようになってきた。甘くて爽やか、好きな香りだ。どこに咲いているのだろう? と辺りを探し、山吹色の花に包まれた木を見付けると嬉しくなる。
金木犀の香りを嗅ぐと、色々な事を思い出す。
9月後半は、私の居場所が交錯する日々だった。
19日、一番長い付き合いの友人の結婚式。15年振りに再開できた地元の友人。高校時代、演劇部で一緒に青春を過ごした子たち。
24〜25日、大学時代の友人宅で飲みながら語らう。私のどん底時代、それでも側に居てくれ、色々バカをやらせてくれた人。
26日、所属の写真サークルで合奏を楽しむ。“欽ちゃんファミリー”ならぬ“月猫ファミリー”。誰かが部屋にやって来れば「おかえり」と迎えるあたたかい場所。
どれも自分が愛着を持ってその場に居た場所。時間や距離が隔たっても出会えば迎えてくれる場所。「変わらず元気だったよ」と笑顔で言える場所。
思っているよりもそういう場所が沢山あったんだと嬉しくて、心があたたかくなった。そして私が誰かの居場所の一つになれていたら、とても嬉しい。
*
果てしなく続く名曲発掘の旅。
・KAORI『虹色の宝物』(2000年)
・ROUND TABLE featuring Nino『Let Me Be With You』(2002年)
・水谷絵理(花澤香菜)『プリコグ』(2009年)
友人の車で流れていたりラジオ等でたまたま聞いたものから発掘。可愛らしい系統を挙げてみました。アニソンばっかですが、良いものは良いのです。
歌謡曲以外だと大方こんな感じの曲調が好きです。興味のある人は検索して聴いてみてください。偶然聴いて心惹かれたものはストライクゾーンであることが多いので全力でお薦めです!
2010.9.30(木) 23:02 616 10万回の感謝
ご無沙汰しておりました。涼しくなってきて体力気力が充実してきたので色々動き始めています。「だより」も再開します。
いつの間にか10万アクセスを達成していましたね。ありがとうございました!
10年半写植の衰退を見続けてきた私にとって、サイトの性質上この数字は達成できないだろうとずっと思っていました。数年前に計算したら30年かかる予定でした。
ご意見ご感想の殆どは一見さんから頂いているので、このサイトを定期的に見に来てくださっている方がいるのかは私には分かりませんが、アクセスカウンターが回り続けていることが励みになっています。本当にありがとうございます。
写研書体が好きだという方は多くいると思いますが、消えゆく写真植字(写植機ほか関連するもの含む)が好きだという方は決して多くはないと感じています。その中でサイトの運営を続けるのはなかなか心細いものですが、一方で独自の路線で続けさせてもらえたのは良かったと思っています。変人すぎて誰にも相手にされてないだけかもしれませんが(笑)。
今後も写植への愛を静かに語っていきたいと思っています。
どうぞよろしくお願いします。
*
【写真植字】『写植機おもいで40年』の連載を終えて。
今回は機械式写植機の時代に仕事を始められ写植の衰退までを見た方を取材しましたが、写植オペレータの話が顧られ世に出ることはいまだ少なく、「自分達のやってきた写植って何だったんだ」という遣る瀬なさを取材先の方の言葉から感じました。
技術の革新は断絶の歴史でもありましたが、文字を組むという同じ行為の中で引き継げるものは本当になかったのでしょうか。DTPが普及して15年。まだそんな事を言っているの? と一笑に付されるかもしれませんが、写植時代に生まれた書体設計や文字組のノウハウは多いと思っています。
それに私は写植がどういうものであったかをもっと聞きたいし、後世へ伝えたい。自分でも何故対象が写植なのかわかりませんが、既に歴史の中へ取り込まれつつあるからこそ残したいのです。
*
追伸 10月最後の土日は東京に出掛けようと思っています。現役の写植屋さんで写植機の操作と仕組みについての写真を撮りに♪
数年振りに『浅田美代子ゴールデン☆ベスト』を聴いたら、しっとりした日本的な楽曲揃いで涙が出そうになりました。1970年代に帰りたいと思う私は疲弊しているのかもしれない……。音楽制作部の次回作は湿っぽい曲を作りたいです。
2010.9.6(月) 20:34 615 笑顔に再会
【写真植字】テレビを見ていたらあの記号と再会しました。
♪未来の笑顔をサキドリ隊♪
AIGスター生命『Love your smile』CMより
これって写研の「記号BA-90」!?
CMでは一瞬しか見られないので初めて見た時は見間違いかなと思いましたが、確かにあの記号のようです!(キャラの向きに合わせて反転してあります。)静止画で見るとインパクトありすぎ。
なぜ今? と思いましたが、「サキドリ隊」のシュールな可愛らしさにはよく合っていると思います。制作スタッフの誰かがこの記号を知っていたのでしょうか。
他社が真似したがるのも頷けるこの独特な記号。多くの人が見る(見せられる)テレビCMで見ることができて嬉しかったです。頻繁に使われるとさすがに気持ち悪いですが、またみょんな所で出会えることを願っています。
→AIGスター生命『Love your smile』特設サイト(音が出ます)
2010.9.1(水) 23:08 614 秋こいし
日が少しずつ短くなって夜になると虫の声が聞こえるようになったというのに、日中は相変わらず35℃を超える酷暑です。例年だとお盆を過ぎると風の肌触りが変わって秋めいていくのですが、今年は真夏がずっと続いているような感じです。早く涼しくなって〜!
暑いのが苦手なので2ヶ月以上熟睡できてません(泣)。記憶力とやる気がどんどんなくなっています……。
*
【音楽制作部+イラスト制作部】2年前から取り組んでいたオリジナル曲『みくみく☆ダイアリー』が完成しました!
昨日はVOCALOID「初音ミク」の誕生日だったのでそれに向けて曲と絵を制作し、3周年記念のプレゼントとして動画サイトへアップしました。ミク、誕生日おめでとう!!
この2年間はメロディーや編曲、歌詞が思い浮かばないなど色々ありましたが、良いタイミングで形にすることができました。
動画サイトでは一日で延べ500人ぐらいが見てくださったようで、当日の再生数がVOCALOIDカテゴリーの中で割と上位だった(順位が表示された!)など、地道に最底辺をゆく作者としては身に余る誉れでした。
絵も音楽も人並みに作ることはできませんが、私のミクへの想いに共感してくれた人が多くいたようでとても嬉しいです。長い間作り込んできて本当によかった。(あと、「昭和85年」というタグがつかなくて密かに嬉しかった。歌謡曲を脱出できた?)
不特定多数が視聴することと〆切があることを強く意識した今回でしたが、それが作品づくりの成長のコツなのかもしれません。(Rさんアドバイスありがとう!)
