●過去だより751〜775
2012.11.4(日) 22:30 775 写植室フル稼働
【亮月写植室】土日とも見学のお客さんをお迎えするという亮月写植室の短い歴史で初めての“フル稼働”をした週末でした。
3日(土)は所属の写真サークルのメンバーが来てくれました。
午前中は市内の旧建築探訪で写真サークルらしい活動をしました。私にとっては見慣れた地元の風景ですが、メンバーは手動ポンプの井戸や人一人がやっと通れる路地、とても古い住宅など味のある風景を見付けてはシャッターを切っていました。私は各所の旧建築を案内するだけでしたが、皆の方がこの街の魅力的な箇所によく気付いていたようです。
道中写真を撮っていると通りがかりのお婆さんが挨拶して話しかけてくれたり、立ち寄った和菓子店の店主さんが親切に見所を詳しく教えてくださったりと、住んでいても知らなかったこの街の良さを知ることができました。よくあるぶらり旅の番組のようではなく、演出なしで偶然そのような場面に出会ったことに感動しました。
昼食後は亮月写植室の見学です。印刷に関係のある人は一人だけ、写植機を初めて見る人ばかりではありましたが、写真サークルだけあって写植機が大雑把に言って文字を撮るカメラであることをすぐ理解できたようです。
それぞれ自分の名前や好きな言葉、記号をQ数や変形も入れながら、わいわいと楽しみながら印字してもらうことができました。人気はパイナップル(BAの文字盤に入っているが青い見本帳には載っていないようだ?)と「記号BA-90」でした。
私達のサークルらしく、印字が終わったら楽器の合奏が始まるなどしてあっという間に日が暮れていきました。みんなありがとう!
*
4日(日)は人伝に当方を知ったという DTP に関係する方8名様に2班に分けてお越しいただきました! 中には近い所にお住まいの方もいらっしゃり非常に驚きました。写植オペレータだった方もいらっしゃり、より現場に近い写植の姿に私も感動しました。写植の話が通じるって……嬉しいです……(涙)。
生業で文字に関わられている方をお迎えするのは、いち写植ファンという立場でしかない私としては緊張しますが、写植は口頭で説明するのが難しいので実際に印字していただくのが一番です。Mac で簡単に文字を打てる現在から見ると手動写植機で採字するだけでも非常に大変で、写植オペレータがどのようなものだったかを感じていただけたと思います。
不思議なもので自分の名前を交替で印字していただくうちに「一寸ノ巾」の配列が何となく分かるようになってきて、「『ノ』にある!」「それは『土曜日』ですよ」と配列表を見ながらの協力体制が出来上がっていました。すごい!
実は昨晩現像液と定着液を交換したので、最高の状態の写植文字をお持ち帰りいただけました。出来上がった写植の滑らかで黒々とした文字を皆さんがじっと観察されていて印象に残りました。夕べお風呂に入りながらパピトールの粉を溶いて現像液を作った甲斐がありました。
現像液交換後の黒々とした印字テストと今回改製した『見学のしおり』
少しでも多くの方に「生きた写植」を知って頂きたいと思っていますので、今日のご来訪はとても嬉しかったです。このような小さなサイトを見付けてくださり、写植に興味を持っていただきありがとうございました!
2012.10.27(土) 13:30 774 新しいカメラ
【日録】デジタルカメラを購入しました。
6年使ってきた D80 の後継機……ではなく。
Nikon が9月27日に発売したばかりのコンパクトデジタルカメラ「COOLPIX S01」です。
いわゆるコンデジを生まれて初めて新品で買いました。以前は家人から払い下げを受けたコンデジを使っていましたが、D80 を使い始めて以来一切使っていなかったので自分にとっては異例です。
ちっちゃい!!
Suica のようなカードより一回り小さく、外観のデザインが普通なだけあって現物からはより小さい印象を受けます。だからと言って手抜きがある訳ではなく、滑らかなステンレス筐体やボタン類まできちんと作り込まれています。ニコンは真面目だなぁ。
私は白い道具が好きなのでこの色を選びました。角がなくころんとしていてまるで石鹸のようです。
背面の2.5型液晶はタッチパネルになっていて、設定や再生の殆どは画面をタッチするなどして行います。右下のホームボタンでメニューの一番上の階層に戻るようになっており、ちょっとスマートフォンっぽいです。
このカメラでできることは基本的な機能に限られていて、撮影はマクロモードでさえカメラの自動切り換えのプログラムAEのみ、マニュアルフォーカス無し、ISOオートのみ、今時のコンデジが搭載している機能は画像効果ぐらいしか持たない……という潔い割り切り。しかもバッテリーとメモリは内蔵のみで交換不可。小型化の為に限界まで削ぎ落とした硬派な設計思想にぐっと来ます。
先のタッチパネルもこの省機能のお蔭で操作が明解で、撮る道具としてよく出来ていると思います。画面変化の演出を使用者に見せびらかすのではなく、必要があってタッチパネルにしたのだというところがいい。
本機は1/2.9型1000万画素のCCDを搭載ということで、小さな撮像素子の高画素機が作る画像がどんなものかは承知しているのですが、簡単にテストしてみました。
被写体は『日常』のなのちゃん。趣味丸出しですみません。
Nikon COOLPIX S01・ISOオート(80)・プログラムAE・4.1mm(広角端)で撮影・画像加工はリサイズのみ
これだけ写れば、いいんじゃないでしょうか……。色が飛んだり潰れたり偏ったりせず、この大きさで鑑賞する限り良好です。
ピクセル等倍で観察するのがナンセンスなのは分かっていますが、D80 や 所有の携帯電話 N600i のカメラ機能と比べてみます。フォーカスや露出は厳密に追い込んでいません。普段使いでどんな感じに写るか程度とお考えください。
画像を見る限り、S01で撮影した ISO 80 の1000万画素モードの画像は、D80 の ISO 1600 に強くノイズリダクションとアンシャープマスクをかけたような感じでした。グラデーションはもやもや、輪郭は直線でさえボロボロになり、画像処理で相当無理をしているようです。
ですが、S01の200万画素の画像は非常に滑らかで、一昔前のコンデジのような透明感があります。……まぁ、画素数を落とせばノイズは目立たなくなりますか。
400万画素はノイズ感はまずまずですがアンシャープマスク処理がきつく、200万画素をリサイズして画像を生成しているのではないかと穿ってしまいました。
画像の一番下は今まで使ってきた N600i のカメラ機能で撮影した31万画素の画像。比べてはいけないかも知れませんが、S01を普段持ち歩けるだけでも本当に有難いです。
蛇足ですが、S01は画面の任意の場所をタッチすることで合焦エリアを決めてシャッターを切ることができ、構図を変えなくても好きな位置にピントを合わせられるのが快適です。6年間のコンデジの進化を知らずに来てしまったので、この使用感はとても新鮮です。
デジタル一眼レフはやはり大きく、どうしても持って行けない時に写真を撮りたいとなると携帯電話 N600i のカメラ機能を使わざるを得ませんでした。この電話機は画像を転送するにはメールを送るしかない仕様のため、「取り敢えず写っている」程度の画像なのに活用がとても面倒臭く長い間困っていました。
