亮月だより

●過去だより701〜725

2012.3.24(土) 23:08  725 あの時君は若かった

【日録】NHK-FMで12時15分から放送された「今日は一日GS三昧」楽しかったー! 誰でも知っている名曲から超マニアックな曲までかかり、昔の歌が好きな管理人にとっては天国のような番組でした。相当ツボを押さえた選曲だったようで、GS世代の父母も大いに楽しんでいたようです。
 この「今日は一日○○三昧」、不定期に様々なジャンルの音楽が長時間放送されるので録音して名曲発掘のきっかけにしています。20日の「渋谷系三昧」も楽しかったです。

 番組がとても面白かったので、これをBGMにして部屋の整理を更に進めることにしました。
 未だ手を着けられなかったもう一つの押し入れは家人と共用ということもあり扱いが難しく、古いものが乱雑に押し込まれているようだということしか把握していませんでした。今回もこれまでと同じように中身を全部出し、掃除をして不要な物を処分し、配置を変えて全ての物がすぐ取り出せるようにしました。今となっては処分するしかないような物が大量に出てきて、売れそうなアニメグッズも発掘され……。何というか、遣る瀬ないです。
 人間は絶えず変化するものだから好みが変わるのは仕方がない、しかし確かに好きだったものが「何も残らなかった」ってなんなのでしょう……。画力に多少貢献しただけで、自分の生き方考え方、嗜好に影響を及ぼさなかった作品を後生大事にしていたのは何故なのか。
 若かった、そして考えも今よりも輪をかけて浅かった。……そこにあったのは、十数年の歳月をかけて「何かを自分のものにする際の責任」や「それは自分にとって本当は何なのか?」を知らしめる為だったのだと解釈することにします。
 売ることを前提に購入するなら最初から持たなければいいし、買いたいと思うほど好きなら保存せず実用してその価値を100パーセント享受すればいいのです(『けいおん!』グッズは実用するもののみ買ってもよいことにしてます・笑)。
 学生時代の3分の1に減らした物を更に半分ぐらい減らしましたが、物が少なくいつも自ずと部屋が片付いている状態というのは恥ずかしながら今まで体験したことがありませんでした。この大整理で備品を厳選して揃えたとはいえ良い雰囲気の部屋になっているかは分かりませんが、主としては大分落ち着ける部屋になってきたと思っています。あとは折り畳みベッドとその下の文字盤の段ボール箱を何とかしたいところです……。
BGM:NHK-FM「今日は一日GS三昧」録音


2012.3.20(火・祝) 23:03  724 滞りとの戦い

【日録】(殆ど自分のための記録なので、興味のある方だけどうぞ)
 特に出掛ける用事がなかったので、製作所の中でも特に整理が面倒そうな箇所を1日かけて片付けた。「今日やっちゃえばあとが楽だ!」と思った。

 プリンターとスキャナーの元箱を保管していて、更にその中に過去に整理を放棄した物が詰まっている状態が長く続いていた。箱の派手な印刷もあって目を引くので「何とかしたい……」といつも気にしていた。それで今回抜本的に解決するため思い切って中身を全て外に出し、今現在必要な物だけを残すことにした。
 そもそもプリンター等は買い替えることがなく、修理不能になるまで使い切るか市場価値がなくなるぐらいまで長く使うので元箱を保管する意義はないのだ。長いこと居座っていた大きな元箱をまず処分した。
 中に入っていた物も混沌としていて、多くは昔のグッズ類や学校関係の書類だった。キャラ物のテレフォンカードが幾つかあったので今度売りに行こう。……これで段ボール2箱分部屋が空いた。
 同じく混沌としていて手を付けられなかった机の引き出しもゼロから整理した。内容物を全て把握していて、今必要な物がすぐに取り出せるって素晴らしい! おまけに子供の頃集めていた“ピカピカの硬貨”が黒ずんだ状態で発掘された。結構な額になったので大切に使わせていただきます。

 物によっては10年以上滞っていたので、それらから解放されて心が軽くなった。まだ未整理の箇所はあるが今日が天王山だった。過去の自分のモノへの執着との戦いであった。
 管理すべき物が多すぎて管理自体を放棄してしまったことによって、整理しきれない物が無意識のうちに視覚的にも精神的にもストレスになっていたのだ。例えば物をどけないとしたい行動が始められないので億劫になる。「いつか整理しなければ……」と余計な気を遣い本来したい事から意識が逸らされる。部屋の状態は改善されないので億劫と意識散漫が癖になる。といったように、物が滞ったことにより心も滞っていたように思う。そういう心情がかなり軽減された。
 部屋が心の鏡だとすれば、部屋こそ新陳代謝が必要だし、使いたい物だけがあってすぐ使えることが大切だと思った。道具や備品の選択には物凄く拘るのでモノへの執着がなくなった訳ではない。しかし良い意味で雑多な物欲が解消されたように思う。


2012.3.17(土) 23:21  723 古いものをどうするか?

【日録】(殆ど自分のための記録なので、興味のある方だけどうぞ)
 引き続き、製作所の整理が進行中です。
 押し入れから見付かった十数年間使っていない運動用具や卒業記念に授業で作った物を処分しました。こういうものは時間を経れば経るほど捨てにくくなりますが、それが今使える訳ではないので記憶に留めておけばそれで充分だと思うのです。ごみ袋1杯分の過去に合掌と感謝。
 広くなった押し入れには部屋に出ている必要のないような使用頻度の低いものを収納しました。カセットテープ300本や好きな作品のDVD等なので忘れ去るようなことはない筈。
 更に使っていない備品を売却しました。4チャンネルのカセットテープマルチトラックレコーダー。手持ちのMacで音を編集できない頃に買ったものの、その後買ったMacに GarageBand が附属していたのでそちらばかり使うようになっていたのです。カセットテープ方式なので値段はつかないと思っていましたが、新品に近い状態で完動だった為か中古屋で4桁円で買い取ってもらえました♪

 以前から「部屋の床に直接物を置くことは、一生懸命働いたお金で買った物を足蹴にすることだ」という考えがあって絶対に床の上に物を置きたくないのですが、先日の整理の段階で溢れた物を若干畳の上に置かざるを得ない状況でした。今回の整理でその状況が解消し、見た目にも心にも気持ちのいい部屋になりました。

 それでも整理しきれていないものがまだあり……。
 長い間部屋にあるクッションの扱いに困っていました。

『フルーツバスケット』ワクワクやすらぎクッション

 若かりし頃『フルーツバスケット』に熱を上げたことがあり、いち早く原作を読みたくて『花とゆめ』まで購読するほどでした。そんな中応募者全員プレゼントで手に入れた「ワクワクやすらぎクッション」。応募券が載っていたのは2001年19〜21号なので相当古い話です。検索しても画像すら出ないので資料としてクッションの絵柄を載せておきます。
 フルバは今でも名作だと思っていますが、部屋の整理をする中でどうしても浮いてしまうし、かといってクッションとしては充分機能しているので捨てるに忍びなかったのです。
 角形のクッションは45cm角のものが多いようですが、このクッションは35cm角なのでぴったり入るクッションカバーはかなり限られます。45cm角用のカバーを買って装着してみたら予想するまでもなくガバガバでした。そちらには“中身”を与える羽目に……。
トーゴースクリーン」という栃木のシルクスクリーン印刷の会社が170色ぐらいの35cmカバーを受注生産しているのを知り、部屋に合いそうな色のものを注文しました。

クッションカバー装着前後

「C60M20Y80」という色調の、畳より濃いめの草色のものです。ちょっと透けたのは想定外でしたが、他人が見るものでなし(というかここでバラしている)、よろしいんじゃないですか。Amazon で受注しているので35cm角のクッション使いの方はご参考までに。


2012.3.15(木) 22:45  722 ちっちゃいことはいいことだ

【音楽制作部】近々エレキベースを外へ持ち出す機会があるので、取り敢えずヘッドフォンなしで音を出せるアンプ(?)を購入しました。

amPlug Cabinet

 3月7日の投函で書いた amPlug に接続する外付けスピーカーアンプ「amPlug Cabinet」です。外観はVOX社のアンプと共通する格子模様で大きそうに見えますが、本体から出ているミニプラグから判るように超小型です。

amPlug CabinetをamPluh澪モデルに接続

 例の amPlug 澪モデルを接続してみました。それでも片手に収まるほどちっちゃい!

amPlug Cabinet使用風景

 9Vの006P電池で0.7Wのスピーカーを鳴らします。シールドを入力すると自動的に電源が入る親切設計。
 この小ささながらアンプらしい音がある程度出ているのはすばらしい。ちゃんと弾くには全く力不足ですが、これなら「ちょっとベース持って行きたいな」と思ったとき、鞄に入れて気軽に持参できます。しばらくはヘッドフォンで練習してたまに音を出すという使い方になりそうなので、2000円以下でそれが実現できてありがたいです♪

 あるベテランのミュージシャン様から「楽器は歌うように演奏するものだ。一音一音を大切にしろ。決して“素早く”弾くものではない!」とのお言葉を戴きました。歌えるようになるよう日々励みたいです。


2012.3.13(火) 21:57  721 ここから

【音楽制作部】エレキベースをお借りして1週間と少しが経ちました。
 曲の特定のフレーズを抜き出して、フレットを探りながら「指遣いがこうで、こうで、こうだな」という感じに再現できるようになりつつあります。まだテンポなしで難易度の低いものだけですが、ちゃんと練習すれば弾けるようになるかも!? という手応えがあります。
 ここからが大変なんだろうな〜。もう少し弾けるようになったら外へ持ち出してゆるゆると合奏してみましょうかな。そうやって楽しみながら必要なものを身に着けていきたいです。


2012.3.12(月) 23:59  720 私だって!