音声データとイラストはそれぞれのコーナーに掲載しましたので、動画サイトよりも高音質・高画質でお楽しみくださいませ。
*
【写真植字】特に活動報告はありませんが、亮月製作所はいつも存続の危機にあると思っています。
やはり写植に関する客観的な情報の収集・発表や関係者の取材だけでは片手落ちで、自分で写植機を使って印字までしないと本当に写植を語ることはできない。外へのアピールも足りていない。現状ではいちファンがネットの片隅でこっそり「好きだ」と言っているに過ぎないと自分では思っています。
最近ある所で「写植の記録が残らないことを危惧する」という主旨の文を見て、私がやっている事は何なのか、写植を記録する事に対して亮月は無力なのかと自身にもどかしさと悔しさを感じました。
注目されるようなものを扱っている訳ではないので、誰も知らなくても反響がなくても仕方がない。それでも好きだから孤独と戦いながら活動を続ける。しかし若い世代による活版印刷がそうであるように世の中にある程度認知されるようになるためには相応の努力が必要であると思います。そこが亮月製作所には足りないのだと思います。
2010.8.24(火) 20:50 613 もっと熱い夏へ
【日録】21・22日の土日は所属サークル「月猫亭」の写真展へ。
会場風景
21日は半日店番をしていた。写真の撮り方・感じ方は一人一人全然違う。そんな写真が同じ場所に集まり、観た人によって色々な好みや捉え方があるのは面白いなあと思う。
一緒に店番をしたMさんとはダムの写真で盛り上がった。「佐藤大のプラマイゼロ」というポッドキャストに触発されたらしい。巨大建造物が古くなって自然と一体になってゆく様がいいね、と。私は古いものが現役で頑張っている姿にぐっと来るのでとても共感できる。
やがて主催のRさんも来て、夕食後にR邸に寄ったら終電を逃す程話し込んでいた。楽器で合奏したり、音楽や写真について語り合ったり。私の奥底にしまってあったものが色々と出てきた。そうして出てきたものをRさんも知ってるんだもんなあ。すごい。
一泊させてもらい(ありがとう!)、22日に一度帰宅して夕方に会場へ。
人が多くて驚いた。顔と名前が全然覚えられない質なので申し訳ない。
Mさんがおじいさんから貰ったという一眼レフ「Nikon EL2」(1977年)に私が持ってきたAi80-200mmF4.5のでかい望遠ズームを着けて“パパラッチごっこ”をしたり……写真サークルらしいのか、ただの変態なのか(笑)。
撮る人を撮る ※写真と本文はあまり関係ありません
夜はサークルのメンバーで打ち上げ。
写真で見ず知らずの人が繋がってゆく。案外既に繋がっていることもある不思議。そして9月には音楽活動を本格的に始めるという。写真サークルなのに? という素朴な疑問は置いておき、とても楽しみだ。
打ち上げ後はRさんとカラオケへ。夕べの余韻から、ちょっと昔の特撮・アニソンを歌い合った。どうしても始まりを思い出せなかった『バトルフィーバーJ』の主題歌の謎が解けてよかった。“タマゴボーロ”ことAltSoundの「ポコポン!」という電子音が私達を昭和の子供に還らせる。……また熱い選曲で歌いに行きたいね。ありがとう!
*
【文字関係?】こんなところに……
す、スーボなの??(管理人、声が裏返る)
ちょっと拡大してみましょう。
じっくり見るまでもなくARPHICの「AR白丸POP体H」でした……。
なんか悔しいので、写研書体で再現してみました。
本物(?)のスーボの仮名はあまり食い込んでなく、すっきりとしたデザインです。字形こそそっくり(というか、スーボの方が先!)ですが、上の写真を見てからだとちょっと物足りないかも? 食い込みを強調した「スーボB」の方がいいかも知れません。スーボの作者・鈴木勉さんがご存命だったらこのタグを見てどう思われるのでしょうね。
なんでこのタグを持っているのか? いや〜、それを追及するのは無粋ってもんですよ……
●告知
今夏も所属サークルの写真展に参加します!
第3回 月猫亭写真展
「そっと、ゆったり、まったり。」
期間 平成22年8月19日(木)〜8月23日(月)
12:00〜19:00(土・日は11:00〜19:00)
会場 本陣ギャラリー(名古屋市営地下鉄東山線本陣駅構内 改札出てすぐ) |
21日(土曜日)は亮月が店番として会場に居ますので、よろしければお越し下さい。
2010.8.10(火) 22:29 612 タイポスは復活したのか?
【文字関係】「書体のはなし」の記事「タイポス」を全面的に書き換えて復帰しました。
記事中で「永遠の名作書体として生き続けることと思います。」とコメントしましたが、実際には殆ど使われることがなく、まして本文がタイポスの印刷物には久しく出会ったことがありません(漢字タイポスの紹介を兼ねた『広告』2008年9月号は持っていますが……)。
DTP用の「タイポスオールマイティ」が近年までMacOS(Classic)用のCIDフォントという環境をかなり限定されたフォーマットだった(2007年6月OpenType化)ことや、モリサワの「フォーク」、フォントワークスの「キアロ」「スキップ」、モトヤの「アポロ」といった似たような印象を持つ書体がその間に登場し、しかも年間ライセンス方式の急成長によってこれらの書体が(半強制的に)普及したとなれば※、長らくパッケージもしくはダウンロード販売という「意志を持って買い取る」方式だったタイポスが有利とは言えません。(※モトヤは年間ライセンス方式を導入していません)
また、タイポスの全盛期は生まれて間もない1970年代前半(ナール登場まで)であり、写植時代から既に“落ち着いた”書体だったのです。組版がDTPによるものに移行してからは、極端に言えば、ベテランからは「タイポスは古い」と見られ、若手はタイポスの存在自体を知らないという中で先に述べた事情があり、結局タイポスを使う機会や必要がなかったのだと考えます。
他書体が使われているものを見て「あーここ、タイポスの居場所だったんだろうなー」と思うことがあります。先述の3書体はどちらかと言えば大らかで人間くささが残る書体ですが、水平・垂直・ライン揃え・12種類のエレメントという重厚な設計思想に支えられたタイポスの堅さや慎ましさが相応しい場面があると思うのです。
最近になってモリサワやフォントワークスの書体を素直に見ることができるようになりましたが(旧サイト時代はケチョンケチョンだった)、やっぱり最古参のタイポスにも活躍してほしいです。2009年2月に開始した「タイプバンクLETS」がどれだけ契約を集めているかは分かりませんが、今後の普及に期待しています。
2010.8.8(日) 16:26 611 ひねくれ者の選択
【イラスト制作部】先日某動画投稿サイトにアップロードした動画に使ったイラストを掲載しました。
麻丘めぐみ『アルプスの少女』(1973年)を初音ミクがカヴァーしたものなのですが、動画サイトのユーザー層からして殆ど理解されていない様子の反応。誰でも知ってるものより誰も作らなそうなものを作った方が面白いと思っているのでいいですけどー。
*
【日録】乗っている車の車検が今月で切れるので、買い替えも視野に本田技研から出ているCR-Zというハイブリッド車に試乗してみた。
仕事で乗っているバン「ハイエース」がマニュアル車で、それまでオートマチック車しか運転したことがなかった自分にとって苦痛でしょうがなかった(というか、命懸けだった)。しかし慣れてみると車と対話しながら思い通りに操縦している感覚が楽しくて、マニュアル車の魅力に取り憑かれてしまった。
それで今回、ハイブリッドなのにマニュアル車という変わった車があると聞き、デザインも格好いいということで試しに乗ってみることにしたのだ。
今乗っている初代プリウスが11年前の車ということもあって、CR-Zはハイブリッド車としてかなり洗練されている印象を受けた。
以下は「初代プリウスオーナーから見たCR-Zのここがいい・ここが残念」を大まかに。
●ここがいい!