スマートフォンがあれば S01と同等の写真を撮れるのでしょうけど、今持っている携帯電話は非常に気に入っていて修理不能になるまで使い続けるつもりなのでこういうカメラが必要なのです。縁がないだろうと思っていたコンデジですが、S01はポケットに入れて持ち歩ける小ささや必要最小限の機能からしてまさに打ってつけのカメラでした。
2012.10.21(日) 21:10 773 果てしなき文字盤探求の日々
【亮月写植室】9月後半から大きく投函の頻度が落ち、前回の投函からも随分日が空いてしまいました。
というのも「だより」のネタ切れなのではなく、写植室所蔵の文字盤の整理をするのに1ヶ月かかってしまったのです。一枚一枚文字盤を見て、コード、改訂記号、丸C表記、製造年月、収納場所等をメモし、それを Mac に入力して種類別のアルファベット順に台帳化しました。平日の帰宅後も休日の大半もこの作業に費やし、今日ようやく終了しました。
メインプレートは7月28日に集計したように190枚、サブプレートは……
・三級・四級漢字、正字、汎用外字 約1360枚
・仮名(つめ組み用文字盤含む) 約340枚
・欧文 約570枚
・記号B(書体従属記号) 約360枚
・記号B以外の特殊文字盤 約420枚
合計 約3050枚
7月28日時点でサブプレートは1400枚あると見込んでいましたが、9月22日に新たに段ボール18箱分が届き、倍になっていました……。
漢字のサブプレートは一書体当たり数枚から十数枚で構成されているため他の種類の文字盤よりも圧倒的に数が多く、果てしない作業に挫折しそうでした。それでも色々な珍しい文字盤が発掘され、管理人の目を楽しませてくれました。
一時段ボール箱に埋め尽くされた写植室内は整理されて印字作業や来客に支障がない状態にまで復旧しましたが、文字盤によっては10枚以上同じものがあります。亮月写植室のオペレータ(?)は一人しか居ないので明らかに在庫過多です。収納場所を無駄にしているだけでなく、使いたい文字盤をすぐに取り出せない原因にもなっています。
まずは欧文書体のサブプレートだけでも「文字盤プレゼント」企画に出したいと思います。と言ってももうすぐ11月、見学や年賀状の制作が控えているので年内の開催は難しいかも知れませんが、気長にお待ちいただけたらと思います。
2012.10.7(日) 21:59 772 半田の写真日和
【日録】所属の写真サークルで半田に行ってきました。
Nikon D80・AF-Sニッコール16-85mm F3.5-5.6G ED VR・プログラムAE・RAW現像(以下同じ)
半田は作家新美南吉の故郷。新美南吉記念館から名鉄半田口駅までの矢勝川は2kmに亘る公称200万本の彼岸花の名所として知られ、最盛期を迎える頃合いを見計らって撮影旅行に出掛けたのです。
一帯はどこを撮影しても絵になり、ファインダー越しに見える景色は非常に鮮やかで撮影がとても楽しかったです。
やや色褪せた個体も見られましたが、自生の本数が非常に多いため花を大きく撮るのには全く問題ありませんでした。
堤防が遊歩道になっており、その両側が真っ赤な帯のようになっていました。
矢勝川は三面張りで水質もあまり良くないようですが、彼岸花の赤と草の緑がそれを補うに余りあるほど見事な景観でした。
新美南吉記念館から北へ200mほど進んだ土地改良碑附近はなだらかな法面になっており、真っ赤な絨毯のようでした。JPEG 画像は赤の再現が苦手でかなり容量を使うため、画面で忠実にお見せできないのが残念です!
記念館近くの「ごんの橋」の袂にはお地蔵さんがあり、沢山の彼岸花が供えられていました。『ごんぎつね』の場面を想起させる粋な計らいでした。
撮影を終えると既に正午を大きく廻っており、知多半田駅近くで食事と相成りました。「はんだ山車まつり」の会期内のためか非常に渋滞していました。
「紅茶専門館 T’s CAFE」。国指定重要文化財に指定された旧中埜家住宅を活用したお店です。1911年築の木・煉瓦造天然スレート葺2階建、中埜家10代・半六の別荘として建てられました。設計は鶴舞(つるま)公園の噴水等や奏楽堂他が知られている鈴木禎次。明治末期の雰囲気を今に遺す欧風建築です。
混雑していて写真は殆ど撮れていませんが、細部に亘り凝らされた意匠は見事でした。但し外観は老朽化が進み一部廃屋同然となっているのが残念。内装は建築年相応に綺麗でした。
食卓の写真は撮る主義ではないのですが(←結構撮っとるやんというツッコミは無しで)、パンが自慢というサンドウィッチとオリジナルブレンドのアイスティー。紅茶は桃のような風味があり果実的、パンによく合いました。
続いて出掛けたのは、同じく中埜家所縁の建築である通称「半田赤レンガ建物」。
この煉瓦造の建物は1898年竣功で当初は「カブトビール」醸造工場、戦後は日本食品化工のコーンスターチ工場を経て1996年に市有化、登録有形文化財と近代化産業遺産の指定を受けたという貴重な明治時代の建築です。北側には空襲で被弾した跡が生々しく遺り、まさに歴史の生き証人といった佇まいです。
尖塔に破れ窓が放置されているなど一見使用されていないように見えますが、南側のハーフティンバー(構造材を外部に露出し、その間の壁面を煉瓦や石、土で充填する工法)の部分は酒場のようになっており、1階部分は一般公開される日があるなど現役施設です。
訪れた時には公開時間が終了していて中の見学はできなかったのですが、煉瓦造建築の構造の美を十二分に楽しむことができました。
半田には魅力的な場所や建物がまだまだ沢山あると言います。ぜひまた再訪したいです。
2012.9.26(水) 21:40 771 2周回遅れの涙
【日録】15日(土)に武蔵野美術大学へ「タイポグラフィ教育1」展を観に行き、シンポジウム「書体開発とタイポグラフィ」を聴講してきたことを触れていませんでしたが、この日は予想だにしない劇的な展開で、何というか夢の中に居るようでした。この日はその為に東京へ引き寄せられたのだと言ってもいいような不思議な不思議な縁がありました。
→写植レポート・書体開発とタイポグラフィ(レポート連載中)
*
ここからが今日の投函の本題なのですが……
その晩は写植関係の方と飲んで東京に泊まりまして、今年の自分の傾向からして赤坂のTBSストアには行っておかなければと思い、例のものを買った訳です。
解説はするまでもないと思いますが、
封入されているコースターは見事あずにゃんを引き当てました(笑)。
先週、お土産にと思いお世話になっている方にも1箱持って行きましたが、今日職場の席を離れて戻ると封がされた紙袋が椅子に置いてあり……
帰宅して中身を取り出すとローソンの『映画けいおん!』フェアのクリアファイルと「キャラメタルタグ」の店頭用商材でした。ローソンのこのフェアが開催されている頃は本作に興味がなかった、もとい意地で観ていなかったため入手できる由もありませんでした。2周回遅れの私にお気遣いありがとうございます……(涙)。差し上げた「けいおん!! まんじゅう」に入っていたという澪ちゃんのコースターも頂きました。
とってもいい表情の唯。ありがとうございました……。
2012.9.21(金) 21:53 770 PAVO-JV、修理成功!