【日録】私が『けいおん!』にはまったことを分かっている方が逐一報告してくださるのが面白い。
amPlug、唯モデルなら持ってる。」「“聖地巡礼”してきた。豊郷小学校。」
 話した場所が場所だっただけに、わー! とかではなく、じわーっとくすぐられるような嬉しさというか照れくささというか。というか先輩羨まし過ぎますよ豊郷小なんて! amPlug をちゃんと持っているのもすごい。けいおんファンの誰もが通る道なのだろうか?
 2周回遅れぐらいでこの波が来てしまったので共有できる喜びというのはある程度限られたものになってしまうけれど、逆に“聖地”のような場所を訪れるのは同好の士で混雑することもなくていいかも。私だって、やってやるです!


2012.3.11(日) 23:59  719 サイクリングオンリー

【日録】サークルのメンバーで結成された“自転車部”に初参加。
 コースは名古屋市内だったので、市内のメンバーに自転車をお借りして臨んだ。名古屋を走るのは学生時代振りで、車窓(って言うのか)の景色は何もかもが新鮮だ。
「名古屋ウィメンズマラソン」と時間帯が重なり、道路封鎖のため何度も自転車を担いで歩道橋を渡る羽目に(泣)。そんな喧噪の中を自転車で通り抜けるのもいい。
 今日のメンバーは4人。それぞれよく走りそうな自転車を持っている。自転車に乗るのが7〜8年振りの私だったが問題なく追従できた。それにしても写植室に来てくれた時のようなご機嫌振り! どんなハプニングも笑えるというのは気持ちがいい。
 途中池下のインド料理店で昼食兼“本番”の打ち合わせ。伊勢まで行って帰って来られるのかしら……という思いは超きっちりとした計画と準備によって解けた。むしろ、すっごく楽しみだ!
 東山の思いがけない急坂で体力を見る見る奪われ、平和公園で休憩がてら輪行の仕方をご教授いただく。自転車は軽快車と呼ばれる形式のものしか乗ったことがなかったので、交通機関に持ち込む方法とか道具とかがあるのだということが(当然あるのだが)面白い。平地に住んでたらはまっただろうな。
 復路は冬の気候に戻りつつあったので、猫洞のカフェーで体を休め、覚王山のコーヒーショップで雨宿り……した途端に雨が止んだので暗くなるまで談笑。名駅の近くまで戻って夕食(どれだけお店行っとるねん!)。全行程約20キロの割によく休み、よく食べた! そして朝から夜までよく遊んだ!
 最後に自転車を貸してくれたMちゃん、何から何まで用意してくれて本当にありがとう。よく整備された乗りやすい車で、筋肉痛や尻痛にはなりませんでした(笑)。感謝です!

 この1年間、あの日を思い出さない日はなかった。
 どうか安らかに。そしてどうかよりよい明日を。


2012.3.10(土) 23:59  718 忘れられていたものは

【日録】長い間手付かずだった押し入れの内容物を把握する為、中身を全部出して大掃除をしました。
 小中学生時代の物が大量に出てきましたが、それらとは関係なく一つ完全に忘れていた物が発掘されました。……写植のメインプレート18枚入りの段ボール箱!
 8年前に廃業した写植屋さんから譲って頂いた文字盤のうち重複したものを別途保管していたようです。曽蘭隷書体が3枚もあるって、相当な隷書好きですね(笑)。
 段ボール箱は十数キロあるのですぐ写植室へ移動しました。押し入れの内容物も全て把握できたので整理してしまい直して完了。今後使いそうにない当時の運動用具等は今度処分しよう……。これで製作所がまた少しだけ広くなりました♪


2012.3.7(水) 23:30  717 直結する感覚

【音楽制作部】3月4日の投函でエレキベースを借用したことを書きましたが、持ち主の先輩は「アンプは自分で買ってね」とのことでした。節約中の折アンプを買う余裕はないし、買ったとしてもベースを弾けるのは仕事から帰った夜のみなのでアンプから音を出すことはできません。
 そこで思い出したのが、ヘッドフォン「K701」を買ってヘッドフォンアンプを検討していた時に見付けたギターやベース用のヘッドフォンアンプでした。通常の据置型アンプの代わりにそれを接続し、アンプと同等の出音をヘッドフォンで聴けるものです。

 VOX社が発売している「amPlug」シリーズに『けいおん!!』仕様のものがあり気になっていたのですが、調べた限り評判は良いようだし人前で使う訳ではない(多分)のでいいやということで秋山澪モデルを購入しました。これに澪ホンを

amPlug けいおん!! 秋山澪モデル

 けいおん仕様第1・2弾はすごい勢いで売り切れてしまったようですが、第3弾は劇場版に引っ掛けて発売されたばかりだったので Amazon でも簡単に購入できました。3420円也。当面アンプを買わなくて済むのは有難いです。しかしこのパッケージ、楽器屋さんで買う勇気はちょっとありません(笑)。

amPlug けいおん!! 秋山澪モデルパッケージ裏

「どこでも“みおちゃん”ベース・ギター・サウンドを!」

 ベースのフォンジャックに直差しし、本機にヘッドフォンを接続するだけです。単4乾電池2本で動作します。
 ベースについては全く知識がないので的確に説明できず申し訳ないのですが、アニメ絡みだからといって安っぽい音がする訳では全くなく、ちゃんとしたベースの音が出ていると思いました。ゲイン・トーン・ヴォリュームの調節範囲が広く音が破綻することはなし。“みおちゃんサウンド”かはけいおんの楽曲の聴き込みが足りない私にはまだよく判りませんが、メーカーによれば澪のベースの雰囲気を出すべく音が作り込んであるとか(→記事)。いずれにしても、演奏を自分で楽しむ分には充分いいです!
 アンプなしで何日か練習していましたが、やっぱりベースらしい音が出るとやる気が出るし断然弾きやすいです。見た目とは裏腹にすごく実用的です。

 ドレミ……の位置が分かるようになり、I・IV・Vのような主要な音の位置関係がどんな調でも変化しないこともあって、ごく簡単なフレーズなら感覚でゆっくり弾けるようになり始めました。まだ上手く押さえられないので鳴りは良くないですが、脳と指とが直結する感覚が思いのほか生まれ始めていて、適当に弾いているだけでとても楽しいです。
 SPICA-AHを可愛がり「写植の時代」展の写植レポートを書いている筈のところ、ベースの練習に勤しんでいるというよく分からない展開になってまいりましたが、こういうものは出だしが肝腎なので生あたたかく見守ってやってください。

→参考:KORGは『けいおん!』を本機で愛していた/ASCII.jp


2012.3.6(火) 22:51  716 ちょっぴり、表紙買い♪

【日録】同人誌を割とよく買うのですが、ジャンルによっては膨大な量が発行されているので厳選する必要があります。
 基準にしているのは「表紙のデザインがきちんとしている(好み)か」です。本文のデザインも確認できれば尚良し。デザインが出来ている印刷物はそれだけで自身の価値を増しますし、デザインをする為には訴求すべき点や優先順位を分かっている必要があるため内容も洗練されている場合が多いと思います。
 というわけで、“表紙買い”をよくします。ジャンルは関係なく、デザインで選びます。

『パスタと休日』表紙

 先週の土曜日に買った同人誌です。Sayu STUDIO さんの『パスタと休日』。

『パスタと休日』内容

 商業誌に比肩する完成度の高い内容です。書体はヒラギノ明朝体W3のみという潔さ!(※この方は本職です)

表紙買い同人誌

 これまでに表紙買いしてしまった同人誌の一部です。イラストもさることながらデザイン処理も上手くて見ているだけで気持ちいい!
 こういったデザイン能力は一朝一夕には身につきませんが、その方法論を読み取るだけでも勉強になります。

 同じ日に書店で平積みになっていて、表紙が気に入って一度手に取り、節約しなきゃと戻したものの、2、3度手に取っては戻しやっぱり買ってしまった一冊。

小山愛子『ちろり』1巻

 小山愛子『ちろり』1巻。
 友人のサイトでも取り上げられていましたが、良い雰囲気を持った漫画だったのでこちらでも書いておきます。
 明治時代の横濱、あるカフェーでの出来事。「ちろり」はそこで働く女の子。
 仕草や情景が細やかに描かれ、何気なくもゆったりとした時間の中でのやりとりに、心の奥がぽっとぬくもるような作品でした。ちろりがススキのとげが刺さった人差し指をずっと気にしているエピソードが特に好き。小さな小さな出来事も、実は愛おしいものなのです。


2012.3.4(日) 23:07  715 エレキベース!

【音楽制作部】しんがっきと言えば新しい楽器のことである。
 かつてお世話になった方からエレキベースを貸していただきました!