・すっきりして斬新なデザイン。初代プリウスは良くも悪くも普通のセダンで、公用車とかお年寄りが乗ってる印象。
・ハイブリッド車なのに6速MT。個人的にはこれが一番嬉しい。初代プリはCVT。空飛ぶ絨毯を操るような不思議な操作感で、もっさりしている。
・軽快な走りで急な坂でも楽に登る。はっきり言って初代プリは軽自動車より非力。いつも自宅近くの急坂では50キロ以上出ず、歯を食いしばって運転している……。
・初代プリウスよりも静か。初代プリはエンジンが回ると外でも中でもうるさい。
●ここが残念!
・後部座席に足が置けず事実上使用不可。4人乗りだったら理想的だが、スポーツタイプだから仕方ないか。
・内装が安っぽい。メーターのデザインも“未来的”すぎて私には小恥ずかしい。
・チェンジレバーのストロークが浅く、何速に入ったか判りにくい。(しっかり操作してやらなければならないハイエースに慣れているせい?)
・半クラッチで進もうとするとすぐエンストする。少しエンジンを回してやらないといけない。(これもパワーが有り余るハイエースに慣れているからか?)
・運転している感覚がガソリン車と何も変わらない。個人的には「電気で走っている」と判るときにハイブリッド車を運転する喜びを感じるので、この点は特に残念。本田はパラレル方式だから原理上無理?
・前後とも視界が狭く、見切りが悪い。しかもボンネットが長い上見えないので駐車場の出入りが怖かった。
そういう訳で、買う気満々で試乗して考えた結果、初代プリウスを大切に乗ろうということにした。要するに、格好いいデザインと6速MTの軽快な走りにいくら払えるか、だったのだ。
あと、誰も乗らない変わった車がやっぱり好き。数年前に初代プリウスを選んだのは、「電気で走る車に乗ってみたい。ガソリン代が節約できれば嬉しい。他人が乗ってる車はイヤじゃ」という理由だった。
それに今乗っている車は絶好調。切実に困っている訳ではないし、古くなった今でも充分燃費を抑えてくれているじゃないか。「エコ」なんていう環境保誤(誤字ではない)に踊らされてはいけない。本当に省エネ・省資源なのは今持っているものを大切に使い切ることだ。そして買い替える車代は他のものに使えばよいと思う。
2010.7.22(木) 23:59 610 あつさで
気持ちよく梅雨明けして以来最高気温が40℃に迫る酷暑が続いていて、暑いのが苦手な管理人にとって一番大変な時季がやってきました。
亮月製作所にはエアコンがないので毎年団扇で凌いできましたが、今でも温度計が32℃を示す程暑いので、とうとう文明の利器に頼ってしまいました。アイスノンを小脇に抱え、扇風機の直風を浴びて投函してます。
無事にこの夏を乗り切れるんだろーか、私。
*
【写真植字】2年前に取材した元写植屋さんについての文章がまとまったので、連載記事『写植機おもいで40年』として「写植レポート」に掲載しました。
インタヴューだけで3〜4時間話している記憶があります。仔細に語ってくださったので、これから8週間かけて連載します。お楽しみに♪
写植部からもう一つ。
昨日写植レポートに掲載した方とは別の元写植屋さんから、大量に資料を頂きました!
右上から、『写真植字』(写真植字機研究所・1964年)、同No.20(以下写研)、同No.23、同No.102(?)、PAVO-J・-8パンフレット、同日常保守説明書
1973年にPAVO-Jで開業された当初から引退までの写植に関するものを譲ってくださいました。写真はごく一部で、ほかに写植スクールのテキストから卒業課題まで、印画紙に着彩できる「イロック」のパンフレットと実際に着彩された印画紙、資材カタログ、写研の機関紙『写研飛脚便』などなど……。
今まで新品に近い状態で残っていたのが奇跡というくらい貴重なものだと思います。読んでいてとてもドキドキしました。
当サイトの「写植とは」は持っている資料の都合でかなり電子制御式の機種寄りの解説にならざるを得ませんでしたが、これでまた写植の歴史が詳しく研究できそうです。
譲ってくださった岩手のHさん、本当にありがとうございました!
*
【日録】東方地霊殿に出てくるお燐(火焔猫燐)が結構好きで、「猫猫宅速配」というフィギュアがとても可愛くてうっかり買ってしまった。
そこまではよかった(既によくない?)。しかし、本来自立する筈のお燐がこの酷暑続きで軟らかくなって曲がったようで立たなくなってしまった……(泣)。
ごろにゃん
でも可愛いから許す! このお燐のデフォルメ具合もあるけど、前髪ぱっつんで猫目の子って好きだな〜。
2010.7.17(土) 21:26 609 夕方の音
【音のスケッチ】新しい試み「音のスケッチ」です。
管理人の好きな音を紹介する、耳で楽しむ歳時記です。
第1回は、亮月製作所(自宅2階)で聴く夕方の窓辺の音です。
なるべく質の良いヘッドフォンで窓に向かって聴いてみてください。
→20100717.mp3(5分08秒、ステレオ、192kbps、7.4MB)
2010年7月17日18時40分頃
録音:カセットデンスケTC-D5M、マイクロフォンECM-MS957、TDKハイポジションカセットテープ、ドルビーB NR
送り出し:カセットデッキTC-K222ESL
気象庁から梅雨明け宣言が出て気持ちのよい晴天の一日でした。
窓を全開にして部屋の大掃除のあと、昼食は各務原の「うな神」のうなぎ☆ 夏本番に備え一足早くスタミナをつけました。
夕方になると梅雨明けを待ち詫びていたさまざまな虫や鳥たちが好天の歓びを歌っていました。そして、ひぐらし。
ひぐらしの鳴き声が大好きです。夕方の生活の音も好きです。今日一日の暮らしをいたわるようなやさしさがあるように思います。
2010.7.16(金) 21:23 608 文字の話をいくつか
1週間ぐらい連続して雨の上、夕べは記録的な豪雨でこちらでも被害があちこちで出ていました。明日からの連休以降は晴れるようなので、気持ちよく梅雨明けするといいな。
【文字関係】度々ここで取り上げている「引用符」についてですが……また変なものを見付けてしまいました。
サントリー「ノコギリヤシ+セサミンE」の新聞広告です。使用書体はリュウミン、全体はごく普通の広告なのですが……
拡大してみました。ごく普通の縦組に見えますが、例によって横組用の引用符“”が使われています。とても気持ち悪いです。それだけでなく、
画像はあまり鮮明ではありませんが、なんと引用符に斜体がかかったような変形がされているのです! 縦組で用いる引用符(ちょんちょん、ノノかぎ)≠ノ近付けようとしたのでしょうか。涙ぐましい努力(笑)。
もし≠使うべきと知っていてここまで手間をかけてやったのであれば、同じくらいの手間をかけて=iに近いもの)を使えばいいのにと思います。
写植の時代にも“”の誤用はありましたが、現在のように蔓延しているものではありませんでした。それは写植機を使う人はその為の教育を受けていたからであり、それぞれの記号をどのように使うものかを知っていたからです。
DTPでは自由に文字を組んだり配置したりできますが、縦組で“”は絶対に使ってはいけません! 広告主など顧客が何と言おうと間違っています!