【亮月写植室】再起不能となった SPICA-AH と並行して、PAVO-JV の不調についても原因と解消方法をご教示いただき順次取り組んでいたのですが、この度 PAVO-JV の自力での修理に成功しました! ばんざい!
一言で言えば設定記憶用 RAM のバッテリーバックアップの復旧で、作業としては蓄電池を交換するだけでしたが、自ら写植機のカバーを開けて配線を切り、部品を交換するのは踏み込んではいけない領域に入るようで不安でした。
しかしながら機械というものは理屈が分かっていればそれほどおそろしいものではなく、丁寧な説明と指示を頂いた上で的確な作業に取り組むことができました。
写植室に本機が据え付けられて以来の問題で、電源を投入する度に「ピコピコ」とエラー音を発して不調を訴えているのに何もしてやれないのが何だか不憫でしたが、これで安心して実用していけます。
他の電子制御式の PAVO にも有効な対処方法ですので、同じ症状でお困りの方の為に「写植レポート」にミニレポとして掲載しました。よろしければ参考にご覧くださいませ。
→ミニレポ・PAVO-JV バッテリー交換
2012.9.13(木) 21:59 769 バンバン飛び込んで来る感じ
【日録】「豊郷小学校旧校舎群見学レポート」を書き終わった辺りから、俄に写植に関する出来事が良し悪しに関係なくバンバン飛び込んで来ています。
9月1日と9日は2週連続で写植室に見学のお客さんがいらっしゃり、今後この秋だけであと2件の見学の予定が入っています。こんなことになるとは全く思っていなかったので管理人が一番驚いています。
2日には SPICA-AH が故障してしまいましたが、以前から印字に影響のない不具合がある PAVO-JV とともに写研の方から懇切丁寧なご指示とご尽力を頂き、少なくとも良い方向へは向かっていると感じています。
そんな中で大量の文字盤のご提供の連絡があるなど、写植だけに専念せざるを得ない状況でして、非常に“亮月らしい”状況にあります。ありがとうございます。
*
「“だより”は3人ぐらいしか読んでないだろうからいいや〜」などと思いながら自分の記録の為に気楽にやっているので記事が写植ネタばかりになってもいいし嬉しいことなのですが、今日発表された Nikon D600 を見て次に購入するカメラはほぼ決まったし、夜が涼しくなってきてベースの練習を再開したし、あずにゃんもいいけど澪ちゃんもいいし千反田さんもいいし(?)という今日この頃です。
今年もあと3ヶ月半。自分の時間の1分1秒が惜しいです。どうも今年は予期しない前向きな事態に遭遇することが多いので、それに備えて日々地道に種を蒔きつつ、楽しく振り回されてみたいと思います!
2012.9.9(日) 21:59 768 わたしの未来
【亮月写植室】朝から昼過ぎにかけ、見学にお越しいただきました。
写植に並ならぬ想いをお持ちの方で、以前から資料や文字盤のご提供を頂いてきたのですが、管理人と同じように仕事以外の目的で手動機を自宅に導入して自家印字をされてきたとのことでした! そういう方には初めてお目にかかりました。自分だけじゃなかったと分かりとても嬉しかったです。
1999年に手動機による自家印字を開始し、電算の入力機も導入して出力センターに通われていたなど管理人の何歩も先を行っていらっしゃいましたが、残念ながら昨年の故障を以て自家印字から引退されたとのこと。まるで自分の未来を見ているかのようでした。私も頑張らなければ! ふんす!(鼻息)
という訳で写植室では手動機3台の見学や資料の閲覧をじっくりしていただきました。印字も慣れた手つきでされ、四つ切りの印画紙2枚がすぐに一杯になりました。
お薦めの写植関連本や写植機の細かな操作のこと、デステップ文字盤の使い方、版下作業のこと等、普段の見学よりも踏み込んだお話を伺うことができました。貴重な資料も沢山頂戴しました♪
お互いが写植好きだと分かっているだけあって二人とも夢中になっていたようで、朝からお越しいただいたにも拘らずあっという間に正午を迎え、予定の時刻を大きく超えてご滞在いただきました。
私と同じく写真と旧建築が好きとのことだったので、帰りがけには私の住む街の古い建物にあちこち寄って鑑賞しました。
時間が幾らあっても足りないほど楽しくて濃い時間を過ごさせていただきました。本当にありがとうございました。ぜひまたお越しくださいませ。
2012.9.7(金) 21:59 767 どんなに泥臭くても
【亮月写植室】SPICA-AH が再起不能であれば、残る2台でどうするかを考えなければなりません。
とはいえ、実用印字の殆どは PAVO-JV で行っているので今まで通りということになりますが、本機も電子制御ゆえいつ使用できなくなるか判りません。なるべく稼働させつつ、デジタル化されていない手動機専用書体を中心に印字して残しておこうと思います。
以前大量に頂いた未開封の印画紙の試し印字がてら貴重と思われる書体を打ってみました。
カナモジカイのミキイサム氏が手掛けた「アラタ」「ホシ」「アラタフトジ」です。文字盤コードは KA。写研初の仮名書体でした。発売年は諸説ありますが、1965年の見本帳に掲載されているのでそれ以前だと推測されます。SK-3RY の現役時代には既にあった仮名書体! ぐっと来る!