STEINBERGER社エレキベース「Spirit」

 STEINBERGER社の Spirit Collection XT-2 という機種です。ベースを触ること自体初めてで何も知識はありませんが、私の感覚でいう普通のベースからすると小型でヘッドがないという独特な外観です。なるほど変態を自称する先輩だけある。同じく変態である私も「ありきたりなものはイヤじゃ」という思いだったので見事に需要と供給が合致。恰好いいぜ!

XT-2 ヘッド部分

 見事にヘッドがない代わりにボディーのエンド側にあるネジでチューニングを行うのです。

XT-2ピックアップ付近

 真っ黒で光沢のある表面。慎重に扱わねば。

 大規模整理中の自室にご来訪いただき、全くのゼロからエレキベースというものを教えていただきました。じっくりご教授いただいたので、直に座ることができる置き畳を敷いたのは正解でした!
 弦はそれぞれ4度の音程で調律されており、ドレミ……が弾けるようになればどんな調でも同じ指で押さえられるということで、鍵盤楽器のような苦労は少なそうです。鍵盤は調が変われば押さえる場所が大きく変化し、私の処理能力と運動神経ではすぐに処理落ちするので勘で弾くことしかできません。
 ベースと同じく単音楽器のリコーダーは頭の中で音の高さと運指が一致していて大抵の曲は(半音が少なければ)初見で弾けるのですが、ベースも同じような感覚になるのでしょうか……。指が思うように動かないのは歳のせいではないと思いたい。

 部屋に『けいおん!』関連の物品が置いてあるからか、お借りした先輩には妙に納得されてしまいましたが、低音好きでそういう楽器を弾いてみたいのが先だったんです! 力説すればするほどそうじゃないように聞こえてしまいますが違います!(笑)
 歌謡曲だろうがアニソンだろうが気持ちのよいベースラインは幾らでもあるので、ごく簡単なフレーズから少しずつ練習していきたいです。「○○やってます」と真面目に言える楽器が一つもないので、人と合奏しても問題ない程度に上達できたら良いなぁ。


2012.2.27(月) 21:56  714 SPICA-AH、導入しました!!

【亮月写植室】

SPICA-AH

 25日、手動写植機「SPICA-AH」を導入しました!!

 詳しくは亮月写植室の「写植室日報」にて。(29日、その後を追加しました。3月3日、自家印字に成功した様子を追加しました。)

【日録】18日はSPICAの搬出のため関東日帰り、21〜22日は「写植の時代」展のため大阪へ泊まりがけ、25日はSPICAの搬入……と写植だけで目の回るようなスケジュール、そして出費の多さでした。
 1月から取り組んできた亮月製作所(自室)の大規模な整理もSPICA-AH導入の一環でした。SPICAを置くスペースを捻出すべく菅沼タイプライターとその机を亮月製作所へ移動させることにしたので、今度は亮月製作所のスペース確保が必要だったのです(2月7日付の投函で書いたような強い動機が後押しした)。
 菅沼タイプライターは無事収まるべき所に収まったのですが、タイプするには寝床(折り畳みベッド)に座らなければならず、その折り畳みベッドの下には段ボール箱に入った文字盤が詰め込まれていて折り畳めないという多重構造かつ多重機能不全に陥っています。
 そうなると次の課題は「寝床周辺の機能を如何に正常化するか」です。折り畳めるイコールそこに物を置いてはならないであり、元々収納に余裕がない自室には向いていない寝床だったのです。あゝそれなのにそれなのに……使えるからと学生時代に狭い下宿で使っていた物をなんとなく引き継いで……。過去の無計画で無頓着な自分を心から呪います。
 どのようなものを寝床にすればよいかはほぼ結論が出ていますが、今月は出費がただ事ではなかったので出来る限り節約しながら頃合いを見て導入したいと思います。


2012.2.22(水) 23:59  713 写植づくしの2日間

【写真植字】21日、「大阪DTPの勉強部屋」主催の「写植の時代」展に行ってきました。後日「写植レポート」にて報告予定ですので、大まかに振り返ってみたいと思います。

MC-6文字盤とレンズ
モリサワ手動写植機「MC-6」の文字盤とレンズ
写植と言えばこの構図の写真が最も端的に特徴を表現できると思う。
鉄道には車輛の「形式写真」というものがあるが、“写植機の形式写真”があるとしたらこのようなものだろう。鉄道車輛のように全体は映っていないが。
なお、MC-6は主レンズが2段式である。

 夕方から仕事の休みを頂き新幹線で大阪へ急行。会場は30人弱が訪れていて、稼働するモリサワの手動写植機「MC-6」の周りには人だかりが出来ていました。

モリサワ手動写植機「MC-6」全景
MC-6全景

 壁際には写植に関する貴重な資料や文字盤の展示が多数。写研のサブプレートの販売もありました。亮月写植室で実用するため「つめ組み用かな文字盤」を購入しました♪ 癖がなく爽やかな石井新細ゴシック体と、他の丸文字書体のような強い主張がなく現代でも通ずるデザインのルリール。

サブプレートの陳列
美しく陳列されたサブプレート販売コーナー

 19時半からは座談会「写植の時代を語る」。写植全盛期のエピソードや思いを写植に深く関わられた方3人に存分に語っていただくものでした。漫才のような笑いが度々起こりさすがは関西といった感じでした(笑)。

MC-6で印字した印画紙

 私もMC-6で印字してみましたが、機械式で全て自分で設定しなければならない本機に悪戦苦闘。28Hまでしか一度に送れないので、写真のように56Qの印字が半分重なってしまいました。書体は見出明朝体MA1と細ゴシック体BC1。

 翌22日も閉会した会場へお邪魔し、MC-6の撮影と操作系の確認をさせていただきました(主宰のえむさん、Uさん、本当にありがとうございました!)。

モリサワ手動写植機MC-6の主レバー
「MC-6」の主レバー

 午後から大阪市内にある「寿印刷」へ。

寿印刷廊下

 学校の建物だったという木造の社屋は昭和前半の雰囲気がそのまま残された居心地が良い空間でした。撮影だけの目的でも一日居られそうなぐらいフォトジェニック!
 阪神大震災で活字の馬棚が倒れ廃止し一部が遺された活版印刷機と活字たち。埃を厚く被ったPAVO-JV(私の機種と同じ)。在版管理の関係で現役のSAZANNNA-SP313。モダンに改装された電算・DTP室。百年以上の時を刻んだ会社のあらゆる印刷技術の歴史が凝縮していました。

寿印刷の活字の馬棚
活字の馬棚

写研「SAZANNNA-SP313」
写研の入力校正機「SAZANNNA-SP313」
一寸ノ巾式フルキーボード、8インチフロッピーディスクドライブ搭載。
中央の四角いキーに30個の文字が記載されていて、左手の30個の一寸ノ巾見出しキーで選択することで1文字入力。右手の右には3級漢字や数式オプション等がページめくり式のボタンに登録されている。

活版印刷の輪転印刷機
活版印刷の輪転印刷機(1978年製)
木造社屋の1階に3台並んでいたそうだが2台を改装のため処分、出口がなくなってこの1台が残ったそうだ。

 熱く和気藹々と応対していただき、とても楽しい見学の半日でした。暖かい季節にじっくり拝見すべくまた伺いたいと思います。

 これ以上ないほど充実した2日間でした。ありがとうございました!


2012.2.19(日) 21:02  712 大映しで見てみよう

【日録】映画『けいおん!』の「メモリアルフィルムプレゼントキャンペーン」(3回分の半券を映画館に持って行くと4コマ分のフィルムが貰える)が軒並み終了してとても心残りに思っていた中、まだフィルムの在庫のある映画館が愛知県内にあると聞いて行ってきました。
 映画館に電話で問い合わせた時「在庫はあと50枚ですが、今日中になくなると思いますよ」と言われ即出掛け、無事ゲットできました♪ 窓口には同志が一人、二人。 確かに今日中になくなりそうでした。

けいおん!リピートポイントシートとフィルムの袋
リピートポイントシートは裏表で24枚半券を貼れる。おそろしい商魂だ(笑)。
メモリアルフィルムは封緘された赤色の小さな封筒に入っている。

 上映フィルムが細切れで無作為に入っている訳なので、背景だけとかスタッフロールとかの可能性もある訳です。どきどき……。

けいおん!フィルム全体

 おお!?