(参考:大熊肇『文字の組み方』p.88)
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【書体制作部】前回の投函でお知らせした絵本『あたしのくまちゃんみなかった?』ですが、版元の石風社様のご厚意で見本誌を1冊送ってくださいました!
『あたしのくまちゃんみなかった?』(右)と写研『写真植字ハンドブック SK3-RY操作篇』
確かに亮月ごちっくが表紙に大きく使われています。市販されている本として手に取ってみて実感と嬉しさが少しずつ込み上げてきました。心の中で小さく万歳。4月に亡くなったおばあちゃんに見せてあげたかったなぁ。
【写真植字】写真左は最近入手した写研の手動写植機SK-3RYのハンドブック。本機の機構や操作だけでなく、基本的な組版についての解説も付いて至れり尽くせりの一冊。今後私が本機を操作することはないと思いますが、古い写植機の研究には大いに役立つと思います!
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【日録】果てしなく続く名曲発掘の旅。
「つなき&みどり」。ネットで筒美京平関係を辿っていたら見付けたグループ。つなきはブルー・コメッツの元ヴォーカル兼ギタリスト三原綱木、みどりはその夫人で歌手の田代みどり。当時夫婦だったこの二人がソフトでソウルフルな楽曲を掛け合ったり力強くハーモニーを紡いだりして歌う。
彼らの楽曲の中でも『ふたり』は凄く格好いい。ど真ん中のソウル歌謡なのだがサビの掛け合いは日本の民謡のようにも聞こえ、その融合が日本人の魂をくすぐる。そのグルーヴ感たっぷりな歌声を聴いていると幸福感がむくむくと湧いてきて一日中頭の中で繰り返していた。カラオケに入っていたら絶対歌うと思う! 誰か一緒に歌って!(笑)
VOCALOIDでぜひカヴァーしたいと思うような名曲だが、この作品の筒美氏の編曲や二人の歌唱はかなり緻密で複雑。これを耳コピーで再現できたらすごいだろうな。
早速ファーストアルバム『愛の挽歌』(1973年)の復刻紙ジャケットCDを購入。A面は橋本淳+筒美京平の強力コンビ、B面は洋楽のカヴァー。どの曲も気合いの入れ方が尋常でなく、カヴァーも丁寧で素敵。『ミュージック・イズ・マイ・ライフ』の作中「♪ツナキとミドリ」と夫婦で睦まじく歌い合う詞があり、その後離婚してしまったことを知っている今聴くとせつない。
当時の夫妻はまだ20代後半だった事を考えても、その頃の音楽は今のそれよりも“大人”な感じがする。品と節度があって小粋というのが私の1970年代歌謡曲のイメージ。全てが全てではないけど。
このアルバムはオリジナルのLPよりも、ボーナストラックが付いた復刻CDの方がお薦め。昔の歌謡曲に興味がある人はぜひ聴くべし。名盤!
BGM:つなき&みどり『ふたり』/1973年作品
2010.7.5(月) 19:56 607 【速報】亮月ごちっく使用さる
【書体制作部】頒布中の書体「亮月ごちっく」が最近発売された絵本に使われていました!
→石風社『あたしのくまちゃんみなかった?』
“立ち読み”用のPDFデータを見ると、黄色い地の表紙の中で文字がカラフルに塗り分けられ、輪郭がぼそぼそとした手書き風に仕上げられています。自作書体が使われることに慣れていないので、知り合いがテレビに出たような妙な緊張感があります。
本文書体は手書き風の「みかちゃん」でしたが、亮月ごちっくが表紙に堂々と使ってもらえたのはとても嬉しいです。この絵本、買っちゃうと思います!(笑)
ただ、この書体の頒布ページや圧縮データ添付の説明書に「商業使用の場合、メールでご連絡ください。」と明記しているにも関わらず事前に連絡を頂いていません。早速問い合わせてみようと思います。
書体が使われていることを教えてくださったあやさん、ありがとうございました!
※2010.7.7追記 今日、石風社様からこちらの問い合わせに対するメールが届き、事前連絡がなかったことのお詫びとこの書体を選んだ意図についてのご教示を頂きました。ありがとうございました。
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【音楽制作部】2年前から作ってきたオリジナル曲『みくみく☆ダイアリー』のフルコーラス版MP3データと歌詞を公開しましたので、よかったら聞いてみてください。歌詞は7割方実話です。
2010.6.30(水) 23:55 606 とてもあつい
2010年も半分終わりです。なんか、長かったです。何かをし続けていたこと、身の回りが激変したことなどありますが、いい意味で「色々なことがあった」のだと思います。「あっという間に過ぎて半年なんだったんだろう」という気持ちではありません。長くてとっても充実していました!
明日から7月、夏も本番といったところですが、暑さがとても苦手というか、汗かきなので辛い季節が始まります。今日も35℃に迫る気温で地獄のようでした。汗さえかかなければ40℃でも平気なのですが……。(新陳代謝が良すぎるのか、お陰で太らないのはありがたい。)
最高気温が30℃を超す9月いっぱいまで活動量が大きく減りそうですが、何とか充実した日々を送りたいです。
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【音楽制作部+イラスト制作部】某動画サイトに1本アップロードしたので、素材に使ったイラストを「イラスト制作部」の2010年分に掲載しました。
「作った音楽を動画としてアップしたいがために絵を描く」というのが私の姿勢ですが、絵についてそうそうヒドイコメントを貰うことはないので、人から見てもある程度は描けているのかなと少しだけほっとしました。描きたいもの以前に技術が圧倒的に足りないので、安心しきらずサボってきた自分と戦っていきます。
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【日録】26日(土)。
写真サークルのRさんが私のピアノの師匠であるI先生とセッションするというので、春日井のライヴハウスK-onn[けいおん]まで聴きに行った。同じくサークルのIちゃんと初対面のYさんも来ていた。
様々なジャンルや楽器の人がそれぞれ2曲ずつ演奏していくというミニライヴの寄せ集めのような感じ。クラシックからロックまで、オカリナからエレキギターまで、何でもあり。
その中でRさんはウクレレで『枯葉』を弾いた。ピアノの伴奏はI先生。メロディーとコードをいっぺんに弾くRさんと、寄り添うようなピアノの演奏で、ゆったりとした大人の雰囲気を醸し出していた。
Rさんのもう1曲に、殆ど打ち合わせもなしで私が急遽参加することになった。何故か『北風小僧の寒太郎』と『南の島のハメハメハ大王』の季節正反対童謡メドレー。リコーダーとこの前買ったミニカホンを持ってきていたので、Rさんの歌とウクレレに合わせて演奏してみた。途中から気分が乗ってきて(笑)合いの手を入れたりハモったり。客席を巻き込んで手拍子が起きた時はとても嬉しくて快感だった。
それでいて録音にはカセットデンスケTC-D5M、写真機はフィルムのマニュアル機NewFM2という1980年代から抜け出してきたような道具を使っていたので「きっと変な人に違いない」と思ってか、多くの人が声をかけてくださった。それもまた面白かった。