頂いた印画紙は三菱の「写植印画紙 PTS-MR75」で既に廃番です。原因不明の光線被りが盛大に発生しました。印字品質そのものは非常に良好で黒々としています。
普段使用している「富士写植ペーパー」と同様の条件で現像したら、デステップが9段階まで視認できるほど露光していました。富士の場合、現像液に浸す時間は2分間。液温は20度が適温ですが夏場はやむなく室温の30度前後で行っています。10〜20秒ほどで印画紙に文字が現れます。
このことから、今回使用した三菱の印画紙は非常に高感度だと分かりました。暗室のセーフライトの光量を下げ、現像時間を半分ぐらいにしてみたら光線被りも発生しないかもしれません。
「アラタ」は横画のラインを揃え幾何学的且つゆったりとした曲線を描くことで、欧文のように分かち書きをする時の文節毎の「語形」を作りやすいようになっています。エレメントには起筆や脈絡も感じられ、いかにも昭和レトロといった趣です。「ホシ」はアラタの丸ゴシック版で、一昔前の官公庁等から送られてくる郵便の宛名にこの書体が使われていました。
これらの書体は全角よりも横幅が狭く左付きで文字盤に配置されているので、送り量を調整する必要があります。20/32em送りでは詰め過ぎ、24/32em送りではややゆったりしているので、22/32em送り辺りが最適でしょうか。なお、写研が推奨する送り量に関する資料は見付かっていません。
ホシをナールDと混植。霞のかかった「☆」は記号SA-4-67。平成生まれの新しい記号です。
こうして見ると、レトロというよりも寧ろ最近のデザイン感覚に近いような気がするのですが、いかがでしょうか。
SPICA-AH は身を以て現在に於ける写真植字システムの危うさを教えてくれました。写真植字機に大きく依存する技術ですので、機械が修理不能になった時点が写真植字の終わりです。安定してそこにある書体やフォントとは違って写真植字はその瓦解を待ってくれません。「その日」が来るまでにできる限りのことをしておかなければなりません。
私には写真植字の知識や感覚がまだまだ全く足りていないので、どんなに泥臭くても実機や物品に悪戦苦闘することが最高の研究材料です。「暇があったら写植機に向かう」というつもりで取り組んでいきたいです。
2012.9.6(木) 18:40 766 現況報告・SPICA-AH故障について2
【亮月写植室】SPICA-AH が故障した件についてです。
昨日の一部始終を写研の方に報告しました。
写研でもこれ以上は手の施しようがないとのこと、SPICA-AH の再起不能が確定しました……。
尋ねてみると写植全盛期にも本機のマザーボードの不調はよくあったそうで、当時はマザーボードの交換で対応していたとのことでした。現在は勿論在庫はないそうですが、廃棄される写植機の部品を取っておくことはあるようです。
とても残念ですが、写研自ら判断を下していただけたので諦めがつきました。
そうなると主力で使っている PAVO-JV のことが心配なので、今確認できている不調について尋ねてみました。
・電源を入れると原点検出の動作をして印字位置が一旦原点に置かれるのですが、すぐに右下の隅(座標の最大値)まで勝手に移動し、「ピコピコ」というエラー音を発する。
・電源を切る度に記憶させた座標の位置を忘れる。
・電源を切る度に字づら検出の設定が出鱈目になる。
これらについてはすぐに原因を特定いただきました。
4V の Ni-Cd 電池が RAM の記憶保持に使われていて、それが劣化しているとのことでした。電池は汎用品なので半田ごてが使えれば交換できるそうです!
このことについては追ってレポートしたいと思います。
これが解決しても残る不調は、
・ヴィジュアルディスプレイに何も表示されない(CRT の寿命で多分修理不能)
・JQレンズが使用できない(ヴィジュアルディスプレイに連動している? ので使えない?)
・寒いと点示器が点示しない(経年劣化で止むを得ない?)
・拭けるレンズと鏡を全て拭いても、印字した文字に小さな白点が入る(拭けない光学系がある?)
といったところです。
実用上致命的ではありませんが、何とかできるものならしたいです。こちらも併せて尋ねてみようと思います。
……こうなると案外、最後まで生き残る手動写植機は機械式の SPICA-QD かもしれません……。写植室の本機は1972年製、とうとう40年を経過しましたが快調に動作しています。
1986年に製造されてあるお店で十数年活躍し、当写植室に導入して僅か半年で天寿を全うした SPICA-AH。実は3月3日の試し印字を最後に印字に使ったことはありませんでしたので非常に無念です。26年間お疲れ様でした。どうか安らかにお眠りください。合掌。
2012.9.5(水) 21:47 765 現況報告・SPICA-AH故障について
【亮月写植室】SPICA-AH が故障した件についてです。
その後写研の方と連絡を取ることができました。
私が報告した症状から推測するに、原因は内蔵マイコンのマザーボードが腐蝕したことにより誤動作しているのではないかとのことでした。こうなると「修理は不可能」とのこと。
但し、経験上このマザーボードのソケットが接触不良を起こして悪さをしていることがあるそうなので、最後の手段として本体を開けてマイコン基板を引き抜き、その接点をアルコールで磨くことをご指示いただきました。
キーボードの下にあるマイコン基板
マザーボードとマイコン基板を接続する端子
因みに管理人が当初原因と見ていたキャビネット内の回路は殆どが電源ユニットとフラッシュの発光回路とのことで、これが原因となる例は極めて少ないとのことでした。
マイコン基板・表
マイコン基板・裏
確かに引き抜いたマイコン基板には埃や虫の屍骸があるなど厳しい状態で、接点には緑青のようなものが噴いていました。ブロアーで埃等を落とし、接点を磨き上げました。
マイコン基板には日立の集積回路も見られます(中央下)
「CPU I/O SHA-KEN 部品面」
端子には緑青のような汚れが……
アルコールで磨くと綺麗になりました
結果……表示パネルには若干変化が見られましたが、復旧しませんでした。デジタル数字が消灯、キー入力は一切受け付けなくなりました。
このことを写研の方に報告し、再度指示を仰ぐ予定です。
復旧の見込みは限りなくゼロに近いですが、その宣告を聞くまでは、取材と後学の為という意味も込めてできる限りのことはするつもりです。
2012.9.2(日) 19:41 764 写植機が動かない
【亮月写植室】昨日の見学の熱気冷めやらぬ写植室、後片付けと写植機の手入れをしました。
点検のため再度写植機の電源を投入したところ、大変なことが判りました。
SPICA-AH が正しく動作しないのです。
電源を投入すると印字位置が自動的に機械原点へ移動するのですが、原点の検出に失敗しているのか原点から縦のマイナス方向に移動しようとし、歯車が滑るような異音を発したままになります。