けいおん!フィルム拡大

 りっちゃんと唯の大映しでした!
 HTTの全員集合のが欲しかったとか贅沢なことは言いません。充分過ぎるほどいい絵柄です。2回しか観ていない※ので何のシーンかははっきり思い出せないけど、とても良い記念になりました。(※友人と見に行った時半券を譲ってもらったので3枚集まったのです。)
 亮月製作所永久所蔵品に決定。名古屋よりも時間のかかる所へ車で行った甲斐がありました。

【文字関係】その映画館は空港跡を転用した巨大なショッピングモールに附属していたので、折角遠くまで来たのだからと散策しました。空港の名残があり、全体的に上質な雰囲気が漂っているのが良かったです。無印良品で買い残していた整理道具を購入。大きな書店も入っていたので寄ってみました。

 そこで購入した本たち。

もじのみほん、電卓のデザイン、アニメ・コミック(略)のデザイナー集

 デザイン関係のコーナーは棚丸ごと買い占めたいぐらいなのですが、得てしてデザインの本は高いので最近話題になっていたものを選択。因みに亮月時間の「最近」は1〜2年ぐらい有効です(笑)。

『もじのみほん』表紙

 その中でもちょっと前にあちこちで採り上げられていた『もじのみほん』を精査してみました。

『もじのみほん』帯
『もじのみほん』帯・表1側より

 帯の高野雀氏のイラストが可愛い……それもあるけど、しゃ、写研書体!?
 でもそれにしては何かキモチワルサがあります。一見石井特太ゴシック体に見えるこの文字列、漢字がモリサワの「ゴシックMB101 DB」なのです。
 なんなんだこれは。よりによってモリサワの、しかもMB101を混植(?)してくるとは……。MB101の漢字には石井のような角立てはないし、突き出しがはっきり飛び出す形状なので石井特太ゴシック体の仮名には合わないと思うのですが。そもそもどうしてこんな奇妙な混植をしたのでしょう? ストレートに石井特太ゴシック体のみで組んではいけなかったのでしょうか。

 また、表紙の「もじのみほん」という文字を見ても判るように、石井太丸ゴシック体が使われているように見えます。
 ですが、これもキモチワルイのです。表紙から本文ページのキャプションまでふんだんに使われているのですが、写研のシステムでDTP用書体を紹介する本を作るのはとても非効率だからやらないよなあという思いとともに、違和感の原因を見付けました。

筑紫A丸ゴシックB+石井太丸ゴシック体の混植
『もじのみほん』p.251キャプションより

 仮名だけが石井太丸ゴシック体で、漢字と約物はフォントワークスの「筑紫A丸ゴシックB」、欧文は更に別の書体が使われています。
 上のように文章量が多い場合もこのような混植がされているので、手動機の印画紙では決してなく、書体アウトラインサービスで購入した石井太丸ゴシック体の仮名を一文字ずつ配置したのでも決してなく、そうして手に入れた石井のアウトラインデータをフォント化し、それを筑紫A丸ゴシックBと混植したのでしょう。
 筑紫A丸ゴシックは石井を強く意識した書体なので見た目は耐えられない訳ではないのですが……。もし上記の推測通りだとしたら、法的にどうであれ、写研が「印字物を他機器用の字母として流用することは、お断り致します。」(『タショニム・フォント見本帳』より)と明示している以上、個人で楽しむ範囲を超えてやっちゃダメなんじゃないですか?

 本の趣旨や着眼点はとても面白いし、実際楽しんでじっくり読んだのですが、肝腎な所が抜けちゃったような印象でした。「仮名で見分ける」のだから漢字の書体はあまり気を遣わなくてもバレない(?)とデザイナーが思った訳ではないとは思いますが。
 併用しているDTP用書体の品質が良くない訳ではないのだから、表紙と帯だけは漢字もアウトラインサービスで用意してきちんと写研書体のみで固め、中身はQ数も小さいので類似のDTP用書体のみを使えば差し支えなかったのでは。個人的にはその方が「DTP用書体がメインだけど写研書体にも愛情を注いでいるなぁ」と感じたと思います。
 書体を仔細に見られることが確実に想定される本だからこそ、抜かりなく拘ってほしかったです。いち写植ファンの端くれとしては。(あとは重箱の隅ですが、本文中「石井中明朝」だけ書体コードがKMMAOKL=仮名書体のものになっているのも何故でしょう……。)

 ……というのはひねくれた写植ファンだから気になっただけで、主要な書体の平仮名・片仮名が全て載った見本帳が1575円というのは特筆ものです。書体毎の仮名の個性を存分に味わうことができる無二の存在。書体を覚えるには最適だと思います。寝しなにパラパラとめくってみるだけでも楽しい一冊です。ぜひ枕元に。


2012.2.16(木) 23:27  711 ささやかな幸せの日常

【亮月写植室】「写植の時代」展が明日から開催ということで、いつになくわくわくとした気持ちに包まれている管理人です。
 やはり最終の21日(火)に行くことにしました。宿も取ったので飲んでも安心(笑)。1日半の休暇を許可してくださった職場の上司に心から感謝します。ありがとうございます。これで心置きなく取材できます。
 これを機に写植がもっと多くの人に知られるといいな。

【日録】今年の夏に『日常』関連の立体物が一斉に発売される予定と聞き、居ても立ってもいられない今日この頃です。
 中でも今年の年賀状の題材に使い「好きすぎて困る」と自称する東雲なのねんどろいどが出るというのは、知った瞬間「わっ!」と声を漏らすほど嬉しかったです。『日常』のそういうものは出ないのかと待ち草臥れて諦めていたところにこの朗報。全筆者で万歳三唱。(→このブログの中盤に高解像度の写真あり。)
 しかもねんどろのなのは可愛すぎて困るほど可愛すぎて困る(誤入力ではない)。5体ぐらい買ってもいい(←よしなさい)。筆者への贈り物なら何よりも喜ぶと思います(贈らなくていいですよ?・笑)。
 ねんどろあずにゃんを買ったばかりでこの体たらくが! という非難の謗りを受けて立とうではないか免れませんが、この浮かれた文体が示すように純粋に嬉しいのです。こんなささやかな幸せの日常があっていいと思います。


2012.2.13(月) 23:00  710 やってやるです!

【日録】

    \やってやるです!/
ねんどろいど中野梓

 誰か一人選ぶとしたらこうなりますよね。(←同意を求めるでない)
 けいおん! のねんどろいどはムギちゃんの出来が抜きん出てすばらしいと思うのですが、ここはやっぱり。愛用の“むったん”ことムスタング、アンプ、あずさ2号あずにゃん2号もよく出来てます。スタンドにはそのままでは嵌まらないので、下半身だけスタンドに嵌めてからスカートと上半身を接続すべし。今更ですが。

ねんどろいど中野梓「にゃあ」

「にゃ、にゃあ……」

 だっ、ダメだ。これはいくらなんでも

BGM:狩人『あずさ2号』(1977年)


2012.2.11(土祝) 23:59  709 新陳代謝

【日録】(完全に自分のための記録なので、興味のある方だけどうぞ)
 
引き続き、亮月製作所の整理中である。
 今日も死蔵品を売りに出した。紙袋1杯分の物にそれなりの値段がついて有難かった。各種グッズは実用するもの以外は買わないと肝に銘じたい。
 売却金を原資にして整理用の備品を購入。書類や絵の資料が大量に入った未分類のクリアファイルが机の横の棚で混沌を形作っているので、それを分類して見た目を美しくしながらすぐ閲覧できるようにしたい。整理された場を予め作ることで強制的に整理せざるを得ない状況を作り上げてしまえば混沌としようがなくなると思う。そこまでが大変だけど。
 追加で買った収納ボックスが届いたのでCDとカセットテープを収めた。が、まだDVDがきちんと収まらない! デーッ!(←管理人が「パンダ泣き」と呼ぶ泣き声)どうすれバインダー!
 死蔵品と言えば本棚の奥に1列分のCDが眠っている。本棚の奥行が深くてCDを前後2列に収納しているが、奥の列のものは数年聴いていない。律儀に初回限定版を買っていた「林○めぐみ」とか今更聴かないもんなぁ。そのうち売ってしまおう。

 部屋は主の人となりを表すという。
 今まで多くの人の自室に上がらせていただいたが、整理整頓が行き届いていたり趣がある部屋を築いていたりする人は相応にしっかりしていたり世界観を確立していたりする。自分の人となりはともかくとして、そのような部屋に好感を持ち、そうしたいと考えているのは確かだ。今回の亮月製作所の整理では実在/架空の人物を問わず色々な部屋を参考にさせていただいている(感謝)。
 部屋に表出するものは頭の中の状態だと思う。どのような審美眼を持ち、どのように配置・整理し、どの程度実践しているか。だから人の部屋を見ることはその人と話をすること以上に人となりについて雄弁だ。部屋を見て「この人好きだな」と思うことがある。
 こちら今のところ、スイッチのように気分が一発で切り換えられないのと同じように、部屋の各地でしまわれ方について軋轢が生じている。これを新しい方法に統一するのはとても大変だが、とても楽しい。そう、私は“変遷”が大好きなのだ。自室の景色が徐々に変わってゆく様子が面白くてたまらない。
 まぁまぁ見られる部屋になってはきたが、まだまだ完全収納には時間がかかりそうだ。我ながら感じる沸き上がるような熱の入りようは殆ど趣味に近いものがあるので、今後も楽しみながらこつこつと仕上げていきたいと思う。

 おまけ

SONY CFS-V1

 亮月製作所の備品で一番古い物。SONYのラジカセ「CFS-V1」(1979年)。
 VHF/UHFテレビの音声多重も聴ける多機能機だったが、昨年7月のアナログ停波によって無用の長物に。カセットやラジオは使用可能。この時代のSONY製品は緊張感のあるデザインで非常に恰好いいと思う。(部屋が綺麗になってこういう写真も撮れるようになった。嬉しい!)