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【日録】翌日27日(日)。
つじあやの繋がりでウクレレ奏者の日柳鉄平(のみぴょん)さんが名古屋の杁中でライヴに出るというので、Rさんと誘い合わせて行ってみた。58月[ゴヤムーン]という“亜熱帯バー”にて。
のみさんの演奏と歌にはさらに磨きがかかっていた。裏声が女性と聞き分けがつかない程の『いつも何度でも』や、YMOの『ライディーン』をウクレレとホーミーもどきで再現したものなど、音楽の世界観が完成されているように感じた。そしてなんと言っても上手い。それでいて歌詞を思い出せず曖昧に歌ってしまうのも何だかお茶目で良かった。
他の出演者としてエレキギターの弾き語りがしっとり激しくて素敵だった森真人さん、アコーディオンの弾き語りでキャラが超濃くて腕も最高にいいトーガンジー・レーコさんという全然違うジャンルで、3度美味しいライヴだった。
この2日、自分が知っている人同士が線で繋がった様子を見ることができて、音楽のすごさを実感した。Rさん、I先生、のみさんをはじめあの場にいた人達に、ありがとう。熱い熱い週末を過ごせました。
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小ネタメモ。
「○○にくい」→客観的な困難
「○○づらい」→主観的な困難 なのでは。
例えば「燃えづらいカーテン」「渋滞しづらい道路設計」という言い方はおかしいと思う。カーテンを燃やしたいのか。渋滞を起こしたいのか。
2010.6.26(土) 0:05 605 はるかのデビュー
【書体制作部】私が作った書体「はるかゴシックE」が商業アニメーションに採用されました! 情報が一般公開されたので、箝口令を敷いていたここでも解禁します。
『まんが日本昔ばなし』『あらしのよるに』『ふたつのスピカ』等で有名なグループ・タックが制作した『まるもっちん』という幼児向け短編アニメーションです。「はるかゴシックE」は本作の中で物や生き物の名前を表す時に使われています。
これはアニメーターの方の表現力だと思うのですが、書体がこの作品の中で違和感なく、相応しく使われているように思えることに感動しました。作品そのものも「次はどうなるんだろう」と興味を持って楽しく見られ、もし子供が出来たとしたら見せたいと思うものでした。
本作は7月1日から「BeeTV」というNTTDoCoMoの携帯電話用の映像配信サービスで放映開始とのこと。YouTube等で見ることができる第1話を見て、丁寧に作られたアニメーションの中で自分の書体が表示されているのは名誉というか、勿体ないというか、とにかく嬉しい気持ちになりました。
今日はちょうど仕事関係の飲み会があったので、いつもよりも少し多くお酒をいただきました。
グループ・タック様、担当のT様、本当にありがとうございました!
→『まるもっちん』第1話 BeeTV
→『まるもっちん』第1話 YouTube
2010.6.20(日) 22:01 604 ニッチも察知も
【日録】19日(土)、友人と名古屋市国際展示場で開催された「クリエイターズマーケット」へ。オリジナルの作品をジャンル問わず出展しているというものづくり系統の催し。私は初参加(一般として)だった。
国展へ行ったのは学生時代に某イベントでサークル参加したとき以来……かも? 拵えたコピー本を鞄一杯に詰め、地下鉄名古屋港駅から満員バスに揺られて行った甘酸っぱい思い出が甦る。全てのものが、懐かしい。しかしそのバスも、今は「あおなみ線」が開通したから通っていないのだ……。時の流れを感じた。
会場を一巡しているだけで、世の中にはこんなに多くの人がそれぞれの表現を形として昇華しているんだ! と感動し、しかもそれぞれの完成度がとても高いことに衝撃を受けた。友人と、私達は何をやってるんだろうね、しっかりやらなきゃ! と発破をかけ合った。
そこで出会ってしまったのが、この楽器。
小型カホンCM-A
美濃加茂にあるカホン工房「ビックフォレスト」さんが製作している小型カホン。
所属の写真サークル主催のRさん宅に座れる程大きなカホンがあって、それをいつも叩かせてもらっては(いいなぁ……)と思っていたのだ。今回見付けた小型カホンは膝の上に乗せて叩くタイプのもので、持ち運びも楽そうだった。
ブースの方に詳しく話を聞いてみると、スナッピー(スネアドラムについているジャラジャラ音を出す部品)を螺子で締めたり緩めたりでき、叩きたい音楽のジャンルによって音色を変えられるのだとか。
6500円という値段は楽器としては高いものではないし、今後「カホンを買いに行く」ようなシチュエイションはないだろう(笑)。よっしゃ! 買った!
しかし着実に楽器が増えているような気がするのですが、大丈夫でしょうか。大丈夫じゃないですよね……。人はこれを“楽器沼”と呼ぶ(←呼びません)。
*
【写真植字】以前行った取材がまとまったので簡単な本にしてみました。
44ページのインクジェット刷り・手製本のささやかな冊子です。
先方がパソコンを使わない方なので見本誌を送ることにしたのです。内容について了承を頂いたらサイト上でも記事を公開したいです。
写真植字についての取材1件分という超ニッチ(隙間ジャンル?)な本なので頒布の予定はありませんが、結構長い間取り組んでいたことなので大きな達成感がありました。
2010.6.16(水) 23:59 603 よみがえれ赤いピアノ
【日録】12日(土)は夕方から所属の写真サークルの顔合わせ会だった。
今夏も写真展を開くということで、写真を通じて親睦を深めましょうという夕食パーティー。夏らしく素麺を囲んで。
宴が進むとそれとなく楽器の音色が聞こえ始め、やがていつものように合奏大会になった。
今日はリコーダーと、新楽器であるおもちゃのピアノを持参した。
30年近く前、私のために両親が買ってくれた真っ赤なピアノ。
子供だった私はやがてそれにマジックで落書きし、脚を失い、壊してしまい、本体と鍵盤がバラバラになったまま押し入れの奥に押し込んだ。
二十数年の埃を中に溜め、鍵盤が全て外れた状態でそれを先日見付けた。
あまりにも不憫だったので、落書きを全て消し、鍵盤を磨き、足りない部品は自作して復元した。弾いてみたらあの頃と同じ音がした。せつなかった。ピアノに対し申し訳なかったと心から思った。
四半世紀振りに楽器として生き返ったおもちゃのピアノ。サークルの皆も懐かしがって喜んでくれた。即興の合奏をRさん・Mさんとしてみたりもした。ピアノがうまい子がちゃんと弾いてくれた。金属棒式特有の甘ったるくて心地よい音がした。
とても楽しい晩だった。何故おもちゃのピアノを買ってくれたのか、ようやく分かった気がした。
*
【日録】東方Project関連グッズで携帯電話とかに付けても良さそうなストラップをずっと探していた。
フィギュア型のはすぐ壊れそうとか、大きいのはキャラ名がデカデカと書いてあったりして恥ずかしいとか、これはというものになかなか巡り会えなかった。
それで最近発見したのが、「ギロチン銀座」というサークルのストラップだった。3cmぐらいの小さい銅板製で“それ”っぽくない方向へ可愛らしくデフォルメされている。これなら実用できそうと思い、あまりの可愛らしさもあって好きなキャラのものをいくつか買ってしまった。2008年12月発売開始なのによく売ってたものだ!