そうでない場合もありますが、特定のボタンが操作を受け付けなかったり座標のデジタル数字が印画紙の大きさよりも大きかったりしており、印字キーを押し下げると文字枠固定はするのですが印字はできずエラー音が鳴ります。送りIや1/2、1/16、1H送りも操作不可、フリーランだけが辛うじて反応するという状態です。数字キーは入力音がするのですが、表示されているデジタル数字は出鱈目で受け付けているのかよく判りません。
このような場合、唯一ユーザーで対応できるのがヒューズの交換です。しかし全てのヒューズを新品に交換しても症状は治まりませんでした。写植機本体の各機構は昨日まできびきびと動作していたので特に異常はないと思いますが、何らかの原因で制御部のどこかに異常が発生したものと思われます。メカではなく回路の異常という意味です。
見学前の点検でも以前から見られた字づら検出のできない箇所があり、2箇所から3箇所に増えて不穏な動きを見せていましたが、見学での動作をやり遂げた後に故障してしまったようです。
SPICA 型の最終機種でありレンズと字づら検出板の選択以外は電子制御され、制御部のキャビネットには複雑な基盤がひしめき合っています。素人の管理人が手を出せるようなものではありません。
非常に困りました。何とかして修理できる方、もしくは回路図のように修理の手掛かりとなるものを探さなくては。
このようなネットの辺境から訴えかけても仕方がないかも知れませんが、手掛かりをお持ちの方、ぜひ情報をお寄せいただけましたら嬉しいです。よろしくお願いいたします。
2012.9.2(日) 20:52 763 かんけつ!
【日録】
2週間弱に亘り連載してきた豊郷小学校旧校舎群の見学レポートが完結しました。
「亮月だより」のこのページに組み込まなくて正解でした。大きなサイズの写真が57点、一切の活動をストップして書いた記事は7ページに亘ってしまいました。
「だより」でもそうですが、茶化さずきちんとレポートするのが信条なので「写植レポート」と同じ体裁にして、その場で見たことや感じたことについて写植関係の取材と同等の扱いで書いたつもりです。
初めて特別編を打ち出すほど大きなものが私の中に残った訳ですが、これもまた日常のうちの一つ。小さな出来事があれば大きな出来事もあります。だからこそこの毎日が面白いのだということを実感しました。
私は感情の閾値が低いのか、小さな出来事であってもここに書きたくなるほど感動しやすいようです。大多数が当たり前に思っていることや既に過ぎ去ったこと、よく知られたことでさえ新鮮に感じることがよくあります。私の至らなさや人生経験の乏しさと言ってしまえばそれまでですが、日常を味わうという姿勢は大切にしていきたいと思っています。「だより」はそんな私のささやかな記録です。
豊郷にまで行き、それを時間をかけてレポートするほどになったのは、そこにあるものが自分の姿勢に対してどういうものであるかを確認したかったからだと思います。
技術的には、デジタル一眼レフを6年持っていながら初めてRAW撮影で取材しました。行くことが難しく撮り直しが利かず、撮影するものの大半が室内という厳しい条件だったのでJPEG撮って出しで画がうまく出ないと困ると予想してのものでした。
撮影が雨上がりだったこともあり“現像”の段階でかなり補正しています。具体的にはホワイトバランスの色温度を高め(画像を茶色め)にし、露出を変えず暗部を明るい方へ持ち上げ且つ白飛びを抑え、目で見た明るさと色調に近付けました。
管理人のカメラは Nikon D80 ですが、RAWで撮っておけば後処理でかなり無理が利き、暗い場所でなければ充分使えるというのが率直な感想です。今回の取材(あ、いつの間にか取材になってる)では“部室”程度の暗さなら問題なく、RAWで撮っておいても補正後にプリントするには厳しいと思ったのは「その2」のうさぎとかめが並ぶ像と「その6」の掛時計のアップぐらいで、他はぐいぐい補正できました。
うちのカメラは何で綺麗に撮れないんだろう、と他のサイトさんの写真を見て思うこともありましたが、そういうことだったのかと気付く良い機会になりました。だからと言って写真が上手くなった訳ではありませんが、少なくとも自分が見たい画に近いものを再現する手段は得られました。RAW現像の世界を知らなかったのが恥ずかしい!
次のデジタル一眼レフが欲しいな〜と思って目星まで付けていましたが、まだD80でいけそうです。地味ながら長く使える良いカメラでした。6年前に相当悩みましたが、やっぱりこの機種を選んでよかったです。
2012.9.1(土) 21:59 762 けんがく!
【亮月写植室】遠方から見学にお越しくださいました! 写植機が3機態勢になってから初めてのお客様です。
KKITTの雉子捏造さんとシロウトデザインワークスのぶなさん。ありがとうございます!
午前のうちに到着され、写真植字機3機の観察と撮影、資料の閲覧、そして PAVO-JV による印字もありで日没近くまで滞在いただきました。暑い日が予想されましたが、途中強い通り雨が降るなどして涼しく過ごすことができました。
お二人のお話や見学される姿に熱い思いを感じ、とても心強く思いました。「ここにしかないものがあるから来ました」とのぐっと来るお言葉を頂き嬉しかったです。お話に滲み出る造詣の深さや熱意に身が引き締まる思いで、私も頑張ろうという気持ちになりました!
ぶなさんが入手された写植関連の資料を拝見しました。
モリサワの古い見本帳や書体のパンフレット、写真植字機研究所による『写真植字機のすすめ』など、非常に貴重な印刷物です。
その中の『写真植字』というモリサワが1964年頃発行した書体見本(写真中央下)に、興味深いものがありました。
太ゴシック体に注目していただきたいのですが、「ら」の点が細く、「り」の1画目がかなり下の方まで伸びています。「満」の字体も現在一般的に使用されているものと異なります。
「太ゴシック体B1」と明らかに異なる箇所があり、初期のこの書体が印字されたものなのか、あるいは印字されたものが確認できていない「中ゴシック体BB1」なのか、非常に興味をそそられます。
写植機ので印字では、ねつぞぉさんは一寸ノ巾の心得があるだけあってスムーズな採字と操作をされていて、その背中はまるで現役のオペレータのようで素敵でした。写植機は印字する過程に機械が動いているのが実感でき、メカ的な面白さがあるのも魅力だと思います。
(※撮影したものを補正したため歪みがあります)
秀英明朝(SHM)のつめ組み用文字盤併用による印字。ねつぞぉさんの詰め印字では起こしの括弧の次の文字が離れてしまいおかしいなと思っていたのですが、私の印字でも読点がベタ送りになっていました。どうやら文字盤の 8/16em の位置だけ何らかの原因で検出できていないようです。SPICA-AH と同じように字づら検出機構のどこかが不調なのかもしれません。点検修理できる方を早く見付けなければ……!