2012.2.7(火) 23:43  708 亮月製作所、大整理中。

【日録】(完全に自分のための記録なので、興味のある方だけどうぞ)
 
亮月製作所(自室)の整理が着々と進行中である。
 今迄は「持っている物を出来る限り有効利用する」のを方針にしていた。物もちが良すぎるのでかなり古い物もある。ごく普通のカラーボックスだったりプラスチック製の安い引き出し収納だったりするが、高校・大学時代に何とかお金を捻出して買い足した物なので現役で使ってきた。
 しかしギリギリの財政の中選択肢がない状態で買った物であるし、「こういう雰囲気にすべく部屋の備品を揃えていこう」なんていう将来を見通す目や物を見極める力もなかったので、規格もデザインもバラバラで在り来たりな物が混沌と部屋にある有様が長く続いてきた。出来る限り整理しても限界があり、使える物を処分するのは勿体ないと考えていたのでそれに甘んじるしかなかった。

 ただ、自分が最も落ち着き、あるいは集中できる筈の自室がそのような状態では、部屋を見る度無意識のうちに「混沌としているなぁ、これが目に引っ掛かるなぁ」と思う訳で、じわじわとストレスに近いような納得のいかなさを抱えるようになった。「自室で落ち着けないのは明らかにおかしいのではないか?」と。
 以前から使う道具にはマニアックに拘ってきたうえ、先行して揃えた亮月写植室の備品は妥協なく選択したので、亮月製作所もそのようにしたい(だが出来ない)という思いが日に日に強くなっていった。

 今年の1月半ばから始めた整理は、必要に迫られた事由ともう一つの強い動機の二つ(謎)によって上のような蓄積した思いが決潰する恰好で始まった。
 まずは死蔵品を売却し、部屋の空間を確保するところから始めた。まだまだ出てくるので進行中。「いつか使うだろう」と後生大事に取っていた段ボールの空箱も全て処分した。これもかなり効いた。
 そして今度は収納方法を検討する段階に来た。
 部屋には寝床があるため有効面積は広くはないので、最も効率の良い収納方法を実現しつつ、その意匠も出来るだけ整然と美しくなるよう気を遣うことにした。そして備品設置の方針を決めた。

・収納は効率最優先。
 規格化しデッドスペースを無くすことが効率化の原則。又、そうすれば外観は自ずと美しい状態になる。
・収納されたものをすぐに参照・利用できること。
 活用しやすいことは死蔵品を産まないことである。道具や本を使うとき時間や手間がかからないことは時間効率を高めることにも繋がる。
・外観に気を遣い統一する。
 備品の意匠は無駄のない質素なものを選ぶ。そもそも機能を形状に託せば自ずとシンプルな設計のものになると思う。それは効率の良い収納にも寄与する。質素なものは飽きようがないのでどんな状況にも対応し、寿命が長くなるから余計な費用がかからない。備品の外観の情報量を減らして気を散らさないようにする。あと単純に生活感丸出しなのはもうイヤじゃ。
・レイアウト変更が容易である。
 亮月製作所が未来永劫死ぬ迄ここにあるとは思えない。何らかの出来事によって引越すことになったとしても活用できるものを選ぶ。具体的にはユニット状のもの。
・低予算。
 安くても耐久性があり有用なものは使うに越したことはない。浮いた分を他に遣う方が有効である。

 おおよそこれらを軸にして新しい備品を選ぶことにした。これまでの進捗状況。(※「どうだ!」というものではなく自分の覚え&自己満足です。実際の部屋は大したものではありません。)
 ホームセンターに手頃な焼き杉のボックスが売られていたのでこれを基本単位にし、積み重ねるなどして棚の代わりにした。
 嵩のあるものは雑然とするので焼き杉ボックスと同じ色の四角い籠に全て収めて直接見えないようにした。
 市販の箱ティッシュはどう考えても外装が派手なので、焼き杉ボックスと同じ色の木製のティッシュケースに収めて落ち着かせた。

木製ティッシュケース
ヤマト工芸「ネイチャーボックス」
福井の木工会社による作品。表面は滑らかで角丸の丁寧な処理が美しい。

AKG K701」以外のヘッドフォン2台は棚の上に転がした状態だったので、アクリル製のヘッドフォンスタンドに掛けて見映え良く収納、すぐ使えるようにした。

ヘッドフォンスタンド「AQULIA HPSTAND ST」
「AQULIA HPSTAND ST」(右側2本)
透明なアクリル製なのでスタンド自体が主張することはない。国産で造りは非常に良く頑丈。ヘッドバンドを掛ける丸棒は直径約15mmとやや細いので、軟らかいヘッドバンドは棒の形に凹む。棒が当たる場所にスポンジ等を当てると良い。

 プリンター用の紙もパッケージが派手なので、木製の白いレターケースを購入して収めた。(木製かつシンプルでA4横サイズのレターケースは探しに探したが、安価なものは1択だった!)

toanoa「A4サイズの3段小引き出し(白)」
toanoa「A4サイズの3段小引き出し(白)」
福岡の木工職人さんによる引き出し。真っ白でこれ以上足し引きする必要がないデザインという私の理想を形にしたような作品だ。引き出しの穴が奥になるほど広がっていて指を掛けても痛くないのがいい。

 板の間で冬は歩きたくないほど冷たく、年中通じて床に直接座ったり寝転がったりできる気分ではなかったので、部屋の中央に出来た空間に合う寸法のユニット畳を敷き詰めた。座っても全然寒くなく、落ち着いて本を読んだり作業したりできるのに感動した。この畳の上には物を置かないようにする。折りたたまれていなかった折りたたみテーブルとそこの上に出しっぱなしだった和文タイプは収納場所を作った。
 デザイン不統一のプラスチック製の引き出しにしまっていたカセットテープ300巻と、1メートル幅を占用するキャスター付きカラーボックス棚に収めていたCD120枚は、焼き杉ボックスの内寸に合う紙製ボックスを用意して収納。(←いまここ! これも1択だった上用意した量が足りなかったので再度購入予定。)それまで使っていた引き出しと棚は押し入れ等で転用する。

 物を減らして整然と収納し、ユニット畳を敷いたので大分落ち着ける部屋になってきたが、まだ完全収納が達成された訳ではない。
 あとは就職した頃に物を3分の1に減らした“第1期”の整理箇所が今の目で見ると今ひとつ(取り敢えず許容範囲)とか、寝床の下に写植の文字盤入りの段ボール箱がぎっしり入っているとかそちらも解決したいところ。家庭で段ボールに収納していいのは季節ものの家電と野菜果物だけだと心得、きちんと収納したいところだ。


2012.2.5(日) 23:59  707 フリーダム見学会!

【亮月写植室】所属の写真サークル関係の人達が見学に来てくれました!
 駅まで車で迎えに行くと、名古屋から来た4人は駅を降りるなりすごい興奮ぶりで駅舎をバックに激写(そこはタクシー列のすぐ横だった)、満面の笑顔で私の車に近付いてきました(笑)。これは早くもえらい事になりそうだと予感する管理人。
 賑やかなまま車に乗ってもらい自宅へ。早速写植室に入っていただきました。車も写植室も狭くて申し訳なかったです!
 いつもお客さんをお迎えした時のように写植や写植機についての説明をする隙もなく、写植機や和文タイプライターなどあらゆる備品に反応する一行。写植機をじっくり見たことがある人はいなかったようで、沢山写真を撮ってくれました。あまりの食らいつきぶりに私が驚きました。
 自宅ゆえ家人も居た訳ですが、途中から“隠れ家訪問”になったりお茶の時間に合奏したりとかなりのフリーダムぶりを見せる一行(私もか)。父は音楽も本職にしているので自分にとっては恐れ多い存在なのですが、お茶の時間に巻き込まれて一緒に演奏してくれました(すまぬ父上、こういう仲間なんです)。Rさん、楽器持って来るなんて反則だよー!(←「わかってたよ!」と読む。管理人は嬉々として自室から楽器を取って来た。)
 お茶が終わったら写植室に戻り、ちょっと写植の話をと思いましたが色々な物に興味津々の皆の前では無理でした。こうなると思って前日の晩に作っておいた「見学のしおり」が役に立ちました。印刷・デザイン関係が本職のメンバーとはちゃんと話が通じました。ありがたし。

お土産の印画紙と『見学のしおり』
お土産の“Rさんと愉快な仲間たち見学記念 2012.2.5”印画紙と『見学のしおり』
実物は皆にあげてしまったので、失敗印字と試し刷り。
しおりは急遽前日の晩にMacで作成。題字に使った太い筑紫明朝って豊潤な輪郭でいいなぁ。しかも詰めるととても気持ちいい!
印画紙は新聞特太ゴシック体と大見出しアンチックKE-Aのつめ組み用かな文字盤併用、そして写植と言えば記号BA-90。小さな字はファニー、鼻息のような記号はルリールBのもの。字づら検出と行送りに失敗してずれている。

 写植機よりもむしろ原理が目で見てすぐ分かる和文タイプライターの方が面白かったようで、Rさんはたちどころに「菅沼タイプライター」の採字と送り操作をマスター、歌詞カードを作成していました。インクリボンが終わってしまったので製作所で普段遣いにしている小型の「パンライター」を出したら女子に人気でした。「『和文タイプ打ちに来てよ』ってどういう口説き文句やねん」と突っ込まれる管理人。
 写植室は満喫していただき、じゃあ製作所は? と問われると、まだ処分する物があるし大きく模様替え中なので見せられませんと答える訳で。べ、別に絵の資料なんて沢山ある訳じゃないんだからねっ!