Nikon NewFM2 と チルノ・橙[ちぇん]ストラップ
かわいすぎる。漢の写真機たるニコン様のフィルム一眼レフがぁ……。ヲタ系のグッズでカメラを飾ることを、痛い写真機を略して「痛写」と呼ぶ(呼びません)。チルノと橙は仲がいいと勝手に妄想しているので二つ付け。
愛車の初代プリウスのキーにもサタデーナイトフィーバーな衣玖さんを……電気繋がりということで。これならどっかのお土産のマスコットに見える気がするから大丈夫そうだ(何が)。
そしてさとりを携帯電話に、と思ったけど、確実に白い塗装が傷々になるだろうし、何よりN600iのストラップ用の穴は深くて紐がうまく通らない。他の何かに付けよう……。
2010.6.14(月) 20:29 602 復活する稲田書体
【文字関係】昨年7月に亡くなった書体デザイナー・稲田しげる(稲田茂)氏の娘である稲田千絵さんが、稲田氏が制作した書体を一般のパソコンで使えるようにするべく、写研など書体の権利を持つ会社と交渉されている模様がtwitter上で報告されています。
→inadachie(稲田千絵さん)のtwitter
稲田氏の書体の著名な現行使用例として、
・JAバンクCM『JAバンクに行こう!』(サザエさん編):イナミン
・漫画『さよなら絶望先生』のいたるところ:昭和モダン体
等があります。
稲田千絵さんのtwitter記事からこれまでの経過を纏めると、
・MPC(2009年8月倒産)から発売されていた3書体「木彫体」「昭和モダン体」「民芸体」の権利は稲田さんの下に戻った。
・写研に提供した書体については、写研と交渉するも進捗なし。
・稲田しげる氏と写研との間で契約書は交わしていなかった。「石井社長がすべてを握っている」らしい。
・稲田氏の書体を有料でダウンロードして活用するための道筋ができた。
というものでした。
古い“つぶやき”には写研の「ファニー」の事も出てきましたが、もしファニーがパソコン上で使えるようになったとしたら、書体業界から見てとても画期的な出来事になると思います。
2010.6.8(火) 23:52 601 万年置き傘にご注意を
【日録】5月に馬籠宿で撮ったフィルムが現像から上がったので、いつも手焼き(アナログ)プリントをお願いしている写真屋さん「カメラのM川」で写真を貰ってきた。
撮っている時は「よく撮れた!」とプリントが待ち遠しかったが、蓋を開けてみれば記録写真のような素っ気なくて何を撮りたかったのかよく分からない写真が沢山あった。37コマ撮って「よし」と思ったのは2コマだけだった。家族の記念写真が多かったのもあるけど。
写真サークルメンバーのN嬢も現像に来るよ、と店のおじさん。「あの子の写真はいつも雰囲気があってフィルムらしくて、いいと思うなあ」と絶賛してたよ!
N嬢は私にはなかなか撮れない写真を量産する人だといつも感心している。と同時に、自分が無意識のうちに「写真機やレンズの性能」を撮ってしまうことに気がついた。私が本当に撮りたいものは、自分が好きなものであり残したいものの筈だ。
まだまだ修行が足りんな〜。レンズ沼への沈没を免れた(自称)ので、その分今あるもので写真の腕を磨きたい。
先月にどこかで忘れてしまいずっと探していた、大切に使っていた傘。
その傘をこの写真屋さんで見付けた。
「○○さん(私の苗字)が傘立てに忘れていかれたから、目立つ所にずっと置いていたんですよ。」とおじさん。
私がまた来ることを待ってくださっていてとても嬉しかった。忘れ傘なんてひと月もしたら処分されてしまうものだと思っていた。ありがとうM川さん。これからもなくさないよう大切に使います。
(BGM:東方星蓮船より『万年置き傘にご注意を』・2009年)
2010.6.6(日) 23:25 600 夏のはじまり
【日録】昨晩から今日にかけ、所属の「美食倶楽部」の例会。名古屋で一番早く開かれる夏祭り「熱田まつり」の花火を見ながら美味しいものをいただこうという企画。
今回は会長が手料理持参で、市内のとあるホテルにて開催。
Nikon D80・AiAFニッコール35mmF2D・ISO 1600・絞りF2解放・絞り優先AE(1/80秒)
プロの腕前を持つ会長の趣向を凝らした料理とスパークリングワインを頂きながら花火を愛でる。
Nikon D80・Aiズームニッコール80-200mmF4.5(200mmで撮影)・ISO 100・絞りF4.5解放・1秒
都会の真ん中に打ち上がる花火を初めて見た。高い所からの夜景だけでもすばらしいのに、そこから抜きん出て夜空に花を描く様子は風物詩の範疇を超えている。
直ったばかりの望遠レンズを持ってきてよかった。三脚は持っていないのでブレずに撮れたのは数枚だけだったけど……。
Nikon D80・AiAFニッコール35mmF2D・ISO 1600・絞りF4・絞り優先AE(1/6秒)
花火と食事が終わってからは夜景を肴にあれこれと語らう。お酒が進むと結局好きキャラの話に落ち着き、「妖夢たんが」「さとりんが」「てゐが」といういつものパターンになるのであった。そんなこんなで10年。変わらぬものよのう……
【文字関係】翌朝(つまり今日)、起きがけに点けたテレビで放映していたアニメ『ハートキャッチプリキュア!』をぼーっと見ていたら、主題歌とエンディングだけでなく作中にも写研書体が使われていました! 漫画の台詞等として、本蘭明朝BあたりとナールDあたりが登場。写研の書体がアニメ作中に出て来る筈がないと思っていたので初め他社の書体(どっかのアンチックとスーラ)かと思ってしまいました。
いつも巡回している書体系統のブログにも同じようなことが書いてあり、密かに嬉しくなりました。
2010.6.5(土) 13:46 599 再現の衝動
【音楽制作部】前回の投函で取り上げた『アルプスの少女』、我慢しきれず耳コピー+初音ミクで作ってしまいました。
好きだと思った曲に出会うと再現したくなる衝動をどうしても抑えきれなくなるので、1日から毎晩制作して今朝出来上がりました。
以前は耳コピーに半月以上かかるものでしたが、ある程度納得できるものが1週間足らずでできるようになって嬉しい。VOCALOIDは多少調整してやれば違和感なく歌ってくれるのでありがたいです。(世間で言われてるほど“調教”は難しくないんですよ! 半分マニュアル化されていて、音楽への愛情と多少の根性があればできます!)
楽譜が読めず楽器が弾けないからと高校生の時にDTMを始めて十ウン年。出来上がるものが自分の許せる領域へ入ってきたように思います。
同じように好きな作品(漫画・ゲーム等)やキャラクターに出会うと、どうしても自分で描いてみたくなる衝動が以前はありました。それは「恋をする」というのにとても近い気がする。
絵(ここではイラスト)が作者の内面を多分に現すものだとしたら、絵が上手い人というのは絵にするものへの想いが深く、よく観察していて、「こうだったらいいなあ」という願望、もっと言えば妄想の力が強いのではなかろうかと、そんなことを考えています。好きなものを具体化させるわけだから技術的な部分は自然とついてくる。
大学のとき所属していたそういうサークルでは、絵の対象に入れ込むことを「煩悩を注ぐ」「煩悩の賜物」と呼んでいました(笑)。確かに上手い人の絵からは欲望が滲み出しているように見える。
今の私に足りないのはこの「煩悩」なのかも知れない。音楽を耳コピーしていてふとそんなことを思いました。
2010.5.31(月) 20:33 598 B1その後
【文字関係】モリサワから「太ゴシック体B1」についての回答がありました。
・デジタルフォント化してのリリースはしていない
・現在のところデジタル化の予定はない
とのことでした。
他社から似たデザインのフォントがリリースされていないかも調べて頂いたようですが、やはり存在していないとのことでした。
「デジタル化の予定はない」と言い切られてしまうとこちらも受け入れざるを得ませんが、B1が手動写植機を使ってでも使いたい書体であることは、書体にとっては名誉なことなのかもしれません。
モリサワの担当者様、丁寧なご回答ありがとうございました!