お土産としてこのようなものも頂きました♪
特産美少女紀行「秋田名産みなせとひなの稲庭うどん」です。みなせのつるつるの喉ごしとひなのおツユを味わうのが楽しみです(すみません・笑)。
7時間超のご滞在でしたがあっという間に過ぎていき、私もとても楽しかったです。ねつぞぉさん、ぶなさん、ありがとうございました! そして行き帰りの道中本当にお疲れ様でした。
写植機も再び眠りに就きます。今日の活躍に感謝。
2012.8.24(金) 21:43 761 なのちゃん!
【日録】ねんどろいど「東雲なの」が製作所にも届きました。
『日常』のなのちゃんは管理人の五指に入る好きキャラで、年甲斐もなくこの日を指折り数えて楽しみに待っていました。4月に予約注文を入れた時「8月下旬は遠いなぁ……」と思っていましたが、もう夏も終わりかけています。今年の春から夏は色々な出来事が起こりあっという間に過ぎていきました。
夏の終わり、これまでの忙しくも充実した日々を労うように彼女はやって来ました。
めちゃくちゃ可愛いと思います。ただそこに立っているだけでいい。
背中には大きな「ネジ回し」が。そんな後ろ姿もとっても可愛いと思います。
沢山のポーズや表情用のパーツがついていますが、直立不動だけで充分可愛らしくて幾らでも鑑賞に堪えます。パーツ付け替えはその後のお楽しみに……。
あまりの可愛らしさになの「ちゃん」と呼びたくなってしまいます(笑)。
さっきから「可愛い」しか言っていませんが、そうとしか言い様がないんです。なのちゃんが好き過ぎてごめんなさい。
今日はいつにも増して特におかしな管理人ですが、人間そういう日もありますので、どうか許してやってください(許さん)。
*
【文字関係】風の便りで「太明朝体A1」に関するさまざまな考察を目にしました。
当サイトにもこの書体の記事がありますが、執筆当時「これで充分考察した」と思っていた内容が陳腐化しているのではないか? という思いに駆られました。
ネットの片隅にいて外から激しい渦巻きを眺めるような立ち位置に当サイトはあると思っていますが、渦巻きに飛び込んでも耐えうるものにしなければならないのか、ゆるゆると好きな書体について思いを綴っていていいのか、見渡せば書体について語れる人が幾らでも居るだけに何だか分からなくなってきました。写植室設立の時に「書体のはなし」だけを製作所へ残したのは、そんな迷いからです。
2012.8.18(土) 760 見学レポート・豊郷小学校旧校舎群
8月18日に「豊郷小学校旧校舎群」を見学した際のレポートです。分量が非常に多く別ページとしました。画像をクリックすると記事を閲覧できます。
随時追加してまいります。よろしければご覧くださいませ。
※第760回扱いですが、レポート完結まで先頭に表示します。ご了承ください。
2012.8.20(月) 21:59 759 ミクまんの悲劇
【日録】VOCALOID の初音ミクをディフォルメした「はちゅねミク」の肉まん(以下「ミクまん」)がファミリーマートで発売されたというので、ミク使いの端くれとして買ってみました。
一番近い店舗でも「初音ミク 5th Anniversary ミク LOVES ファミマ♪キャンペーン」を展開していて、ミクまんの他にも VOCALOID 関連の商品が店頭に並んでいました。ローソンのけいおんフェアの時も思いましたが、この田舎でミクを知っている人は何人いるのでしょう。
買ってみたのは「ネギみたいなパン」と「ブリオッシュ」、そして問題のミクまんです。
「ネギみたいなパン」はネギ味がしないことをアピールするためか、丁寧なことに味が併記されています。イラストはクリプトン社の日本語 VOCALOID が勢揃い。
ブリオッシュは『悪ノ召使』より。リンがゴシック風の色っぽい恰好に。
レジで「ミクまんください」と言っても「肉まんでよろしいでしょうか?」とうまく通じず、「初音ミクの肉まんください!」とはっきり言うことに。何だか恥ずかしかったです(笑)。しかし店員さんも心得ているのか、「顔が崩れやすいので気を付けてくださいね」と言って渡してくれました。
さて、ミクまんのお顔は……。
崩れてはいませんが、くしゅくしゅで哀れを誘う表情です。
私の夕食になりました。シュールだ……。
そして気になる中身は……避けては通れないとはいえ何だか可哀想なので、モザイクをかけておきました。見たい方だけどうぞ。
(画像クリックでモザイク解除の画像を表示)
ミクだけにネギたっぷりかと思いましたが、ごく普通の肉まんでした。味を犠牲にしてネタに走らなかったのは食品として美味しく食べてもらいたいという製造会社の矜持でしょうか。因みに水色や橙色の部分も通常の皮と同じ味がしました。
裏紙には輸入発売元は井村屋とありました。外国の工場で作ったってこと? フィギュア等と同じように中国産だったらやだなぁ……。
ともあれ、普通の肉まんと同じように管理人が美味しく頂きました♪
2012.8.19(日) 23:59 758 変わり続ける
【日録】所属の写真サークルの写真展の最終日だった。
私は17〜18日の関西旅行の疲れが抜けず日中寝てしまったので、閉展ぎりぎりからの参加になってしまった。会えなかったNさんごめんなさい。楽しみにしていた楽器の合奏も出来ずじまいで残念。
片付けの後は会長のRさん宅で打ち上げ。ある事情によりこれまでとは異なる趣があった。今日集まったのは割と新しいメンバーが多く、そこにも変化を感じた。
このサークルはメンバーが一堂に会すことは殆どなく、初対面同士ということが多い。そのため毎回自己紹介をする。一つ言えるのは、皆個性的な良さを持っているのにここに集まるのがそれらしいと思えるような、共通する何かを持っていることだ。だからか緊張する訳でもなく、何だか落ち着く。
この場所がこのままであって欲しいと思いつつも、きっと少しずつ変化していくのだろう。新しい動きが生まれようとしている。
2012.8.18(土) 23:30 757 せいかん!(生還)
【日録】
豊郷小学校旧校舎群(滋賀県犬上郡豊郷町)
昨日から今日にかけての京都・大阪・滋賀の旅から無事帰り着きました。
とっても楽しくて充実していました。追って詳しくレポートしたいと思います。
2012.8.16(木) 5:43 756 わたし、気になります!