遮光テープと修整ペン
Iちゃんがお土産にくれた製版フィルム用の遮光テープと修整ペン!

 ……そんなこんなで写植あり、和文タイプあり、合奏あり、お茶の時間ありのとても充実した一日でした。本当にありがとうございました!

【日録】帰りの車の中で印象的だったRさんの話。「人生80年をホールケーキに喩えると、もう半分近く食べ尽くしてしまったことになる。これからはケーキが固くなって食べられなくなるかも知れない。だから今美味しいケーキを食べられるうちに食べておきたい。今やりたいこと、やれることを全力でやるんだ」というような含蓄ある内容だった(記憶違いしてたらごめんなさい)。
 私も非常に同感で、この論へのアプローチの仕方は違った(日常の有難味を痛感したから日々最善を尽くしじっくり味わおう)けど方向性は同じだと思っている。今日来てくれた4人は皆そういった思いを持ってそれぞれの道を熱く邁進している。
 こうして見ると別の物に充てる予定だったお金で思い切って亮月写植室を立ち上げて正解だったと思うし、今日そういう人達が来てくれたことがそれを補強するような大きな刺激になった。一人でやっていても仕方がないけど、影響し合ったり声を掛けてくれたりする人がいるからこそ続けていけるのだ。


2012.2.3(金) 23:50  706 氷の世界

【日録】今日は今まで経験した中で一番冷え込んだ日でした。
 家の水道は凍って水が出ず、朝起きた時点での自室の気温は1℃。板の間なので靴下を履いても歩くのが辛い位床が冷たくなっていました。住む街の温度計は氷点下9℃を指していました。凍り付いたかのような凛とした空気を満喫するのもたまにはいい……とはいかないほど身に沁みる寒さ。風物詩を味わうにはある程度の余裕が必要なのです。

 また今日は節分の日でもありました。
 職場で豆撒きの仕方が話題になり、「福は内の時は撒かずに家具の上に豆を置く」など工夫しているという話が面白かったです。亮月家でもある日突然豆をバリッと踏んだり大掃除の時に出てきたりしないよう各部屋への豆撒きは必要最小限にし、豆の行く先を見守って回収して再利用しました。
 最後は玄関から「鬼の目ン玉ぶっつぶせ!」という亡き祖父から受け継いだかけ声を叫びながら外へ豆を投げつけて終了。ちょうどそのとき車が通りかかって肝を冷やしました。

【イラスト制作部】2012年用の年賀状を掲載しました。
 以前の投函で書いた、多くの人の誤解を招いて申し訳ない気持ちになった例の作品です。年賀状という伝達手段としては失格ですが、その件については深く反省していますので許してやってください(許さん)。
 一方、「東雲なの」が好きすぎて困る管理人として、イラストそのものは久々に会心の出来でした。下手は下手なりに、愛情がストレートに絵になったような気がしています。多少なりとも絵を描くことができてよかったなぁとしみじみ思いました。
 亮月写植室の手動写植機で自家印字した初めての年賀状でもありました。指定原稿、割付、写植機で印字操作、現像……と進めていくと、写植屋さんがどのような過程を経てどういう点に留意しながら作業を進めているかを体感でき、写植とは何物かがよく分かります。資料のまとめも好きだけど、やっぱり現場主義なのかな、私は。

【日録】果てしなく続く名曲発掘の旅。
 たまたま耳にした曲が良かったので。
・薬師丸ひろ子『すこしだけやさしく』(1983年)
 小さい頃楽しみに観ていたTBS系列のテレビ番組『わくわく動物ランド』のエンディングで流れていた歌。30年近く振りに聴いたら歌詞もメロディーも大体覚えていてちょっと涙が出た。大人になって改めて聴いたら透明感と広がりのあるほんわかしたやさしい感じがとても心地良かった。番組に出演していた小林亜星じゃなくて大瀧詠一作品だとようやく気付くことができた。『風立ちぬ』『熱き心に』『幸せな結末』『さらばシベリア鉄道』とか、無意識のうちに自分の記憶に残された大瀧作品だけ挙げても名曲揃いだ。
・いきものがかり『いつだって僕らは』(2012年)
 ユーキャンのCMで流れているこの歌のサビがとてもキャッチーで気に入ってしまった。韻を踏んで畳み掛けながら頂点へ登っていく熱い歌詞、そして順調に盛り上がるコード進行とメロディーがベタだからこそいい。日本の現代のポップスは何だか平坦で自分には合わないと思っていたけど、この歌は真っ直ぐな溌溂さに溢れていてたまたま聴いた者を惹き込む強さがある。


2012.1.29(日) 23:25  705 晴れやか

【亮月写植室】最近「私も個人で購入した手動写植機で自家印字してました」という方と知り合いました。このような思いを持つ人は自分だけじゃなかったことが判り、長いトンネルを抜けたような晴れやかで嬉しい気持ちになりました。
 その方から書体見本帳等を譲って頂きました。

リョービ書体見本帳『書体百花』

 リョービの書体見本帳『書体百花』1994〜1995年版です!

リョービ書体見本帳『書体百花』仮名書体ページ

 同社の見本帳は絶対数が少ないのか見掛けることがなく、リョービ書体は霧の中に包まれたような存在でした。総合書体も「ピコ・カジュアル36」のようなマイナー(?)な仮名書体も全て把握できました。
 以前知り合いにお借りしたものが手許にありますが、これでいつでも心置きなく書体を愛でられそうです(Nさん,貸してくださってありがとうございました! 今度お会いするときお返しします)。

 話変わって、先週まである印刷物に寄稿する文章を書いていました。打診があってから2週間で〆切という限られた時間の中で手持ちの不十分な資料を首っ引きで纏めなければならないという条件でしたが、漠然としか把握していなかったことがはっきりして勉強になりました!
 掲載が確定したらここでお知らせしたいと思います。

 写植関係の手応えが出つつあって嬉しいなぁ……。

【日録】部屋にあった死蔵品を処分した。
 14日付の投函で書いたように亮月製作所内の物を徹底的に整理しつつあり、部屋の収納が少ないこともあって使わない物は手放すことにしたのだ。
 しかし過去に買った物の中には「シリーズものだから」などと理由を付けて入手してしまった物もあり、好みからすれば買わない筈の物があったりする。今回はそれを纏めて売却した。1メートル四方の紙袋1杯と肩掛け鞄1杯。電車で持ち運ぶのに難儀した。
 お蔭でそれらは予想外に多くのお金に換わった。心から愛用してくれる人に出会えますように。そして、本当に欲しい物だけを選択できない自分の情けなさを思い知った。コレクターじゃない、本当に気に入った物しか買わないと肝に銘じたい。換わったお金は大切に遣います。

 道具や備品については購入時にかなり先を見越してマニアックに比較検討するのでこういったことや買い替えはまずないが、それ以外は見通しが難しい。例えばそれが“絵の資料”だったら、見通した先の時代にいる自分にとって得られる物がなくて全て処分したことも過去にある。好きだからと言って実用できない物まで闇雲に買い蒐めることはさすがにないが。
 ……今は「けいおんの音楽や世界観が好きだから」CDや書籍を買ったりしているが、これが「けいおんだから」になると危険なのだな。蒐めることが意義になってしまう。3〜4年振りに訪れたはまりの大波のおそろしさはよく知っている。本質を見失わないよう注意して進行したい。


2012.1.28(土) 23:59  704 幸せの日々とは

【日録】嬉しいことも悲しいことも、楽しいことも寂しいこともあるのが幸せなのだと言っていたのは、誰だろう。その通りだと私は思う。

 21日(土)、もう一度『けいおん!』劇場版を見に行ってきた。
 けいおんについて何も知らない状態で観た1ヶ月前とは当たり前だけど感じ方が違っていた。一言で書けば「思い出の疑似体験」をした。馴染みのメンバーがいよいよ卒業というとき、どんな日々があったか。幸福感と同じ量の寂しさを感じた。1ヶ月前に聴いた時は何でもなかった挿入歌の数々が胸にじんと響いた。映画を観終わってから買った挿入歌のアルバムを聴いたらもう泣きそうだ。どうしちゃったんだ私。
 物語だけではない。自分にとってはまだ知ったばかりの新しい世界が、実は3年前から始まっていて色々な出来事を世の中に残しながら殆ど触れることも出来ず今終わろうとしているかも知れないのは、何とも寂しいではないか。本作がそこまで思わせる理由はまだ分からないけれど。
 テレビ版の第2期はまだ観ていないので話の流れを掴めておらず、まだ映画を100パーセント楽しめた訳ではない。その“幸福な日々”の締め括りとして録画をじっくり味わいたい。

 今という時間は必ず過去になり、出来事があれば思い出になる。

【日録】昨日(27日)から今日にかけ、友人達とやっている恒例“美食倶楽部”の小旅行で日間賀島へ。ふぐを堪能するというテーマ。会長曰く、ふぐの出荷量は実は愛知県が日本一だとか。
 前日まで雪がちらつくような天気だったので、島でも冷たい風が吹き付ける曇り空。観光地と言えど閑散としている。夕食まで時間があったので島を一周してみた。細い道が迷路のように張り巡らされ、そこを躊躇いなく駆け抜ける軽自動車やバイク。学校やスーパー、ガソリンスタンド等も一通りあり、いずれも地方都市をミニチュアにしたような不思議な雰囲気があった。