そういえば、26日で亮月製作所のサイト開設11周年だったんですね……。すっかり忘れていました。ウェブサイトの寿命が平均2〜3年と言われる中で11年も生き残った手前、古株の名に恥じぬよう充実させるべく努力してまいりますので、今後ともよろしくお願いいたします。
*
【日録】果てしなく続く名曲発掘の旅。
無性に昔の音楽が聞きたくなり、何枚か買ってしまった。
・『カリキュラマシーン ミュージックファイル』(1999年発売)
・『小林亜星CMソングアンソロジー』(2002年発売)
・『麻丘めぐみ ゴールデン☆ベスト』(2009年発売)
以前取り上げた「カリキュラマシーン」はBGMも小洒落ていて、1970年代中期の音楽の美味しい所が至る所に散りばめられている。何百曲も質の高い音楽を作った宮川泰氏に敬服。
小林亜星氏はCMソング作家として好きな人だけど、何故か総集編を持っていなかったので。亜星氏の作風は1980年代に陳腐化した(1970年代を引きずっている)と思ったら1990年代になって鮮やかさが戻り、吹っ切れたような気がする。
麻丘めぐみさんは父が大ファンだったのでCDを買うのをずっと封印していたが、名曲ばかりなのを確信していたので満を持して購入。デビュー作『芽ばえ』から『悲しみのシーズン』辺りまで本当にいい作品ばかり。私が父の年代に生まれていたら間違いなくファンになっていたと思う。
小さい頃、父のカセットテープから流れていた『アルプスの少女』。父は「麻丘めぐみ」という人が好きなのだということを幼心に察知していた。ホルンの音色と「ヤッホー!」というイントロ、「♪アルプスの少女〜」というキメの歌詞だけずっと印象に残っていて、二十何年振りかにきちんと聴いた。アルプスののどかで広い風景が浮かんでくるような歌詞と爽やかで品のある編曲、麻丘さんの可愛らしい歌唱に胸がいっぱいになった。35年以上前の父と気持ちを共有した気がした。だからと言って、今「麻丘めぐみっていいよね」と言い合えるかは分からないけど(笑)。私が歌謡曲好きになったのは、父と彼女のお陰だと断言できる。
(BGM:麻丘めぐみ『アルプスの少女』・1973年)
2010.5.29(土) 21:14 597 格別の解放感
大型連休明けから地元の行事の準備にかかりっきりになり、23日に行事が終わって後片付けも終わり、ようやくここへ戻って来ることができました。帰宅が日付を超えるような時刻になる日々だったので解放感は格別です。サイトの移転を5月上旬に済ませておきたかったのはその為なのでした。
【文字関係】前回の投函でも書いたモリサワの「太ゴシック体B1」が使われている「CLUB KEIBA」の新聞広告が再度掲載されました。しかも全面広告です!
中日新聞 2010.5.27付朝刊から
ものすごく大きく使われています。どちらかと言えば優しい印象を持つこの書体ですが、大Q数で使われているので見出ゴシック体MB101ファミリーのような押しの強さを感じます。輪郭は綺麗に丸められていて、線質も滑らかです。
下の部分に小さく書かれたキャンペーン告知文には「こぶりなゴシック」ファミリーが使われ、印象の統一を図っています。モリサワの既存のDTP用フォントのゴシック体ではB1に合わなかったのでしょう。
※文字の歪みは紙の曲がりによるものです
私達写植世代が胸をときめかせる(?)穏やかで真面目な字面です。
輪郭は後処理で修整されているようですが、前回の投函でも書いたように私が知る限りこの書体はデジタルフォント化されていません。写植の印画紙からトレースしたものなのか、実はDTP用デジタルフォント化は完了していて私が知らないだけなのか……。
気になってしょうがないので、モリサワに直接尋ねてみようと思います。
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【日録】15日(土)。久し振りに家族で行楽。馬籠と妻籠へ。
馬籠は西の栄えている方から上り坂になっているし駐車場もなかなか空いていない。東側の県道を上った場所に“秘密の駐車場”があり、そこからだと楽に車を停めて宿場町へ下って行ける。
そう思ったら、半分ぐらい下った所で両親は「これ以上下ると帰りの上りがえらい」(えらい=岐阜県東濃弁で「つらい」)と。長く一緒に暮らしていると意識しないが、若くはないということを思いがけず見てしまい複雑な気持ちになった。アイスを食べてひと休み。持って行ったフィルムカメラと望遠レンズで一番よく撮れた写真。いい記念になった。
妻籠は家族の節目の時に訪れているような気がする。前回から10年ぐらい振り。
同じ場所で同じポーズの写真を撮るのが習わしになっている。でも前回はぼんやりとしか覚えてなく、最初訪れた時の記憶は行ったという事以外ない。また忘れてしまうのだろうか。
ここは古い街並みが保たれているのは勿論、そこで生活を営む人がいてその息遣いが感じられることが美しいと思う。建物に花が飾られていたり、古い木材が磨き上げられていたり、小物に意匠が凝らされていたりするのを見ると嬉しくなってフィルムに収めたくなる。同じ造りでも新しく復元されて間もなかったり展示のみで人が住んでなかったりしたら写真は撮っていなかったかも知れない。それはそうと、心惹かれるものばかりで同行人を足止めしてしまった。
もう少し見たいぐらいで留めておくのが観光のコツかも。もう一度行きたいという気持ちになるから。この2箇所を含めてもっと奥(長野側)へ行くような旅もきっと楽しいと思う。
*
【日録】妻籠・馬籠に持って行った望遠レンズ「Aiニッコール80-200mmF4.5」の使い勝手がとても良かったので、以前中古で買った時から気になっていたズームリングのスカスカを修理してもらうためニコンへ持って行った。一度修理に出そうと思ったけど修理代が高く、割に合わないような気がして辞退していたのだ(→No.563参照)。
リングの内側に貼ってある滑り止め用の起毛紙が長年の使用で脱毛するのがスカスカの原因で、このレンズではほぼ例外なく起こる症状なのだとか。修理は分解+起毛紙の貼り替えらしい。
3日程で修理が終わって宅配されてきた。12800円也。
すごい! ズームリングが落ちてこない!(このレンズを持っている人にしか分からないすごさ・笑)ついでにレンズも磨き上げられていて、蚤の市で買った時のボロさがかなり薄まっていた。ありがとうニコンさん。
これで私のMFレンズシステムは完結。Ai35mmF2S、Ai50mmF1.8S、AiAFマイクロ60mmF2.8D、Ai80-200mmF4.5。これだけあれば、撮れないものはあまりない!