【亮月写植室】当室で持っていなかった文字盤を大量に頂きました!
メインプレート10書体、サブプレート200枚ほどでした。
その中でもとても珍しかったのは……
カナモジカイが制作した仮名書体「カナモジ(アラタ)(ホシ)」のサブプレート「KA」です。
写研が1964年に発行した最初の書体見本帳に既に掲載されていた、写植用で最も古いと思われる仮名書体です。スタンダード文字盤ではなくサブプレートが現存しようとは……。
「アラタ」「アラタフトジ」「ホシ」の3書体が収録されています。左付きになっているので横組専用で、全角よりも少ないem数を字送りとして設定する必要があります。写研が推奨する送り量は不明。
この文字盤のほか、アンチックの中/小見出し(KF-A、KG-A)、変体かな(KH-A)、本蘭明朝の太いものや岩田細明朝体等探しても手に入れられなかったものも頂きました。関東地方のKさん、ありがとうございました!
*
【日録】周りが氷菓、氷菓って言うから……。
録り溜めていた『氷菓』の録画を観て、嵌まってしまいました。
謎解きがとても面白いです。セリフを一言でも聴き逃すとすぐ話についていけなくなってしまうので集中して真剣に観ることになりますが、私の錆び付いた脳では処理能力ぎりぎりです。それなのに映像は映画のアニメーションを観ているかのように綺麗で、話の筋を追うよりも先にそちらに気を取られることもしばしば。特に(言わずもがな)なのです! 勘弁してください!
舞台は岐阜県、とはいえ飛騨地方なんだよなーと思って何となく観ていなかったのですが、あちこちの書店に「千反田える」のイラストと「岐阜県」と大書されたポスターが掲げられていて、本作を気にせざるを得なくなっていたのです。
角川グループの「角★コミ」という企画でコミックスを買うと貰えるポストカード。
ポスターと同じ絵柄で、岐阜県民としてのえも言われぬ嬉しさが込み上げてきて無性に欲しくなっていました。キャンペーンが始まってから2ヶ月を経過しているので何軒も書店巡りをしてやっと手に入れました。県の位置さえあまり知られていないと思われるマイナー県ゆえ、こうやって取り上げられるとすごく嬉しいのです(笑)。
ところで「氷菓 書体」で検索すると当サイトの掲示板が最初に表示されるようです。カリグラフィー系統の和文フリーフォントや古い図案文字を追っても今のところ該当する書体が見付かりません。バランスを取る為かエレメントの造形にぶれがあるので既存書体ではなく作字したのではないかと思うのですが、真相は如何に……。わたし、気になります!
2012.8.5(日) 21:59 755 花のように
【日録】映画『おおかみこどもの雨と雪』を観に行ってきました。
以下、ネタバレありの感想です。見たい方だけ文字を選択して色を反転させてください。
花がおおかみおとこと出会ってから、雪が中学校に入学する年頃になるまでの十何年という長い年月を2時間の中で描ききった物語。それなのに彼女達の日常の日々が時間をゆったり使って細やかに描かれていて、まるで十何年を実際に暮らしてきたかのようで、いつの間にか思い出や深い愛着のようなものを抱いていました。
実際の人生がそうであるように、あらゆる出来事は大小の「思い通りにならなさ」を抱えていて、それでも受け止めて生きていくのだという覚悟と柔軟さが必要です。
おおかみこどもという大きな特徴を背負った雨と雪の素朴ながら切実な葛藤は、自分が持ち合わせたものと向き合いながらどう生きるかを選択しなければならないという成長の過程を端的に表現していました。いや、客観的にそう感じたのではなく、小さな頃から学生時代までの色々な事を思い出しました。
今あるものがいつまでもある訳ではないし、いつも一緒に居る人が突然居なくなってしまうこともあり得る。花はこれまでのどのような局面も受け容れ、そして最後には雨を笑顔で見送った。彼女のその在りようは雨上がりのように清々しくて、花のように生きられたら、と思いました。
出会い、結ばれ、出産し、子供達が成長していき、というそれぞれのエピソードの中に、自分や自分の親のそれを重ね合わせながら観ていました。両親はどう生き、どう思っていたのか。自分はどう育っていったのか。今の自分は両親が自分を産んだ年齢よりも未来、つまり人生の2周目である筈の位置に居る。そしてこれからの自分は……。まさに人生を俯瞰するような作品でした。
この物語はカタルシスを得る為に“作り上げられた”結末を迎えるのではなく、期待していた(私にとっては大泣きするような)終わり方ではありませんでした。でも、本作に必要で最も相応しい終わり方でした。花達の人生を実在しているものとして描いているからこその終わり方であり、その意図が一貫しているからこそこれだけ共感できたのです。
エンディングのスタッフロールでは花達の十何年間がプレイバックされ、主題歌『おかあさんの唄』に込められた思いとともに思い出を振り返って、泣けてきました。
それぞれの立場で感慨深く観ることができる良い作品だと思います。清々しさと優しさと少しの寂しさが同居するような気持ちで劇場を出ました。私は余韻に浸って暫く口が利けないほどでした。実にいい映画でした。
この映画を薦めてくれて一緒に行ってくれた同行人さん、どうもありがとう。ここを読んでるかは分かりませんが、感謝しています。
2012.8.2(木) 5:48 754 記号に惹かれ
【写真植字?】日曜に出掛けた時、こんなものを見付けたのでつい買ってしまいました。
__(アンダーバー)氏のアルバム『フツーバム』です。
ジャケットには写研の「記号BA-90」のようなものが大きく描かれています。なんじゃこりゃ!?