日間賀島西港たこ
日間賀島西港にある、巨大なたこのモニュメント。
(Nikon D80・タムロンAF17-50mmF2.8・プログラムAE、以下同じ)

たこ拡大
剽軽な顔をして今日も船の往来を見守る。


日間賀島はたこ漁が盛んである。コンクリートの防波堤に整然と積まれた蛸壺に漁師の誇りを感じる。


海際の土地に点在している高さ数メートルの大きな△標識。不気味だなと思って近付いてみたら、海底ケーブルの位置を示す為に電力会社が建てたものだった。島の命を預かる大切な存在。


東港にも兄弟のたこがいた。挙げている手(?)が反対。よく手入れされたプランターにたこへの愛情を見た。

 寒空の中1時間で島を一周し、お世話になる宿に到着。芯まで冷えきった体を温めるべく部屋のお風呂を見て驚く一同。


ベランダに陶器製の湯船が設置された半露天風呂。桟の隙間から通行人が見える……!(さすがに入浴中は隙間を閉めたけど)

 体が温まってちょうど良い頃合いに夕食を頂いた。会長が「他の料理を省いてもいいから、とにかくふぐの白子を」と注文しておいたとのことだが……

ふぐ刺身

ふぐたたき

ふぐ白子刺身

ふぐ白子酒

ふぐ白子塩焼き
(料理写真のみ携帯電話 FOMA N600i にて撮影。カメラを持って食事に臨むのは憚られる雰囲気だった)

 食卓の写真を撮って掲載するのはあまりしないけど、非常に驚いたので記録としてここに残しておこうと思う。ふぐの刺身・たたき、そして白子の刺身・白子酒・大きな白子の塩焼き。近くで豊富に獲れる場所でないとこういうものは食べられないのではないかと思う。その美味しさを表現するには私の語彙が乏し過ぎる。
 宴のあとは大抵遅くまで真剣に語らうのが恒例だが、気持ち良く飲食できたからかその日のうちに眠ってしまった。

 翌朝の食事も至れり尽くせりであった。ごちそうさまでした……。

朝食全景

 帰りの車で友人が気を利かせてか『けいおん!』シリーズの歌を流してくれ、嬉しかったが照れくさかった。その友人曰く「けいおんはあずにゃんと澪ちゃんの可愛さだけだなぁ」と。“だけ”じゃなくて、楽しくて何気ない日常に浸れる所が良さなんだ等と色々話そうと思ったが自粛した。“だけ”以外については決して否定しないけど!(笑)

 遠方に出掛けるのも、美味しいものを食べるのも、そんな話をするのも、振り返る時が来れば同じように幸せの日々として見ることができる。昨年から今年に出合った一連の出来事や作品によって補強され、それは殆ど確信めいたものとして心に根付いた気がする。
(BGM:『放課後ティータイム in MOVIE』/2012.1.18)


2012.1.19(木) 23:44  703 恐れ多くも

【音楽制作部】ヘッドフォンを新調しました。
 今までの普段使いの相棒はSONYの「MDR-Z900」(生産終了品)。「スタジオモニター」を謳った当時のZシリーズ最高峰です。モニターと名が付くだけあって収録されている音を全て描き出している印象で、なおかつ低音が前面に押し出される力強い音の機種だと思っています。低音好きの私には最適でした。
 音楽は夜間の室内で聴くのが殆どなのでヘッドフォンでしか音を出せないこともあり、「最高のものを長く楽しめばいい」と極貧の学生時代に18900円で買ったものです。2001年に購入して11年、大切に使ってきました。

 2009年にモニター用の「MDR-CD900ST」を購入して複数台を使い分けられる楽しさを知ったとはいえ、CD900STは録音スタジオで使われているように音を一つずつ観察するような印象で、音楽鑑賞用というよりは曲作りと人の音楽の解析を楽しむために買ったものです。Z900はとにかく低音が多く出るので曲作りにはあまり向いてなかったのです。
 このような経緯があり、「もう1台ぐらい音楽観賞で常用できるヘッドフォンがあってもいいな」という気持ちがくすぶり続けていました。

 Z900と似たようなものをもう1台持っていても面白味がないので、折角なら全く違う性格のものを使いたいということで条件を付けました。
・開放型(Z900もCD900STも密閉型なので、開放型の音を聴いてみたい)
・白い筐体(これまでのは黒っぽい筐体だったので新鮮味が欲しい&白い道具は恰好いい病)
・海外メーカー製(ずっとSONY党だったので思い切って開拓してみたい)
・出音はフラットで繊細なもの(以前から音の味付けはない方が好き……まあ、力強い低音も好きだけど)
・最上級機かそれに近いもの(15年は使うので後悔がないよう初めから押さえておきたい)

 そうしてやって来たのはこの機種でした。

AKG K701箱

 AKGK701という機種です。リファレンスを名乗り定価は8万円を超える高級機ですが、並行輸入品を某音家にて23800円で購入。ありがたや……。この安さも購入の決め手でした。
 早速箱を開けてみます。以下過去に他のサイトで充分レポートされているのでしょうけど、管理人は手が震える程緊張したので記念のために写真多めで実況させてください。今更なんて言わないで(笑)。

Expect

and discover

 箱は二重の蓋が開くようになっていて、「Expect」「and discover」と小さく記されています。期待せよ。そして発見せよ。

Perfection.

「Perfection.」完璧というものを。
 という作り手の矜持を感じる導入により期待感が高まったところに本体が現れるという凝った仕掛けでした。ここまでで充分緊張かつ昂揚しているんですが。

K701のイヤーパッド

 長いお付き合いになるので交換用のイヤーパッドも確保しました。使い込んでボロボロになったものを使い続けるのは辛いので。

K701のヘッドフォンスタンド

 AKG謹製のヘッドフォンスタンドが附属するように、使用していない時も絵になるヘッドフォンです。

K701のヘッドバンド

 革製のヘッドバンドには「AKG」の刻印が。

K701ヘッドバンド裏

 ヘッドバンドの裏にはユーザーの多くが苦しむと言われる硬い突起が。私もハンドタオルを巻いて対応しました。シリアルナンバーは68800番台でした。

K701側面

 真横から見てみます。ハウジングは白いプラスチックと金属の網目の組み合わせ。このヘッドフォン、鑑賞に堪えるぞ! 観る方の。

K701ハウジング拡大

「Reference Headphones K701」「Made in Austria」。控えめの美徳。

K701ハウジング拡大その2

 未来的でシンプルな意匠が美しいと思います。今まで使ってきたのが質実剛健なものだったので、筐体のデザインをじっくり味わうのは新鮮な感覚です。

 イヤーパッドは灰色の布に包まれたふかふかのもの。感触は良いですが夏はこまめな手入れが必要になりそうです。

 ……ヘッドフォンなので音を聴くのが本来ですが、うっかり愛でてしまいました。
 K701で初めて聴いたのは以前気に入った「シモンズ」のCD(→第693回を参照)。1970年代前半に活躍した美しい声のフォークデュオで全編生演奏です。これを手持ちのCDプレイヤー「CDP-XA30ES」で聴いてみました。定価66000円のプレイヤーより定価が高いヘッドフォンって……おそろしい。以下主観的な感想です。
 低域から高域までバランス良く出ていて、音の粒立ちが良くそれぞれが非常に細かい。ヴォーカルは収録の良し悪しをシビアに反映(好条件では滑らかで透き通るような感じ、肉声に迫る艶っぽさ)、楽器の音色はその場で演奏しているかのように生々しくどんなに細かい変化でも描き分ける。リバーブも埋もれることなく減衰時間いっぱいまで判別できる。
 青空の高原で風の音を聴くような爽やかさで、押し付けないし遠慮もない中庸な音だと思います。生演奏の音楽はとても気持ち良く聴けます。不自然さがない音なので長時間聴いていても疲れません。ヘッドバンドの突起はともかくとして。
 Z900よりも鮮明で繊細な音だと思います。Z900では判らなかった微妙な演奏が聴き取れます。Z900はZ900で好きな音なのですが。また、音を絞り出すようなCD900STと解像力はいい勝負で、K701は無理をせず自然に細かなものを表現している印象です。

 美しい外観とリファレンスの肩書きは決して見かけ倒しではありませんでした。これだけのものを今後普段使いにするのは恐れ多さを感じるほどです。ちょうどZ900を購入した時も同じようなことを思って緊張しながら使っていたのを思い出しました。
 K701を買うべきか吟味している時からドキドキしていたというか、もうなんか久々に感じる嬉しさです。今までの2台ともども末永く大切に使います。

 

 ……K701についてまだ何か書き忘れていることがあるんじゃないかと問われると、間違いなく分かってて書いていないのですが、それは出合ったきっかけであって本機に決めた理由ではないのでここでは省略しておきます。悪しからず。
(BGM:『シモンズ ヒット・コレクション』『筒美京平ウルトラ・ベスト・トラックス 東芝EMI編 Vol.2 GIRLIE 70’s』『同 ビクター 70’s COLLECTION』)