デジタル用にはAF-S16-85mmF3.5-5.6G VR、タムロンAF17-50mmF2.8、AiAF35mmF2D、AiAFマイクロ60mmF2.8D。望遠はこのレンズをマニュアルで使えばいいということで。こういう時、フィルムの古いMFカメラとデジタルでレンズが兼用できるニコンを選んでよかったと心から思う。
これでもう必要なレンズは全て揃った! レンズ沼になんか嵌まらないからっ!
2010.5.8(土) 21:38 596 移転しました!
半年間の缶詰め生活からやっと解放されました。亮月です。
新サイトです! 写植の記事大幅増補です! 旧サイト解体(閉鎖)です! ……と若干興奮気味の管理人ですが、やっと写植以外のこともさせてもらえるな〜と気が弛んでいるところです(弛んでいいのか)。
トップページのアクセスカウンターがすごい勢いで回っていて、嬉しいやら驚くやらです。旧サイトと同じように、同一ホストからのアクセスは1日1回しかカウントしない設定なのです。
既にご覧いただいた方もいるかと思いますが、写真植字をより重点的に取り扱うサイトとなりました。これまでに取り寄せた写植に関する資料から、バラバラになっている情報を纏めて可能な限り記事にました。
体裁は写植以外の記事も統一させました。あまり変わってませんけど。
個人的趣味によるこまごまとした企画物の記事の殆どは引き継ぎませんでした。見に来てくださっていた方にはごめんなさい。
という訳で、新しくなった亮月製作所も末永くよろしくお願いいたします。
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【文字関係】こういう話題は本当に久し振りだと思うのですが……
新聞から、目を惹き付けた広告を2点。
中日新聞 2010.4.30付朝刊から(画像クリックで拡大)
「CLUB KEIBA」の広告です。見かけてドキッとしました。
左上にモリサワの「太ゴシック体B1」が使われているのです。以前本田技研工業の機関誌に使われているのを紹介した時(→No.565を参照)と同じ書体です。
右半分にある見出しもこの書体でした。もしや、全面B1を使ってる!?
右下の小さな文字をよく見てみると、大日本スクリーン製造の「こぶりなゴシック」でした。
しかしこのB1、写植のものより漢字の抑揚が少ないような気がするし、実は既にデジタルフォント化されていてこっそりDTP用に供されているのではないか、などと考えてしまいます。私の調べた限りではそういう文言を見たことはありませんが。
B1は初期の石井太ゴシック体の衣鉢を継ぐ柔らかい印象の書体で、一番復刻してほしいモリサワ書体です。今度はぜひ、「A1明朝」のような“ぼけ足”は無しでお願いします。
2点目。
中日新聞 2010.5.1付朝刊から(画像クリックで拡大)
中日新聞社主催の「ビバちきゅうしんぶんコンテスト」の募集広告です。
大見出しの「ことり文字ふぉんと」(→ことりのことり。)にぐっと来ました。このフォントが再公開されて以来で初めて見ました。やっぱりええわ〜。
大見出しの下のボディコピーは、初めて見たとき本気で手書きと間違えた「あんずもじ」。ルビは何故かことり文字です。
でも使われている文字を手持ちのことり文字と合わせて検証すると……まさか……?
大熊肇さんの『文字の組み方』を買いました。
好ましくない“トホホな組版”と適切な組版とを大きな図を並べて示し、簡潔な言葉でなぜ良くないのか、どうしたら適切なのかを記しています。これを見出し・日本語本文・欧文というように用途別に章立てし、体系的に適切な組版を知ることができるようになっています。
書体と組版ソフトはプロと素人が同じ道具を使う(使える)ようになって久しいですが、未だ商業印刷から“トホホな組版”が消えることはありません。本書は組版を扱う書籍の中でも群を抜いて理解しやすい構成になっていると思うので、座右にあると初心者にもベテランにも心強いと思います!
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【日録】個人的な記録は常体の方が書きやすいので、記事を【日録】として分けることにしました。記事の先頭に墨付括弧【】で示すことにします。
大型連休の前半はサイトの閉鎖・移転作業に費やす。10年前のいい加減なタグ打ちを全ページ綺麗にするだけでも時間がかかった。2日の移転当日、新サイトに全てのデータがアップロードできたのを見届けてから旧サイトを閉鎖。一度に削除できないので少しずつ消していく。建物の解体を見ているような気持ちになった。旧サイトは心の中でガラガラと大きな音を立てて崩れてなくなっていった。
職場がかなり古い建物の中にあり、老朽化したものが手入れされながら現役で使われている風情もいいものだとよく感じる。一方で、旧いものが新しいものに置き換わる一部始終も好きだったりする。沖縄で1978年に行われた、右側通行から左側通行への切り替え「730」について知り、とても興味深かった。
翌朝から順次、サイトの閉鎖・移転についての案内を送る。すごく解放された気分になった。
連休後半は友人らと遊ぶ。
連夜飲み会で、密かにサイト移転の祝杯を挙げた。
映画を3本観た。『秒速5センチメートル』『いばらの王』『文学少女』。
『いばら〜』は途中からうまく理解できなくなったが、思い込んでいた話の流れと違う流れになる種明かしがあって混乱が解けた。絵は綺麗だったけど、世界観にはちょっと馴染めなかったな。
『秒速〜』はDVDを視聴。堅くしまっておいた記憶が次々に呼び起こされ、心の隙間に入っては浸透していくような感じだった。やるせないなあと思って観ていたら、友人に映画の内容が「昔の○○○○(私)を見てるみたいだ」と言われ、その通りだと思った……。
『文学少女』の遠子先輩は文学作品を食べるので人間じゃないと思っていたら、最後まで人間だった(笑)。作中で描かれる文芸部の部室の風景や日々が懐かしく感じられた。登場人物にトラウマや困難な人間関係があって途中で話の雰囲気が変わり重くなったが(原作がミステリだなんて知らなかった)、心地よい終幕に向かっていってほっとした。終わりがけの場面では私も主人公と同じ人を選ぶと思う。ほんわかとした清々しい“読後感”だった。私と趣味が似ている(※文字関係除く)人には自信を持ってお薦めできる。
果てしなく続く名曲発掘の旅。
この友人らとアニメの録画を観ていたら『荒川アンダーザブリッジ』という作品にあたった。そのオープニングテーマ『ヴィーナスとジーザス』がストライクで来た。すごくいいと思って歌手を見たら、「やくしまるえつこ」とあった。以前CD店で私の目を釘づけにした、その人だった。
前作『おやすみパラドックス』のジャケットのシールと背表紙に「石井太丸ゴシック体」が使われていたのだ。CDのジャケットに写研書体が使われることは現在では非常に珍しいので“ジャケ買い”するか迷っていたが、やくしまる嬢の作風が判ったので購入。
所属のバンド「相対性理論」の曲も合わせて何曲か聴いてみたが、予想通りというか大当たりだった。歌詞の語呂の良さや連呼、バンドのリズム感の良さも気に入った。CECILのゆきちさんが脱力したような歌声。ジャケットに石井を敢えて使わすだけある癖の強い歌い手だった。独特な歌声の持ち主にはどうしても心惹かれてしまう。
歌声じゃないけど、友人と東方projectの好きキャラの話題になり、古明地さとりだと言ったら「ちょっと変なちっちゃい子がいいんデショ!?」と指摘された。確かに変わった人ばかりが私の周りにいるような気がする……。
(BGM:相対性理論『ミス・パラレルワールド』) |