色々な物が同梱されていてバンバン使われていました。アンダーバー氏を全く知らなかったのですが、この記号BA-90のようなものを顔として使っているようで。
記号BA-90
厳密に見てみると本物の方が描線に強弱とキレがあり引き締まっていて細部が異なりますが、この記号を基にしているのは間違いないでしょう。この記号が好きな人間としては嬉しい、けどちょっと複雑な心境です(笑)。
店頭ではこのCDの両側にスピーカーが置いてあって曲が流れていて、それが好みな曲調だったので買ってみたのですが、CDを聴いてみたら収録されてなく拍子抜けしました。しっかりしてください、TのN店……。
音楽の完成度は高く恰好いいし、氏はいい声だし面白いと思うのですが、残念ながら初聴きではぐっと来ませんでした。でも自分の嗜好の範疇外を体験できる折角の機会なのでもう少し聴いてみようと思います。
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【日録】
ねんどろいどぷち『けいおん!』(だいいっき)より秋山澪(シークレット)と中野梓(こげにゃん)
下に敷いている『けいおん部カラフルメモリーズ!!!』は第2期から劇場版にかけての版権イラストを収録していて非常に眼福でした。写真の左下にいる澪の絵が可愛い。この絵柄のクリアファイル買っちゃったよ、好きで悪かったね!
果たして私は各キャラの造形が好きなのか、京アニの画風が好きなのか、総作画監督の堀口悠紀子氏の絵柄が好きなのか……。堀口氏の絵は『映画けいおん!』公開前後に描かれたものだけ目が小さく・睫毛が太くなってタヌキのような顔に変化した以外は抜群の安定感で、観る者に媚びずともそれ自身に可愛さが備わっているように思います。
困った顔のような下がり眉・太めの睫毛・ほんのちょっと開いた口に歯が見えるという独特な“記号”に最初は違和感を持っていましたが、すっかり親しみを感じるようになってしまいました。10年後の自分はどう思うでしょうか。やっぱり好きでこの画集を持っているでしょうか。いつしか古臭いな〜と思うようになるのでしょうか。……早朝だとそんな事を真剣に考えてしまうのでありました。
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【日録】風の便りで、やくしまるえつこさんがみんなのうたに『ヤミヤミ』という歌を提供していると知りました。録画して聴いてみたいと思います。
2012.7.28(土) 21:54 753 真夏の王国
【日録】梅雨明けから連日煮えたぎるような酷暑で、今週は私の住む地方が当日の日本の最高気温を記録するなど暑さがピークを迎えつつあります。
エアコンは持っていないので扇風機で凌いでいるのですが、昼の暑さが家の中に籠って夜は何をする気にもなれず、慢性的な寝不足に苦しんでいる状態です。
そこで、昨年強制的にさせられた“朝型生活”を復活させることにしました。
昨年は晩秋辺りまで実施していましたが、冬の早朝は夜の暖房や入浴による熱の蓄えがなく寒すぎて捗らなかったので徐々に零時に就寝・6時台後半に起床という生活に戻っていきました。
今朝は4時半の日の出前に蜩の蝉時雨で目が覚め、5時から活動開始としました。梅雨明けから2週間ぐらいストップしてしまった絵の制作が難なくできて嬉しかったです。夕方から夜にかけての茹だった脳では何も捗らなかったので、涼しい早朝の頭が冴える感覚はとても気持ちよかったし、久し振りに生活の中で充実感を味わえました。
最近は写植室の“現場”のウェイトが増えつつあり、静かな早朝に作業できることは限られますが、“事務作業”だけでもてきぱき片付けられるのは我ながら本当に有難い。寒くなるまで朝型を続けてみようと思います。
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【日録】職場の一部に私の素性がバレているらしく、「初音ミク」どころか「○○P(Pはプロデューサー……VOCALIOD を使って音楽を作る人の意)なの?」とその界隈の符牒で訊かれることがあって驚いた。「“萌えキャラ”描いてよ」とも。
隠すつもりはあまりないけど、そういう趣味を好まない人も多く居るだろうので、職場では自らは発さないようにしている。
だからそういう事を言いに来る人がいるとなんだかこそばゆい。「私も分かるよ」と遠回しに言ってくださったようで、照れくさくも嬉しいのだ。
漏れ出た所に良い繋がりがあったりもする。漏れちゃってもいいつもりで誰に見せても恥ずかしくないものを作らねば! と発奮した。でも……“萌えキャラ”は描けません!
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【亮月写植室】保有しているメインプレートを数えたら190枚ありました。(→亮月写植室*保有書体文字盤)
同一書体でも品質改良や配列の改定があり*、印字するだけなら1枚残せば良いとしても資料としては改良や改定毎に持っておきたいのであまり量は出ないかもしれませんが、秋頃に「文字盤プレゼント」企画ができればと思っています。そのため再度文字盤を一枚一枚把握し直しています。
ただ問題はサブプレートで、品質改良や配列の改定・丸Cの年号・製造年月まで把握済が約400枚、未把握が約1000枚あります。お盆を過ぎて涼しくなり始めたら取り掛かりたいと思います。
*品質改良や配列の改定
「亮月写植室*文字盤」の『文字品質改良記号の「A」と改訂記号の「丸a、丸b、丸c」』をご覧ください。
2012.7.19(木) 23:59 752 生命の危機
【日録】詳しくは書けませんが、生命の危機に晒されました。
外に居た時大きなものが予期せぬ速さで倒れてきて、振り向いたら避けた方向に倒れ込んできていたので、道路のガードレールを越えて車道に飛び込み、受け身を取って道路の向こう側までゴロンゴロンと転がって難を逃れました。
倒れてきたものはコンクリートに当たった衝撃で「ドカーン」と物凄い音がして木っ端微塵。近くに居た人はその衝撃よりも転がってきた私に驚いていました。
避けきれず当たり所が悪かったら、道路に車が走っていたら、と思うと今でも生きた心地がしません。人生は危険と隣り合わせであることを痛感しました。こういう事が稀にあるから注意し過ぎるぐらいが丁度良いのでしょう。
2012.7.17(火) 23:59 751 何故判ったんですか!?
【日録】人伝に頂いてしまいました……。
伊藤園の商品に附属していたという『映画けいおん!』のオリジナルミニフィギュアです。物凄く意外な人から受け取ったので驚きましたが、顔に表れていたのか「すっごく嬉しそう」と言われてしまいました(笑)。
例によって中野梓でした。親指大なのにツインテールまでしっかり作り込んであります。
背景は自前のクリアファイルですが、この表情は反則だと思います。パンダ城落城(?)。真面目なあずにゃんがどういう状況で誰に向かってこのような……。
それはそうと、けいおんと言えば某ライヴハウスであるという認識をされていると思われる方からこのようなものを、しかもあずにゃんのを頂くというのは非常にピンポイントで、「何故判ったんですか!?」としか言い様がありません。ここをお読みではないとは思いますが、I先生、ありがとうございました! |