2012.1.14(土) 23:59  702 落城

【日録】半年ほど前から亮月製作所(自室)の収納が限界を超え、机の上に山積みされた本等を寝床の上に移してから作業をし、寝る時は机に戻すという不便さを抱えながら活動してきました。
「余分な物は持たない、死蔵しない」という方針で数年かけて少しずつ持ち物を減らしてきました(学生時代の3分の1に減った)が、資料やCDの類はどうしても増えてしまいます。
 そこで今回は部屋で最大の物、デジタルピアノを手放すことにしました。実はもう1本、無期限で借りているキーボードがあるので、使わない時は場所を取らずに収納できるそちらを使うことにしました。デジタルピアノの鍵盤の重さや音の良さは捨て難いけど、常に1畳分を占有するのは心苦しい。背に腹は代えられません。
 こうして沢山の収納スペースが出来ました。取り敢えず少しだけ買ってきた本棚代わりの木箱に山積みの本が全て収まり、床面積にはまだまだ余裕があります。整理したら炬燵を置けるほどの面積が現れました。
 古い物が混沌とした状態で残り過ぎてみっともないので人を上げられないような場所でしたが、もう少しで長年の懸案が解決しそうです。

【日録】けいおん!』テレビ版第1期の全12+1話の録画を観終えました。以下読書感想文のようなものです。予備知識や他人の意見・評価・考察を全く見ない状態で感じたことを率直に書いてます。興味のない方ごめんなさい。

 当初「世が言う程良い作品なのか、何を言いたいアニメなのか」と斜に構えて観始めたが、観続けているうちに少しずつ自分の心境が変わっていくような気がした。
『けいおん!』を観ているととても幸せな気持ちになる、ということに気付いた。それは何故なのかが気になった。
 思っていたよりバンドとしての活動や音楽的な要素(楽器や演奏の蘊蓄とか)を観ることができなかったが、その代わりにメンバーの楽しい日々が冗長と思える程にたっぷりと描かれていた。それでいて13話で2年近く進行してしまうのは端折っているように感じて勿体なく思い、全26話でじっくり描いてくれたら良かったのにとも思った。
 いつの間にか軽音部の一員になったつもりになってかなり感情移入した状態で観ていたのだ。自分には感情移入し過ぎる嫌いがあるので意識してそれを抑えようとしていたが、駄目だった。というか、折角なら入れ込んで観た方が素直に楽しめるんじゃないかと思い直したのだ。
 9話で梓が軽音部ではなく他のバンドに入ろうとしたが結局軽音部に戻ってきたというエピソード。「なんで?」と問われた梓が、自分が本作に感じているもやもやとしたあたたかいものを代弁してくれたと思った。眼から鱗だった。あずにゃんをしてパンダキング城、落城せしむ(謎)。
 この「皆がいて楽しい」(超意訳)というのは「寂しい」という感情に裏打ちされている。梓が入部し澪の代わりにいじられるようになった時の澪や、クラス替えで澪が和と親しくなる時の律の言動等に現れ、時には分かりやすく「寂しい」と言葉にすることもあった。13話では、それまであまり採り上げられなかった一人でいるメンバーとその心境を正面から描き、最後は全員集合でいつものような和気藹々の風景を見せて二つの感情の輪郭をはっきりさせている。12話では唯が「何もしてこなかった私だけど、今はやりたい事を見付けた」というような最終回らしいことを独白しているが、それよりも寧ろ前者が本作の一番美味しいところなのではないかと思った。
 こうした思いを抱かせるには充分な愛着が必要で、その為に楽しい日々日常をありありと、時間を費やして見せていたのだと思う。そして私はその術中に、見事に、はまった。

 私の『けいおん!』の解釈は、端的に言えば誰かと何かを共有することの楽しさと幸福感だった。
 私にとって高校時代の部活動は人生の半分も前のことで、その遠さも本作への愛着を深めた。感情を軽音部と共有したのと同時に、昔の自分とも共有した。自分が今こうして昔の事を取り出せるような前向きな境遇にあった事を感謝した(悲惨なこともいっぱいあったけど)。
 本作の放映当時、注目すべき作品だと思って録画をしながら意志を持って観なかったのは、これだけ世に言われていたら、はまったら大変な事になるだろうと何となく感じていたからだ。多分、以前やったようにファンサイトを作り出す勢いで亮月製作所を放り出し、今写植に関する活動をやっていたかも危うい。“はまり症”の自分自身に困らされ続けたので分かっていた。それで数年間その感情を抑えていた。
 でもリアルタイムで感じてみたかったなぁ。同時代性を敢えて持とうとしなかったのは憧れの裏返しだった。今を生きている自分が今あるものに対して何らかの感情を持ち共有することのすばらしさから目を背けてきたことを後悔した。せめてこれからは頑なでいることはやめよう。
 余談だが、よく会う人や知り合いに軽音部のメンバーとよく似た性格の人がいて、キャラにも知り合いにもすごく親近感が湧いた。声の出方もそっくりなのでたまらない。京アニはよくぞキャラを作り込んだものだと僭越ながら感心した。
 サウンドトラックとOP、EDが秀逸なのは分かった。OPのベースラインを覚えてしまい、つい鼻歌で歌ってしまう。それに加え劇中歌もすごくいいんじゃないかと思い始めた。『ふわふわ時間』の「♪ふわふわ時間」を連呼する直前、サビの「♪抱いて」の「♪て〜〜〜えっ」が特にぐっと来る。

 という訳で、はまってしまいました。


2012.1.10(火) 22:58  701 とんでもない誤解

【日録】年賀状を送った先の方からお礼の言葉を頂きました。
 二人の方から同じ日に、「○○(私の本名)クンが描いた漫画がアニメになったんだって?」「○○クンの漫画のアニメ観てみた。」

 ええーーーーーーっっ!!??

 決してそうではないこと、実はこういうことをあの絵で言いたかったということを説明して平謝りでした。アニメを観そうな方じゃないのに観ていただいてしまい本当に申し訳ありませんでした。伏してお詫び申し上げます。

 こちらの意図したことが正しく伝わらなかったことを深く反省しなければなりません。何が誤解の原因となったか(あの一言は載せない方が良かったな)、どのように表現するのが最適だったか(イラストについての説明不足。広告のボディコピーに当たる説明文章を付ける or キャッチコピーをよく練るべきだった?)。
 このサイトや古くからの私を知っている方に対して充分と思われる説明が、誰にでも分かる説明であるとは言えません。その想像力が欠けていたと思います。

 亮月写植室の記事は初見でも写植をよく知った人でも一意に理解できるよう可能な限り噛み砕き、間違った解釈をされない為に、敢えて過剰に補足した文章を書くようにしています。括弧書きがしつこいのはその為です。
 年賀状でそこまでやる必要があるかは別として、的確に何かを伝える表現について真剣に考えていかなければならないと痛感しました。

 ……深刻に落ち込んだのではなく、思いもよらなかった反響に「あーもー私アホや!」とかいたことのないような脂汗をたっぷりかいてその場で笑って終わったのですが!「アニメ観たよ」がショックでショックで。以後気を付けます……。

【日録】勤務時間中の会話で
あずにゃん
という単語を聞こうとは……。
もうあかんかも……(とっくにあかん)。


●「写植の時代」展、開催!(2012.2.21終了しました)

 大阪DTPの勉強部屋さんが「写植の時代」展を開催されるとのことです!
 2012年2月17日(金)から21日(火)まで(19日は閉館)の14〜21時、大阪市北区のメビック扇町にて。解説講座や座談会もある模様です。
 会場には稼働するモリサワの手動写植機「MC-6」を設置、有料で操作して印字することができるとのこと。
 座談会は21日か……。今から仕事の休みを取っておいて行くしかなさそうです!

●パンフレットに寄稿しました

 この催しで販売されるパンフレットに寄稿させていただきました。
 パンフレットには写植にまつわる話やコラム、貴重な資料などが盛り沢山。写植を新たに知り、振り返ることができます。今だからこそ作ることが出来た、深く語れるものが凝縮した一冊。ぜひ会場でお買い求めください。

→「写植の時代」展(大阪DTPの勉強部屋サイト内)




→おたよりコーナー

→メインページ


(C) 亮月製作所 1999-2023 禁無断転載
 

管理人

桂光亮月
(かつらい・りょうげつ)




●過去だより

2023 1251〜1275 
2022 1226〜1250 
1201〜1225 
2021 1176〜1200 
1151〜1175 
2020 1126〜1150 
2019 1101〜1125 
1076〜1100 
2018 1051〜1075 
2017 1026〜1050 
2016 1001〜1025 
953〜1000 
2015 926〜952 
901〜925 
2014 876〜900 
851〜875 
2013 826〜850 
801〜825 
豊郷・京都 
2012 776〜800 
旧豊郷小 
751〜775 
726〜750 
701〜725 
2011 676〜700 
651〜675 
2010 626〜650 
596〜625 
576〜595 
2009 551〜575 
526〜550 
2008 501〜525 
476〜500 
451〜475 
2007 426〜450 
401〜425 
376〜400 
351〜375 
2006 325〜350 
301〜324 
2005 251〜300 
201〜250 
151〜200 
2004 101〜150 
51〜100 
1〜50 



→さがしています
→おたよりコーナー
→メインページ